平成28年2月5日 相模原市発表資料 平成 27年度 包括外部監査の結果報告書 (概要版) 相模原市包括外部監査人 中元 文德 お問い合わせ 監査委員事務局 電話 042-769-8291 第1 外部監査の概要 第 1 外部監査の概要 1.外部監査の種類 地方自治法第 252 条の 37 第 1 項に基づく包括外部監査 2.選定した特定の事件 道路・橋りょう等の維持管理等に関する事務の執行について 3.外部監査対象期間 原則として平成 26 年度(平成 26 年 4 月 1 日から平成 27 年 3 月 31 日まで) 必要に応じて平成 25 年度以前及び平成 27 年度の執行分を含む 4.事件を選定した理由 相模原市では、昭和 40 年代から昭和 50 年代前半を中心に、小・中学校や道路、下水道等の 社会資本の整備を進めてきたが、これら社会資本については、徐々に劣化が進み、いずれ更新 時期を迎えることとなる。 一方、少子高齢化の進行等により、税収の減少や扶助費の増加が見込まれており、社会資本 の維持管理、更新のための財源を十分に確保できるのかという懸念もある。 社会資本に含まれる道路・橋りょう等は、施設としての機能を永続的に維持していく必要性が高 く、劣化が進んだ場合に、更新をせずにそのまま廃止というのは、特段の事情がない限り現実的 ではない。そのため、将来の更新を念頭に置きながら、限られた財源の中で日々の維持管理を効 果的・効率的に行い、施設の機能を維持し続けていく必要がある。 相模原市は、平成 23 年 5 月に公表した「相模原市公共施設マネジメント取組方針」に基づき、 平成 25 年 12 月に「相模原市土木施設維持管理基本方針」を策定している。この基本方針では、 道路・橋りょう等について、従来の「対症療法的な管理」から「予防保全的管理」を取り入れた維持 管理へ転換を図るとしている。「対症療法的な管理」から「予防保全的管理」へ転換するという方向 性は適切と考えるが、どのようなプロセスで転換を図っていくのかなど、基本方針の実施状況等に は留意する必要がある。 このような状況を踏まえ、相模原市の行う道路・橋りょう等の維持管理等に関する事務の執行が法 令規則に準拠して適正に行われているかどうか、また、効果的・効率的に行われているかどうかを 検証する必要があると認められるため、道路・橋りょう等の維持管理等に関する事務の執行を、平成 27 年度の包括外部監査の特定の事件(テーマ)として選定した。 5.外部監査の実施期間 平成 27 年 5 月 28 日から平成 28 年 1 月 27 日まで 1 第1 外部監査の概要 6.監査対象部署 都市建設局土木部土木政策課 路政課 緑土木事務所 津久井土木事務所 中央土木事務所 南土木事務所 7.監査従事者 包括外部監査人 公認会計士 中元 文德 監査補助者 公認会計士 コンサルタント 公認会計士 公認会計士 公認会計士 公認会計士 弁護士 公認会計士 宮本 和之 石村 英雄 小笠原 直 加藤 聡 神戸 政之 栁原 匠巳 山口 準子 吉川 晃史 8.利害関係 外部監査の対象とした事件につき、包括外部監査人及び監査補助者は地方自治法第 252 条の 29 の規定により記載すべき利害関係はない。 2 第2 監査の基本的な視点と監査対象 第2 監査の基本的な視点と監査対象 1.監査の基本的な視点 (1)財務事務は法令、条例、規則等に適切に準拠しているか 包括外部監査の実施にあたり第一に留意すべき点は、事業に係る財務事務の執行や手続等が、 関連する法令・条例・規則に準拠しているかという「合規性」の観点であり、このことは、道路・橋りょう 等の維持管理等に関する事務も同様である。そこで、相模原市が行っている道路・橋りょう等の維 持管理等に関する事務の執行について、合規性に問題がないかを監査の基本的な視点とした。 監査対象とした事業数は次のとおりである。具体的な事業とその監査の結果及び意見は、「第4 Ⅱ.1.道路橋りょう総務費」から「第4 Ⅱ.4.橋りょう維持費」に記載している。 ≪表≫監査対象とした事業 道路橋りょう費 道路橋りょう費総務費 道路維持費 道路新設改良費 橋りょう維持費 合計 中央 3 事業 19 事業 5 事業 3 事業 30 事業 土木事務所 緑 津久井 4 事業 6 事業 8 事業 14 事業 6 事業 1 事業 2 事業 4 事業 20 事業 25 事業 南 4 事業 7 事業 8 事業 2 事業 21 事業 路政課 5 事業 1 事業 − − 6 事業 合計 22 事業 49 事業 20 事業 11 事業 102 事業 また、各土木事務所では、道路の維持管理に関する物品を購入し、使用・保有しているため、そ の管理が適切に実施されているかなども検討した。 (2)安全性の確保・機能の維持は十分に図られているか 日常生活で使われる道路・橋りょう等は、施設としての機能を永続的に維持していく必要性が高く、 劣化が進んだ場合に、更新をせずにそのまま廃止というのは、特段の事情がない限り難しい。その ため、将来の更新を念頭に置きながら、限られた財源の中で日々の維持管理を行い、施設の機能 を維持し続けていく必要がある。 そこで、道路・橋りょう等について、安全性は十分に確保されているか、施設の機能の維持は十 分に図られているかを監査の基本的な視点として、具体的に次の 4 項目について検討した。 ① 道路等について相模原市土木施設維持管理基本方針への準拠性の検討 相模原市土木施設維持管理基本方針では、道路について、平成 27 年度中までは従来型の維持 管理により点検・補修を実施するとしており、平成 27 年度中に個別計画を策定し、以後、予防保全的 管理・維持を推進するとしている。 そこで、道路の維持管理について、相模原市土木施設維持管理基本方針に従った予防保全的管 理・維持の推進がどの程度図られているかについてヒアリングを実施した。 相模原市土木施設維持管理基本方針の概要と、個別計画策定の進捗状況の概要は、「第4 Ⅳ. 4.相模原市土木施設維持管理基本方針への対応状況」に記載している。 3 第2 監査の基本的な視点と監査対象 ② 道路等について日常の管理業務の適切性の検討 道路等について、日常の管理が適切に行われているかを検討した。 具体的な監査手続は次のとおりである。 市は、地図と情報を一体で管理できる GIS(地理情報システム)である SRIMS(Sagamihara Road Information Management System」の略)を導入している。市民から寄せられる道路の破 損情報や補修要望等について、その内容や位置情報などを SRIMS に備わっている機能で管理 している。そこで、市より SRIMS のデータを入手して、道路等の管理業務の適切性を検討した。そ の検討結果を「第4 Ⅳ.2.市民要望に対する対応」に記載している。 また、市では、委託業者によるパトロールと市職員によるパトロールが行われており、市職員が行 うパトロールによる確認と具体的な対応も SRIMS に入力されている。そこで、市より SRIMS のデ ータを入手して、市職員が行うパトロールによる確認と具体的な対応状況を把握し、道路等につい ての管理業務の適切性を検討した。その検討結果を「第4 Ⅳ.3.職員による確認と対応」に記載 している。 ③ 橋りょうの維持管理についての相模原市土木施設維持管理基本方針への準拠性の検討 相模原市土木施設維持管理基本方針では、橋りょうについて、平成 23 年度中までは従来型の 維持管理により点検・補修を実施するとしており、平成 23 年度中に個別計画を策定し、以後、予防 保全的管理・維持を推進するとしている。 そこで、橋りょうの維持管理について、予防保全的管理・維持の推進が図られているかを検討し た。具体的には、平成 23 年 10 月に市より公表された相模原市橋りょう長寿命化修繕計画の内容を 検討し、同計画の進捗状況についてヒアリングを実施した。 以上の検討結果を「第4 Ⅴ.1.橋りょうの点検状況」に記載している。 ④ 橋りょう点検結果の対応状況の検討 相模原市では、平成20 年度及び平成21 年度に、職員による点検を行い、職員では点検が困難 な箇所等については、平成 21 年度及び平成 22 年度に業者委託により点検を行っている。その結 果、平成 22 年度までに市内の全ての橋りょう(627 橋)を点検している。 点検結果では、ほとんど損傷がみられないものが全体の約 80%を占めているが、橋りょう構造の 安全性の観点から緊急対応の必要があるとされるものも約 2%程度存在している。 (このことについては、「第4 Ⅴ.1.橋りょうの点検状況」に記載している。) そこで、相模原市橋りょう長寿命化修繕計画策定後に各土木事務所が行った対応について市よ りデータを入手して、点検結果を踏まえた対応が適切になされているかを検討した。 以上の検討結果を「第4 Ⅴ.2.点検結果の利用状況」に記載している。 (3)経済性、効率性及び有効性に配慮しているか 成果を固定化し、それをより少ない投入で実現することが経済性であり、投入を固定化し、より多 くの成果を得ることが効率性である。 道路・橋りょう等の維持管理等については、安全性の確保が重要であり、そのためには、経済性、 効率性を犠牲にせざるを得ない面もあるとは思われる。しかしながら、地方公共団体が行う事業に 係る財務事務の執行には人員や時間に限りがあり、このことは道路・橋りょう等の維持管理等に関 4 第2 監査の基本的な視点と監査対象 する事務も同様である。 人員や時間に限りがある状況の中では、同じ成果が得られるのであれば、より少ない人員や時 間で済むやり方を選択する必要があり、同じ人員や時間を投入するのであれば、より多くの成果を 得られるやり方を選択する必要がある。 道路・橋りょう等の維持管理等に関する事務について、合規性が遵守され、安全性が確保されて いれば経済性や効率性に問題が生じていても構わないとするのではなく、経済性及び効率性、ま た、事業の有効性に問題がないかについても監査の基本的な視点とした。 そこで、相模原市が行う道路・橋りょう等の維持管理及び改良工事について、業務の経済性、効 率性及び有効性が十分に図られているかを検討した。また、各土木事務所では、道路の維持管理 に関する物品を購入し、使用・保有しているが、物品の購入、使用及び保有について、経済性、効 率性及び有効性が十分に図られているかを検討した。 経済性、効率性及び有効性についての検討結果は、「第4 Ⅱ.道路橋りょう費」から、「第4 Ⅵ. その他」に記載している。 5 第2 監査の基本的な視点と監査対象 2.監査対象 監査の基本的な視点及び具体的な視点を踏まえ、監査の範囲を次のとおりとした。 (1)監査対象とした道路・橋りょう等の範囲 次表は、相模原市土木施設維持管理基本方針に示されている、相模原市が管理する道路・橋り ょう等の施設種別とその施設量を示したものである。 次表の施設種別のうち、「監査対象」欄に「〇」を付した施設を本年度の包括外部監査の監査対 象とした。 交通安全施設 ≪表≫道路・橋りょう等の内訳と監査対象範囲 施設種別 施設量 備考 監査対象 橋りょう、横断歩道橋 627 橋 うち橋長 15m 以上 283 橋 〇 一般国道 約 51km 〇 主要地方道 約 84km 〇 舗装 一般県道 約 103km 〇 市道 約 2,152km 〇 トンネル 10 本 洞門含む 〇 ペデストリアンデッキ 5 箇所 − 道路反射鏡 8,569 基 〇 道路照明灯 8,090 基 〇 道路警戒標識 2,354 基 〇 大型案内標識 727 基 〇 愛称標示板 62 基 〇 主要地点標識 477 基 〇 自発光式道路鋲 516 基 〇 − 高木 約 12,700 本 うち幹線道路約 4,900 本 街路樹 中低木 約 20,300 本 − 刈り込み 約 113,300 ㎡ − アンダーパス 10 箇所 〇 横断施設 ボックスカルバート 7 箇所 〇 エレベータ 26 基 このほか駅構内 6 基 − 昇降機 エスカレータ 31 基 このほか駅構内 4 基 − 電線共同溝 − 21.6km ※ 施設量は平成 24 年 3 月時点の値である。 (相模原市土木施設維持管理基本方針より抜粋) 6 第2 監査の基本的な視点と監査対象 (2)監査対象とした平成 26 年度の道路・橋りょう等維持管理等に係る歳出 次表は、平成 26 年度の道路橋りょう費の内訳を示したものである。原則として、次表の道路橋りょ う費を本年度の包括外部監査の監査対象とした。 道路橋りょう総務費 ≪表≫監査対象とした道路橋りょう費(平成 26 年度)の内訳 土木事務所 目 細目 中央 緑 津久井 道路占用物件適正化事業 − − − 道路管理業務委託 10,856 8,046 2,926 道路境界確定事業 33,466 9,736 43,538 廃道路敷等測量委託 − 689 2,305 道路占用許可事務費 − − 94 地籍調査事業 − − 1,695 一般事務費 1,318 1,068 3,050 合計 46,329 20,546 51,916 路上放置自動車等撤去委託 1,474 518 127 道路維持管理経費 614,299 244,358 372,774 交通安全施設整備事業 80,528 31,844 35,128 交通安全施設維持管理費 170,046 100,156 57,054 繰越明許費分 − − − 事故繰越分 − − 13,172 合計 866,348 376,877 478,256 道路舗装整備事業 49,531 3,423 42,920 道路改良事業 13,643 6,333 57,653 (単位:千円) 路政課 南 合計 道路維持費 道路新設改良費 − 5,640 29,812 297 31 − 527 36,309 1,719 345,238 85,853 199,672 − − 632,483 96,015 156,342 56 63,694 − − 1,840 − 11,025 76,616 − 8,714 − − − − 8,714 − − 56 91,164 116,553 3,291 1,966 1,695 16,990 231,719 3,839 1,585,385 233,354 526,928 − 13,172 2,362,680 191,891 233,971 橋りょう維持費 橋本駅南口駅前広場改良事業 (継続費) − 10,368 − − − 10,368 狭あい道路拡幅整備事業 私道路整備事業 一般事務費 繰越明許費 事故繰越分 合計 橋りょう維持補修費 橋りょう長寿命化事業 繰越明許費分 事故繰越分 合計 総計 15,987 − − − − 72,551 855 43,473 − − 44,328 1,029,558 10,336 − 24 30,477 − 107,071 378 9,340 − − 9,718 514,214 − − − − 2,508 63,584 2,154 57,121 31,599 19,280 110,156 703,914 13,817 2,450 − 42,075 − 310,702 1,638 13,700 18,512 − 33,851 1,013,347 − − − − − − − − − − − 85,330 40,142 2,450 24 72,552 2,508 553,910 5,026 123,636 50,112 19,280 198,056 3,346,365 7 第3 外部監査の総括・監査の結果及び意見の要約 第3 外部監査の総括・監査の結果及び意見の要約 1.外部監査の総括 (1)財務事務は法令、条例、規則等に適切に準拠しているか 相模原市が行っている道路・橋りょう等の維持管理等に関する事務の執行について、関連する 法律・条例・規則等に準拠しているかという合規性に問題がないかを監査の基本的な視点とした。 このことについて、法律・条例・規則に違反していると思われる事案は確認されなかった。 ただし、合規性に違反しているとまではいえないが、仕様書に規定するとおりの工程写真の提出 を受けていないなど、仕様書に定める成果品が提供されていない事案が見受けられた。このことに ついては、今後、改善が必要である。 (2)安全性の確保・機能の維持は十分に図られているか 相模原市が管理する道路・橋りょう等について、安全性は十分に確保されているか、施設の機能 の維持は十分に図られているかを監査の基本的な視点として、次の 4 項目について検討した。 ① 道路等について相模原市土木施設維持管理基本方針への準拠性の検討 相模原市土木施設維持管理基本方針では、橋りょう以外の道路施設について、平成 27 年度中ま では従来型の維持管理により点検・補修を実施するとしており、平成 27 年度中に個別計画を策定し、 以後、予防保全的管理・維持を推進するとしている。 道路施設の維持管理について、相模原市土木施設維持管理基本方針にしたがった予防保全的 管理・維持の推進がどの程度図られているかについて、土木政策課へのヒアリングを実施した。 現状では、個別計画として、平成28 年3 月に「(仮称)相模原市道路施設長寿命化修繕計画」を公 表する予定とのことであり、相模原市土木施設維持管理基本方針にしたがった対応が図られる見込 みである。 同計画において舗装は、交通量や接続する施設の種類等により路線の重要度を区分し、重要度 の高い路線は予防保全的管理を行い、生活道路等は従来型の対症療法的な管理を行うとしている。 相模原市土木施設維持管理基本方針も、施設の性質や規模に応じて維持管理区分を設定し、最 適な維持管理手法を選択することでライフサイクルコストの縮減を図るとしており、交通量等によって 管理手法を変えることは現実的な対応と考える。今後は、予防保全的管理を行うとする道路について、 どのように、安全性の確保・機能の維持を図りながら、ライフサイクルコストを縮減していくかが重要と なる。 相模原市土木施設維持管理基本方針では、施設の適正な管理と業務の効率化を図るため、施設 の諸元や点検結果、補修履歴など必要なデータを記録及び蓄積し、効率的な維持管理の仕組みを 構築するとしている。道路について、過年度の補修情報が十分ではなく、補修情報は今後蓄積して いくことになる。真に効率的な維持管理の仕組みを構築するまでには時間がかかる可能性もあるが、 効果的に情報の蓄積に努めていく必要がある。 8 第3 外部監査の総括・監査の結果及び意見の要約 ② 道路等について日常の管理業務の適切性の検討 市は、SRIMS(相模原市道路情報管理システム)を導入しており、市民から寄せられる道路の破 損情報や補修要望等について、要望等の内容や位置情報などを SRIMS に備わっている機能で 管理している。そこで、市より SRIMS のデータを入手して、道路等についての管理業務の適切性 を検討した。 SRIMS による管理では、市民からの要望を「道路」、「安全施設・街路樹」、「不法投棄・不法占 用」、「下水道・簡易水道」、「河川・水路」、「その他」の 6 分野に分類している。 平成 26 年度の市民要望件数は 4 土木事務所合計 6,653 件で、そのうちの 3,393 件は「道路」 に関するもので、2,380 件は「安全施設・街路樹」に関するものであった。「道路」に関するもののう ち 1,435 件は「舗装道(車道)」に関するもの、1,121 件は「側溝・桝」に関するものであった。 「舗装道(車道)」に関する要望(1,435 件)の主な内容は、穴埋め、補修の要望がそれぞれ 485 件ずつで、「側溝・桝」に関する要望(1,121件)の内容は、清掃が497件、補修が435件であった。 また、「安全施設・街路樹」については、「歩道」の補修についての要望が 368 件、「カーブミラー」 の補修についての要望が 280 件であった。 これらの要望に対して、4 土木事務所合計でほぼ 100%近く何らかの対応を図っているが、一部 未対応事案が見受けられた。各土木事務所の未対応事案よりサンプルを抽出して、その状況を確 認したところ、適切に対応すべき事案が見受けられた。その詳細については、「第4 Ⅳ.2.市民 要望に対する対応」に記載している。 また、市では、委託業者によるパトロールと市職員によるパトロールが行われており、市職員が行 うパトロールによる確認と具体的な対応も SRIMS に入力されている。そこで、市より SRIMS のデ ータを入手して、市職員が行うパトロールによる確認と具体的な対応状況を把握し、道路等につい ての管理業務の適切性を検討した。このことについては、特段の問題は見受けられなかった。 ③ 橋りょうの維持管理についての相模原市土木施設維持管理基本方針への準拠性の検討 相模原市土木施設維持管理基本方針では、橋りょうについて、平成 23 年度中に個別計画を策 定し、以後、予防保全的管理・維持を推進するとしている。そして、平成 23 年 10 月に相模原市橋り ょう長寿命化修繕計画を公表している。 そこで、橋りょうの維持管理について、予防保全的管理・維持の推進が図られているかを検討し たが、現状では、予防保全的管理・維持への移行期であり、その効果があらわれるのは、しばらく 先であると感じられた。 橋りょうについても道路と同様に、予防保全的管理・維持を進めるためには、施設の諸元や点検 結果、補修履歴など必要なデータを記録及び蓄積し、効率的な維持管理の仕組みを構築する必要 がある。そして、蓄積したデータを活用し、施設の劣化の予測、維持管理・更新に係る必要予算の積 算の精度を向上させることで、計画的かつ効率的な維持管理計画を構築する必要がある。 現在は、データの収集が求められている状況で、予防保全的管理・維持による効果が表れるのは、 これからのことと思われる。 また、平成 26 年 3 月に、「道路法施行規則の一部を改正する省令」及び「トンネル等の健全性の 診断結果の分類に関する告示」(以下「告示」という。)が公布されたが、現在の「相模原市橋りょう長 寿命化修繕計画」は、一部、告示の考え方に対応していない部分がある。計画に基づいて橋りょう の維持管理を進めていくためには、計画自体の見直しが必要である。 9 第3 外部監査の総括・監査の結果及び意見の要約 ④ 橋りょう点検結果の対応状況の検討 橋りょう長寿命化修繕計画の策定にあたって、市では、平成 20 年度及び平成 21 年度に市職員 による橋梁点検ワーキングを立ち上げ、市内各所の橋りょう点検を実施している。さらに、市職員で は点検が困難な箇所等については、平成21年度及び平成22年度に委託により点検を行っている。 また、政令指定都市移行により神奈川県から管理移譲された橋りょうは、神奈川県による点検結果 を引き継いでいる。 橋りょう長寿命化修繕計画の策定時に実施した点検(以下「当初の点検」という。)について、その 後、当初の点検結果を踏まえた対応が適切になされているかを検討した。具体的には、相模原市 橋りょう長寿命化修繕計画策定後、各土木事務所がどのような対応を図っているかについてのデ ータを市より入手したが、その結果、措置が未了の橋りょうが見受けられた。 措置が未了となっているのは、当初の点検結果を受けて改めて現地調査等を行った結果、緊急 性や第三者被害の恐れがないと判断し、経過観察対応としているなどの理由で、当初の点検結果 の見直しを行ったことによるものである。 当初の点検は、概ね保守的に過ぎ、実態より厳しい状態として判定しているとのことである。現状 では、各土木事務所が、当初の点検結果を受けて、独自に定期点検や補修の優先度を判断して 実施年度を決めており、定期点検の結果を踏まえて当初の点検結果の見直しも進めている。 現状において、特に問題が顕在化しているわけではないが、全市的な観点からみた維持補修の 優先度が見直され、それに基づいて各土木事務所が判断しているわけではない。あくまでも各土 木事務所の判断に任されている。 橋りょう長寿命化修繕計画の策定は、今後、橋りょうの老朽化が進み、補修費や架け替え費用の 負担が増えることが予想される中で、優先度の高いものから効率的、効果的に維持管理を行うこと でトータルコストの縮減を図ることにねらいがある。そうであれば、全市的な優先度の更新と各土木 事務所へのフィードバックを継続して行うことが重要となってくるはずであり、そのためには、土木事 務所間での情報の共有がより重要になってくる。このことについて、今後、十分に留意していく必要 がある。 (3)経済性、効率性及び有効性に配慮しているか 相模原市が行う道路・橋りょう等の維持管理及び改良工事について、業務の経済性、効率性及 び有効性が十分に図られているかを検討した。また、各土木事務所では、道路の維持管理に関す る物品を購入し、使用・保有しているため、その管理が適切に実施されているかなども検討した。 ① 道路・橋りょう等の維持管理等に係るコストの推移 道路・橋りょう等の維持管理等に関連するコスト(支出)は、相模原市決算書に道路橋りょう費とし て計上されている。 平成 2 年度から平成 26 年度までの 25 年間の道路橋りょう費の推移をみると、平成 22 年度以降 大きく変動している。これは、平成22 年4 月 1 日に政令指定都市になったことで、国直轄事業負担 金を支出することとなった影響が大きい。 国直轄事業負担金とは、国が行った公共事業の費用の一部を地元の地方公共団体が負担する もので、国が直接実施する道路の新設や改良に要する費用について、道路法等に基づき、地 10 第3 外部監査の総括・監査の結果及び意見の要約 元地方公共団体が一定割合で負担金を支出することが義務づけられている。 道路橋りょう費は、道路橋りょう総務費、道路維持費、道路新設改良費及び橋りょう維持費に区分 される。これらのうち、道路橋りょう総務費、道路維持費及び橋りょう維持費の合計額(以下「道路橋 りょう総務費等合計額」という。)の推移をみると、年度により多少の変動はみられるが、全体的に大 きな動きはみられない。道路新設改良費は、国直轄事業負担金を除いても、年度による変動幅が 大きく、25 年間の状況として、増加しているとも減少しているともいえない状況である。 ≪図≫道路橋りょう費の推移 (百万円) 10,000 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 道路橋りょう総務費+道路維持費+橋りょう維持費 国直轄事業負担金を除いた道路新設改良費 ≪図≫道路橋りょう費の一般会計に占める割合の推移 8.0% 6.0% 4.0% 2.0% 0.0% H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 道路橋りょう総務費+道路維持費+橋りょう維持費の一般会計に占める割合 国直轄事業負担金を除いた道路新設改良費の一般会計に占める割合 道路橋りょう総務費等合計額と、国直轄事業負担金を除いた道路新設改良費について、一般会 計歳出額に占める割合の推移をみると、道路橋りょう総務費等合計額は緩やかに低下しており、国 直轄事業負担金を除いた道路新設改良費も、年度による変動こそみられるが、全体的な傾向として は低下しているといえる。 市が平成 27 年 10 月 30 日に公表した平成 28 年度予算編成方針では、平成 28 年度の財政状 況について、市税収入の大幅な増収が期待できない一方で、社会保障制度改革の影響や高齢化 の進行等に伴う扶助費を中心とした義務的経費の増大が予想されるとしている。 このような状況で、道路・橋りょう等の維持管理等に関連する財源を大幅に増やすことは難しいと 思われるが、一方で、道路・橋りょうの老朽化は日々進行しており、老朽化の進行に対して適切に 対応していく必要がある。 相模原市土木施設維持管理基本方針においても、限られた予算の中で選択と集中による維持 管理を実施するとしている。そのための対策の一つが予防保全的管理の実施であるが、現状では 橋りょうはその取り組みが始まったばかりであり、道路はこれから始めようとする段階である。 11 第3 外部監査の総括・監査の結果及び意見の要約 老朽化が進むにつれて維持管理(メンテナンス)の必要性は高まっていく。財政状況の厳しさと 老朽化の進行の双方を踏まえると、道路・橋りょう等について、効率的、効果的に維持管理を行うこ とでトータルコストの縮減を図る必要があり、その実現に向けて、スピード感をもって対応していく必 要がある。 ② 設計単価・仕様の共通化 道路の維持補修等(災害復旧を含む。)に関することは各土木事務所が行っている。このうち、各 土木事務所で共通的に行っている事業については、極力、市全体で共通化することで、事務の効 率化やコストの縮減を図っていく必要がある。 緑土木事務所と南土木事務所を対象として業務内容の比較を行った。そのなかで、全市的に共 通化を図ることが望ましいと思われる事案が見受けられた。 たとえば、不法投棄物収集運搬業務委託及び同処分業務委託契約について、緑土木事務所、 南土木事務所が設計金額算出のための単価見積を依頼した業者がいずれも同じ業者であった。 両土木事務所は打ち合わせをしたわけでなく、結果として同じ業者だったとのことである。同じ業者 に依頼する必要があるのであれば、各土木事務所がそれぞれ行う必要もなく、担当または順を決 めていずれかの土木事務所が行い、これを共有する方法がより効率的である。 また、市道排水溝等清掃(収集運搬)業務委託は、道路の側溝や管渠、雨水桝の清掃を行い、 残土を回収する業務を委託するものであるが、緑土木事務所と南土木事務所の設計単価の一部に 違いがみられた。両土木事務所の各管内に設置されている雨水桝の構造や土砂の堆積状況、及び その清掃作業の内容が大きく異なるとは考えづらい。同一の業務であれば、設計の考え方は市内で 統一することが望ましく、委託業者にも説明がしやすい。本事案の場合、南土木事務所の業務内容 を緑土木事務所に合わせると委託料が節減できる。 土木事務所がそれぞれ行っている業務について横断的に検討し、設計単価や仕様など、市全体 で共通化できるものは共通化を図って行く必要がある。 ③ 在庫管理 緑土木事務所と南土木事務所を対象として、原材料の管理状況を比較したところ、見直すべき事 項が見受けられた。 緑土木事務所が管理している境界標について、受払簿上の残数がマイナスになっていたため、 その理由を確認したところ、購入数量を受払簿に適切に記録していないことが一因ではないかとの ことであった。 帳簿記録の正確性の確保は、在庫管理を行う上で基本となる事項である。緑土木事務所を含め 各土木事務所は、帳簿記録の正確性に十分に留意する必要がある。 また、南土木事務所が管理している塩化カルシウムについては、受払簿による在庫管理を行っ ていない。緑土木事務所は塩化カルシウムについて受払簿を作成しているが、南土木事務所では、 別途、在庫数量や使用状況を記録管理しているとのことであった。 原材料の在庫管理の方法について、土木事務所間で事務に違いが生じるのは望ましくない。統 一化できる事務は統一化を図る必要がある。 12 第3 外部監査の総括・監査の結果及び意見の要約 ④ 市民との協働 道路・橋りょうの維持管理を、限られた財源の中で効率的・効果的に行うためには市民の協力を 得ることも必要である。 たとえば、市では、「街美化アダプト制度」により、団体の活動支援を行い、歩道の清掃や除草作 業を市民と協働で行っている。さらにこのような活動を促進し、充実させていくことが望まれる。 また、市では、スマートフォンが持つカメラや GPS 機能を利用して、市が管理する道路の破損状 況等を市民が手軽に市に通報できるアプリケーションソフト(「パッ!撮るん。」)を市内の事業者と 協働で開発し、平成 27 年 4 月から本格運用している。 「パッ!撮るん。」は、市民からの通報を受けるだけではなく、パトロール員モードを設け、市の日 常の道路維持管理業務においても利用されている。 このアプリケーションソフトは、電話等による市民からの道路の補修等の要望に比べ、道路の破 損等の状況写真と位置情報がスマートフォンのメール機能により市に送信されるため、要望内容を 正確に把握できることや、アプリケーションの利用に際しては氏名や性別、パスワードなどの登録 が不要であり、非常に簡単な操作で市に通報ができること、市民にとって通報手段の選択肢が増え るとともに、24 時間、いつでも通報可能であるため、市民にとっては通報に対する安心感を持つこ とができることなどが特徴となっている。 平成 26 年度に各土木事務所に寄せられた市民要望約 6,600 件は、電話による通報が大半を占 めており、昨今のスマートフォンの普及率に鑑みると、電話による通報から「パッ!撮るん。」による 通報に誘導することにより、各土木事務所職員の電話対応の負担軽減にも繋がると考えられ、アプ リケーションのさらなる普及を図っていく必要がある。 各土木事務所の職員によるパトロールと「パッ!撮るん。」のさらなる普及が、今後の道路の維持 管理に資するとともに、道路の破損箇所等の把握及び対応、道路の不具合等に起因する事故等の 未然防止が図られることを期待する。 13 第3 外部監査の総括・監査の結果及び意見の要約 2.監査の結果及び意見の要約 監査の結果及び意見の項目数 記載箇所 「第4 監査の結果及び意見」 結果 1 意見 32 ※ 「監査の結果」 今後、相模原市において何らかの措置が必要であると認められる事項。主に、合規性に関するこ と(法令、条例、規則、規程、要綱等に抵触する事項)となるが、一部、社会通念上著しく適正性を 欠いていると判断される場合には、経済性、効率性及び有効性の観点からの結論も含まれる。 ※ 「監査の意見」 「監査の結果」には該当しないが、経済性・効率性・有効性の視点から、施策や事務事業の運営 の合理化等のために、包括外部監査人として改善を要望するものであり、相模原市がこの意見を 受けて、何らかの対応を行うことを期待するもの。 「監査の結果」及び「監査の意見」の概要 内 (注) 下の表の番号は本文の番号を記載している。 容 Ⅰ.道路・橋りょう等の維持管理等に要するコストの分析 1.道路橋りょう費の目科目別の推移 2.道路橋りょう費の節科目別の推移 Ⅱ.道路橋りょう費 1.道路橋りょう総務費 【意見①】調書データ補正業務委託の進捗管理(路政課) 請負先に対して、作業計画書及び業務工程表の作成・提出を要求していなかっ た。作業計画書及び業務工程表を入手のうえ、工程管理を行う必要がある。なお、 平成 27 年度発注分から作業計画書及び業務工程表を入手し、工程を管理する旨 の見解が示されている。 【意見②】道路境界確定事業の受益者負担(全土木事務所共通) 津久井土木事務所管轄区域内に限っては、当分の間、確定図と現地不合箇所に おける「境界確定」であっても、申請者に費用の一部を負担してもらうとのことである が、本来的には不公平な取扱である。住民サービスの地域差はできるだけ早期に 是正する必要がある。 【意見③】工程写真の確認不履行(緑土木事務所) 境界確定仕様書では、成果品として印刷された工程写真の提出を求めていると解 釈されるが、デジタルデータのみの提出となっていた。境界確定仕様書で定められ ている以上、印刷された工程写真の提出を受け、その内容を確認する必要がある。 【意見④】受付番号の取り扱い(南土木事務所) 黒板には地名、位置(場所、測点等)が記載されるため、受付番号の記載がなくても 場所の特定は可能であるが、仕様書が受付番号を要求している趣旨に沿って、受付 番号を記載する必要がある。また、報告書に記載されている受付番号に誤りがある事 例も見受けられたため、成果品の内容確認を確実に行う必要がある。 14 区 分 結果 意見 − − − − − ○ − ○ − ○ − ○ 第3 外部監査の総括・監査の結果及び意見の要約 内 容 2.道路維持費 【意見⑤】除草業務委託(中央土木事務所) 市では「街美化アダプト制度」により、団体の活動支援を行い、歩道の清掃や除 草作業を市民と協働で行っている。除草業務を単なる事業として委託に頼るのでは なく、街の活性化にもつながることを考えて、さらにこのような活動を促進し、充実さ せていくことが望まれる。 【意見⑥】検査時に提出された工事写真(中央土木事務所) 工事写真帳の中に検収資料としては不十分なものが見受けられた。工事写真の 撮影方法等について再検討が必要である。 【意見⑦】設計単価算出のための見積依頼業者選定(緑・南土木事務所) 不法投棄物処分業務委託について、市内の産業廃棄物処分業者には公平に見 積もり合わせ等の機会を与える必要がある。 また、不法投棄物収集運搬業務委託については、可能な限り見積り依頼業者は 固定せず、適宜変更を加える必要がある。 【意見⑧】各土木事務所間の情報共有不足(緑・南土木事務所) 緑土木事務所、南土木事務所が設計金額算出のための単価見積を依頼した業 者がいずれも同じ業者であった。各土木事務所が個別に見積もり依頼を行うのであ れば、それぞれ異なる業者に依頼し、情報を共有したうえで、設計金額を設定する 方法が効率的かつ有効的である。 【意見⑨】市道排水溝等清掃(収集運搬)業務委託の設計単価算定方法の統一(緑・ 南土木事務所) 緑土木事務所と南土木事務所の設計単価を確認したところ、「雨水桝 A 種」は、 南土木事務所の設計単価が緑土木事務所の約 1.8 倍となっている。それぞれの業 務の内容等を比較して実態を把握する必要がある。 【結果①】市道維持補修業務の委託料の過払い(南土木事務所) 「市道維持補修業務委託(南区その2)」(決算額 31,759,793 円)において、数量 計算書に誤りが見られ、支払額が 679,396 円(税込)多く計算され、委託料の過払 いとなっている。市は業者から提出された実績について十分に確認した上で、適正 な金額で委託料を支払う必要がある。 【意見⑩】単価契約の効果的な実績確認(緑・南土木事務所) 「間違いやすさ」や「確認の難しさ」に対応するために、報告の書式や報告のさせ 方の工夫、あるいはその運用ルールの委託業者への周知など、いくつか改善でき る点がある。市が単価契約の実績確認をより効果的に行うことができるように、可能 なところから工夫していく必要がある。 【意見⑪】道路維持補修の発注規模、発注方法の適切性(緑・南土木事務所) これまでは各土木事務所単位での予算をベースとして予算編成が行われ、その 中で優先度等を勘案して発注箇所と発注方法を決めていくやり方であったが、全市 的な観点からみて優先度の高い箇所とその望ましい発注方法から各土木事務所の 予算を検討していくという観点も必要と考える。 15 区 分 結果 意見 − ○ − ○ − ○ − ○ − ○ ○ − − ○ − ○ 第3 外部監査の総括・監査の結果及び意見の要約 内 容 3.道路新設改良費 【意見⑫】狭あい道路拡幅整備事業に係る情報の共有化(全土木事務所共通) 狭あい道路拡幅の整備工事については、市民サービスの公平性という観点から すれば、整備工事の着工待ち件数や、寄付の受付から整備工事完了までに要する 期間などで土木事務所間に大きな開きが生じることは望ましくない。このような開き が生じることのないように、必要な情報については土木事務所間で共有化すること が望ましい。 【意見⑬】道路工事の経済的な発注方法の検討(緑土木事務所) 入札日は平成 26 年 10 月 31 日であるが、入札が行われた時点で既に別の道路 工事等を受注している業者が多く、各業者が本工事を受注することが困難な状況下 にあったため、辞退又は入札書不着という形で入札への参加を見送っている業者 が多数いた可能性がある。 設計から業者選定に伴う契約締結、工事の着工から完成、工事の完成検査に至 るまでを年度内に完了させることができるように、計画的に事務を執行することに加 えて、今後は経済性の観点から、工事内容・金額に応じた発注の順番などにも留意 することが望ましい。 【意見⑭】単価契約による道路整備工事の出来高面積の確認(南土木事務所) 業者が請求金額を算定する際に、施工範囲に含まれていた隅切り用地の面積が 考慮されておらず、その面積を除いた出来高面積によって清算されていた。業者 が出来高面積を算定する際に、当該隅切り用地の面積を含めることを失念していた ものと推測される。今後は、業者の算定した出来高面積について、計算が正しいこ とを確認するのみでなく、指示書等を参考に工事の施工範囲が網羅的に面積計算 に含められているかを確認するなど、より慎重に検証を行う必要がある。 4.橋りょう維持費 【意見⑮】橋りょう点検業務委託の入札の競争性向上(緑・南土木事務所) 入札結果をみると、予定価格以下で入札しているのは落札者のみであり、他の入 札参加者は予定価格を上回る額での入札となっている。指名業者の数を増やす、 あるいは新たな指名業者を追加するなどの対策を検討する必要がある。 【意見⑯】橋りょう点検業務の技術者等の資格確認(緑・南土木事務所) 委託経歴に関する記載は、仕様書で求められている主任技術者の資格を有する ことを示す資料としては不十分である。主任技術者や点検担当者の資格要件の確 認について、記録に残る形で確実に行う必要がある。 16 区 分 結果 意見 − ○ − ○ − ○ − ○ − ○ 第3 外部監査の総括・監査の結果及び意見の要約 内 容 Ⅲ.道路橋りょう費の入札事務 1.相模原市の入札制度 【意見⑰】最低制限価格が判明している場合の対応(契約課) 現状のように最低制限価格を算出することが可能であれば、入札参加者が多数 の工事においては、事実上くじ引きで契約者を決定しているのと同じである。今後 も入札結果に十分に留意し、多数の応札者が最低制限価格で応札し、くじ引きで 落札者を決定する状況が常態化することがないよう、入札制度の見直しを検討して いく必要がある。 【意見⑱】失格基準価格設定の効果(契約課) 失格となった業者は、落札した業者と比べ 210,000 円低い金額を提示している。 仮にこの業者が受注したとしても、実際に落札した業者と比べて品質が劣るとは考 えにくい。市は、入札・契約制度について、競争性、公正性、透明性等の観点から 毎年度見直しを行っており、平成 27 年度は低入札価格調査制度における失格基 準価格の見直しを行っているが、失格基準価格については、今後もあり方を見直し ていく必要がある。 【意見⑲】耐震補強工事の入札参加条件(契約課) 津久井地域内に本店を有することを条件とするのならば、複数の入札参加者が見 込まれる可能性を十分に検討したうえで入札を実施する必要がある。一般競争入札 にもかかわらず 1 者しか参加していない状況が常態化することがないよう、応札参加 者を増やす工夫は常に行っていく必要がある。 Ⅳ.道路等の維持管理 1.道路等の状況 2.市民要望に対する対応 【意見⑳】平成 25 年度以前の市民要望に関するデータの整理(全土木事務所共通) 平成 25 年度以前の市民要望に関する SRIMS のデータについて、未完了とさ れているものが多数見受けられた。未完了とされている事案もほとんどは完了して いるとのことだが、その場合には SRIMS への入力を適宜行う必要がある。 【意見㉑】相模原駅前地区公共施設の管理(中央土木事務所) 平成26 年度予算に余裕がないため、平成27 年度予算で対応することとしたが、 平成 27 年度になって、どの部署で修繕を行うかで調整中である。調整中となって いるのは、平成 10 年 3 月に当時の市の道路部と都市整備部で確認書を取り交わし たが、その確認書に曖昧な条項があるためである。現在の土木部とまちづくり事業 部間で、それぞれの維持管理の範囲を協議・決定しておく必要がある。 【意見㉒】階段倉庫下の雨水滞水(中央土木事務所) 排水されず溜まっている状態であるが、これ以上水が浸入しない処置を取って おくことが望ましい。なお、平成 27 年 12 月に対応を図ったとのことである。 17 区 分 結果 意見 − ○ − ○ − ○ − − − ○ − ○ − ○ 第3 外部監査の総括・監査の結果及び意見の要約 内 容 【意見㉓】要望管理票の効果的な運用(緑・南土木事務所) 1)要望管理票への完了記録の漏れや遅れ 実際には完了しているが、要望管理票への記録が漏れている、あるいは記録が 遅れているケースが散見された。適時に完了記録を行う必要がある。 2)対応完了までの状況を確認する運用の不十分さ 対応未了となっているケースの中には、単なる記録漏れではなく、状況自体を確 認できていない場合も見られた。要望への対応が完了するまで状況を確認し、記 録できるような運用を工夫する必要がある。 3)可能な対応を行った後に一定期間経過した案件の完了ルールの不明確さ 当事者が市の指導に従わずにそのままであった場合にどうするのか、そのまま であっても撤去等の要望が再度出てこないような場合でも対応未了のままでよいか といった課題が残っている。対応が難しいのであれば、要望者にその旨を十分説 明して、いったん完了とする方法もありうる。 4)要望管理票の記載内容、添付資料の不十分さ 記載内容が不十分な例が散見された。要望管理票の記載や添付資料について は、十分な情報を記録し、共有できるように留意する必要がある。 5)要望管理票の決裁に関する運用の不統一 要望管理票の決裁についてルールを統一し、適切に運用することが望ましい。 6)要望管理票の紙面による運用の課題 SRIMS を整備して運用している趣旨を踏まえ、また、各土木事務所での運用状 況を把握した上で、紙面での要望管理票の運用ルールについて改めて見直す必 要がある。 【意見㉔】道路の維持補修の統一的な優先度判定(全土木事務所共通) 現状では、各土木事務所が個別に安全性や緊急性、あるいは現場の交通量等 を総合的に判断して補修等の対応の優先順位を決めている。市は現在、土木施設 長寿命化修繕計画を策定中であり、その中で道路の破損状況等でランク付けを行 うよう検討中である。全市的に統一された基準の優先度にしたがって計画的に維持 補修が進められるようになることを期待する。 3.職員による確認と対応 4.相模原市土木施設維持管理基本方針への対応状況 Ⅴ.橋りょうの維持管理 1.橋りょうの点検状況 【意見㉕】「相模原市橋りょう長寿命化修繕計画」の見直しの必要性 現在の「相模原市橋りょう長寿命化修繕計画」は、新しい判定区分に対応してお らず、今後、橋りょうの維持管理を進めていくうえで必要な考え方が示されていない 面がある。同計画の見直しの時期を前倒しにする必要がある。 18 区 分 結果 意見 − ○ − ○ − − − − − ○ 第3 外部監査の総括・監査の結果及び意見の要約 内 容 2.点検結果の利用状況 【意見㉖】橋りょう点検結果の取り扱い(中央土木事務所) 点検結果の再確認を通じて修繕等の要否を判断し、維持管理スケジュールを作 成しているが、客観的な指標として記録されておらず、情報共有が図られていな い。また、修繕を実施した橋りょうに対する結果は、客観的な指標として再判定がさ れていない。客観的な指標による再判定を実施するとともに記録表を作成し、今後 の維持管理計画に役立てるようにする必要がある。 【意見㉗】橋りょう維持補修に関する全市的な優先度の定期的な見直し(緑・南土木 事務所) 各土木事務所からの情報を取りまとめて、点検結果や補修履歴及び今後の計画 等を一括管理することが望ましい。その上で定期的に全市的な観点から橋りょう維持 補修の優先度を見直し、それを各土木事務所にもフィードバックする必要がある。 Ⅵ.その他 1.トンネルの管理 2.物品の管理 【意見㉘】中央土木事務所の境界杭の数量管理 アルミプレート標は、市のマークや文字が入るため受注生産となり、発注後 2 ヶ月 程度の生産期間が必要である。このことを考慮すると、可能な限り在庫不足や過剰 在庫を回避して、適正在庫を確保できる体制を構築することが望まれる。 【意見㉙】緑土木事務所の備品管理 備品管理カードを閲覧すると、価格や仕様が記載されておらず、また現物にもシ ール(備品整理票)が貼付されていないものが散見された。棚卸を実施し、備品管 理カードに記載されている備品の有無を確認する必要がある。 【意見㉚】緑土木事務所の原材料管理 乾燥生コン・砕石は、受払簿に記載されている数量と実際の数量に、僅少ではあ るが差異が生じており、境界標は、複数の記入漏れが発見され、また、現在の受払 簿は場所別に区分されていないため管理が困難な状況となっている。これらについ ては、定期的に実査を行い、数量の把握に努める必要がある。さらに、受払簿につ いても管理の実態に即すように場所ごとに作り直し、実数と合致させる必要がある。 【意見㉛】南土木事務所の備品管理 シール(備品整理票)が貼付されておらず、備品管理カードとの一致を確認するこ とができなかった備品が多く見受けられた。物品規則第 26 条に則り、適切にシール (備品整理票)を貼付し、現物との照合を適時に実施できる状態にする必要がある。 なお、南土木事務所では実査後直ちに改善を行っている。 【意見㉜】南土木事務所の原材料管理 塩化カルシウムについては受払簿が作成されておらず、受払簿による在庫管理 を行っていない。別途、在庫数量や使用状況を記録管理しているとのことであった が、物品管理規則第 24 条に定められている受払簿を作成し、在庫管理を行う必要 ある。 19 区 分 結果 意見 − ○ − ○ − − − ○ − ○ − ○ − ○ − ○
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