コンピュータウイルス・ 不正アクセスの届出状況 および相談状況 [2015 年第 4 四半期(10 月~12 月)] 本レポートでは、2015 年 10 月 1 日から 2015 年 12 月 31 日までの間にセキュリ ティセンターで受理した、コンピュータウイルスと不正アクセスに関する「届出」と 「相談」の統計及び事例について紹介しています。 独立行政法人情報処理推進機構 技術本部 セキュリティセンター 2016 年 1 月 25 日 目次 1. コンピュータウイルス届出状況 .............................................................................................. - 1 1-1. 2015 年総括 ...................................................................................................................... - 1 1-2. ウイルス届出件数 ............................................................................................................. - 2 1-3. 不正プログラム検出数 ...................................................................................................... - 3 1-4. ウイルス検出数................................................................................................................. - 4 1-5. 2015 年第 4 四半期の検出ウイルスの種類 ...................................................................... - 5 1-6. ウイルス届出者................................................................................................................. - 6 1-7. ウイルスおよび不正プログラムの検出経路 ..................................................................... - 7 2. コンピュータ不正アクセス届出状況 ....................................................................................... - 8 2-1. 2015 年総括 ...................................................................................................................... - 8 2-2. 不正アクセス届出件数 ...................................................................................................... - 9 2-3. 不正アクセス届出種別 ...................................................................................................... - 9 2-4. 不正アクセス被害原因 .................................................................................................... - 10 2-5. 不正アクセス届出者 ....................................................................................................... - 10 2-6. 不正アクセス被害事例 .................................................................................................... - 11 3. 情報セキュリティ安心相談窓口の相談状況 .......................................................................... - 12 3-1. 2015 年総括 .................................................................................................................... - 12 3-2. 相談件数.......................................................................................................................... - 13 3-3. 主な手口における相談員の対応件数 .............................................................................. - 13 3-4. 相談事例.......................................................................................................................... - 15 - 1. コンピュータウイルス届出状況 1-1. 2015 年総括 2015 年に寄せられたウイルス届出件数は、前年の 5,014 件より 2,056 件(約 41.0%)少ない 2,958 件となりました。 また、2015 年に寄せられたウイルスの検出数は、前年の 83,028 個より 55,457 個(約 66.8%) 少ない 27,571 個、不正プログラム検出数は前年の 380,625 個より 42,889 個(約 11.3%)少ない 337,736 個でした。いずれにおいても減少傾向となっています。 ウイルス届出件数の年別推移 50,000 250 45,000 40,000 35,000 ( 届 出 件 数 200 30,000 150 被 害 あ 100 り 25,000 20,000 ) 15,000 10,000 50 5,000 0 届出件数 (内:被害あり) 2006 2013 2014 2015 44,840 34,334 21,591 16,392 13,912 12,036 10,351 6,596 5,014 2,958 2 4 102 2007 80 2008 70 2009 97 2010 72 2011 23 2012 7 図 1-1:ウイルス届出件数の年別推移 -1- 4 0 1-2. ウイルス届出件数 今四半期(2015 年 10 月~12 月)のウイルス届出件数は 564 件で、ウイルス感染被害があった 届出は 2 件でした。 ウイルス届出件数の推移 6 1,000 5 800 4 ( 届 出 件 数 1,200 400 被 害 3 あ り 2 200 1 600 届出件数 (内:被害あり) ) 0 2014/ 10~12 2015/ 1~3 2015/ 4~6 2015/ 7~9 2015/ 10~12 1,010 937 772 685 564 0 0 2 0 2 図 1-2:ウイルス届出件数の推移 -2- 0 1-3. 不正プログラム検出数 今四半期の不正プログラム検出数(*1)は 120,019 個でした。今四半期に最も多く検出された不正 プログラムは Downloader でした。検出数は全体の約 48.3%を占め、前四半期の 20,650 個に比べ 約 2.8 倍となる 57,932 個となっています。また、今四半期に最も検出数増加の割合が多かったのは Bancos で、前四半期の 488 個に比べ約 14.1 倍の 6,903 個となっています。Backdoor は 2015 年 第2四半期から検出数の減少傾向が続いています。 不正プログラム検出数の推移 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 その他 Packed Dropper Obfuscated Trojan/Horse Fakeav Bancos Redirect Adware Backdoor Downloader 合計 2014/ 10~12 2015/ 1~3 2015/ 4~6 2015/ 7~9 2015/ 10~12 53,155 26,078 49,353 27,418 47,484 2,742 1,247 0 1,033 2,284 3,203 5,851 3,961 8,355 7,941 54 523 4,098 345 1,261 979 4,632 6,638 16,637 13,577 209 503 220 2,812 1,476 1,012 2,890 3,206 4,140 18,662 269 486 0 665 2,526 488 1,255 2,801 1,854 20,650 298 1,098 20 467 527 6,903 1,434 2,302 1,554 57,932 89,772 74,822 84,483 58,412 120,019 図 1-3:不正プログラム検出数の推移 (*1) 不正プログラム検出数:届出られた「ウイルス」および「不正プログラム」のうち、「不正プログラム」の総数 を示したもの。 -3- 1-4. ウイルス検出数 今四半期のウイルス検出数 (*2)は 2,080 個でした。今四半期に最も多く検出されたウイルスは W32/Virut で、前四半期の 4 個に比べ 616 個と大きく増加しました。また、W32/Mydoom は前四 半期の 2,069 個に比べ 483 個と大きく減少しました。W32/Netsky は、2014 年第 4 四半期以降、 減少傾向が続いています。 ウイルス検出数の推移 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 2014/ 10~12 2015/ 1~3 2015/ 4~6 2015/ 7~9 2015/ 10~12 その他 1000 437 395 260 223 W32/Autorun W32/Downad VBS/Freelink W32/Virut W32/Nimda W32/Bagle W32/Ramnit W32/Netsky W32/Mytob W32/Mydoom 79 152 119 11 1106 258 50 3,193 9,008 4,844 96 93 140 17 1 354 57 1,715 557 4,571 84 110 170 0 0 363 1217 631 331 10,382 77 81 99 4 8 305 44 591 232 2,069 82 76 0 616 2 143 108 38 309 483 19,820 8,038 13,683 3,770 2,080 合計 図 1-4:ウイルス検出数の推移 (*2) ウイルス検出数:届出られた「ウイルス」および「不正プログラム」のうち、「ウイルス」の総数を示したも の。 -4- 1-5. 2015 年第 4 四半期の検出ウイルスの種類 今四半期に届出されたウイルスの種類は 41 種類、検出数は Windows/DOS ウイルス 1,996 個、 スクリプトウイルス及びマクロウイルス 73 個、携帯端末ウイルス 11 個、OSS( Open Source Software) /Linux・ BSD を 含 む ウ イ ル ス は あ り ま せ ん でした。 表 1-1:2015 年第 4 四半期の検出ウイルス i) Windows/DOS ウ イ ル ス W32/Virut W32/Mydoom W32/Netsky W32/Ramnit W32/Bagle W32/Downad W32/Autorun W32/Sality W32/Mytob W32/Mumu W32/Klez W32/Antinny W32/Fakerecy W32/Wapomi W32/Rontokbro W32/Gammima W32/Lovgate W32/Nimda WM/Cap W32/Looked W32/Zafi Stoned W32/Expiro W32/Sohanad W32/Cryptolocker W32/Dorkbot Dropper 小 計 (27 種 類 ) 検出数 616 483 309 143 108 82 76 49 38 22 17 14 7 7 4 3 3 2 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1,996 -5- スクリプトウイルス VBS/DUNIHI VBS/Solow VBS/LOVELETTER VBS/Redlof 小 計 (4 種 類 ) 検出数 4 2 1 1 8 マクロウイルス XM/Laroux WM/Concept XM/Mailcab W97M/Marker X97M/Divi W97M/Ethan 検出数 27 12 8 8 3 3 W97M/Relax W97M/Chack 小 計 (8 種 類 ) 2 2 65 ii) 携 帯 端 末 ウ イ ル ス AndroidOS/Lotoor AndroidOS/Adware 小 計 (2 種 類 ) 検出数 10 1 11 iii) Macintosh なし 検出数 iv) OSS( Open Source Software ) Linux・BSD を含む ( OpenSourceSoftware) : なし 検出数 (参考) ・Windows/DOS ウイルス … Windows、MS-DOS 環境下で動作するウイルス。 ・マクロウイルス … Microsoft Word や Microsoft Excel などのマクロ機能を悪用するウイルス。 ・スクリプトウイルス … 機械語への変換作業を省略して実行できるようにした簡易プログラムで記述された ウイルス。 ・携帯端末ウイルス … 携帯電話やタブレットなどの環境下で動作するウイルス。 注)ウイルス名欄での各記号の用語説明は以下の通り。 記号 用語説明 W32 XM WM W97M X97M O97M VBS Wscript AndroidOS SymbOS XF Windows 32 ビット環境下で動作 Microsoft Excel95、97(Excel Macro の略) Microsoft Word95、97(Word Macro の略) Microsoft Word97(Word 97 Macro の略) Microsoft Excel97(Excel 97 Macro の略) Microsoft Office97(Office 97 Macro の略) Visual Basic Script で記述 Windows Scripting Host 環境下で動作(VBS を除く) Android OS 環境下で動作 Symbian OS 環境下で動作 Microsoft Excel95、97 で動作するウイルス(Excel Formula の略) 1-6. ウイルス届出者 今四半期の届出者は、過去の傾向と同じく一般法人がほとんどで、全体の約 82.3%を占めまし た。 ウイルス届出件数の推移(届出者別) 1,200 1,000 800 600 400 200 0 教育機関 個人 一般法人 合計 2014/ 10~12 2015/ 1~3 2015/ 4~6 2015/ 7~9 2015/ 10~12 80 49 55 122 98 0 1 0 0 2 930 887 717 563 464 1,010 937 772 685 564 図 1-5:ウイルス届出件数の推移(届出者別) -6- 1-7. ウイルスおよび不正プログラムの検出経路 今四半期のウイルスおよび不正プログラムの検出経路については、過去の傾向と同じく、「ダウン ロードファイル」の割合が最も多く全体の約 89.5%を占め、次いで「不明・その他」が約 8.7%でし た。 ウイルスおよび不正プログラム検出数の推移(検出経路別) 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 2014/ 10~12 2015/ 1~3 2015/ 4~6 2015/ 7~9 2015/ 10~12 不明・その他 23,656 5,963 5,603 10,646 10,658 ネットワーク 491 109 154 112 105 外部記憶媒体 3 0 4 0 1 ダウンロードファイル 65,973 68,933 78,806 47,763 109,241 メール 19,469 7,855 13,599 3,661 2,094 109,592 82,860 98,166 62,182 122,099 合計 図 1-6:ウイルスおよび不正プログラム検出数の推移(検出経路別) ・コンピュータウイルスに関する届出制度について コンピュータウイルスに関する届出制度は、経済産業省のコンピュータウイルス対策基準に基づき、平成 2 年 4 月にスタートした制度であり、コンピュータウイルスを発見したものは被害の拡大と再発を防ぐために必要な 情報を IPA に届け出ることとされています。 IPA では、個別に届出者への対応を行っていますが、同時に受理した届出等を基に、コンピュータウイルス対 策を検討しています。また受理した届出は、届出者のプライバシーを侵害することがないように配慮した上で、 被害等の状況を分析し、検討結果を定期的に公表しています。 ○コンピュータウイルス対策基準 平成 7 年 7 月 7 日(通商産業省告示 第 429 号) (制定) 平成 9 年 9 月 24 日(通商産業省告示 第 535 号) (改定) 平成 12 年 12 月 28 日(通商産業省告示 第 952 号) (最終改定) ○経済産業大臣が別に指定する者 平成 16 年 1 月 5 日(経済産業省告示 第 2 号) -7- 2. コンピュータ不正アクセス届出状況 2-1. 2015 年総括 2015 年に寄せられた不正アクセス届出件数は、前年の 120 件より 10 件(約 8.3%)少ない 110 件となりました。そのうち、被害のあった届出は 88 件で全体の 80.0%を占めています。 被害のあった届出の割合は、2013 年が約 94.0%、2014 年が 85.0%と 2013 年以降、減少傾向 が見られます。 不正アクセス届出件数の年別推移 350 300 300 250 250 200 200 被 害 あ 150 り ( 届 出 件 数 350 150 ) 100 100 50 0 50 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 届出件数 331 218 155 149 197 103 121 168 120 110 (内:被害あり) 162 162 120 96 123 75 105 158 102 88 図 2-1:不正アクセス届出件数の年別推移 -8- 0 2-2. 不正アクセス届出件数 今四半期の届出件数は 28 件で、そのうち被害があったのは 24 件でした。 不正アクセス届出件数の推移 40 35 30 25 20 15 10 5 0 2014/ 10~12 2015/ 1~3 2015/ 4~6 2015/ 7~9 2015/ 10~12 届出件数 28 34 30 18 28 (内:被害あり) 25 28 21 15 24 図 2-2:不正アクセス届出件数の推移 2-3. 不正アクセス届出種別 届出の種別としては「なりすまし」が 13 件、 「DoS」が 5 件、 「侵入」が 1 件、「その他(被害あ り) 」が 5 件でした。前四半期と比較して「なりすまし」が全体の約 27.8%から約 46.4%に増加しま した。また「不正プログラム埋込」の届出は前四半期に引き続き 0 件でした。 不正アクセス届出種別の推移 40 35 30 25 20 15 10 5 0 被 害 な し 被 害 あ り 2014/ 10~12 2015/ 1~3 2015/ 4~6 2015/ 7~9 2015/ 10~12 その他(被害なし) 2 4 4 2 2 アクセス形跡(未遂) 1 2 5 1 2 その他(被害あり) 7 1 4 3 5 不正プログラム埋込 3 2 6 0 0 なりすまし 11 19 7 5 13 DoS 0 1 2 3 5 侵入 4 5 2 4 1 合計 28 34 30 18 28 図 2-3:不正アクセス届出種別の推移 -9- 2-4. 不正アクセス被害原因 被害があった届出のうち、原因が判明しているものは「ID・パスワード管理不備」が 9 件、 「古い バージョン使用・パッチ未導入」が 3 件、 「設定不備」が 1 件等でした。前四半期と比較して「ID・ パスワード管理不備」の割合が全体の 20%から 37.5%に増加しました。 不正アクセス被害原因の推移 30 25 20 15 10 5 0 2014/ 10~12 2015/ 1~3 2015/ 4~6 2015/ 7~9 2015/ 10~12 その他(DoSなど) 3 2 2 5 7 不明 4 5 3 4 4 設定不備 4 1 2 2 1 古いバージョン使用・パッチ未導入 3 3 8 1 3 ID・パスワード管理不備 11 17 6 3 9 合計 25 28 21 15 24 図 2-4:不正アクセス被害原因の推移 2-5. 不正アクセス届出者 届出者別の届出件数は、 「一般法人ユーザ」が 5 件、 「個人ユーザ」が 15 件、 「教育・研究・公的機 関」が 8 件でした。 不正アクセス届出件数の推移(届出者別) 40 35 30 25 20 15 10 5 0 2014/ 10~12 2015/ 1~3 2015/ 4~6 2015/ 7~9 教育・研究・公的機関 9 11 5 1 8 個人ユーザ 6 5 5 4 15 一般法人ユーザ 13 18 20 13 5 合計 28 34 30 18 28 図 2-5:不正アクセス届出件数の推移(届出者別) - 10 - 2015/ 10~12 2-6. 不正アクセス被害事例 今四半期に届出のあった不正アクセス被害には、下記のような事例がありました。 (i)ショッピングサイトで不正購入の手続きをされてしまった。 被 害 の 概 要 解 説 ・ 対 策 ・高額商品を複数点購入していることに不審を抱いたとして、利用しているショッピ ングサイトから注文内容を確認したいという連絡があった。 ・確認をすると、ウェブメールの受信トレイに本来届くべきはずの注文確認メールは 見当たらなかったが、ショッピングサイトの記録では身に覚えのない商品を購入し たことになっていた。 ・さらに調べたところ、ウェブメールに第三者がログインした痕跡が確認でき、見当 たらなかった注文確認メールは削除されてしまったと考えられる。 ・ウェブメールおよびショッピングサイトにはどちらも同じパスワードを設定してい て、またパスワードは安易な内容であった。 ウェブメールおよびショッピングサイトのアカウントに不正ログインされてしまっ た事例です。 被害者はウェブメールをパソコンでのみ利用していたため、不正購入されたこと(身 に覚えのない注文確認メールの受信)にすぐ気づくことができませんでした。ただし、 商品発送前にショッピングサイトから注文内容確認の連絡があり、その時点で購入を キャンセルできたため、幸いにも金銭被害には至りませんでした。 この事例では、パスワードが安易な内容だっただけでなく、同じパスワードを使い 回していたことで、ウェブメールとショッピングサイトの複数のサービスに不正ログ インされてしまったと考えられます。 なお、ウェブメールに不正ログインされてしまった場合は、メールボックスの内容 から利用しているサービスを特定されてしまい被害が拡大する恐れがあります。対策 として、利用するサービスすべてのパスワードを、可能な限り長く、複雑な内容に設 定し、使い回さないことが肝要です。また、二段階認証機能が提供されている場合、 積極的に利用することを推奨します。 ・コンピュータ不正アクセス被害の届出制度について コンピュータ不正アクセス被害の届出制度は、経済産業省のコンピュータ不正アクセス対策基準に 基づき、’96 年 8 月にスタートした制度であり、同基準において、コンピュータ不正アクセスの被害 を受けた者は、被害の拡大と再発を防ぐために必要な情報を IPA に届け出ることとされています。 IPA では、個別に届出者への対応を行っていますが、同時に受理した届出等を基に、コンピュータ不 正アクセス対策を検討しています。また受理した届出は、届出者のプライバシーを侵害することがな いように配慮した上で、被害等の状況を分析し、検討結果を定期的に公表しています。 ○コンピュータ不正アクセス対策基準 平成 8 年 8 月 8 日(通商産業省告示 第 362 号) (制定) 平成 9 年 9 月 24 日(通商産業省告示 第 534 号) (改定) 平成 12 年 12 月 28 日(通商産業省告示 第 950 号) (最終改定) ○経済産業大臣が別に指定する者 平成 16 年 1 月 5 日(経済産業省告示 第 3 号) - 11 - 3. 情報セキュリティ安心相談窓口の相談状況 3-1. 2015 年総括 2015 年に 「情報セキュリティ安心相談窓口」 に寄せられた相談件数は前年から約 6.0%減の 14,657 件でした。 2015 年 5 月には、 「インターネット閲覧中に突然"ウイルスを検出した"と音声が流れた」という相 談がはじめて寄せられました。これはウイルスを検出したという偽の警告画面や音声で不安を煽り、 指定の番号に電話をかけさせてサポート契約やソフトウェア購入に誘導するという新しい手口です。 この相談は計 105 件寄せられました。 相談件数の年別推移 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 2006 相談件数 10,047 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 11,178 12,521 20,059 23,621 18,567 11,950 15,227 15,598 14,657 図 3-1:相談件数の年別推移 - 12 - 3-2. 相談件数 今四半期に「情報セキュリティ安心相談窓口」に寄せられた相談件数は前四半期から約 8.2%増の 3,970 件でした。そのうち、相談員による対応件数は 1,892 件でした。 相談件数の推移 4,500 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 FAX・その他 2014/ 10~12 2015/ 1~3 2015/ 4~6 2015/ 7~9 2015/ 10~12 17 18 7 7 12 147 138 180 203 241 電話 1,330 1,376 1,558 1,525 1,639 自動応答システム 2,049 1,779 1,963 1,933 2,078 合計 3,543 3,311 3,708 3,668 3,970 電子メール 図 3-2:相談件数の推移 3-3. 主な手口における相談員の対応件数 (i) 「ワンクリック請求」 今四半期は、パソコンとスマートフォンを合わせた「ワンクリック請求」に関する相談が前四半期 から約 17.7%減の 679 件寄せられました。同相談のうち、スマートフォンを対象にした相談は前四 半期から約 22.8%減の 311 件で、いずれの相談も減少しました。 「ワンクリック請求」相談件数の推移 1,000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 2014/ 10~12 2015/ 1~3 2015/ 4~6 2015/ 7~9 2015/ 10~12 相談件数 755 733 898 825 679 (内:スマートフォン対象) 201 210 348 403 311 図 3-3: 「ワンクリック請求」相談件数の推移 - 13 - (ii) 「ウイルス検出の偽警告」 ウイルスを検出したという偽の警告画面や音声で不安を煽り、指定の番号に電話をかけさせてサポ ート契約やソフトウェア購入に誘導する「ウイルス検出の偽警告」に関する相談が今四半期は 57 件 寄せられました。 はじめて相談が寄せられた 2015 年 5 月以降、相談件数の増加は顕著です。 「ウイルス検出の偽警告」相談件数の推移 60 50 40 30 20 10 0 2014/ 10~12 2015/ 1~3 2015/ 4~6 2015/ 7~9 2015/ 10~12 0 0 10 38 57 相談件数 図 3-4: 「ウイルス検出の偽警告」相談件数の推移 (iii) 「ランサムウェア」 今四半期は「ランサムウェア」に関する相談が前四半期から約 35.3%増の 46 件寄せられました。 「ランサムウェア」相談件数の推移 50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 2014/ 10~12 2015/ 1~3 2015/ 4~6 2015/ 7~9 2015/ 10~12 相談件数 5 6 31 34 46 (内:被害あり) 5 6 27 34 42 図 3-5: 「ランサムウェア」相談件数の推移 - 14 - 3-4. 相談事例 今四半期の相談には、下記のような事例がありました。 (i) 突然、ブラウザに青い画面でウイルスを検出したといった警告が表示された。 相 談 の 概 要 ・Internet Explorer でインターネットを閲覧中、突然、青い画面に「感染 ID」や「停 止:0x0000007E」といった白い文字が表示された。 ・内容はよく覚えていないが、その際、英語の音声も流れていた気がする。 ・青い画面には、"指定の電話番号に至急電話をかけるように"という案内の記載があ ったが、日本語に不自然な点を感じ、不審を抱き電話はかけていない。 ・ただし、青い画面を閉じようと思っても、タブもブラウザも閉じることができない。 ・本当にウイルスに感染してしまっているのか。 ウイルスを検出したという偽の警告で不安を煽る手口の一つであり、実際のウイル ス感染はないと考えられます。表示されたメッセージをよく読んで、不自然な点に気 づいて電話をかけなかったというのは正しい判断であり、適切な行動です。 ブラウザが閉じられないという事象は、ウイルスによるものではなくポップアップ メッセージが繰り返し表示される仕掛けによるものです。 この場合、×印をクリックしても画面を閉じることができないため、タスクマネー ジャーから終了([タスクマネージャー]を起動し、Internet Explorer を選択して[タ スクの終了]をクリック)させる、またはパソコンを再起動させるといった方法でブ ラウザを終了させます。 回 答 なお、同様の相談では、指定の電話番号に電話をかけると外国人と思われる担当者 が出て、ウイルス感染の有無を確認する等として、遠隔操作を持ちかけられたり、有 償のサポート契約やソフトウェア購入を勧められたりするといった事例が確認でき ています。 もし慌てて電話をかけ、サポート契約またはソフトウェア購入をしてしまった場 合、解約の相談は、消費生活センターにご連絡ください。 (ご参考) 「ウイルスを検出したと音声で警告してくるウェブサイトにご注意!」 https://www.ipa.go.jp/security/txt/2015/08outline.html 全国の消費生活センター等 http://www.kokusen.go.jp/map/ - 15 -
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