Economic Indicators 定例経済指標レポート 指標名:住宅着工戸数(2015年12月) 発表日2016年1月29日(金) ~住宅着工は軟調~ 担当 第一生命経済研究所 経済調査部 副主任エコノミスト 高橋 大輝 TEL:03-5221-4524 国土交通省より発表された 12 月の新設住宅着工戸数は前年比▲1.3%(コンセンサス:同+0.5%、レン ジ:▲3.7%~+4.0%)と市場予想を下回った。季節調整値(年率換算)では、86.0 万戸(前月比▲ 2.2%)と減少に転じた。水準で見ても、ほぼ消費税率引き上げの反動後のボトム(2014 年8月:85.4 万 戸)まで落ち込んでおり、足元の住宅着工は軟調な推移となっている。 なお、10-12 月期の住宅着工は前期比▲5.3%と2四半期連続で減少したが、年前半が好調だったことか ら 2015 年全体では前年比+1.9%(89.2 万戸→90.9 万戸)と増加した。 内訳をみると、貸家(11 月:36.5 万戸→12 月 37.0 万戸)が増加したものの、持家(27.4 万戸→26.0 万 戸)、分譲(24.0 万戸→22.5 万戸)の減少を埋めるには至らなかった。 貸家は 10 月の急減以降、2ヶ月連続の増加となった。貸家は相続税の節税需要がピークアウトした可能 性はあるものの、底堅く推移し住宅着工の牽引役となっている。持家は、反動減からの回復を背景に改善基 調を辿ると見込んでいたが、2015 年6月をピークに軟調な推移が続いている。水準で見ても、消費増税後の ボトム(2014 年 11 月:26.6 万戸)を下回り、改正建築基準法施行に伴う着工減があった 2007 年8月 (25.5 万戸)以来の水準にまで落ち込んだ。不動産購買態度指数(12 月調査、日本リサーチ総合研究所) をみると、このところ改善が頭打ちとなっている。家計が住宅取得に慎重になっていることが、持家着工の 低迷に繋がっている可能性が示唆される。分譲は3ヶ月ぶりの減少となった。分譲の内訳をみると(季節調 整は筆者)、戸建(13.0 万戸→12.8 万戸)、マンション(10.7 万戸→9.4 万戸)ともに減少した。分譲戸 建はやや持ち直しつつあるものの、マンションは底ばい程度に留まっている。新築マンション、中古マンシ ョンの価格は依然上昇傾向にあり、新築マンションの価格上昇がマンション需要の抑制、ひいては着工の抑 制に繋がることが懸念される。 先行きについては、反動減からの回復が続くことや雇用所得環境の改善が住宅着工の下支えとなるだろう。 また、2017 年4月の消費税率引き上げを睨んだ駆け込み需要が徐々に顕在化してくることも見込まれる。足 元では低調な住宅着工だが、こうした要因を背景に徐々に増加に向かうものと予想している。 住宅着工戸数(季調値年率、万戸) 110 105 100 50 着工戸数計(左軸) 持家(右軸) 貸家(右軸) 分譲(右軸) 分譲住宅着工戸数(季調値年率、万戸) 20 45 18 40 95 35 90 16 14 85 30 12 80 25 10 75 20 70 15 65 6 マンション 戸建 4 60 10 11 12 13 (出所)国土交通省「新設住宅着工統計」 8 10 14 15 10 11 12 13 (出所)国土交通省「新設住宅着工統計」 ※季節調整値は当社試算。 14 15 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容 は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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