SURE: Shizuoka University REpository http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/ Title Author(s) 屈折境界面情報の推定に基づく水中物体の3次元形状計測 伊部, 公紀 Citation Issue Date URL Version 2013-12 http://doi.org/10.14945/00007974 ETD Rights This document is downloaded at: 2016-02-02T09:45:18Z (課程博士・様式9) 審 査 要 旨 (1,000 字程度) 本論文は、透明な水槽中の物体の3次元形状を水槽外から光学的手段によって非 接触に計測する手法について、計測上で必須となる光路上の屈折境界面の位置・姿 勢情報の推定法を中心に論じたもので、全4章からなる。 第1章は本論文の序論であり、研究の背景や目的、重要性について述べている。 第2章では、カメラと点光源レーザを組合せたレーザレンジファインダをマニピ ュレータに搭載し、レーザから容器越しに水中物体へと光を照射して得られる反射 光画像から水中物体の3次元形状を計測する方式について提案している。本方式で は、容器の表面からわずかに得られる拡散反射光を利用して、容器表面の位置・形 状を3次元計測する。これにより光の屈折を考慮した水中物体の計測が可能となる が、そのためには撮影画像から容器表面からの反射光と水中物体からの反射光のそ れぞれを抽出する必要がある。しかし撮影画像中には水中物体と容器または水面と の間で反射した光などが映り込むため、正確な抽出が困難である。そこで、レーザ レンジファインダの姿勢変化による画像中の反射光の挙動と幾何学拘束を組合せ ることで容器からの反射光を識別し、また光線追跡における光線間距離から物体の 反射光を識別することにより、容器表面と水中物体の両方を正確に計測する。曲面 形状の容器を用いた実験により、提案方式の有効性を示している。 第3章では、水中物体を保存する容器として広く用いられている透明な直方体形 状の角型容器を対象とした水中物体の3次元形状計測手法について述べている。本 手法では、角型容器の隅の直角面越しに水中物体を水槽の外部から観察すると、光 の屈折により直角面を構成する2つの面のそれぞれが光路となって複光路ステレ オ画像が得られることに着目し、1台のカメラで得られた複光路単眼ステレオ画像 から水中物体の3次元形状を計測する。直角面の位置は直角面の角情報を用い、姿 勢は水中物体の対応点の組からバンドル調整を用いることにより推定する。また、 単眼カメラであるためスケールが不定であるが、容器の寸法情報を用いることがで きる場合には、スケールを推定することが可能になる。精度評価用データとの比較 検証実験により、提案方式の有効性を示している。 第4章では、提案した2つの手法の課題と今後の展望について述べている。 以上のように、本論文は水中物体の3次元形状計測における問題点を解決する手 法を提案しており、実験によってその有効性を示している。この研究成果は画像計 測分野の活発化に貢献するものとして、博士(工学)の学位を授与に値するものと 認める。
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