あ つ ま れ 通 信 - 連続テレビ小説「まれ」推進協議会

能登に
あつまれ通信
月号
2
Vol.12
この『能登にあつまれ通信』も今号が最終回。一年にわ
たりご愛読いただきありがとうございました。NHK の
連続テレビ小説『まれ』の放送をきっかけに、全国のみ
なさまに人、自然、食、伝統工芸など多彩な能登の魅力
をお伝えできたことを嬉しく思います。フィナーレを飾
るのは能登杜氏さん&冬の味覚「能登かき」です。
能登の仕事人
今回の仕事人は、約240 年続く奥能登最古の酒蔵
「宗玄酒造」の杜氏・坂口幸夫さんです。岩手の南
Vol.12
部杜氏、新潟の越後杜氏、兵庫の但馬杜氏と並び日
さかぐち ゆき お
坂口 幸夫さん
本四大杜氏として知られる能登杜氏の一人で、名
昭和 22 年 2 月、珠洲市生まれ。15 歳からこの世
界に入る。能登杜氏四大王の一人、故・波瀬 正吉
氏に能登流の酒造りを学ぶ。平成9年より珠洲
市にある「宗玄酒造」の杜氏職を務め、氏の醸
す酒は多数の品評会で名誉ある賞を受賞する。
杜氏として名高い坂口さんの酒造りへの想いを伺
は
いました。
せ
しょう きち
地元風土が導いた酒造りの世界で
師となる杜氏と信念の味に出会う
波瀬さんに出会い、7 ∼ 8 年にわったって酒造りを習う間に波
私がこの世界に入ったのは、能登に生まれた宿命なのでしょ
使われますが、この「ふくらみ」とはのどに入れた時にわか
う。夏場は地元で漁師や畑仕事をし、冬場は能登を離れて酒
る個々の酒の特長となる味と香りのこと。ひと口飲んだ時に、
蔵へ出稼ぎに出るのが、当時の奥能登の男たちの働き方とし
ふくらみと米の旨味を感じ、後味はすっきりきれいでもう一杯
てはごく自然な流れでした。
飲みたくなる、そういうお酒に魅かれました。
「開運」で知られる静岡の土井酒蔵場で能登杜氏の師匠・
この道 年の坂口さん。酒樽を見て回るまなざしに﹁今年もいい酒
を造りたい﹂という思いがあふれて見える
54
瀬さんの造るお酒に惚れていました。波瀬さんのお酒は「き
れいなお酒」
。日本酒の表現によく「ふくらみ」という言葉が
坂口さんの体に染み込んだ
師匠・波瀬さん流の酒造り
酒造りにはたくさんの行程がありますが、最初に行う米洗
いで味の 99%が決まります。これは波瀬さんの教えの一つ。
米の出来や状態は一年一年違うから、何十秒単位で米に水を
どのくらい吸わせるかに神経を使います。ここがうまくいけ
ばその後もうまくいくけれど、ここで失敗すると後で修正す
るのは一苦労。けれど、波瀬さんは「悪ければ悪いなりに酒
を引っ張っていくのが杜氏だ」とも言っていました。
酒樽に浮かぶ醪(もろみ)の
泡の状態で酒の発酵具合
を判断する
が、この時にようやく、これからずっと酒造りに携わるんだと
覚悟が決まりましたね。糀作りから変えることで自分の理想と
する酒を造ることに成功し、全国の方々にご好評いただいて
2
月号
います。
かつて能登流といえば甘い酒でしたが、今では一般的にすっ
Vol.12
きりしたタイプが好まれるので、能登流をどこまで生かすかは
杜氏によって違います。私は全国の酒蔵で活躍する能登杜氏
そして「酒造りは体で覚える」が波瀬さん流の蔵人の育て
四天王に酒造りを学べたお
方。酒造りは毎年、同じ条件で行えるわけではなく、いくらデー
陰で、造りは能登流でありな
タ通りに行っていても、その時々で状況が異なるため、思っ
がら能 登に固 執しない、味
たような状態に持って行ける応用力が必要に。ですから酒の
のバランスのとれた酒を造る
状態とその時の対応を体に染み込ませておけば、次に何をす
ことができているのではない
ればいいかは体が自然に反応してくれるというのです。
かと思います。誠意をもって
私は杜氏として毎日、お酒と向き合っていますが、利き酒
酒造りに向き合えば、そのよ
以外にお酒が飲めません。蔵人時代、夜になっても酒を飲ん
うに酒が応えてくれます。造
で寝たりせず、一晩中酒造りに向き合っていたから、行程がしっ
るときは辛くても、仕上がっ
かりと覚えられたのかも。お酒飲みでなくても、自分の酒は
た時に「自分の思ったような
体が覚えていますから、自分の味はぴたりとわかります
酒になってよかった」と笑え
能登流の造りを継承しつつ
自分らしい酒を造っていく
るお酒を作る、それが坂口
流の酒造りです。
宗玄酒造
住所●珠洲市宝立町宗玄 24-22
電話●0768-84-1314
営業時間●8∼17 時
定休日●無休
※蔵見学は要相談。冬期の仕込み時期は不可
さん ばい こう いち
1991 年、波瀬さんと三盃 幸一さん(能登杜氏四天王の一
人)に薦められて、輪島の清水酒造「能登誉」で初めて杜氏
職になりました。それまでもずっとこの世界で働いて来ました
能登はいいとこ、来てみてね
穴水町
純 米 大 吟 醸 720ml 5400 円 や 期
間限定の純米石川門無濾過生原
酒 720ml 1458 円など
12 月∼最盛期を迎え、春先まで楽しめる
穴水湾のカキはプリプリで甘味があります。
んに行われており、近年では「能登かき」として全国に
知られている。カキ貝の生育環境は、山から流れてくる
きれいな殻付きの能登かき。
生で食べるならぜひ穴水町へ足を運んで
能登かき
真冬でも波が穏やかな穴水湾では、マガキの養殖が盛
真水と海水が入り混じる汽水域。穴水湾には、森林の葉
が落ちてできた腐葉土に雨水が染み、それが湧き出た小
さな川が何本も流れ込んで、カキ貝の生育に適した環境
となっている。まさに「能登かき」は里山里海の豊かさ
によって誕生する恵みの一粒だ。
穴水町のカキ生産業者は 20 軒ほど。そのうちの一人、
松村政揮さんは昭和 56 年頃からカキの養殖を始めた。
能登の海は、夏は 30 度、冬は 10 度以下と水温に大きな
差があるため、温度変化に耐えられる強いカキ貝を育て
るためにさまざまな工夫をしている。養殖のカキ貝は一
般的に1 ∼ 2 年で出荷。松村さんは 1 年目のカキとは思
えないほど粒が大きくたっぷりとした身に育て、「1 年目
のカキは口溶けがよく、食べた後に爽やかな甘味が舌の
上に広がっておいしいですよ」と味にも太鼓判を押す。
これから春にかけて粒がより大きく成長し、さらにうま
穴水町中居の海。湾にはカキ棚
のブイがたくさん浮かぶ
手作業で殻を掃除したり、身を
むいたりする松村さん
味が増してくる
JFいしかわ穴水支所
電話●0768-52-1180
FAX●0768-52-3074
※地方発送受付。
殻付カキ 5kg4000 円∼
(代引手数料、送料別)