第11回目として震災復興や東京オリンピック・パラリン ピック等、今後更にセメント需要が期待される中、粉粒体運 搬車の用途と構造等をご紹介いたします。 バリエーション ①エアスライド式 写真提供:新明和工業㈱ 右図のようにタンク底部に設けたエアスライドキャンバスの布 第11回:エア圧送式粉粒体運搬車 目から噴出すエアにより粉粒体を流動化させ、タンク中央部の 粉粒体運搬車は、バラセメント運搬用と飼料運搬用とそれ以外の3種類に大別される。 排出口に集める。セメント、フライアッシュなどの流動性が良い 今回の 「働くクルマたち」 では、バラセメント運搬用として広く採用されているエア圧送式粉粒体運搬車を紹介する。 エア圧送式粉粒体運搬車の誕生 粉粒体の排出に適した排出方式である。タンクが一室なので、 排出バルブの操作が1か所となり作業性が良い。 写真提供:極東開発工業㈱ 昭和30年代までは、セメント運搬は 「カーゴ車」 でのセメント袋運搬か、 「スクリュー エアスライド式構造図 車」 でのバラ輸送が主流であったが、 より効率的な作業環境の実 現という市場要求に答える形で昭和40年代初頭 「エア 単車 圧送式粉粒体運搬車」 が誕生した。 エア圧送式粉粒体運搬車には、作業の 効率化以外にもバケットコンベア等の大 掛かりな設備が不要になる、更に、架装物 ②エアレーションブロー式 が軽くなり積載量をより多く確保できる 下図のようにタンク内を多層に分割、タンク下部にすり鉢を形 といった利点があり、広く市場に受け入 成し、タンク壁面の滑り性を良くすることにより、様々な種類の 初期のエア圧送式粉粒体運搬車 れられ現在のようにバラセメント輸送の 写真提供:極東開発工業㈱ 粉粒体が排出可能な汎用性の高い車両である。特に粗粒子排出 に威力を発揮する。 担い手となるに至った。 エア圧送式粉粒体運搬車とは セメントに代表される粉や、様々な種類の粒を乾燥状態で運搬し、空圧で排出する車両 である。大きな構成要素としては、 まず粉や粒を積載するタンクがあり、エア源としてのコ ンプレッサーからなる。コンプレッサーはシャシのPTOから動力を得て、 タンク内にエアを ダンプ式 供給し、所定の圧力まで加圧した所でタンクの排出バルブを開放し積荷を排出する仕組み である。排出された積荷は、排出配管を通過し、作業現場のサイロに貯留される。 圧送原理 マンホール エアレーションブロー式構造図 排出バルブ 粉粒体 ③セミトレーラ 写真提供:極東開発工業㈱ 排出構造は、エアスライド、エアレーションブロー 何れかの構造を採用し、長距離・大量輸送に威力を 発揮する。 コンプレッサー キャンバス エア ①まず、 タンク上部のマンホールより 粉粒体を積み込む。 ②次に、 コンプレッサーからのエアを ③最後に、排出バルブを開放し、粉粒 キャンバスを通してタンクに供給す 体をタンク外に排出し、サイロへと ると、粉粒体とエアが混合し流動化 状態となる。また排出に向けて徐々 にタンク内圧力が上昇する。 働くクルマたち 33 圧送する。 生産台数 年度 車種 (単位:台) 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 バラセメント 271 196 174 228 347 427 486 飼料 195 285 275 197 231 214 194 48 49 63 82 51 63 65 514 530 512 507 629 704 745 粒紛体運搬車 その他 合計 34 働くクルマたち
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