平 成 28年 1月 21日 (木 ) 国土交通省東京国道事務所 記者発表資料 大都市圏初「バス専用通行帯内への自転車ナビライン」 試行開始半年後の交通状況の変化等について 国土交通省東京国道事務所等は、平成24年度より「自転車通行環境整備課題検討WG(会長: 東京工業大学大学院 屋井鉄雄教授)」を設置し、東京都内の自転車通行環境整備の検討を進め ているところです。 せ た が や く さんげんぢゃや こまざわ 国道246号世田谷区三軒茶屋交差点から駒沢 交差点までの延長約2.0kmの区間において、 幅員の狭い歩道上での歩行者と自転車の交錯やバス専用通行帯内における自転車と他交通との 交錯を軽減するため、大都市圏内で初めてバス専用通行帯内に自転車ナビラインを平成27年6月 より全線で試行的に設置しています。 今回、整備後の自転車の通行状況や道路利用者のアンケート調査結果をとりまとめましたのでお 知らせします。 ・自転車の車道通行が整備前にくらべ約18ポイント増加 ・「危険を感じることが減った」とする自転車利用者が過半数、歩行者が約4割、 自動車等ドライバーが約3割 ・「車線全体に広がって走る自転車が減ったことで安心感が増した」とするバス ドライバーの声 一方、路上駐停車の存在や自転車利用者がルールを守らない等を含めたマナーの悪さから、整 備前にくらべ「走りにくい」とする自動車ドライバーの声もありました。 今後も自転車等の通行への効果や影響、道路利用者の意識の変化について調査を行い、効果 検証を行っていくとともに、引き続き、安全で快適な道路空間の確保に向け、関係機関と連携して取 組みを進めます。 発表記者クラブ 竹芝記者クラブ、神奈川建設記者会、都庁記者クラブ 問い合わせ先 国土交通省東京国道事務所 副所長 交通対策課長 に し お ふみ ひ ろ 西尾文宏 電話 03-3512-9090 内線 204 はい し ま ひろのぶ 蓜島洋伸 電話 03-3512-9061 内線 471 1 整備前の状況 【道路及び交通の状況】 当該区間は、自動車、自転車及び歩行者の交通量が多い箇所です。 歩道幅員が狭いために歩道上での歩行者と自転車の交錯やバス専用通行帯内における自転車と 他交通との交錯が見られました。 ●車線数 6車線 ●最高速度 60km/h(法定) ●交通量 自動車 26,304台(昼間12時間) 47,131台 (24時間) 自転車 2,239台(昼間12時間) ※H17道路交通センサスより (世田谷区上馬1−15) 歩行者 2,966人(昼間12時間) 【交通事故の発生状況】※平成22年∼24年の3年間 三軒茶屋交差点∼上馬交差点間(約1.1km) 53件 ※公益財団法人 交通事故総合分析センターより ●自転車関連事故件数 (内訳) 車と自転車の事故 66% 自転車と歩行者の事故 15% ※1キロあたりの自転車関連事故件数は東京23区内の直轄国道平均の約3倍 【バス専用通行帯の設置状況】 ※バスの定時性を確保するために、左側車線をバス専用通行帯として運用しています。 ●運行本数 朝夕ピーク 20本/時以上 ●規制時間 上り 7:00∼ 9:00(または9:30) 下り 17:00∼19:00 至 世田谷通り 渋谷 三軒茶屋交差点 延長約2km 上馬歩道橋 上馬交差点 平成27年6月1日(月)完成 駒沢歩道橋 246 駒沢交差点 平成27年2月27日(金)完成 環七通り 至 瀬田 出典:国土地理院数値地図 25000(地図画像) 『東京西南部』を使用 2 ■整備内容 幅員の狭い歩道上での歩行者と自転車の交錯やバス専用通行帯内における自転車と他交通との 交錯を軽減するため、バス専用通行帯内に自転車ナビラインを整備しました。 駒沢大学駅付近(上り渋谷方向) 看板等で自転車利用者等 に対するルールを周知 自転車ナビラインで 自転車ナビラインで 自転車の通行位置と 自動車利用者等に 方向を明示 自転車動線を周知 自転車ナビラインとは? 自転車「 ■自転車の通行位置と方向を明示して、安全な通行を促すとともに、自動車利用者等に自転車 動線を知らせる法定外の路面表示です。 3 ■自転車の通行位置 ■自転車の通行位置 自転車の車道順走割合が着実に増加(車道順走とは、車道の通行方向と同一方向に通行すること) 駒沢大学駅前∼駒沢 三軒茶屋∼世田谷警察署前 上り:7-19 上り 時時 100% 0.6 90% (12) 80% 38.5 70% 0.5 1.4 (9) (1033) 60% 100% (30) 50.2 (812) 上り 時時 上り:19 7-19 50% 90% 80% 56.3 70% (1197) 20% (7) 28.6 (474) 0.1 (2) 44.3 46.5 (933) (876) 50% 40% 60.9 (1282) 10% 0% 0.3 (7) 60% 40% 30% 0.4 整備前 49.3 (1015) 30% 42.3 20% (900) 71.0 (1174) 10% 全線整備直後 全線整備約半年後 0% H 26.3.16 H27.7.22 H27.10.23 n=2057 n=2127 n=2106 整備前 55.4 (1167) 53.4 (1005) 全線整備直後 全線整備約半年後 H26.3.16 H27.7.22 H27.10.23 n=2107 n=1883 n=1655 歩道通行 車道順走 車道逆走 ( ) :台数 車道通行自転車の約1/4は歩道からの転換(整備前は歩道を通行) (アンケート)(n=201) 0% 整備前 20% 40% 60% 車道 46%(92) 80% 100% 歩道 54%(109) 歩道通行者が車道へ転換し、 車道通行者が約6割に増加 車道 63%(126) 全線整備時 車道®車道 46%(92) 歩道 37%(75) 歩道®車道 17%(34) ( ) :アンケート回答数 ※Web アンケート(H27.9.18∼9.30 実施) 当該区間の整備前及び整備後の両方を通行し たと回答した人を対象に実施(以下同様) ■車道上での自転車通行位置 整備後は車道の歩道寄りを走行する割合が増加 街渠 (0.5) 0.0 0.25 0.5 0.75 1.0 1.25 街渠端からの距離(m) 4 1.5 上り(7:00∼9:00) ■自転車利用者の評価 ■車道通行の安心感 「整備前にくらべ、危険を感じることが減った」とする割合が5割以上 (アンケート) 0% 20% 全線整備時 (n=128) (三軒茶屋~駒沢間整備) (n=126) 40% 60% 52.3 うち 設置前から車道(n=92) を通行 31.3 52.2 うち 設置前は歩道(n=34) を通行 80% 16.4 34.8 55.9 100% 13.0 20.6 23.5 危険を感じる ことが減った:52% 危険を感じることが減った 変わらない 危険を感じることが増えた ※Web アンケート(H27.9.18∼9.30 実施) ■車道の走りやすさ 「整備前にくらべ、走りやすくなった」とする割合が約7割 (アンケート) 走りやすくなった:64∼79% 0% 20% 全線整備時 (n=128) (三軒茶屋~駒沢間整備) (n=126) 40% 67.2 うち 設置前から車道(n=92) を通行 64.1 うち 設置前は歩道(n=34) を通行 79.4 走りやすくなった 変わらない 60% 80% 100% 24.2 8.6 29.4 6.5 8.8 11.8 走りにくくなった ※Web アンケート(H27.9.18∼9.30 実施) 5 ■歩行者の評価 ■歩行者の安心感 「整備前にくらべ、危険を感じることが減った」とする割合が約 4 割 (アンケート) 0% 20% 40% 60% 80% 100% ・三軒茶屋∼駒沢間に自転車ナビ ラインを整備したことで、歩行者 が危険を感じることが減ったとす る割合が増加。 危険を感じる ことが減った 全線整備時 (三軒茶屋~駒沢間整備) (n=176) 変わらない 38.6 54.6 危険を感じる ことが増えた 6.8 ※Web アンケート(H27.9.18∼9.30 実施) ■バス停部における自転車のバス回避挙動 整備前にくらべ、バス停において歩道に乗り上げてバスを回避する自転車の割合は横ばいから若 干減少 バス停における自転車のバス回避挙動割合 30% 100% 30% 100% 25% 78.0 84.8 20% 6.0 2.2 15% 25% 20% 15% 86.4 1.4 10% 5% 10% 12.2 13.0 整備前 (74) 整備前 全線整備時 (138) 全線整備時 85.6 3.0 16.0 11.4 5% 0% 0% (n=74) 整備前 (50) 整備前 (n=138) (n=50) 三軒茶屋バス停:下り 全線整備時 (132) 全線整備時 (n=132) 上馬バス停:上り ※整備前:H27.1.16 全線整備時:H27.10.23 ■歩道上での交錯回数 整備前にくらべ、歩道における歩行者と自転車の交錯回数は減少 駒沢歩道橋付近 200 ( ) 交 錯 150 回 数 回 100 173 141 112 100 50 0 上り(8-9時) 下り(17-18時) 6 整備前 (H27.1.16) 全線整備時 全線整備約半年後 (H27.10.23) ■自動車・二輪車やバスドライバーの評価 ■車道通行の安心感(自動車・二輪車) 整備前にくらべ、自動車等ドライバーの「危険を感じることが減った」とする割合は約3割であ り、「危険を感じることが増えた」とする割合(約2割)より多い (アンケート) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 二輪車(n=40) 7 自動車(n=395) 8 26 39 17 10 自動車類(n=435) 8 26 40 17 9 凡例 危険を感じる ことが減った 10 53 23 やや危険を 感じることが 減った 変わらない 危険を感じる事が 減った:30∼34% やや危険を 感じることが 増えた 7 危険を感じる ことが増えた 危険を感じる事が 増えた:17∼27% 危険を感じることが 減ったと答えた理由 第1位 自転車が自 転車ナビラインに 沿って通行するよう になったため 危険を 感じ る こ とが増え た(26%、113人)と 答え た主な理由(複数回答) 路上駐停車が減らないため 54件 自転車利用者のマナーが向 上したと感じないため47件 ※Web アンケート(H27.9.18∼9.30 実施) ■バスドライバーの声 バスドライバーから「車道通行の自転車が増えた」、 「車線全体に広がって走る自転車が減ったこ とで安心感が増した」との声 ●車道を走る自転車は明らかに増加 した ●車道の左側を走行する自転車が増 え、車線全体に広がって走る自転 車が減ったことで安心感が増した ※バス会社ヒアリング(H27.11 実施) バス専用通行帯においてバスと自転車が共存 7 ■自動車・二輪車やバスドライバーの評価 ■車道の走りやすさ(自動車・二輪車) 整備前にくらべ、自動車等ドライバーの「走りにくくなった」の割合が約3割であり、「走りや すくなった」とする割合(約2割)より多い (アンケート) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 二輪車(n=40) 5 18 自動車(n=395) 6 17 43 21 13 自動車類(n=435) 6 17 44 21 12 凡例 走りやすく なった 50 やや走り やすくなった 20 やや走り にくくなった 変わらない 走りやすくなった: 23% 100% 7 走りにくく なった 走りにくくなった: 27∼34% 「整備前にくらべ、(やや)走りにくくなった(33%、143 人)」と答えた主な理由 ・路上駐停車が減らない(63 件) ※路上駐停車台数は減少しているので、期待していた程の状況改善が感じられないことによる回答と推測 ・自転車利用者のマナーが向上したと感じない(ルールを守らない等)(47 件) 等 ※Web アンケート(H27.9.18∼9.30 実施) (バスドライバーの声) ・路上駐車がなければ、ナビラインの整備により以前よりも走行しやすくなった。 ※バス会社ヒアリング(H27.11 実施) 自動車・二輪車やバスドライバーは 路上駐停車の削減と自転車利用者のマナー向上を望んでいる 路上駐停車状況 400 ( ) 延 べ 300 駐 停 200 車 台 数 100 台 329 273 17%減少 0 全時間帯 整備前 整備後 駐停車車両を追い越すために ナビラインを外れて走行する自転車 ■整備前(H27.1.16) ■全線整備約半年後(H27.10.23) 全線整備時 ※区間 三軒茶屋、世田谷警察署、上馬、駒沢大学前、駒沢の各交差点間で設定 ※観測時間:朝4回(7:00,7:30,8:00,8:30)、日中2回(13:00,13:30)、夕方2回(17:00,17:30) 8
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