Mobility

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世界の自動車生産台数は年3%の成長が見込まれており、軽量化に加え
て、意匠性や快適性などの新たなニーズが高まっています。
当社グループは、
グローバル水準の高い品質要求に応える製品を多数保有
し、自動車の高性能化に貢献しています。
モビリティ製品ラインナップ
自動車に使われる樹脂の重量は総重量の約10%の100kg程度。3万点の部品の70%に相当
します。当社グループの得意とする高機能樹脂で、
さまざまな社会のニーズに応えていきます。
世界をリードする製品群
PPコンパウンド
プライムポリプロ®
タフマー®
オレフィン系
熱可塑性エラストマー
エチレンプロピレンゴム
ミラストマー®
三井EPT™
アドマー®
•軽量化 •耐衝撃性
•意匠性
•リサイクル可能
•低密度・軽量化 •意匠性
•加工しやすい
•耐候性、耐熱性
•多層成形可能
•樹脂製軽量化
接着性ポリオレフィン
世界No.2,アジアNo.1
世界No.3,アジアNo.1
アジアNo.1
世界No.1
バンパー
内装表皮
ドアシール材
燃料タンク
炭化水素系合成油
ルーカント®
•燃費向上 •長寿命化
外装材料
ガラス繊維強化材料
炭素繊維強化材料 等
•軽量化 •燃費向上
ギア油添加剤
業界最大手Lubrizol社との提携
バックドア、
ボンネット内側
パネル等
2014年度採用開始
新たな製品展開
車載カメラレンズ
アペル
®
•軽量化 •安全性
リチウムイオン
電池安全材料
STOBA
®
•安全性 •熱暴走抑制 金属樹脂
一体成形部材
エンジン周辺部品
ポリメタック アーレン®
•軽量化 •製造工程削減
•耐熱性 •燃費向上
®
PP
ステアリングメンバー
スマートフォン向け材料から
の用途展開
2016 年頃の採用に向けて
顧客評価中
2
台湾工業技術研究院から独占
ライセンス取得
性能向上を図り、車載用途を
開拓中
2016年度目途に量産化開始
三井化学株式会社 アニュアルレポート 2015
大成プラス社との共同開発
2020年の実用化を目指す
射出一体成形により、
ビス止め
や溶接工程不要
アルミ+発泡PPで、金属部品と
同強度で1/3の軽量化を実現
ウォータージャケット部に
挿入して使用
2014年度採用開始
‘‘
私たちの強みは、幅広い材料ラインナップ、
そして技術力です。しかし、有望な技術があれば外部
からも積極的に取り入れ、そこに三井化学グループ
の知恵を注入してさらに強くする。
さまざまな要素を組み合わせる「バンドリング」の
‘‘
発想で、顧客価値を起点とした
ソリューション提供を行っていきます。
世界No.1を目指すPPコンパウンド事業
当社グループの自動車材PPコンパウンド事業は、世界シェア2位、
日系自動車メーカー向け
約6割のトップシェアを誇っています。また、米国自動車メーカー向けは、北米内で既に約3割の
シェアを有しています。
強い顧客基盤と、
さまざまな顧客ニーズに応える高品質なPPコンパウンドを開発する技術力
に強みを有し、
世界8拠点からグローバルに提供できる体制を構築しています。
当社グループシェアと市場成長率
欧州 2%
中国 5%
北米 2%
日本 -2%
ASEAN 7%
Global 3%
南米 4%
22%
:生産拠点
青字;自動車生産台数 年平均成長率(2014–2020年)
出典;IHS Inc.
グラフ;2015年度当社グループシェア
(当社推計)
さらなる成長に向けてソリューション提案力の強化
情報力、
ソリューション提供力向上のため、企画・デザイン・設計・試作機能を有する金型
メーカー共和工業を買収しました。さらなる成長に向けた基盤を整え、当社グループの総合力
を駆使してソリューション提案力を強化し、社会の発展に貢献していきます。
自動車産業のサプライチェーン
ポリマー
コンパウンド
三井化学グループ
部品・部材
部品メーカー
塗装
組立
自動車メーカー
最終製品
消費者
金型供給
ポリマーサイエンス
金型メーカー
(共和工業)
三井化学 G の価値提案力
強い顧客基盤
グローバル体制
技術開発力
構造解析
バンドリングによるポリマーソリューション
X
部品・部材提案力の強化
次世代車ニーズ
総合力を駆使したグループ横断的な
ソリューション提案
安全、快適、環境と調和した
社会の実現に貢献
三井化学株式会社 アニュアルレポート 2015
3
Healthcare
先進国の少子高齢化や新興国の経済成長に伴い「健康」への関心が増大
しています。
当社グループは多様化するニーズを捉え、健康・長寿社会の実現に向け
た生活の質(QOL)の向上に貢献する製品を提供しています。
世界をリードするビジョンケア材料の周辺展開
当社グループは、低屈折率から高屈折率まで、幅広くプラスチックメガネレンズ材料を展開
「薄くて軽
しています。特に、世界をリードする高屈折率レンズ材料の「MR™シリーズ」は、
い」レンズ材料のデファクトスタンダードとして高い評価を受けています。
今、当社グループが目指すのは、単なる視力矯正用レンズ材料の提供ではなく、多様なニー
ズに対して総合的なソリューションを提案していくことです。コーティング材料、調光レンズ材
料等の買収とともに、レンズ材料に新たな機能を付与する自社開発を進め、レンズ材料の可
能性を拡げています。
ビジョンケア材料のサプライチェーン
メガネレンズ材料
コーティング材料
植物由来レンズ
市場成長率 3-4%
熱硬化型
ハードコート材
高屈折
紫外線遮断レンズ
最終製品(メガネ)
08 年買収
14 年10 月上市
14 年認証取得
UV 硬化型
ハードコート材
中屈折
14 年 7 月買収
クリアな視界、優れた強度、
高い染色性でサングラスにも
TM
最適「MR シリーズ」
13 年 3 月買収
低屈折
11 年 4 月買収
調光レンズ材料
防曇コート材
10 年買収
14 年 5 月買収
紫外線により濃度が変わる
調光レンズ
世界シェア 45%
幅広い品ぞろえで総合ソリューションの提案
有害な短波長光から、
眼の健康を守るレンズ材料
植物由来高屈折率
レンズ材料
現在販売されているメガネレンズの多くに
「Do Green™ MR™シリーズ」は、世界初
は、波長400nmまでの紫外光をカットするコー
の植物由来素材による高屈折率レンズ材料
ティングが施されています。しかし、紫外光だけ
です。日本とアメリカで、JORAとUSDAのバ
でなく、波長420nmまでの短波長光も、白内障
イオマス製 品認 定を取得しています。「Do
や加齢黄斑変性の要因となり得ることが、最近
Green™」は、バイオマス材料の植物原料を
の研究で指摘されています。「UV+420cut™」は
生産する農家の方々とその地域が抱える社会
その有害な短波長光までカットすることによっ
的な課題解決にも貢献しています。「2015世界
て、目の健康を守る新しいレンズ材料です。
トライアスロンシリーズ横浜大会」では、横浜
市と協賛して「Do Green™」サングラスも開
発しました。
4
三井化学株式会社 アニュアルレポート 2015
歯科材料事業の拡大
2 0 13 年 に 世 界 第 6 位 の 総 合 歯 科 材 料メーカ ー
Heraeus Kulzer社を買収しました。日本国内で30年の
経験と実績をもつ子会社サンメディカルとのシナジー
価値提案力
が発現し始め、当社グループの得意とするポリマーサイ
技術開発力
エンス技術に基づく新製品を順次投入していきます。
グローバル体制
デジタル化に適した
ポリマーソリューション
また、ニーズの高ま
るデジタル化ソリュー
X
ションの強化も進めて
デジタル化ソリューション
おり、事業の拡大を確
実にしていきます。
強いコア事業をより強く。
既存のメガネレンズ材料、歯科材料、衛生材料用不織布の
3本柱を確実に成長させるために、
グループの製品開発力を活かして、
周辺や川下領域への展開を強化しています。
そして、もう一段の拡大のために、
‘‘
‘‘
市場成長率 6-7%
新たなヘルスケア・ソリューションの創造を目指す、
新ブランド Whole You™を立ち上げました。
衛生材料用高機能不織布のアジア展開
東・東南アジアの紙おむつ市場は、特に高品質・高機能不織布のニーズが拡大しています。
当社は、アジア3極フル稼働体制で供給しており、衛生材料用高機能不織布市場で、アジアト
ップシェアを有しています。当社グループの強みは、高度な品質管理と、原料樹脂から加工ま
での一貫した技術力です。柔らかく伸縮性に優れた不織布は高い評価を得ています。
さらなる拡大に向け、不織布製メディカルガウンなど、新たな分野へも展開しています。
高機能不織布の当社グループシェア
主な使用部位
市場成長率 11%
ギャザー
バックシート
60%
2010 年度
新ブランド
東・東南アジア市場
75%
2016 年度見込み
柔らかく伸縮性に優れ高いフィット感
立ち上げ
2014年11月、Whole You, Inc. を米国に設立しました。
五感・五体に課題を抱える方々に、ポリマーサイエンスに基づく機能創出力を活かした製品
とサービスで、革新的なソリューションを提供します。
世界最大のヘルスケア市場である米国から、世界中の人々のQOL向上に貢献していきます。
三井化学株式会社 アニュアルレポート 2015
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Food & Packaging
世界の爆発的な人口増加に伴い食糧問題が深刻化し、農作物の安定生産
やフードロス・廃棄の削減は大きな社会課題となっています。
また、食の安全・安心や環境負荷低減などへのニーズも高まっています。
当社グループはこれらに応える製品を提供しています。
サプライチェーンにおけるニーズと当社グループの事業展開
当社グループはサプライチェーンの各段階におけるニーズに対応し、また、最終消費者や最
終製品に必要とされる機能やニーズに応える製品やサービスを取り揃えています。さらに、チ
ェーンの全体を見据えて、あらゆるニーズを探求し、新たな機能価値を提供していきます。
フード分野
ニ
ニーズ サプライチェーン
食糧増産
フードロス・廃棄の削減、食の安全・安心
輸送(低温)
収穫後
処理
栽培・収穫
販売
加工
消費者
包装(プラスチック +α)
高機能パッケージ、パッケージ用材料
農薬、種子、肥料
新規農業システム
パッケージング分野
利便性、安心、環境負荷低減
原料
ポリマー
高機能パッケージ
向けポリマー
ポリマー原料
印刷・貼り合わせ
フィルム・ボトル
フィルム・シート
ボトル
共押出多層、
延伸、
コーティング
パッケージ
ラミネート加工
樹脂加工
蒸着加工
スパッタリング加工
製品保有
プロセス保有
食料の安定確保に貢献する高性能農薬の世界展開
世界最大の市場であるブラジルなど、新興国で農薬の需要が拡大しています。
当社グループは、ブラジル、インド、中国、東南アジアなど
の重点地域を中心として、現地ニーズに合致した製剤を市
場投入するため、海外拠点を整備し、
マーケティングや技術
普及を積極的に進め、海外展開を強化しています。また、欧
米等その他の地域においては、グローバルトップメーカーで
あるDu pont社、BASF社などとの協業も進めています。
世界市場構成と成長率
アフリカ
中東
8%
アジア
オセアニア
10%
当社グループの売上高拡大
日本
海外 国内 -1%
北米
4%
5.7%
3.8%
17.3%
2011 16%
20.2%
2014 35%
28.5%
24.5%
欧州
円グラフ内:市場構成 2014年
外周:年平均成長率 2009−2014年
(Philips McDougalls Industry Overview)
三井化学株式会社 アニュアルレポート 2015
84%
65%
中南米
16%
4%
6
海外各国での技術普及活動
11 ∼ 13 年度
新製剤上市数
27
14 ∼ 16 年度
30
15 ∼ 22 年度頃
5
新製剤上市数
新規原体数
2022
(年度)
50%
50%
食品用包装材料の高機能化とアジア展開
生活水準向上や食品加工輸出基地としての発展に伴い、アジアの包装材料市場は大きな成
長が見込まれています。当社グループは他社に先駆け、包装の最内層に使用する高機能シーラ
ント用途としてアジアで約 60%のシェアを誇るエボリュー®などの生産拠点を設置。組織横
断的なマーケティングとテクニカルサポートでアジア展開を強化しています。
市場成長率
10%
タイ
高機能シーラントフィルム
T.U.X®
市場成長率
10%
市場成長率
中国(上海)
1.5 万t
−%
日本
テクニカルサポートセンター
高機能パッケージの
マーケティング拠点
2014 年 1 月運転開始
台湾
インド
市場成長率
包装用接着材料
シンガポール
高機能シーラントフィルム原料
10-15%
アジアマーケティングの中心拠点
テクニカルサポートセンター
30 万t
Evolue®
2015 年 3 月完工 生産拠点
下期営業運転開始予定
グループオフィス
高機能包装は、異種材料を組み合わせた多層構造により、求める機能を実現しています。
当社グループは各種材料で、課題解決に貢献しています。
高機能シーラント:エボリュー®、T.U.X®
強靭性、低臭性、
ヒートシール強度 薄肉化可能・フィルム加工適正良好により生産性向上
層構成
内側
樹脂改質材:タフマー®
易開封性付与(ヒートシール強度制御) 高速充填性付与(低温ヒートシール性)、耐衝撃性向上
接着材料:アドマー®、タケネート®、タケラック®
外側
異種材料の多層加工
PE
接着
接着剤
バリヤー
EVOH
接着
接着剤
印刷
インク
基材
ナイロン、PET、PP
食品包装分野では、アジアにおいて
事業横断的に顧客ニーズに応えるマーケティングに、
以前から取り組んできました。
これをさらに強化し、まずは、シンガポールで立ち上がる
エボリュー®の市場への着実な浸透を図ります。
農薬についても、海外展開を着実に進めるとともに、
‘‘
‘‘
使用材料例
シーラント
食糧確保や食の安全・安心のための
新規事業発掘に取り組んでいます。
主力の殺虫剤「ジノテフラン」や殺菌剤「ペンチオピラド」は、グローバルへ順次登録を進
め、高い性能を有する農薬として高評価を受けています。当社グループの農薬創製技術は、分
子設計、有機合成、生物評価の3つの領域における蓄積された経験など、研究開発の総合力
が最大の強みです。次世代新規原体の開発も着実に進んでいます。 海外展開および新規パイプライン上市予定
(年度)
2012
2013
殺虫剤 ジノテフラン
•インド
•中国
殺菌剤 ペンチオピラド
•アメリカ、カナダ
次世代農薬 新規5原体
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020∼
•ブラジル
•欧州
•殺菌剤
•除草剤
•殺菌剤
•殺虫剤 •殺虫剤
三井化学株式会社 アニュアルレポート 2015
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