高精度測位技術の応用について 2016.1.21 第13回クリティカルソフトウェアワークショップ 宇宙航空研究開発機構 衛星測位システム技術ユニット 小暮 聡 1 内容 1. 衛星測位とは? 2. 衛星測位システム 3. 準天頂衛星システム 4. GPSからGNSSへ 5. 高精度測位技術(衛星測位の精度向上) 6. 高精度測位技術(MADOCAの研究開発) 7. PPP/PPP-ARの応用 8. まとめ 2 1.衛星測位とは • 衛星測位 – Satellite Positioning – Satellite Navigation – GPS:Global Positioning System – GNSS: Global Navigation Satellite System – Space-based PNT • 測位: • ナビゲーション: • 測時: Positioning Navigation Timing 複数衛星を用いてユーザに正確な位置、速度、時刻を リアルタイムに提供する技術 3 1.衛星測位とは • 衛星を基準とした三点測距(or三辺測量)の応用 – 高精度高安定な原子時計を搭載した衛星 – 衛星の精密軌道とクロックオフセット推定 – 衛星とユーザ受信機アンテナ間の測距 • 衛星アンテナからの電波送出時刻とユーザ受信機アンテナでの電 波受信時刻の差に光速を乗じて算出 • 擬似距離(Pseudorange) – ユーザ受信機の時計誤差 T – 測位演算 • 4つの未知数(X, Y, Z, T) 同時に4衛星以上の衛星からの信 号を受信、疑似距離を計測し、これ らの観測量を用いてX, Y, Z, Tを解く 4 1.衛星測位とは 擬似距離 𝜌 = 𝑡𝑟 − 𝛿𝑡 − 𝑡𝑠 × 𝑐 + 𝜀 = 𝑡𝑟 − 𝑡𝑠 × 𝑐 − 𝛿𝑡 × 𝑐 + 𝜀 = 𝑥𝑠 − 𝑥𝑟 2 + 𝑦𝑠 − 𝑦𝑟 2 + 𝑧𝑠 − 𝑧𝑟 2 −𝑇+𝜀 𝜌: 擬似距離 𝑡𝑟 : 信号受信時刻 𝑡𝑠 : 信号送信時刻 𝛿𝑡: 受信機クロックバイアス、 𝑇:距離換算した受信機クロック誤差 𝑐:光速(=秒速300000km) 𝑥𝑠 , 𝑦𝑠 , 𝑧𝑠 : 衛星の位置座標@信号送信時 𝑥𝑟 , 𝑦𝑟 , 𝑧𝑟 : 受信機の位置座標@信号受信時 𝜀:ノイズ、その他の誤差 X, Y, Z, Tの4つの未知数を解くために、4つ以上の観測方程式が必要 5 1.衛星測位とは • 測位の誤差要因(測距誤差) ⑥受信機誤差 ①軌道誤差 ③電離層の変動 ②時計誤差 電離層 電離層遅延(~100m) ④対流圏の変動 ⑤マルチパス 対流圏遅延(~20m) 対流圏 信号遮蔽 妨害波 6 6 66 6 1.衛星測位とは • ユーザ測位精度 ユーザ測位誤差 測距誤差 position DOP obsevation Dilution of Precision (精度劣化指数) 衛星の配置の良し悪しを示す指 標。時々刻々と変化 DOPが悪い • • 衛星配置が偏っている DOPの値は大きくなり、ユーザの測位 誤差が増加 DOPが良い • 衛星が偏りなく分散している • 最もDOPが小さくなるのは天頂の衛星と低 仰角に方位角均等に衛星が配置された場合 常時良好なDOPを得るためには複数衛星によるコンステレーションが必要 7 1.衛星測位とは • 測位誤差試算の一例(GPS誤差バジェット) 民生サービス(C/A コード利用)のユー ザ測距誤差(95%) が16m~23m、ユー ザ測位誤差はこれ にHDOP(水平方向 の誤差劣化指標: オープンスカイでは 1.5)を乗じて、24m ~34.5m 出典:NAVSTAR GPS USER EQUIPMENT INTRODUCTION, US. Coast Guard http://www.navcen.uscg.gov/pubs/gps/gpsuser/gpsuser.pdf 8 2.衛星測位システム 典型的な衛星測位システムの構成 =3つのセグメント Space Segment • 複数衛星によるコンステレーション Control Segment (or Ground Segment) • • • モニタ局ネットワーク 解析センター 追跡管制システム Space Segment User Segment User Segment Ground Segment 衛星コンステレーションの図:出典http://en.wikipedia.org/wiki/Global_Positioning_System 9 2.衛星測位システム • グローバルシステム:GPS 米空軍が運用する軍民共用システム 高度20000Km、6つの軌道面に24機の衛星 で構成(現在は31機が測位信号を送信中) 地上システムは全世界に拡がる 出典 GPSコンステレーション:USAF http://www.schriever.af.mil/news/story.as p?id=123260251 地上セグメント http://www.gps.gov/systems/gps/control/ 10 2.衛星測位システム GPS利用の利点 世界中どこでも、いつでも(天候、昼夜問わず)正確な位 置、時間がわかること GPS利用の欠点・課題 精度が一定でない(数m~数10m) 信号の脆弱性(微弱な信号を使用) 街の中、山や森林の中など衛星信号が受信しにくいとこ ろでは使えないことが多い。(環境依存が大きい) 補正情報配信、補強システム、準天頂衛星システム、 複数GNSSの利用、センサ統合..... 11 3.準天頂衛星システム • 地域システム – 東アジア、オセアニアをカバー • 2018年より4機体制で実用サービス開始 (内閣府PFI事業:QSS社) – GPS補完サービス – GPS補強サービス • サブメータ級 • センチメータ級 – 災害危機管理情報サービス – 衛星安否確認サービス 等 • 「みちびき」を用いた実験運用を継続中 • 2023年に7機体制 詳細はQZSSウェブサイトへ http://qzss.go.jp/ 12 3.準天頂衛星システム • 準天頂衛星システムの効果(1/2) QZSS GPS GPSのみ 4衛星以上からの信号が受信 できない QZSS実用化後: 4衛星以上受信可能な場所 と時間が増加 13 3.準天頂衛星システム • 準天頂衛星システムの効果(2/2) QZSS GPS GPSのみ バラつきが大きく、最大数10mに 及ぶ誤差が生じることもある GPS QZSS実用化後: QZSSからの補正情報で誤差を補正: コード測位 ⇒ 誤差1m以下 搬送波位相測位 ⇒ 誤差数cm 14 4.GPSからGNSSへ 米国: GPS (運用中) ロシア:GLONASS(運用中) (Global Positioning System) システム構成: 6軌道面×各4機の計24機の衛星で構成(現 在は27機構成がノミナル。2015年8月現在、31 機運用中。うち近代化信号L2Cを送信中の衛 星、17機、L5を送信中の衛星10機) (Global Navigation Satellite System) システム構成: 3軌道面×各8機の計24機の衛星で構成 (2015年8月現在、試験機含め28機が軌道 上で運用中) 日本: QZSS(試験運用中) 中国:BeiDou(北斗)(運用中) (Quasi- Zenith Satellite System : 準天頂衛星システム) システム構成 準天頂軌道: 3機、静止軌道: 1機 (2015年現在1機運用中、2018年に4機体制、 2023年ごろ7機体制に拡張予定) (BeiDou Navigation Satellite System ) システム構成: 静止衛星5機、中高度軌道衛星30機 (2012年末に第2世代のシステムを完成し、地域サービス を開始。2015年から第3世代衛星の打上げを開始。2015年 8月現在第2世代14機、第3世代1機を運用中) 欧州:Galileo(整備中) インド:IRNSS(整備中) システム構成 : (Indian Regional Navigation Satellite System) システム構成: 静止衛星3機、地球同期軌道衛星4機 (2013年に最初の衛星を打上げ、全体システムを2016 年頃までに整備予定。2015年8月現在4機が運用中) 3軌道面×各10機の計30機の衛星で構成 (2015年12月現在、12機運用中。うち3機が利 用可能、2機は運用軌道投入に失敗後、利用 について検討中。2016年から初期運用を開 始、整備完了は2020年ごろのの予定。) 15 4.GPSからGNSSへ • 複数GNSSによる利用可能衛星数の増加 Visible satellite number (mask angle 30 degrees) 2020: GPS(32)+ Glonass(24)+ 10 Galileo(30)+ 15 BeiDou(35)+ 20 25 QZSS(4)+ 30 IRNSS(7)+ SBAS(13) 35 16 2020年ある日の東京の空 17 4.GPSからGNSSへ • 都市環境における複数GNSS利用の効果 反射波やマルチパス優勢な信号が識 別、除外できれば10cm以下の高精度 測位利用が可能に 交差点歩道上でも良好な 水平方向DOP 直接受信可能な信号だけで も十分な数の衛星からの信 号が受信可能 18 5.高精度測位技術(衛星測位の精度向上) 衛星測位の精度向上技術の種類(概略) 単独測位 コード位相測位 単独測位 ・誤差10m程度 ・携帯電話、カーナビなど ・安価なコンシューマ受信機 相対測位 ディファレンシャルGPS等 ・地上基準点利用 ・誤差1m~数m程度 -中波ビーコン(海上保安庁) -SBAS(日本ではMSAS:航 空局) ・小型の受信機 搬送波位相測位 単独搬送波位相測位(Precise RTK等 (基本的には2周波 Point Positioning:PPP) ・地上基準点が必要 で使うことが多い) ・地上基準点によらず精密測 -近傍の基準局 位が可能 -ネットワーク型(VRSなど) ・誤差:数cm-10cm ・誤差数cm程度 JAXAの研究開発 ・測量用のハイエンドな受信機 ただし、収束性・初期化時間に のターゲット 課題あり(30分以上) ・測量用のハイエンドな受信機 +試験用受信機 19 5.高精度測位技術(衛星測位の精度向上) 単独搬送波位相測位(PPP) cm級の測位精度が可能な精密測位方式 従来から使用されているRTK方式等とは異なる測位手法 搬送波のアンビギュイティを整数解まで求める方式はPPP-ARと呼ばれる 主な誤差源 RTK方式 PPP/PPP-AR方式 ①衛星軌道・時計 ②電離層遅延 ③対流圏遅延 基準局 ④雑音・マルチパス 基準局との相対位置を推定 基準局間・衛星間との二重位相差により誤差 ①②③を低減(5衛星以上の可視が必要) 一周波もしくは二周波観測 cm級測位精度 絶対位置を推定 精密な軌道・クロックを利用 二周波観測で②をキャンセル 推定・モデル等により誤差③を低減 cm級(PPP-AR)~dm級(PPP)測位精度 20 6. 高精度測位技術(MADOCAの開発) MADOCA: “Multi-GNSS Advanced Demonstration tool for Orbit and Clock Analysis” • 複数GNSS対応の精密軌道クロック推定ソフトウェア – GPS, GLONASS, QZSS, Galileo and BeiDou – 軌道、クロックオフセット、コード/搬送波位相バイアス、電離層遅延、対流圏遅 延量等の推定 – 後処理、リアルタイム推定系 • 軌道推定とハイレートなクロック推定を別フィルタで実施処理負荷を分散 – 最新の物理モデル実装、太陽輻射圧モデルの改良 • みちびき打上げ後、複数GNSS時代の到来を睨み2011年より開発着手。 – 第1フェーズ(2011-2013):GPS、GLO、QZS • 後処理最終暦で世界一の精度達成 – 第2フェーズ(2014-2015):GAL、BDS追加、PPP/PPP-AR向け機能追加 • 搬送波位相初期バイアス推定(Fractional Cycle Bias FCB) • ローカル補正情報生成機能(電離層、対流圏遅延量推定) 21 6. 高精度測位技術(衛星測位の精度向上) • MADOCA開発のモチベーション – 複数GNSS時代の到来 • アジアは衛星測位利用のホットスポット – アジア地域=巨大なマーケット • アジア・オセアニア地域全域で使える補強サービス – LEX信号利用 • 伝送容量の制約(1.7kbps)から効率的な補正情報 配信が必要 JAXAのアプローチ: グローバルで使用できる補正情報を衛星から優先的に送信 ローカルでしか使えない情報は地上回線でローカルに配信 22 6. 高精度測位技術(MADOCAの開発) S/W Architecture Data Interfaces MGM -Net Real-Time I/F Parameter Estimator Data Interfaces MGRTE LMG EKF RTCM, BINEX, Javad IGS etc RINEX, SP3, ERP QZSS MCS LEX MT 12 MGEST Offline DL MGPLOT LSQ MADOCA API 23 6. 高精度測位技術(MADOCAの開発) • MADOCA-PPP実証実験システム(MADOCA-SEAD)概要 BeiDou インターネット配信 24 6. 高精度測位技術(MADOCAの開発) MGM-net整備状況(H27.12月末現在) ★ 「みちびき」監視局 ■ データ共有機関の監視局 ▼ 二機関間協定に基ずくデータ共有局(JAXAと当該機関間のみ) ● JAXA所有受信機ホスト局 ▲ 二機関間協定に基ずくデータ共有局(全参加機関間で共有) ■ 運用中 (93局) ■ 建設中 (3局) ■ 運用休止中 (7局) ■ 設置交渉中 (20局) 25 6. 高精度測位技術(MADOCAの開発) • 後処理軌道クロック推定 1m -1m GPS 使用観測データ IGS観測局(147局)+QZSS モニタ局(8局)、計155局 評価期間: 2014/8/3~8/9 (7日間) ツール: MADOCA Ver.0.6.5 GNSS Along-track Cross-track Radial GPS 1.04cm 1.1cm 2.19cm GLONASS 3.78cm 3.57cm 1.48cm 軌道推定結果(IGS最終暦比較:rms) GLONASS 26 6. 高精度測位技術(MADOCAの開発) • 後処理PPP(定点解析) 使用暦: MADOCA最終暦 GNSS: GPS+GLONASS+QZSS 解析ツール: RTKLIB Ver2.4.2 解析方法: PPPキネマティック(forward) 価期間: 2014/8/5~8/9 (5日間) 参照値: IGS最終暦を用いたPPPスタ ティック解析結果 観測地点 QCRJ(つくば) GMSD(増田) SGOC (シンガポール) OUS2 (ニュージーランド) GPS+GLO+QZSS 水平(rms) 垂直(rms) QCRJ(つくば) 3.6 cm 5.9 cm GMSD(増田) 3.4 cm 8.0 cm SGOC(シンガポール) 3.2 cm 5.8 cm OUS2(ニュージーランド) 2.7 cm 4.1 cm 後処理PPP解析結果(IGS最終暦を用いたPPPstatic 解析結果との比較:rms) 27 6. 高精度測位技術(MADOCAの開発) • リアルタイム軌道クロック推定 2m MADOCA Real-time orbit estimation result with regard to IGS Rapid and IGV (During 2015/05/11-17 (7 days)) A C R Real-time data stream from 80 sites were used. Along Cross Radial GPS 3.7 3.8 3.4 GLO 8.7 8.9 3.7 2m GPS orbit vs. IGR A C R Glonass orbit vs. IGV 28 27 6. 高精度測位技術(MADOCAの開発) • リアルタイムPPP(定点解析) 0.2m E UCAL7 RMSE 4.89 -0.2m N 4.06 U 6.28 E WTZ27 4.59 N 2.91 U 6.69 (m) (cm) Kinematic PPP with MGRT1, GPS Week 1811 (2014/9/21 - 27) 29 6. 高精度測位技術(MADOCAの開発) • PPP初期収束時間 水平方向 垂直方向 精度評価を実施した4局の観測データ(期間:8/5~8/25)において、開始タイミングを変えて繰 り返しリアルタイムPPPを実施、収束時間を評価 95%で20cm精度への到達に約40分程度(衛星配置や周辺環境にもよるが、オープンスカイ に近い環境でも30分程度の収束時間が必要) 初期収束時間短縮は、特に移動体での利用には大きな課題 30 6. 高精度測位技術(MADOCAの開発) • 技術課題 – リアルタイム測位精度改善 • 現状: 10cmオーダー • 農機や建機自動化では数cm精度要求あり • アンビギュイティ整数化による精度改善 – 初期化時間短縮 • 現状: 30分~40分 • 要求: 1分以内 • 複数GNSS利用による衛星数増、新周波数帯信号利用 • ローカル補正情報の利用 31 6. 高精度測位技術(MADOCAの開発) • アンビギュイティ整数化(Ambiguity Resolution:AR)による 精度改善効果(後処理解析例) • MADOCAによって衛星の搬送波初期位相バイアスを推定、PPPARに使用 • PPP-AR使用暦: MADOCA最終暦 最終暦を用いた後処理解析で 評価対象9局におけるARによ る精度向上を確認 オープンスカイにもかかわ らずFIX率が低い(90%以 下)局もあり改善要 32 6. 高精度測位技術(MADOCAの開発) • ローカル補正による収束時間短縮の効果(後処理解析:2014/09/03~ 2015/05/16) • 電離層活動状況が異なる3つのエリアにおけるローカル補正情報(スラント 方向総電子数(STEC)/衛星ごと+垂直方向対流圏遅延量(ZTD)利用の効 果を後処理で評価 1つの評価点に対し周辺の3つの電子基準 点で網を構成し、電子基準点で得られた補 正量を内挿して適用 ローカル補正生成用の基準点の間隔は 25Km~61Km 使用暦:MADOCA最終暦 15分ごとに1時間分の解析を実施、各1分 間のRMS値がクライテリアに達した場合収 束したと判定 region 2 北海道 region 1 関東 region 3 沖縄 33 Summary 6. 高精度測位技術(MADOCAの開発) ローカル補正による収束時間短縮の効果(後処理解析:2014/09/03 ~ 2015/05/16) Region 1(関東) Region 2(北海道) Region 3(沖縄) 水平方向誤差が6cmに達するまでの時間(1日93ケース(RMS)) 垂直方向誤差が10cmに達するまでの時間(1日93ケース(RMS)) 98.0 % 94.9 % 90.4 % 水平方向誤差が6cmに達するまでの時間ヒストグラム 最終暦を用いた後処理解析により、ローカル補正情報の効果を確認 34 6. 高精度測位技術(MADOCAの開発) 今後の課題 • Galileo、BeiDouの軌道クロック推定精度の向上 – 衛星のモデル改良、チューニングが必要 • BeiDouの第3世代信号、GPS-III衛星など新しく打ち上げら れる衛星のチューニング期間短縮 – 精密物理モデルの導入 • PPP-ARのFIX率改善、ミスFIXの除去 – リアルタイム暦の精度改良、反射波、マルチパス優勢信号の識別除 去アルゴリズム開発 • リアルタイムでのPPP-AR、ローカル補正情報による収束時 間短縮効果の検証・評価 • センサ統合と動的フィルタ • ジャミング、成りすまし対応 など 35 7. PPP/PPP-ARの応用 • 地上インフラ未整備地域、洋上でも精密測位が利用可能な ためその特性を活かした応用利用 農機自動走行 防災・減災(津波監視ブイ) 鉱業機械自動化 洋上プラットフォーム 建設・変位監視 車両自動走行 数値天気予報 36 MADOCA-PPPを用いた実験例 自動走行による『スマートチャージング』デモ 農機自動走行 DENSO/NEC/JAXA共同実験 北海道大学/JAXA共同実験 津波計測用ブイの精密測位 測位信号による可降水量推定 都市環境下での低速移動体測位 日本大学/JAXA共同実験 日立造船/ JAXA共同実験 京都大学/JAXA共同実験 JAMSTEC/東北大 /JAXA共同実験 37 MADOCAプロダクトインターネット配信 • 目的=実証・利用機会の拡大 – LEX受信機が無くてもMADOCA-PPPの利用が可能 – みちびきの不可視時間帯でも実験が可能 • みちびき打上げ4周年にあたる2014年9月11日から配信を開始 • NTRIP Casterを用いたデータ ストリーム(RTCM-SSR)を2 チャンネル – 使用条件に合意、申請すれ ば、アカウントを発行 – 研究・開発用途無償利用可能 https://ssl.tksc.jaxa.jp/madoca/public/public_index_en.html 38 8. まとめ • 衛星測位技術 – 4つ以上の衛星からの信号を受信、衛星受信機間の距離 を計測、測位演算により正確な三次元位置(X,Y,Z)と時刻 (T)を計算 – ユーザ測位精度はDOP×測距精度で決まる – 軌道・クロック・電離層/対流圏遅延、マルチパスなどの誤 差を低減することが高精度化への鍵 – 相対測位、絶対測位 • GPSからGNSSへ – 2020年には140機以上の測位衛星が利用可能に – アジア地域は特に利用可能な衛星数が多い環境 – 都市部など従来衛星測位が使えなかったエリアでのアベイ ラビリティと性能が大きく改善 39 8. まとめ • MADOCAとPPP/PPP-AR技術の研究開発 – 複数GNSS対応の精密軌道クロック推定ソフトウェア – PPP後処理で水平/垂直方向誤差10cm以下(rms)、リアル タイムでも10cmオーダーの水平精度を達成 – PPP-ARによる精度向上とローカル補正情報を用いた初期 化時間短縮の効果を精密暦を用いた後処理解析で確認 – 課題はリアルタイム、実環境下(特に移動体)でのアンビ ギュイティFIX率向上と、初期化時間短縮 • MADOCA暦のリアルタイム配信 (https://ssl.tksc.jaxa.jp/madoca/public/public_index_en.html) →LEX受信機がなくてもインターネットからMADOCA暦を受信、 高精度測位を試用可能 40 いつでも、「どこ」が正確に。 準天頂衛星システム(QZSS) 準天頂衛星初号機「みちびき」 ご清聴ありがとうございました 小暮 聡 宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門 衛星測位システム技術ユニット E-mail:[email protected]
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