土壌 の 物理 性 第6 5 号 p. 2 9 ∼3 3 (1 9 92 ) 恒二二可 農 業 生 態 系 か ら放 出 され る含 硫 ガ ス 陽 捷 行 E m is 由o n o f B io g・e n ic S u lfu r G a s 朗 fr o m A g・r ic u lt u r a l L a n d K a tsuyu k i M IN A M I D iv isio n o f E n v ir o n m e n ta l P la n n in g N a tio n a l In s titu te o f A g ro − E n v ir o n m en ta l S c ie n c e s S um m ary I n te re st in th e a t m o sp b e ric s u lfu r (S ) b u d g et h a s d ev e lo p e d r a p id ly b ec a u se a n tb ro p o g e n ic a c tiv it ie s a re i n cr e a sin g t h e ra te s o f e m is sio n o f S g a s es in to th e a tm o sp h e re・T h e se in c r ea se a r e im p o rta n t b e c a u se S g a se s a re o x id iz e d in th e a tm o s p h e re w ith fo m a t io n o f s u lfa te ,tb e r e su ltin g c o n trib u te s to e n v ir o n m e n t p ro b lem s a ss o c ia te d w ith a c id r a in・ T h e re a ls o is e v id e n c e th a t S g a s e s m a y a lte r th e o p tic a l p ro p e rtie s o f c lo u d s a n d W h ic h c o u ld a ffe ct g lo b a l c lim a te . L a rg e u n c e rta in tie s r e m a in c o n c e rn in g th e c h em ic a l s p e c ia tio n a n d th e m a g n itu d e o f n a tu ra l e m issio n o f S g a se s to th e a tm o s p h e r e・I t h a s b ee n w e ll d o cu m e n te d th a t d im e th y ls u lf id e (D M S )is m o st im p o r ta n t in o c ea n , W h ich h av e been estim ated to con trib ute 40 T g or 15 T g S to the atm osph ere a s S g ases ea ch year.T h e ann ua l a m o u n ts o f S ev o lv e d fr o m s o il h a v e b ee n e stim a te d to b e 7 to 7 7 T g S・ V e ry little is k n o w n c o n c e rn in g e m i弘io n s f ro m p a d d y f ie ld ,W h ic h a re a b u n d a n t in m a n y p a r ts o f tb e w o r ld . T h e p u rp o s e o f tb is r e p o rt is to s u m m a r iz e th e r es u lts o f r ec e n t m e a su re m e n ts o f em iss io n s o f b io g en ic S g a se s f ro m r ic e p a d d ie s in J a p a n・ E m is sio n s w e re m ea su r e d in la b o r a to r y stu d ie s to le a rn m o re a b o u t tb e k in d s a n d S O u rC e S O f S g a s es p r o d u c e d・ E m is sio n s w e re m e a s u r ed in p a d d y ly sim e te rs a n d in p a d d y fie ld s to g a in b e tte r i n fo rm a t io n a b o u t th e a m o u n ts o f D M S・ C a rb o n y l su lfid e (C O S ) ,a n d c a rb o n d isu lfid e(C S 2)e m itted ,th e s e a s o n a l a n d d iu m a l p a tte rn s o f e m iss io n・ a n d th e fa ct o rs a ffe ct in g e m iss io n s o f th e se g a se s u n d e r fie ld c o n d itio n s . K e y w o「 d s 二S − C O n ta in in g G a s ,C a r b o n D is u lfid e ,D im e th y l S u lfid e ,C a r b o n y l S u lfid e ,F lu x (S o il P h y s .C o n d .P la n t G ro w th ,J p n リ6 5 , 2 9 − 3 3 , 19 9 2 ) 1 .は じ め に ま た , こ れ ら の イ オ ウ成 分 ほ 大 気 中 で は 主 に エ ア ロ ゾ ル と して存 在 して い るが, エ ア ロ ゾル は雲 核 と して雲 の 形 石 炭 や石 油 な どの化 石 燃 料 の消 費 量 の増 加 と ともに, 二酸 化 イ オ ウ(S O 2) と し て 大 気 へ 放 出 さ れ る イ オ ウ の 量 が増 加 し て い る。人 為 起 源 の イ オ ウ の 大 気 へ の 放 出 量 は , 化石 燃 料 の 燃 焼 お よ び 工 場 か ら の 排 出 物 な ど を 含 め て 年 間約 8 0 T g (T g = 10 12g ) と推 定 さ れ て い る 1) 。・大 気 に 放 出さ れ た こ れ らの イ オ ウ 成 分 は 雨 水 に 溶 解 し 耐 酸 イ オ ン とな り,酸 性 雨 と し て 環 境 汚 染 の 原 因 物 質 と な っ て い る 。 成 に 寄 与 す る。 こ れ ら の 要 は 太 陽 光 線 を 反 射 す る の で , 地表 に 到 達 す る 太 陽 エ ネ ル ギ ー 量 を 減 少 させ る 役 割 を も つ て お り,太 陽 か ら の 照 射 量 を 減 少 さ せ る可 能 性 が あ り, そ の 結 果 気 候 変 動 に も 影 響 を及 ぼ す こ と に な る 2) 。 イオ ウ の大 気へ の放 出源 に は, これ らの人為 起 源 の ほ かに 自然 起 源 と し て 火 山 噴 火 , 海 洋 お よ び 陸 生 起 源 の 含 硫ガ ス が あ る 0 火 山 か ら の 放 出 量 は 年 間 3 T g (10 12g ) と推 定 さ れ て お り,S O 2 が 主 で ,そ れ 以 外 に 硫 化 水 素(H 2 農業 環 境 技術 研 究 所 〒 30 5 つ くば市 観 音 台 3 −1 −1 キー ワ ー ド :含 硫 ガ ス , 二 硫 化 炭 素 , ジ メ チ ル サ ル フ ァ イ ド, カ ル ポ ニ ル サ ル フ ァ イ ド, フ ラ ッ ク ス S )が 少 し含 ま れ る 3) 。 海 洋 か ら放 出 さ れ る含 硫 ガ ス の ほ と ん ど は ジ メ チ ル サ ル フ ァ イ ド(C H 。S C H 。= D M この 放 出 量 は 年 間 4 0 T g ま た は 15 − 1 6 T g S )で , とも見積 られ 3 0 土壌 の物 理 性 第 65 号 (1992) てい る4・S) 。 陸 生起 源 の イオ ウ の大 気 へ の放 出 量 につ いて 酸イ オ ン の 雨 水 に よ る 湿 性 沈 着 物 と し て 地 上 に 遭 え る 。 は土 壌 , 植 生 , 河 川 , 海 岸 湿 地 帯 お よ び 湖 招 な ど の 個 々 のデ ー タ ほ あ る が , ま だ は っ き り し た全 体 の 見 積 が 行 わ 3 .土 壌生 態 系 にお け る含硫 ガ スの 生成 メ カ ニズ ム れて い な い 。 IP C C (気 候 変 動 に 関 す る 政 府 間 パ ネ ル ) は こ れ ら の 放 出量 を 発 生 源 別 に ま とめ た (表 1 )6) 。 これ に よ る と,含 硫ガ ス の 大 気 へ の 放 出 量 の 約 4 割 は 自 然 起 源 で あ り, 人 土 壌 に 含硫 化 合 物や 各 種 の 有機 物 を添加 す る と, 含硫 ガス が 検 出 さ れ る 8−15) 。こ れ ま で ,土 壌 生 態 系 で は 6 種 類 の含 硫 ガ ス(H 2S ,C O S , C S 2, メ チ ル メ ル カ ブ タ ン(C H 3 為起 源 の 8 分 の 1 は 土壌 や 陸 上植 物 に由 来 す る。 この推 S H ),C H 3S C H 3,ヂ メ チ ル ヂ サ ル フ ァ イ ド( C H 3S S C H 3 = 定値 に は , 不 確 定 な 要 素 が 多 く含 ま れ て い るが , 現 在 の D M D S )が 生 成 され , そ の一 部 は 大 気 に放 出 され て い る と こ ろ も っ と も確 信 で き る 値 で あ ろ う。 こ の 値 は , デ ー こ と が 明 ら か に さ れ て い る 16) 。生 成 メ カ ニ ズム の 詳 細 に つ タ の 蓄 積 と と も に 今 後 成 長 して い く も の で あ ろ う。 い て は ,神 田 の 報 文 17)を参 照 さ れ た い 。こ こ で は 概 略 を 紹 こ こでは , 大気 中 での含 硫 ガ スの 挙動 , 農 業生 態 系 と くに 土 壌 生 態 系 で 生 成 さ れ る含 硫 ガ ス の 生 成 メ カ ニ ズ ム 介す る。 1 )硫 酸 還 元 お よび H 2S の生 成 :硫 酸 塩 の還 元には異 およ び 農 業 生 態 系 か らの 含 硫 ガ ス の 放 出 量 に つ い て 述 べ , 化と同化 が あ る。 異化 的 硫 酸還 元 では ,硫 酸塩 は 有機 物 世界 の 水 田 か ら の 硫 黄 の 放 出 量 を 推 定 す る。 の嫌 気 的 酸化 に 対 す る電 子 受容 体 とな る。 こ の過 程 は イ オ ウ 還 元 菌 に よ っ て 行 わ れ , 有 機 物 と硫 酸 塩 を 含 む 無 酸 素環 境 で は 一般 的 な現象 で あ る。 水 田お よび湖 沼 な どの 2 .含硫 ガ スの 大 気 での 挙 動 還 元 的 な 環 境 条 件 で 生 成 さ れ る こ と は 古 くか ら知 られ て イ オ ウ の 大 部 分 は 岩 石 圏(2 4 .3 × 10 18kg S )に 含 ま れ る0 い る。同 化 的還 元 は動 物 以外 の 全 て の生 物 で行 わ れ る0 大 気 圏 (4 .8 × 10 9k g S ) お よ び 土 壌 圏 (2・6 ×1 0 14) に 存 例 えば, 硫 酸塩 ほ シ ステ イン な どの含 硫 ア ミノ酸 に 同化 在 す る イ オ ウ は き わ め て す く な い が , 自然 界 で の イ オ ウ さ れ る。 土 壌 に ン ス テ イ ンや シ ス テ ン を 添 加 す る と H 2S の 循 環 に は 重 要 な 役 割 を は た し て い る。 特 に , 大 気 圏 へ の 含 硫 ガ ス の 放 出 は 植 物 を 含 め た 土 壌 圏 が 強 く関 与 し て が 生 成 さ れ る 。こ れ は シ ス テ イ ン が 分 解 し た 結 束 で あ る 。 反応 は 次 の 式で 示 され る。 H S C H 2C H (N Ii 2)C O O H + H 20 → い る。 含 硫 ガ スは一 般 に 活性 が 高 い ため , 大 気 で の滞 留 時 間 (シ ス テ イ ン ) ・ H 2S + C H 3C O C O O H 化 カ ル ポ ニ ル (C O S ) で , 濃 度 範 囲 は 10 0 − 5 6 0 p p t で あ +N H 3 (ピ ル ビ ン酸 ) が 短 い。 もっ とも高 い 濃度 で大 気 中 に存 在 す るのは ,硫 2 ) D M S :土 壌 に メ チ オ ニ ン を 添 加 す る と D M S が 生 る 。こ の ガ ス は 16 0 日 と い う 比 較 的 長 い 滞 留 時 間 を有 す る 成 す る 。こ の こ とか ら,メ チ オ ニ ン の 分 解 産 物 が D M S で の で , 成 層 圏 ま で 移 行 し た あ と は S O 2に 酸 化 さ れ る0 二 あ る こ とが解 る。 メチ オニ ンは 硫 化 炭 素 (C S 2) の 濃 度 は , 7 0 − 3 7 0p p t の 範 囲 に あ り, 光 化 学 反 応 で C O S と S O 2に 変 化 す る 。C O S の 一 部 は H 2 S に変 化 す る。 D M S は大 気 中 で約 58ppt の 濃度 で 存在 す る。 こ の ガ ス は ,酸 化 さ れ S O 2や 硫 酸 イ オ ン と な る が , A T P と反応 して デ ノ シ ル メ チ オ ニ ン (S A M ) を 生 成 す る 。 S A M S ∵ア か ら メ チ オ ニ ン に メ チ ル 基 が 転 移 す る と, S −メ チ ル メ チ オ ニ ン が 生 成 さ れ る。 こ の 化 合 物 は D M S の 前 駆 物 質 と考 え ら れ て い る。 反 応 は次 式 で 示 され る。 C H 3S C H 2C H 2C H (N H 2)C O O H ( メ チ オ ニ ン ) 一 部 は メ タ ン ス ル ホ ン 酸 に 変 わ る 7) 。 こ の よ うに ,S O 2に 変 化 し た イ オ ウ は 乾 性 沈 着 ま た は 硫 → S −ア デ ノ ン ル ー メ チ オ ニ ン(S A M ) →C H 。 S(C H 3)C H 2C H 2C H (N H 2)C O O 一 (S 一メ ナ ノ レ メチ オニ ン) 表− 1 大 気 中 の含 硫 ガ ス の発 生源 の推 定 人為 (お もに 化 石 燃 料 の 燃 焼 に よ る S O 2) バイ オ マ ス 燃 焼(S O 2) 海洋(D M S ) 火山(H 2S , S O 2) 合 計 ン) 3 ) C H 3S H お よび C H 3S S C H 。=D M D S :土 壌 に メチ オ ニ ン を添 加 す る と C H 。 SH C H 3S H お よ び D M D S が 生 成 す る。 は メ チ オ ニ ン か ら 生 成 さ れ る 0 ま た ,C H 3S H は 酸 化 す る と D M D S に な る 。 反 応 は 次 式 で 示 さ れ るo C H 3S C H 2C H 2C H ( N H 2)C O O H ( メ チ オ ニ ン ) 1 土壌 と植 物(H 2S ,D M S ) 発生量 ( T g S /y r) 07 7 O O n U 源 8 4114 発生 → C H 3 S C H 3+ C H 2(O H )C H 2C H (N H 2)C O O H (ホ モ ゼ ノ → C H 3S H + C H 3C H 2C O C O O H (α−ケ トブ ナ ル 酸 )+ N H 3 →CH 。 SSCH 。 3 1 報文 :農 業 生 態 系 か ら放 出 さ れ る 含 硫 ガ ス 4 ) C O S お よび C S 2 :各 種 含硫 化 合物 を土壌 に添加 し い 23) 。 有 機 質 土 壌 か ら は , D M S , C O S お よ び H 2S が 多 た結 果 ,C O S は 含 硫 ア ミ ノ酸 で あ る シ ス チ ン , シ ス テ イ く, 湛 水 土 壌 で は C S 2が 多 い と い う報 告 が あ る 24) 。 これ ン, ラ ン チ オ ニ ン お よ び ジ ュ ン コー ル 酸 , さ ら に チ オ シ ま で の 報 告 を総 合 す る と, 土 壌 か ら の 含 硫 ガ ス の 放 出 量 アン 酸 か ら生 成 す る こ とが 明 らか に な っ て い る 。C S 2は シ は, 単 に 地 温 と の み 関 係 す る の で は な く, 植 物 の 生 育 過 ステ ン , シ ス テ イ ン , ラ ン チ オ ニ ン , ジ ュ ン コ ー ル 酸 お 程に 伴 う土 壌 微 生 物 の 活 性 と も 関 係 し て い る も の と考 え よ び チ オ硫 酸 塩 か ら生 成 す る。 一 方 , 海 水 表 面 で は C O S られ るが , 詳細 は今 後 の研 究 に待 ち た い。 は含 硫 有 機 化 食 物 と光 反 応 に よ っ て 生 じ る と考 え ら れ て 土 壌 か ら放 出 さ れ る含 硫 ガ ス の , こ れ ま で の 推 定 結 果 おり16) ,土 壌 で も 同 様 な 可 能 性 が 考 え られ る 。ま た ,無 生 を表 3 に 示 し た 印 6) 。放 出 量 は 5 か ら 7 7 T g S の 範 囲 に あ 物的 な 反 応 で C S 2か ら生 成 さ れ る可 能 性 も あ る 。 る。 こ の 値 の 精 度 を 高 め る た め の 研 究 が 今 後 必 要 で あ ろ 以 上 の 結 果 を 表 2 に ま と め た 11) 。な お ,土 壌 中 で の 存 在 量が き わ め て 少 な い 含 硫 化 合 物 に つ い て は 省 略 し た 。 詳 う 。 こ れ ま で の 研 究 は , ほ とん ど が 畑 に 関 す る も の で あ っ た。 し た が っ て , わ れ わ れ は 水 田 か ら 放 出 さ れ る 含 硫 ガ し くは 文 献 12 ̄15)を 参 照 さ れ た い 。 スに つ い て の 研 究 を こ れ ま で 行 な っ て き た 。 4 .点 菓生 態 系 か ら放 出 され る含硫 ガ ス 水 田 か ら放 出 さ れ る ガ ス と し て ,ま ず H 2S が 考 え ら れ るが , こ の ガ ス は 土 壌 中 の 二 価 鉄 な ど と容 易 に 化 学 反 応 農 業 生 態系 に お いて は, 土 壌 お よび植 物 か ら含 硫 ガ ス が放 出 さ れ る 。 をお こ す 上 , 水 に 溶 解 し 易 い 。 し た が っ て , 遠 元 状 態 で 生成 し た H 2S が 大 気 に 放 出 され る 可 能 性 は き わ め て 少 な 1 )植 物 :植 物 体 内 で は, 含 硫 ア ミノ酸 の代 謝 産物 と し て 含 硫 ガ ス が 生 成 す る。植 物 か ら放 出 さ れ る ガ ス に H 2 S が あ る。 こ の ガ ス の 放 出 は 光 に 依 存 す る た め , 暗 条 件 での 放 出 量 は 少 な い 。陸 上 植 物 か ら放 出 され る H 2S 量 は , いと考 え て さ し つ か え な い で あ ろ う 。し か し水 臼 の 場 合 , 排水 に よ り 田 面 水 が 消 失 した と き に H 2S が 放 出 す る 可 能 性は あ る が , 現 在 の と こ ろ そ の よ う な 測 定 例 は な い 。 著 者 らは, ラ イシ メー タお よ び沖積 水 田か ら放 出 さ れ 7 .4 か ら5 4 T g S と推 定 さ れ て お り19・20) ,推 定 帽 が 大 き い 。 L o v e lo c k ら21)は ,樹 木 か ら D M S が 放 出 さ れ て い る こ とを 最 初 に 発 見 し た 。 植 物 か ら 発 生 す る 主 要 な ガ ス は D M S で あ る 。 トウ モ ロ コ シか ら は D M S が , ア ル フ ァ 表− 3 土 壌 か ら放 出 さ れ る含 硫 ガ ス (T g S /y r) 77 J u n g e(1 9 63 ) 7 0 生が 認 め ら れ る 。 こ れ らの 作 物 か ら の フ ラ ッ ク ス は 6 0 か R o b in s o n & ら50 0 n g S k g 】1の 範 囲 に あ る 22) 。 そ の 他 ,樹 木 か ら の 放 出 R o b b in s(1 9 6 8) 量の 研 究 も あ る 。 詳 し くは 文 献 17)を 参 照 さ れ た い 。 F rien d(19 7 3 ) ごU 885 E rik ss o n(19 6 0 ) ルフ ァ や コ ム ギ か ら は D M S , C H 3S H , H 2S や C S 2の 発 R ya bo sh a pk o(1983 )1 7 ( 5 −3 2 ) M o lle r(1 9 84 ) S m ill(19 8 5 ) 35 6 5(3 0 −8 0 ) W arn eck(1988) 7 5 植 物 か ら発 生 す る含 硫 ガ ス に影 響 を及 ぼ す 主要 な環 境 I P C C(1990) 1 0(含 植 物 ) G r a n a t e t a l. (1 9 7 6 ) 因子 は , 光 と温 度 で あ ろ う 。 2 ) 土 壌 :土 壌 か ら も っ と も 多 く発 生 す る ガ ス は , こ れま で H 2S によ る と ,発 生 量 の も っ と も 多 い ガ ス は C O S また は D M + 一 一 化成区 無窒素区 稲 わ ら+化 成 区 合計 一 一 一 + 一 合計 収穫後 854 120 651 325 323 001 001 435 無窒 素 区 一 化成 区 稲わ ら 十化 成 区 一 一 一 一 + 一 十 C S2 一 稲わ ら + 化 成 区 一 一 十 一 + 一 十 + 一 チオ ン ア ン酸 塩 + シス テ イ ン 一 + シス ナ ン 一 + メチ オ ニ ン 一 + チオ硫 酸塩 化成 区 無窒素 区 H 2S COS CH2SH(CH3)2S CS2(CIi3)2S2 一 C OS 硫酸 塩 化成 区 無窒素 区 稲わ ら + 化 成 区 土 壌 で 生 成 さ れ る 含 硫 ガ ス と そ の 主 な起 源 栽培 期 間 634 231 429 295 000 001 000 102 D MS 発生 量(mg S /m コ ) 処理区 220 311 222 130 323 000 000 323 ガス 無 機 質 土 壌 に 比べ て, 有 機 質 土 壌 か らの 放 出 量 は 多 化合 物 竜 ヶ 崎 沖 積 水 田 か ら発 生 す る 含 硫 ガ ス S のよ う で あ る 23) 。 表一 2 表− 4 と考 え ら れ て き た 。 しか し ,最 近 の 測 定 結 果 32 土壌 の 物 理性 第 65 号 (1992) る D M S ,C O S お よ び C S 2 の フ ラ ッ ク ス を 3 年 間 測 定 し, 一定 の 成 果 を 得 た 17・25− 26) の で そ の 結 果 の 一 部 を 紹 介 す る。 茨城 県 竜 ヶ崎 市 の沖 積 水 田の化 成 区, 無 窒素 区お よび 化成 区 +稲 わ ら 区 か ら の D M S , C O S お よ び C S 2発 生 量 を 表 4 に 示 し た 。 D M S , C O S お よ び C S 2の 年 間 発 生 量 は,そ れ ぞ れ 2 .5 か ら3 . 8 ,一 0 .1 か ら 1 .0 お よ び 0 .5 か ら 1 . 1 su lfid e in t h e s u r f a c e o c e a n a n d t h e sp h ere ;A g h b a l v ie w ,S c ien c e ,2 2 l, 7 44 1 74 7 (19 83 ) 5 ) E r ic k so n ,D .J リS .J .G h a n a n d J .E .P en n er :G lo b a l o c e a n・tO − a tm O Sp h e re p h ys .R e s. ,ミ 札 6 ) d i m e t h y l s u l f i d e f l u x , J 75 43【 75 52 (199 0 ) H ou g h to n ,J .T . ,G .J .J en k ins a n d J.J .E p h h r au s 二 C lim a te ch a n g e,T h e IP C C S cien tific A ss essm en t, 1 m g S /が の 範 囲 で あ っ た 。 全 世 界 の 水 田収 穫 面積(1 4 8 ×10 6h a ,世 界 の耕 地 面積 の 9. 5 % に 相 当 )と, こ こ で 得 ら れ た 偉 か ら 計 算 す る と , 世 行の 水 田 か ら年 間 当 り0 .0 0 4 か ら0 . 0 1 T g の イ オ ウ が ,ガ 一 紙 Ch am bridge U niv.P ress,N ew Y ork(1990) 7 ) S ze ,N ,D .a n d K .W .K o :P h o to ch e m is tr y o f C O S , C S 2,C H 3S C H 3 a n d H 2 S : I m p l i c a t i o n s f o r t h ス と して 大 気 に 放 出 さ れ て い る と推 定 さ れ る。も ち ろ ん , sp h eric s u lfu r c y cle ,A tm o s .E n v iro n . ,14, 1 22 3 】 12 39 こ の 推 定 値 は 始 め て の 試 み で あ る か ら , 今 後 多 くの デ ー (1 9 8 0 ) タ を も と に 改 訂 さ れ る 必 要 が あ る こ とは い う ま で も な い 。 8 ) B a n w a rt,W .L .a n d J .M .B re m n e r 二F o rm atio n o f 推定 値 は つ ね に 成 長 す る もの で あ る。 こ の 値 は , 他 の 発 v o la t ile s u l f u r c o m p o u n d s b y m i c r o b i a l d e c o m p o s ト 生源 の 放 出 量 と比 較 す る う え で 意 味 の あ る数 字 で あ る と tio n 考え る 。 B io l.B ioc h e m . , 7 , 35 9− 36 4 (19 7 5) o f s u l f u r ・ C O n t a i n l n g a m i n o a c i d 9 ) B a n w a rt,W .L .a n d J .M .B rem n er :Id e n tific a tion 5 .お わ o f su lfu r g a ses ev o lv ed fr o m り に an im a l m a n u re ,J .E nv i− r o n .Q u a lity , 4 , 33 63 − 33 6 6 (19 75 ) 現在 の 地 球 の気 候 を維 持 す るた め に は, 二酸 化 炭 素 , 1 0 ) B a n w a rt,W .L .a n d J .M .B r em n e r :E v o lu tio n メ タン, 亜 酸化 窒 素 な どの温 室効 果 ガ スは 必要 不 可 欠 な v o la tile も の で あ る 。 も し, こ れ ら の ガ ス が 存 在 し な い とす れ ば , s u lfu r− C O n ta in in g 地球 の 気 温 は 今 よ りお よ そ 3 3 ℃ 低 下 す る と 考 え られ て い chem . , 8 , 43 9− 44 1 (19 76 ) る。逆 に, 温室 効 果 ガ ス の濃 度 が上 昇 した ら ど うな るの であ ろ うか 。 そ の こ と が 今 , 対 流 圏 で 現 実 に 起 こ っ て い る 。 そ の た め , 地 球 規 模 で の 温 暖 化 が 懸 念 さ れ て お り, 躍起 に な っ て そ の 対 策 が ね られ て い る の が 現 状 で あ る 。 地 球 が 一 つ の 生 命 体 で あ る とす れ ば , 生 物 に 由 来 して 大気 に 放 出 さ れ て い る 含 硫 ガ ス も ま た , 他 の ガ ス と 同 様 に地 球 環 境 の 保 全 に な ん ら か の 貢 献 を し て い る こ と は ま 1 1) s u l f u r c o m p o u n d s o r g a n i c M in a m i,K .:V o la tiliza tio n o f s u l f u r 1 2) f r o m p a d d y s o i l s 】 34 5 (19 8 1) 1 3) M in am i,K .a n d S .F u k u sh i 二D etec tio n of c a rb on y l 1 17 − 12 1 (19 81 ) 1 4 ) M in am i,K .a n d S . F u k u s h i 二 D e t e c t i o n d isu lfid e a m o n g g a se s p ro d u c ed b y 献 t r e a t e d co n ta in in g su b sta n c es ,S o il S c i.P la n t N u tr リ 27, 3 39 o f c y stin e in p a d d y so ils,S o il S ci.P la n t N u tr リ 2 7, 文 p a M in a m i,K .an d S .F u k u sh i :V o la tiliz a tio n o f c a r・ b o n y l s u lfid e su lfid e a m o n g g a se s p ro d u c e d b y th e d ec o m p o sitio n 用 f r o m s o ils ,J .A g r i .R e s ,Q u a r t . ,1 5 , 1 6 7 − 1 7 1 (1 9 8 2 ) ち が い な い で あ ろ う。 こ の 意 味 で , 今 後 こ の ガ ス の 人 為 引 s o i l s m a t e r i a l s , S o i l B i o l およ び 自然 か ら の 発 生 メ カ ニ ズ ム と そ の 動 態 , さ ら に は 大気 で の 濃 度 変 化 に 注 目 し つ づ け る 必 要 が あ る 。 o f f r o m t h e a d d i t i o n o o th io su lfate a n d te tra th io n a te in p a d d y so ils,S o il S ci. 1 ) V a rh e ly i, G .:C o n tin e n ta l and ,2 7, 5 4 1− 5 43 (198 1) g l o b a l s u l p h uP lan r t N u tr . bud酢 tS,1・A nthropog enic SO 2em ission, A tm os・E nvi・ r o n リ 1 9 , 1 0 2 9 − 1 0 4 0 (1 9 8 5 ) 2 ) C h a rlso n ,R .J . ,J .E .L o v e lo c k ,M .0 ,A n d re a e a n d S .G ,W a rre n :O c ea n ic 捷 行 ・ 岡 山清 司・ 福 士 定雄 :有 機 物 添 加 土 壌 か ら 発 生 す る含 硫 ガ ス成 分 , 土 肥 誌 , 52 , 3 75 − 38 0 (19 81 ) 1 6) A n e ja , Ⅴ . A ∴ N a tu r a l su lfu r emissionsinto the p h y t o p l a n k t o n , a t matm O osph S p ere, h e J. r A i icr su lfu r ,C lo u d a lb e d o andclima略Nature,326,665 ̄ W aste M anage ・ A ssoc ・,仙 469 ̄ 4 7 6 (1 9 9 0 ) 1 7 ) 神 田健 一一:土 壌 生 態 系 の ガ ス代 謝 と地球 環 境 4 , 農 耕 6 6 1 (1 9 8 7 ) 3 ) M o 11e r,D .:O n th e g lob a l n a tu ra l su lp h u r em issio n , A tm o s.E nv iro n リ18 , 29 − 3 9 (198 4 ) 4 ) A n d r ea e ,M .0 .a n d 1 5) 陽 地 か らの 含 硫 ガ ス の 発 生 , 土 肥 誌 , 6 3 , 91 − 96 (1 99 2) 1 8) F ere k ,R .J .a n d H . R a e m d o n c k : D i pmro de u ct tio h n y lo ef M . 0 . A n d r e a e : P h o t o c h e c a r b o n y l s u l p h i d e i n m a r i 3 3 報文 :農 業 生 態 系 か ら放 出 さ れ る含 硫 ガ ス W a ter S,N a tu re 3 0 7, 1 48 − 15 0 ( 198 4) fr o m p la n ts ,J .A tm o s.C h em . , 6 , 34 1− 36 2 ( 19 88 ) 19 ) W in n e r,W ・ K リ C .L .S m ith ,G .W ,K o ch ,H .A . M o o n e y ,J .D ,B e w ley a n d e m issio n o f H 2S fro m 23 ) L a m b ,B・,H・ W estb e rg ,G・A llw in e ,L・ B a m e sb e rg er H . K . K r o u s e : R aa ntd e sA 。 ・ fG u e n t h e r : M e a s u r e m e n t p la n ts a n d p a tte rn s o f s ta b le Su lph u r iso top e fr a ctio n atio n ,N a tu re ,2 8 9, 6 72 − 673 d y n a m ic e n clos u re m e th o d s w ith N a tu s ch filte r a n d (198 1 ) 2 0) G C /F P D F iln 町 P リ H ・ R e n n e n b e r g ,J .S e k i y a ,R .A .B r e s s a n , L・ W ilso n・ L・ L e C u re u x ,a n d T・ S h im e i :B io sy n th − e sis a n d e m i s s i o n o f 1is叫 E d・K oziol,M .J.and P .R . W hatley ,p291−312, B u tterw o rth ,S ton e h a m (19 84 ) 2 1 ) L o v e lo c k ,J .E . ,R .J .M ag g s a n d R .A .R a sm u sse n : A tm os p h eric d im eth y l su lfid e a n d th e n a tu ra l su lph u r CyCle,N ature,2汎 452−453 て 1972) 2 2) F all,R・,D t L・ A lb ritton ,F .C .F ehsenfe札 W .C . K u ste r a n d P・D・G o ld e n =L a b o ra tor y s tu d ies o f so m e e n v ir on m en ta l v a ria b les c on tro 11in g su lfu r e m is sio n s a n a l y s i s , J . A t m o s . C h e m . , (19 87) 2 4) S ta u b es ,R . ,H .W .G eo rg ii a n d h y d r o g e n p la n ts ;in G a se o u s a ir p o llu ta n ts a n d p la n t m e ta b o − o f e m iss io n s fr o m s o ils a n d v e g eta tio n ;A p p lic a tio n o f G . O c k e l m a n n : F lus x u l of fi d Ce O bS y, D h Mi Sg h ae nr d C S 2 f r o m G erm any,T ell鴨 耶,305−313(1989) 2 5 ) 神 田健 一・ 陽 捷 行 :ラ イ シ メ ー タ 水 田 か ら 発 生 す る ジ メ チ ル サ ル フ ァ イ ド (D M S ) の フ ラ ッ ク ス の 測 定 , 土 肥 誌 , 6 2, 3 5− 4 0 (19 9 1) 2 6) M in a m i,K . ,K .K a n d a a n d H .T su ru ta 二E m iss i。n O f b iog en ic su lfu r g a s es fro m r ice p a d d ie s in Ja p a n , 10 th In t・ S y m p・E n v iro n・ B io g e o ch e m リC h ap m a n H a ll In c . ,( 1 9 9 2 ) in p re ss (受 稿 年 月 日 199 1 年 12 月 1 8 日) v
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