東日本大震災から4年、 被災地からのメッセージ

東日本大震災から4年、
被災地からのメッセージ
1.はじめに
SPOT
多くの命が奪われた東日本大震災から4年が経
過しました。
被災地における復興の現状は、災害廃棄物処理
や公共インフラの整備は着実に進んでいるもの
の、住宅再建・復興まちづくり、原子力災害によ
る環境汚染・風評被害等の課題も数多く残されて
おります。
一方で、仙台市での国連防災世界会議の開催、
仙台空港の民営化など交流人口の拡大につながる
動きもみられ、特に被災地と首都圏を結ぶ常磐自
動車道の開通は、復興の加速化が大いに期待され
ています。
こうした状況の中で被災地において復興の最前
線で尽力されている財務省職員のメッセージをお
届けします。
2.被災地からのメッセージ
●宮城県女川町総務課 政策調整監 城井 恒
【財務省・H6年採用】
千年に一度の津波により甚大な被害を受けた
女川町は、千年に一度のまちづくりにチャレン
ジしています。被災地の中でも小さな女川町で
「庶務以外全部」といわれる私の担当業務は多
岐に渡り、日々の会議出席や国内外の来町者対
応など得難い経験の連続です。
公私を問わない素晴らしい出会いは、町内の
方々のほかに会社を辞めてNPOを作った方、青
年海外協力隊経験者、CSRで来町される皆さん
など。
まちづくりには「よそ者、若者、ばか者」が
必要と言われますが、まさにそんな方々と女川
●岩手県釜石市 復興推進本部事務局長
田中 透【財務省・H20年採用】
誰かのために。
心に深い傷を負った人のために。住宅の再建
を待ちわびる人のために。独りで集合住宅に暮
らすお年寄りのために。生活再建のビジョンを
描けない人のために。産業を復活させるために。
愛すべき故郷を取り戻すために。そうした想い
で行動する人々を支えるために…。
誰かのために頑張る人と共に働くことは幸せ
だ。と同時に「自分は何ができるだろう」と、
与えられた職責を前に立ち往生して苦しむこと
もある。でもやっぱり誰かのために働ける今こ
の瞬間は本当にかけがえのない時間だと日々感
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町で出会えます。
私はよそ者ですがもう若者とは言えません。
でもばか者が残っているので「ばかだなぁ」と
言われるくらい女川町のために頑張ります。
町内の大六天展望台にて(筆者右端)
じて生きている。みなさん、お元気ですか?私
は元気です。
上中島復興公営住宅にて(筆者中央)
東日本大震災から4年、被災地からのメッセージ
ついては、被災した市町に
おいて、事業計画を策定す
る際に、直接市町に赴き計
画策定の支援をすることを
主な業務としております。
復興局の強みは現地にある
ことです。被災地に寄り添
うという気持ちを大事に
し、震災復興へ少しでも役
に立つよう、これからも取
り組んで行きたいと考えて
おります。
●復興庁岩手復興局 参事官付 千葉 弘人
【東北財務局・H22年採用】
私は、被災地である岩手県宮古市に居住し、
主に自治体の復興交付金申請のサポートを行っ
ています。現地の状況を正確に把握するととも
に、関係者との連絡調整を密に行う必要があり、
日中事務所にいる時間はあまりありません。
宮古市では、27年度中に住宅再建に係る事業
が完了する見込みで、水産加工品の高付加価値
化等、なりわいの再生に向けた動きも見られます。
「必ずや復興します」
。ある首長は、発災直後
から防災無線で住民
に呼びかけ続けたと
言います。その実現
の一助となるよう、
引き続き全力を尽く
したいと考えており
ます。
●復興庁福島復興局 参事官 関 正人
【東北財務局・H4年採用】
福島復興局へ赴任し2年。当初から難しい課
題と立ち向かっています。未だ避難生活を続け
る福島県民は11万人を超え、国に対する厳しい
視線は事故当初から変わっていません。
福島には浜田復興副大臣が常駐し、陣頭指揮
を執られています。県内はもとより県外へも精
力的に出向かれます。私も同行させて頂く機会
が多いのですが、関係市町村や被災者に丁寧に
寄り添う姿勢はいつも心酔するばかりです。
最近明るい話題も出始めました。海側の浜通
り地方をロボット研究開発の最先端地域等とす
る福島・国際研究産業都市(イノベーション・
コースト)構想が動き出しました。被災12市町
村の将来像に関する有識者検討会も立ち上がり
ました。制度面についてはかなり整ってきたと
思っています。
あとは復興・
再生の道筋を具
体化していくこ
とです。我々復
興に携わる者
が、全力で取り
組むしかありま
せん。
筆者左、右は浜田復興副大臣
3.おわりに
財務省・東北財務局では、これまで多くの関係
者との連携を図りながら震災対応業務を最優先課
題として取り組んできており、今後もネットワー
クの構築に努めながら、震災復興や地域活性化に
向けた取組みを積極的に支援していきます。
SPOT
●復興庁宮城復興局 参事官 門田 晃一
【近畿財務局・S59年採用】
平成26年7月より、復興庁宮城復興局に出向
し、早くも9か月を過ぎようとしております。
単身赴任も今回で2回目なので、不安は全くな
く、また、東北の方々は暖かい人が多く、とて
も有意義な日々を過ごしております。
現在、私は、著しい被害を受けた地域におい
て、災害復旧だけでは対応が困難な市街地の再
生等の復興地域づくりを、一つの事業計画の提
出により、復興交付金を配分する業務に携わっ
ております。とりわけ、宮城復興局交付金班に
筆者左、右は小泉復興大臣政務官
最後になりますが、被災地への人的支援では、
財務省、金融庁、全国の財務局から延べ4,000名
を超える職員を派遣することができました。これ
までの全国の皆様からのご支援とご協力に改めて
感謝申し上げますとともに、今後とも引き続きよ
ろしくお願い致します。
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