研修員報告書

「
氏
名
出 身 国
受入自治体
研 修 先
長崎市とサントス市、姉妹都市交流
パトリシア フランサ
ブラジル連邦共和国
長崎県長崎市
長崎市役所国際課
」
野原
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はじめに
日本で6ヶ月間研修をするということは簡単なことだとは思えません。違う
国、違う文化、違う歴史というように違いが多すぎるからです。研修員として、
学ぶテーマは数え切れないくらいありました。姉妹都市の研修員として、最大
の目的は交流、長崎市とサントス市の距離を縮め、姉妹都市の関係を深めるこ
とでした。このような目的を果たすためには長崎市をよく理解して、サントス
市を理解してもらうことが必要です。その目的を達成するために、今まで私が
してきたことをまとめたいと思います。
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研修の概要
(1)平和
平和研修は研修の中で一番感動した研修です。戦争と原爆の恐ろしさを知
らないブラジル人にはあの時代の現実を見ること、知ることは非常にインパ
クトが強いです。ブラジルにも恐ろしい事件はありますが、戦争ほど恐ろし
いものはありません。第二次世界大戦を詳しく学ぶことは今も良いことか悪
いことか判断できません。知らない方が世界の恐ろしい過去に関わら ずに生
きてゆくことができ、世界が安全な場所と思いながら幸せな人生を過ごせる
かもしれません。でも、戦争を理解しないと、また同じ 誤ちを繰り返すかも
しれません。しかし、私にとっては、平和を求めるいろいろなイベント、そ
の中で最も大事なイベントである平和式典に参加できて光栄でした。戦争を
理解して平和を求めるのは当然なことだと思います。平和を求める気持ちが
世界中に伝わるよう、また、長崎市とサントス市も協力して広がるように頑
張ってほしいと思います。
(2)観光
観光都市であるわたしたち両都市には様々な取組みがあるととも に違いが
あります。観光客の数は同じ様な数ですが、観光客のために用意された資料
の多様性に驚きました。ほとんどの観光スポットの資料の種類は4ヶ国語で、
日本語、英語、中国語と韓国語、その四つは必ずあります。いくつかの場所
にはポルトガル語やいろいろな言語の資料も見かけました。私はそれが一番
観光客に優しい対応だと思います。路面電車や街中で英語や他の言語の案内
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や説明があることは良いことだと思います。加えて、観光のアピールの仕方
も素晴らしいと思いました。街中ではいろいろな場所にポスターやパンフレ
ットがあることやイベントを強くアピールしていることが特に素晴らしい仕
方だと思いました。
(3)環境
環境問題に対する取組みを理解するためにこの研修を受けました。ブラジ
ルの環境問題への取り組みは不十分だと思います。自然がいつまで持続する
か分からないので、最も環境によい取組みを早めに始めなければならないと
思います。それで、長崎市でゴミ処理や上下水道の仕組みを学ぶとともに、
地球温暖化対策や、自然保全と行政と市民や子ども達との環境問題理解会議
を見てきました。環境問題を解決することだけを目当てにすることではなく、
今の環境問題を増やさないことや悪化させないよう取り組むことも必要だと
思います。それをブラジルに見習ってほしいと思います。
(4)水産
水産研修で見た海洋養殖は貝類、魚類、エ
ビやカニでした。研修では水産養殖のやり方
はもちろん、その他にも漁業者との連携や、
子どもや市民の海洋生物とのふれあいイベン
トの開催や、水産センター育ちの魚の放流な
どを行いました。いろいろな体験を通して水
産センターの必要性が分かりました。日本は
魚食であるため、魚や他の海洋生物の捕獲量
が下がれば大変なことになるので、水産養殖
があると安心できると思います。絶滅に近い
海洋生物が絶滅しないための方法の一つは水
産養殖だと思うので、今の長崎市に水産セン
ターがあることは将来の救いだと思います。
その大事な仕事を研修として体験できて 嬉し
かったです。高級食品を味わえたことを決し
て忘れません。
水 産 セ ンタ ー での 貝 の作 業
(5)情報システム
ブラジルでの毎日の仕事に最も近いと同時に違う研修でした。サントス市
での私の仕事はプログラマーで具体的にはシステムやウェブサイトを創る専
門的な仕事です。長崎市ではシステムやウェブサイト の製作はアウトソーシ
ングされていて、職員はそのメンテナンスをしているということです。それ
は職員が数年おきに部署をかわるためシステムのことを詳しく知らないとい
う状況になっています。それで一番スペシャリストとジェネラリストの違い
が分かりました。サントス市では職員がほとんどスペシャリストだと言えま
す。市役所で使われているシステムを詳しく知る のはメンテナンスのためだ
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けではなく、セキュリティーにとっても必要です。アウトソーシングという
方法は日本の職員には合っている仕方ですが、サントス市には合わないと思
います。今のセキュリティーは良いです が、その形のセキュリティーには限
界があります。そうした限界を超えるにはスペシャリストが必要です。この
研修で長崎市もサントス市もお互いの違いを理解できたと思います。
(6)国際
いろいろな国の理解講座や国際交流イベントに参加し ました。同時に私も
生徒や職員に向けてブラジル講座を行いました。ブラジル講座で最も有りそ
うなテーマはサッカーだと思ったので、サッカーの話をなるべく避けて日本
人が知らないブラジルを見せました。ブラジルの通貨、地図、 国旗、生物、
果物、学校、食べ物と遊びなどの普通には聞かない情報を見せました。ブラ
ジルのことを広めると同時に日本のことも学ぶ機会になりました。日本文化
や歴史、人々の生活、人間関係など、学ぶことがたくさんありました。
ブ ラ ジ ル講 座 :左 側 は梅 香崎中 学 校 ;右 側 は畝 刈 小学 校
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おわりに
この6ヶ月間で学んだ全てをサントス市で試すのは不可能ですが、少しずつ
変えていけば何年かかるとしてももっと素晴らしい都市になります。環境問題
や他の諸問題をもっと真剣に考えて、長崎市のように、市民や職員、全世界に
何かできるような都市に変化してほしいです。この研修による国際交流もその
変化へ進む一歩だと思います。これから始まる変化が楽しみです。
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