OITA 2015年4月17日 日本銀行大分支店 大分県における銀行券の受払動向とその背景について 本稿は、井上眞希子(現・金融市場局)が作成しました。内容に関する照会は、日本銀行大 分支店総務課(TEL:097-533-9106 FAX:097-538-7085)までお寄せください。 本稿はインターネット(http://www3.boj.or.jp/oita/)からもご覧いただけます。 本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行大分支店まで ご相談ください。 転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。 【要 旨】 銀行券は日々の様々な取引の決済に使用されることから、その受払動向は、個人の購 買活動や小売・サービス業の売上動向など地域の経済活動と密接に関連している。一 般的には、日本銀行からの銀行券の支払は「預金を引き出した場所」を反映する傾向 がある一方、銀行券の受入は「銀行券を使用した場所」を反映する傾向がある。 銀行券支払高は、従来は、当該地域の所得情勢、ひいては購買力と密接な関係がみら れてきた。日銀大分支店の銀行券支払高をみると、所得環境の改善を背景に、2011 年 をボトムに緩やかな持ち直しの動きがみられている。なお、クレジットカードの普及 等、決済手段の変化が現金の保有、使用に与える影響により、銀行券支払高と購買力 の関係には変化が生じ得る点には注意が必要である。 他方、銀行券受入高は、従来は、当該地域の小売・サービス業者の売上動向と密接な 関係がみられてきた。日銀大分支店の銀行券受入高は、当地の個人消費の弱さに加え、 福岡県を中心とした県外への消費流出等も相俟って、減少を続けている。なお、2000 年代半ば以降、警備輸送会社による現金取扱業務の拡大に伴い、銀行券受入高の減少 ペースは加速している。 消費税率引き上げ前後の銀行券受入動向をみると、前回(1997 年)の税率引き上げ当 時は、消費税率引き上げ前の駆け込み需要で使われた銀行券の多くが日銀大分支店に 還流した。一方、今回の駆け込み需要では、警備輸送会社の業務拡大を背景に、小売 店等から集金された銀行券の多くが、警備輸送会社を通じ現金センターのある福岡近 郊に集められ、日銀福岡支店に還流した。こうした結果、前回(1997 年)の税率引き 上げ時には、駆け込み需要に伴う小売店販売額の増加に比例するかたちで銀行券受入 高が増加した一方、今回の税率引き上げ時には、銀行券受入高が減少するなど大きな 違いがみられた。また、税率引き上げ後の日銀大分支店における銀行券受入高は、前 回に比べマイナス幅が大きかった。 先行きの銀行券受払動向を展望すると、足もと所得環境の改善が続いていることを踏 まえれば、銀行券支払高は、引き続き緩やかに増加していくとみられる。一方、銀行 券受入高については、減少基調を辿っているが、2015 年度は、4 月に JR 大分駅ビルや 県立美術館の開業があるほか、夏には大規模な観光イベントも控えている。消費者マ インドの改善や観光客の増加等により当地の個人消費が持ち直し、警備輸送会社の業 務範囲等に大きな変化がみられなければ、これまでの減少基調に歯止めがかかる可能 性もある。 日本銀行大分支店としては、引き続き銀行券受払動向や銀行券を取り巻く環境の変化 を把握・分析するとともに、今後とも銀行券の効率的かつ安定的な流通の維持に努め ていきたい。 1 1.はじめに ○ 日本銀行は、わが国唯一の「発券銀行」として、銀行券(いわゆる「お札」 、正式に は「日本銀行券」 )を発行しており、その円滑な流通に努めている。 ── 銀行券は、①金融機関が日本銀行に有する当座預金を引き出し、日本銀行の窓 口から銀行券を受け取ることにより発行されている(銀行券の「支払」)。その後、 ②家計(個人)が金融機関から預金を引き出し、③買い物等で小売店等に支払っ た後、④小売店等の売上金として金融機関に預け入れられ、⑤金融機関から再び 日本銀行に持ち込まれる(銀行券の「受入」)。日本銀行では、還流した銀行券に ついて、⑥真偽の鑑定やクリーン度のチェックを行った上で、再流通に適さない 銀行券を廃棄する一方、再流通に適した銀行券については、新しい銀行券ととも に再び発行している【図表 1】。 ── 2014 年中の日本銀行大分支店(以下、日銀大分支店)における銀行券受払高を みると、支払高は 3,514 億円、受入高は 1,116 億円となっている。なお、日銀大 分支店では、毎月、ホームページ上で、銀行券受払高の月次データを公表してい る(参考:http://www3.boj.or.jp/oita/) 。 ○ 銀行券は日々の様々な取引の決済に使用されることから、その受払動向は、個人の 購買活動や小売・サービス業の売上動向など地域の経済活動と密接に関連している。 本レポートでは、大分県における近年の銀行券受払動向からみた当地の特徴や今後の 展望について説明する。 2.大分県の銀行券受払動向とその背景にある経済状況等 ○ 銀行券受払高の動きをみると、全国、大分県ともに、1990 年代後半をピークに、足 もとでは支払高・受入高ともに大きく減少している【図表 2、3】 。もっとも、その減少 ペースをみると、支払高については、全国と大分県で然程大きな違いはみられない一 方で、受入高については、大分県の減少率が全国に比べて大きい。 ○ また、支払高については、全国、大分県ともに 2011 年をボトムに緩やかな持ち直し の動きがみられている一方、受入高については、全国では下げ止まっているにも拘わ らず、大分県は減少の一途を辿っている。以下では、こうした銀行券受払動向の背景 について分析した。 (1)地域の購買力等を反映する銀行券支払高 ○ 消費者は、給与所得等の一定割合を生活資金として現金で引き出すため、銀行券支 払高は、従来は当該地域の所得情勢、ひいては購買力と密接な関係がみられてきた。 ── 大分県の給与所得(県民経済計算の「賃金・俸給」)と銀行券支払高の間には、 はっきりとした相関関係がみられる【図表 4】。これを仔細にみると、1990 年代ま でと 2000 年代以降とでは、両者の相関関係に違いが生じている。すなわち、2000 年代以降は、1990 年代までと比べ、所得(賃金・俸給)に対する銀行券支払高の 2 比率が低下している。これは、クレジットカード等の普及により、現金での決済 比率が低下する中、所得のうち現金で保有する割合が低下しているためと推察さ れる【図表 5、6】 。 ○ 日銀大分支店における銀行券支払高は、1990 年代半ば以降、所得水準の低下に連動 する形で減少基調を辿っていたが、2011 年をボトムに下げ止まっており、足もとでは 緩やかながら持ち直しの動きがみられている。こうした背景には、大分県の所得環境 の改善があると考えられる【図表 7】 。県民経済計算における大分県の賃金・俸給は、 リーマンショック直後の 2009 年度に大きく減少した後、2010・11 年度と減少幅が緩や かになっている。同計数は 2011 年度までしか公表されていないが、毎月勤労統計の現 金給与総額をみると、2013・14 年度と 2 年連続で前年を上回っており、大分県の所得 環境は引き続き改善している姿がみてとれる。 (2)小売・サービス業者の売上動向等を反映する銀行券受入高 ○ 一般的には、日本銀行からの銀行券の支払は「預金を引き出した場所」を反映する 傾向がある一方、銀行券の受入は「銀行券を使用した場所」を反映する傾向がある。 大分県の大型小売店販売額と銀行券受入高の関係をみると、従来は両者の間に相応の 相関関係がみられてきた【図表 8】。 ―― なお、大型小売店販売額と銀行券受入高との相関をみると、後者は前者に対し 1 か月遅行する傾向があり、相関係数も 1 か月ずらした場合が最も高くなる。 ○ 近年の大型小売店販売額と銀行券受入高の推移をみると、大型小売店販売額、銀行 券受入高ともに減少傾向を辿っている【図表 9】 。大型小売店販売額の減少は、当地の 個人消費の弱さに加え、福岡県を中心とした県外への消費の流出が増えていることも 背景と考えられる。 ―― 大分県の大型小売店販売額の減少ペースは九州他県と比べ大きく、時系列にみ ても、当地の消費の基調が弱めであることが窺われる【図表 10】。 ―― 大分県が実施している「大分県中心市街地等消費者動向調査」をみると、消費 者が福岡市を中心とする県外に買い物に出かける頻度が高まっている姿がみてと れる【図表 11、12】 。こうした中、九州の大型小売店販売額に占める県別構成比を みると、福岡県(2003 年度:46.5%→2013 年度:49.2%)では上昇している一方、 大分県(同:9.6%→同:8.5%)では低下している【図表 13】。 ○ なお、大型小売店販売額と銀行券受入高の推移を仔細にみると、2000 年代後半以降、 銀行券受入高の減少ペースが、大型小売店販売額の減少ペースを上回るようになって いる【再掲・図表 9】 。こうした背景としては、2000 年代以降、大手の警備輸送会社に よる現金取扱業務が拡大していることが挙げられる。 ―― 大手の警備輸送会社は、コスト削減を企図し、大都市近郊(九州では福岡近郊) に大型の現金センターを設立して現金業務の集約化を図っている。このため、大 3 分県内の小売店等で使われた銀行券が、福岡県内に所在する金融機関の支店を通 じて、日銀福岡支店に流れていると考えられる【図表 14、15】 。 3.消費税率引き上げ前後の銀行券受入動向 ○ 以下では、2014/4 月の消費税率引き上げ前後の銀行券受入動向について、前回 1997/4 月の引き上げ時と比較しつつ分析した。 (1)消費税率引き上げ前の銀行券受入高 ○ 消費税率引き上げ直前の 2014/1~3 月の大型小売店販売額をみると、駆け込み需要 に伴い前年同期比+4.4%増加している。これは、前回税率引き上げ直前の 1997/1~3 月(大規模小売店売上高1:前年同期比+7.4%)と概ね同程度の増加率である【図表 16】。前述のとおり、大型小売店販売額と銀行券受入高との間には 1 か月のラグがみら れることから、上記に対応する期間として 2014/2~4 月および 1997/2~4 月の銀行券 受入高をみると、1997/2~4 月は前年同期比を+12.5%上回ったのに対し、2014/2~4 月は同▲26.7%と大幅に減少している【図表 17】。 ○ こうした背景には、1997 年当時は、大手の警備輸送会社が然程当地に進出しておら ず、消費税率引き上げ前の駆け込み需要で使われた銀行券の多くが日銀大分支店に還 流した一方、今回の駆け込み需要では、警備輸送会社の業務拡大を背景に、小売店等 から集金された銀行券の多くが、警備輸送会社を通じて現金センターのある福岡近郊 に集められ、日銀福岡支店に還流したものと考えられる。 ── 因みに、日銀福岡支店における 2014/2~4 月の銀行券受入高は、前年同期比+ 8.4%と前年を上回っている。 (2)消費税率引き上げ後の銀行券受入高 ○ 消費税率引き上げ直後は、駆け込み需要の反動減がみられたほか、その後も実質所 得減少に伴う家計の購買活動の停滞により、当地の個人消費は弱めの動きとなってい る。2014/4~12 月の大型小売店販売額は、前年同期比▲2.6%減少している【図表 18】。 この間の銀行券受入高(2014/5~2015/1 月2)は前年同期比▲26.4%と、大型小売店販 売額の減少率(同▲2.6%)を大きく上回っており、1997/5~1998/1 月(同▲5.9%) との比較でみてもマイナス幅が大きい【図表 19】。こうした点からも、前回の消費税 率引き上げ時に比べ、今回は銀行券の大分県外への流出が大きかったことがうかがわ れる。 4. ○ 1 2 結びにかえて 以上のとおり、銀行券の受払動向は、家計の所得環境や購買活動、決済手段の変化 大規模小売店売上高と大型小売店販売額は連続性のない計数のため、前回増税時と今回増税時の計 数を直接比較することはできない。 県内の小売店で銀行券が使用されてから日銀大分支店に還流するまでには+1 か月程度のタイムラ グがあるため、各年 5~翌年 1 月の累計を参照。 4 などを如実に反映しており、地域経済の実態を把握する上で重要な指標の一つと言え る。但し、これらの要因が各々どの程度受払動向に影響を及ぼしているかを丁寧にみ ていかなければ、全体像を把握することは難しい点には留意する必要がある。 ○ 先行きの銀行券受払動向を展望すると、足もと所得環境の改善が続いていることを 踏まえれば、銀行券支払高は、引き続き緩やかに増加していくとみられる。一方、銀 行券受入高については、減少基調を辿っているが、2015 年度は、4 月に JR 大分駅ビル や県立美術館の開業があるほか、夏には大規模な観光イベントも控えている。消費者 マインドの改善や観光客の増加等により当地の個人消費が持ち直し、警備輸送会社の 業務範囲等に大きな変化がみられなければ、これまでの減少基調に歯止めがかかる可 能性もある。 ○ 日本銀行大分支店としては、引き続き銀行券受払動向や銀行券を取り巻く環境の変 化を把握・分析するとともに、今後とも銀行券の効率的かつ安定的な流通の維持に努 めていきたい。 以 5 上 図表編 【図表 1】銀行券の流通イメージ 日本銀行 ⑥鑑査・廃棄 銀行券の支払 銀行券の受入 ①預金の引出し ⑤手元現金の預入れ 金融機関 ②預金の引出し等 ④売上金等の預入れ ③買い物等での支払 個人 小売店等 【図表 2】銀行券支払高の推移(大分・全国、1991 年=100 とした指数) 120 (1991年=100) 100 80 60 大分 全国 40 20 0 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (年) (資料) 日本銀行 【図表 3】銀行券受入高の推移(大分・全国、1991 年=100 とした指数) 120 (1991年=100) 100 80 60 大分 全国 40 20 0 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (年) (資料) 日本銀行 6 【図表 4】大分県の賃金・俸給と銀行券支払高の相関関係 0.7 (兆円) ① 1989~99年度 相関係数 0.80 0.6 0.6 銀 行 券 支 0.5 払 高 0.5 0.4 ② 2000~11年度 相関係数 0.84 0.4 1989~99年度 2000~11年度 0.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 賃金・俸給 (資料) 内閣府「県民経済計算」、日本銀行 ※ 1991年度~95年度は93SNA・95年基準、96年度~2000年度は93SNA・2000年基準、01年度~11年度は93SNA・05年基準。 2.0 (兆円) 【図表 5】クレジットカード 【図表 6】購入金額階層別にみた主な決済手段(九州) 利用額の推移(全国) 45 クレジットカード (兆円) 50.0 40 (%) 100.0 40.0 (%) 現金 90.0 2007 35 30.0 80.0 20.0 70.0 10.0 60.0 2014 30 25 20 0.0 15 50.0 5 1 5 1 1 5 1 万 千 千 万 千 千 千 円 円 円 円 円 円 円 超 超 超 超 超 超 以 5 1 5 下 5 1 千 万 万 千 万 円 円 円 円 円 以 以 以 以 以 下 下 下 下 下 (資料) 金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査」 (二人以上世帯調査、平成19年調査、平成26年調査) 1 千 円 以 下 10 5 0 2003 14 (年) (資料) 一般社団法人日本クレジット協会 「 クレジットカード動態調査集計結果一覧」 7 1 万 円 超 5 万 円 以 下 5 万 円 超 【図表 7】大分県の賃金・俸給と銀行券支払高の推移 2.0 (兆円) (兆円) 0.6 1.9 1.8 0.5 1.7 試算 0.4 賃金・俸給(左軸) 1.6 0.3 銀行券支払高(右軸) 1.5 1.4 0.2 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (年度) (資料) 内閣府「県民経済計算」、日本銀行 ※1. 1991年度~95年度は93SNA・95年基準、96年度~2000年度は93SNA・2000年基準、01年度~11年度は93SNA・05年基準。 ※2. 2012-14年度の賃金・俸給は、未公表のため、毎月勤労統計の現金給与総額の前年比を用いて試算。 【図表 8】大型小売店販売額と銀行券受入高 (百億円) 14 T-2 T-1 T T+1 T+2 相関係数 0.54 0.33 0.49 0.78 0.44 12 10 銀 行 券 8 受 入 6 高 4 2 0 0.7 0.9 1.1 1.3 1.5 1.7 1.9 2.1 2.3 大型小売店販売額 2.5 (百億円) (資料) 経済産業省「商業動態統計」、日本銀行 ※ 銀行券受入高は、大型小売店販売額に対し、1か月後にずらして相関を取っている。 【図表 9】大型小売店販売額と銀行券受入高の推移(1999 年=100 とした指数) (1999年=100) 120 100 80 60 大型小売店販売額 40 銀行券受入高 20 0 99 00 01 02 03 04 05 06 07 (資料) 経済産業省「商業動態統計」、日本銀行 8 08 09 10 11 12 13 14 (年) 【図表 10】九州の大型小売店販売額の推移(1999 年=100 とした指数) (1999年=100) 105 100 95 福岡 90 佐賀 85 長崎 熊本 80 大分 75 宮崎 70 鹿児島 65 60 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 (年) 14 (資料) 経済産業省「商業動態統計」 【図表 11】大分県外への買い物出向頻度 月に2~3回 月に1回 2007年度 3.1 5.5 11.8 2~3カ月に1回 11.0 年に2~3回 4.7 年に1回 行かない 無回答 59.9 4.1 (N=3,468) 2013年度 3.1 7.2 12.6 19.8 14.3 35.4 7.6 (N=1,953) 0% 20% 40% 60% 80% 100% (資料) 大分県 「大分県中心市街地等消費者動向調査」 【図表 12】大分県外の買い物出向場所 福岡市 北九州市 久留米市 熊本市 延岡市 その他 無回答 1.0 4.0 2007年度 64.7 11.7 7.6 7.2 3.7 (N=1,262) 2013年度 75.7 5.7 6.6 3.6 (N=1,113) 4.9 2.6 1.1 0% 20% 40% 60% (資料) 大分県 「大分県中心市街地等消費者動向調査」 9 80% 100% 【図表 13】九州の大型小売店販売額に占める県別構成比 (%、%ポイント) 販売額計 大分県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 宮崎県 鹿児島県 2003年度 2013年度 2003年度比 2003年度 2013年度 2003年度比 2003年度 2013年度 2003年度比 2003年度 2013年度 2003年度比 2003年度 2013年度 2003年度比 2003年度 2013年度 2003年度比 2003年度 2013年度 2003年度比 9.6 8.5 ▲1.0 46.5 49.2 +2.8 5.1 4.7 ▲0.4 9.6 8.3 ▲1.3 11.4 11.7 +0.4 5.8 6.1 +0.2 12.1 11.4 ▲0.7 店舗数 9.8 8.6 ▲1.2 38.1 42.1 +4.0 8.4 7.5 ▲0.9 10.9 9.3 ▲1.6 11.5 11.2 ▲0.3 7.8 8.4 +0.6 13.4 12.9 ▲0.6 (資料) 経済産業省「商業動態統計」 【再掲・図表 9】大型小売店販売額と銀行券受入高の推移(1999 年=100 とした指数) (1999年=100) 120 100 80 60 40 大型小売店販売額 銀行券受入高 20 0 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (資料) 経済産業省「商業動態統計」、日本銀行 10 (年) 【図表 14】個人消費と銀行券受入高の関係 <従 前> 九州地区内(大分県と福岡県)における銀行券の流れの変化イメージ (従 前) 大分県 福岡県 日本銀行大分支店 日本銀行福岡支店 (支払) (受入) (受入) (支払) 預金 預金 壱万円 壱万円 預金の引出し 壱万円 壱万円 預金の引出し 銀 行 預金の 引出し等 銀 行 預金の 引出し等 売上金等の 預入れ 売上金等の 預入れ 壱万円 壱万円 壱万円 壱万円 壱万円 壱万円 企業 (商店等) 個 人 企業 (商店等) 個 人 買い物等での 支払い 買い物等での支払い 11 【図表 15】個人消費と銀行券受入高の関係 <最 近> 九州地区内(大分県と福岡県)における銀行券の流れの変化イメージ (最 近) 大分県 福岡県 日本銀行大分支店 日本銀行福岡支店 (支払) (受入) (受入) (支払) 預金 壱万円 預金の引出し 受入高は減少 銀 壱万円 壱万円 預金 壱万円 行 受入高は増加 銀 預金の引出し 行 壱万円 現金 預入 売上金等の 預入れ 預金の引出し等 売上金等の 預入れ 警備輸送会社の現金拠点 壱万円 壱万円 預金の引出し等 壱万円 壱万円 売上金の 預入れ 壱万円 売上金の 預入れ 壱万円 壱万円 壱万円 個 人 買い物等での 支払い 企業 (商店等) 企業 (商店等) 12 個 人 買い物等での 支払い 【図表 16】各年 1~3 月の大規模小売店売上高と大型小売店販売額 が <前回増税時/大規模小売店売上高> 70 <今回増税時/大型小売店販売額> (十億円) 32 (十億円) 駆け込み需要 31 66 駆け込み需要 +4.4% +7.4% 30 62 29 28 58 27 54 26 25 50 93 94 95 96 97 (年) 10 11 12 13 14 (年) (資料) 経済産業省「商業動態統計」 ※各年1~3月の累計。 (資料) 九州財務局大分財務事務所「大規模小売店売上高」 ※各年1~3月の累計。 【図表 17】各年 2~4 月の銀行券受入高 が <前回増税時/銀行券受入高> 140 <今回増税時/銀行券受入高> (十億円) 60 (十億円) +12.5% 50 120 40 100 ▲26.7% 30 80 20 60 10 0 40 93 94 95 96 97 (年) (資料) 日本銀行 ※各年2~4月の累計。 10 11 (資料) 日本銀行 ※各年2~4月の累計。 13 12 13 14 (年) 【図表 18】各年 4~12 月の大規模小売店売上高と大型小売店販売額 が <前回増税時/大規模小売店売上高> 200 <今回増税時/大型小売店販売額> (十億円) 95 (十億円) 消費税率引き上げ後の 消費の落ち込み 195 消費税率引き上げ後の 消費の落ち込み 93 ▲4.6% 190 91 185 89 180 87 ▲2.6% 85 175 93 94 95 96 (年) 97 10 11 12 13 (年) 14 (資料) 経済産業省「商業動態統計」 ※各年4~12月の累計。 (資料) 九州財務局大分財務事務所「大規模小売店売上高」 ※各年4~12月の累計。 【図表 19】各年 5~翌年 1 月の銀行券受入高 が <前回増税時/銀行券受入高> 500 <今回増税時/銀行券受入高> (十億円) 150 (十億円) 480 ▲5.9% 130 460 110 440 ▲26.4% 90 420 400 70 10 11 12 13 14 (年) (資料) 日本銀行 ※各年5~翌年1月の累計。 10 11 (資料) 日本銀行 ※各年5~翌年1月の累計。 14 12 13 14 (年) 【参考】警備輸送会社を介した銀行券の流通経路 1.警備輸送会社を介した銀行券の流通経路 ○ 本レポートでは、警備輸送会社による現金取扱業務について触れたが、仔細にみると、 ①広域で事業を営む大手の警備輸送会社と、②地場の警備輸送会社で現金の取扱経路が 異なっている。すなわち、前者は、福岡など大都市近郊に所在する現金センターに現金 を輸送し、そこから当該地域に所在する金融機関の支店に入金している一方、後者は、 県内に所在する金融機関の支店に入金している。このため、銀行券は、前者を介すると 日銀福岡支店に流出し、後者を介すると日銀大分支店に還流する。 ○ 以下では、大手の警備輸送会社と地場の警備輸送会社における銀行券の取扱経路をそ れぞれ説明する。 (1)大手の警備輸送会社を介した売上金流通経路 ○ 広域で事業を営む大手警備輸送会社は、①地場の警備輸送会社に売上金回収業務を委 券行銀るけ託するなどして小売店等の売上金を回収し、②地場の警備輸送会社は、事業所で一時的 おに)県岡福と県分大(内区地州九 に当該売上金を保管。その後、③大手警備輸送会社が当該売上金を回収し、④大都市近 )近郊の現金センターへ輸送のうえ、⑤現金センターにて精査・勘定を行い、⑥当該地域に 最( 所在する大都市圏の金融機関へ輸送、⑦顧客口座へ入金される。このため、県内小売店 県分大 から回収した銀行券は、大都市圏の金融機関を通じて、大都市圏にある日本銀行の本・ 支店に持ち込まれている。 ▽ イメージ 店支分売上金回収業務を委託 大行 銀 本 日 売上金回収業務を再委託 ( )入受( 金預 小売店 円万壱 円万壱 )払支( 地場の警備輸送会社 少減は 高 入 受 大都市近郊の現金センター 売上金 ※ の等金 上 売 れ入預 等し出引の 金 預 円万壱 の金 上 売 れ入預 の金 上 売 れ入預 円万壱 円万壱 15 ⑤ ・精査 ⑥大都市所在の ・勘定 などを行う 金融機関へ輸送 売上金 ⑦顧客の口座へ入金 赤枠内は大分県内。 点拠 金現の社会送 輸 備 警 円万壱 売上金 売上金 ④大都市近郊 の現金センター へ輸送 円万壱 大都市の金融機関 し出引の金預 行 銀 金現 入預 大手の警備輸送会社 円万壱 売上金 ①売上金の回収 売上金 ②保管 ③回収 行イ銀化る変けのおれに流)の県券岡行福銀とる県け分お大に()内県区岡地福州と九県分大(内区地 )近 最( )近 最 ( (2)地場の警備輸送会社を介した売上金流通経路 県岡福 県分大 県 分 大 ①当該警備輸送会社が県内店舗の売 地場の警備輸送会社を介した小売店の売上金は、 上金を回収のうえ、②各地の事業所で銀行券の精査や勘定を行い、③県内に所在する金 融機関の支店に入金される。このため、県内店舗で回収された銀行券は県内金融機関を 店支岡福通じて日銀大分支店に還流している。 行銀本日 ○ 店支分大行 銀 本 日 店支分大行 銀 本 日 ▽ イメージ )払支( )入受( 売上金回収業務を委託 )入受( 金預 金預 小売店 加増円は 万 壱高 入 受 行 少減は 高 入 受 ② 銀 ①売上金の回収 ・精査 ・勘定 などを行う 売上金 行 銀 地元の金融機関 円万壱 円万壱 円万壱 )払支( 金預 地場の警備輸送会社 円万壱 売上金 )入受( )払支( し 少減は 高 入 受 し出引の金預 売上金 ③地元の金融機関 へ輸送 行 銀 ④顧客の口座へ入金 円万壱 円万壱 ※ 現 預 ○ 赤枠内は大分県内。 金現 入預 このように、大手の警備輸送会社を介するか、地場の警備輸送会社を介するかによっ の等金 上 売 の等金 上 売 て売上金がどこに所在する金融機関に入金されるか、ひいては、どの日銀本支店の受入 等し出引れ の入 金預 の等金 上 売 点拠 金現れ の入 社預 会送 輸 備 警 高として計上されるかが異なる。もっとも、小売店等からみれば、どの日銀本支店の受 点拠 金現の れ社 入会 預送輸備警 入高として計上されようと、最終的な売上金が取引のある金融機関の口座に入金される ことには変わりはない。 円万壱 円万壱 円万壱 円万壱 の金 上 売 の 金 上 売 2.大規模現金センターへの集約を図る目的 れ 入 預 の金 上 売 れ入預 の金 上 売 れ入預 ○ 上述のとおり、大規模現金センターを設立している大手の警備輸送会社は、各地で集 れ入預 円万壱 円万壱 円万壱 円万壱 めた現金をセンターに集め、そこから金融機関へ輸送している。これには、輸送に係る 燃料費や人件費のほか、輸送中に事件・事故に巻き込まれるリスクもあるが、こうした 円万壱 円万壱 コストやリスクを負っても、大規模現金センターへの集約化が進んでいるのは、複数の 現金拠点を運営することに比べてこれらのコストが遥かに安いためだと推察できる。す 業企 業企 なわち、警備輸送会社の現金輸送業務は、顧客企業から回収した売上金を事業所に持ち 業企 )等 店 商 ( )等 店 人 商 (個 帰ったうえ、精査などを行っているが、この事業所の運営には、人件費や光熱費といっ ので等物 い 買 )等 店 商 ( ので等物 い 買 た諸経費のほか、顧客の売上金を守るために高度なセキュリティーが必要となるなど、 の で 等 物 い 買 い払支 い払支 い払支 多額のコストがかかる。現金センターを集約化すればこれらのコストを削減することが できるため、大規模現金センターの設立によって、事業の効率化を図っているものと考 えられる。 円万壱 企 商( 16
© Copyright 2024 ExpyDoc