百戦錬磨の抵抗/コンデンサ応用回路

百戦錬磨の抵抗 / コンデンサ応用回路
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細田 隆之(Takayuki
Hosoda)
技術情報が得られますが,網羅的で技術トレンドが
分かりにくいため,今では時代遅れの内容であった
り,新しい部品の登場で,設計のパラダイムが変わ
っていたり,高性能化がかえって問題になったりす
ることがあります.
データシートのアプリケーション・ノートを読む
だけではちょっと分かりにくい要点を,いくつかの
回路を例にして,解説します.
【要点 100】データシートを全部読むのは
当たり前,しっかり読みとく
設計の前には,要求仕様を満たす回路をどのよう
に構成してやろうかと思いを巡らせます.方式が決
まってきたら,どのような部品や回路構成が適して
いるかを調べます.
インターネットの隆盛のおかげで,格段に簡単に
百戦錬磨回路:低雑音・高出力電流アンプの性能を引き出すデカップリング・コ
ンデンサと帰還抵抗
説明:図 1 は,IC を二つ組み合わせた低雑音・高出力電流アンプです.データシートなどにあるアプリケーシ
ョン回路例では,図 1(a)のような回路ですが,実際にそのまま使える回路ではありません.電源のデカップリ
ング,つまりバイパス・コンデンサ(パスコン)などを図 1(b)のように組み込む必要があります.低雑音かつ低
ひずみを実現するには,抵抗の値や品種の選択も重要です.
IC1 +15V
AD4898-1
(アナログ・デバイセズ) 7
3
Vin
+
2
R1
熱雑音の
観点から
低い抵抗
値を選ぶ
R in
R3
56Ω
−
CF
47p
4
8
それぞれ電源ピン
の近くに置くこと
が大切
Vin
2VP-P
47p
/C0G
1
3
TI:テキサス・インスツルメンツ
R4
1
100Ω
IC2
R8
R6
16k
1
2
6
LMH 4 5
6321
(TI)−15V
Vout
R5
100Ω
高速高出力電流バッファ
(a)アプリケーション例のような回路図
R 10 1R0
C5
1μ
X7R
2
CF
C4
22μ
X7R
7
+
−
4
C6
1μ
R3
C 11 1n
100Ω
低い値の帰還抵抗は発熱に注意
3
R1
Rin
R7
6
10k
3.9k
C 5, C 6, C 7, C 8は
7
−15V
R2
+15V
見やすいようにパスコン
は省略されている
R 2 X7R
ひずみの
観点から
C0G特性
6
8
1
NF1
C7
C 11
1n/C0G
R7
R8
100D
10kD
IC1 AD4898-1
直流バイアス特性
と容量からX7R
56D 1W 3.9kD 1W
25ppm/℃ 25ppm/℃
耐電力1W
温度係数25ppm
R6
1μ
16k
X7R 7 1
2
6
3
C 8 4 5 IC2
LMH
6321
1μ
X7R
C 1 MPZ1608B471A
22μ
X7R
22μ
X7R
(TDK)
100D 1W
R 4 25ppm/℃
R5
Vout
抵抗の耐電力と
温度係数を明記.
D:0.5%
100D 1W
25ppm/℃
過渡的な出力電流供給用に大容量の
積層セラミック・コンデンサが必要
R 10 1Ω
C3
+15V
NF2
段間のデカップリング
とパスコンの並列共振
のダンピング用
(b)実際の回路に近づけた回路図
C2
22μ
X7R
−15V
MPZ1608B471A
電源配線がもつインダク
タンスのダンピング用
図 1 低雑音・高出力電流のアンプは電源のデカップリングが重要
センサのプリアンプなどに使う 50Ω 出力アンプ
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2015 年 5 月号