百戦錬磨の抵抗 / コンデンサ応用回路 4 細田 隆之(Takayuki Hosoda) 技術情報が得られますが,網羅的で技術トレンドが 分かりにくいため,今では時代遅れの内容であった り,新しい部品の登場で,設計のパラダイムが変わ っていたり,高性能化がかえって問題になったりす ることがあります. データシートのアプリケーション・ノートを読む だけではちょっと分かりにくい要点を,いくつかの 回路を例にして,解説します. 【要点 100】データシートを全部読むのは 当たり前,しっかり読みとく 設計の前には,要求仕様を満たす回路をどのよう に構成してやろうかと思いを巡らせます.方式が決 まってきたら,どのような部品や回路構成が適して いるかを調べます. インターネットの隆盛のおかげで,格段に簡単に 百戦錬磨回路:低雑音・高出力電流アンプの性能を引き出すデカップリング・コ ンデンサと帰還抵抗 説明:図 1 は,IC を二つ組み合わせた低雑音・高出力電流アンプです.データシートなどにあるアプリケーシ ョン回路例では,図 1(a)のような回路ですが,実際にそのまま使える回路ではありません.電源のデカップリ ング,つまりバイパス・コンデンサ(パスコン)などを図 1(b)のように組み込む必要があります.低雑音かつ低 ひずみを実現するには,抵抗の値や品種の選択も重要です. IC1 +15V AD4898-1 (アナログ・デバイセズ) 7 3 Vin + 2 R1 熱雑音の 観点から 低い抵抗 値を選ぶ R in R3 56Ω − CF 47p 4 8 それぞれ電源ピン の近くに置くこと が大切 Vin 2VP-P 47p /C0G 1 3 TI:テキサス・インスツルメンツ R4 1 100Ω IC2 R8 R6 16k 1 2 6 LMH 4 5 6321 (TI)−15V Vout R5 100Ω 高速高出力電流バッファ (a)アプリケーション例のような回路図 R 10 1R0 C5 1μ X7R 2 CF C4 22μ X7R 7 + − 4 C6 1μ R3 C 11 1n 100Ω 低い値の帰還抵抗は発熱に注意 3 R1 Rin R7 6 10k 3.9k C 5, C 6, C 7, C 8は 7 −15V R2 +15V 見やすいようにパスコン は省略されている R 2 X7R ひずみの 観点から C0G特性 6 8 1 NF1 C7 C 11 1n/C0G R7 R8 100D 10kD IC1 AD4898-1 直流バイアス特性 と容量からX7R 56D 1W 3.9kD 1W 25ppm/℃ 25ppm/℃ 耐電力1W 温度係数25ppm R6 1μ 16k X7R 7 1 2 6 3 C 8 4 5 IC2 LMH 6321 1μ X7R C 1 MPZ1608B471A 22μ X7R 22μ X7R (TDK) 100D 1W R 4 25ppm/℃ R5 Vout 抵抗の耐電力と 温度係数を明記. D:0.5% 100D 1W 25ppm/℃ 過渡的な出力電流供給用に大容量の 積層セラミック・コンデンサが必要 R 10 1Ω C3 +15V NF2 段間のデカップリング とパスコンの並列共振 のダンピング用 (b)実際の回路に近づけた回路図 C2 22μ X7R −15V MPZ1608B471A 電源配線がもつインダク タンスのダンピング用 図 1 低雑音・高出力電流のアンプは電源のデカップリングが重要 センサのプリアンプなどに使う 50Ω 出力アンプ 86 2015 年 5 月号
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