フルディジタル無線& 変復調 実験室

高速 A−D/FPGA/DSP/DDS 搭載基板を
動かしながらしくみを学ぶ
フルディジタル無線&
変復調 実験室
DSP による AM 信号のディジタル復調
西村 芳一
Yoshikazu Nishimura
DSP
(Blackfin)
FPGAから来るI /Q データ
(fS ≒31kHz)
シリアル・
インター
フェース
DSPコアとは I/O用のバス リング・バッファ DSPコア用のバス(32ビット)
独立して動く
RAM
16サンプルぶん
(読み出し中)
DMA
16サンプルぶん
DSP
(書き込み中)
コア
16サンプルぶん
クロック400MHz
(a)復調用 I /Q データの読み出し
DSP
(Blackfin)
DSPコアとは I/O用のバス リング・バッファ
独立して動く
RAM
FPGAに送るI /Q データ
シリアル・
インター
フェース
DMA
16サンプルぶん
(読み出し中)
16サンプルぶん
(書き込み中)
DSPコア用のバス(32ビット)
DSP
コア
16サンプルぶん
クロック400MHz
(b)変調用 I /Q データの書き出し
図 1 DSP Blackfin は FPGA が出力するI /Q データを DMA で取り込んでリング・バッファ・メモリに蓄えたり,逆に FPGA に出力した
りする
先月号までで,アンテナから入った信号を A−D 変
換し,約 31 kHz の I /Q 信号にするところまでを説明
しました.ここまでは FPGA 内での信号処理です.そ
のI /Q 信号は,本連載の各種実験に利用しているフル
ディジタル無線信号処理実験ボード TRX−305MB で
は,高速シリアル・インターフェースを介して DSP
の Blackfin
(ADSP − BF533)に 送 ら れ ま す. そ こ で,
設定されたモードに合わせて復調処理が行われます.
今月はそのうちの AM 系の復調に関して説明しま
す.TRX−305MB では,SH−2 と FPGA に関してはす
べてのソース・コードが公開されていますが,DSP
に関しては公開していません.ここでは,具体的なコ
ードの説明ではなく,その処理の方法を中心に説明し
たいと思います.
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DSP 内のメモリにI /Q データを
取り込むデータの入出力
● DMA で自動的に取り込まれる
DSP に入力する正確なサンプリング周波数は,A−
D コンバータのサンプリング・クロック 65 MHz のち
ょうど1/2048ですから,31.738281 kHzです.
前号(2015
年 4 月号)で説明しましたが,FPGA から送り込まれ
た I /Q のデータは DSP のシリアル・インターフェー
ス回路に入力され,DMA(Direct Memory Access)で
バッファ・メモリに取り込まれます
(前回の図 11 参
照).Blackfin の DMA は,DSP コアのデータ・バス
とは完全に切り離されており,コアの動作をまったく
止めずに裏側で動作しています.
2015 年 5 月号