平成 27 年度 事 業 計 画 書 一般財団法人 貿易研修センター 目 次 ページ Ⅰ 本部事業の概要 ······································· 1 (27年度における分野ごとの事業) 1.国際交流事業 ······································· 2 (1)招聘事業 ················································· 2 (2)地域経済活性化等交流事業 ································· 2 (3)海外医療人材育成事業 ····································· 3 2.人材育成事業 ······································· 4 (1)日本ケースセンター事業 ··································· 4 (2)アジア太平洋経済協力(APEC)経営人材育成事業 ········· 5 3.調査研究及び情報提供事業 ··························· 6 (1)調査研究事業 ············································· 6 (2)情報提供事業等 ··········································· 7 Ⅱ 日欧産業協力センター事業の概要 ························ 8 (27年度における分野ごとの事業) 1.情報提供事業 ······································· 9 (1)セミナー ················································· 9 (2)エンタープライズ・ヨーロッパ・ネットワーク(EEN) ····· 9 (3)地方公共団体等の政府調達情報の提供 ····················· 10 (4)その他の情報提供 ······································· 10 2.日・EUビジネス・ラウンドテーブル ················· 11 3.研修事業 ········································· 12 (1)受入れ研修事業 ········································· (2)テーマ別研修事業 ······································· (3)ヴルカヌス・プログラム ································· (4)クラスター・サポート・ミッション ······················· 12 12 12 13 4.科学技術協力事業 ································· 14 (1)日欧のイノベーション連携促進に向けた活動 ··············· 14 (2)Gnss.Asia2(Global Navigation Satellite System) · 14 (3)ナショナル・コンタクト・ポイント(NCP)事業 ········· 15 5.欧州事務所の活動 ································· 16 (1)情報提供事業 ··········································· 16 (2)日・EUビジネス・ラウンドテーブル ····················· 16 (3)研修事業 ··············································· 17 Ⅲ 業務管理運営体制 ··································· 18 (1)理事会、評議員会の開催 ································· 18 (2)平成27年度事務局体制、組織図 ························· 18 Ⅳ 収支 ··············································· 19 平成27年度事業計画 Ⅰ 本部事業の概要 (27年度における分野ごとの事業) 平成27年度においては、①日本の経済状況への理解促進、②地域経済活性 化や中小企業振興への寄与、③東南アジア地域との交流促進、の 3点を重点課 題として以下の3分野で事業を行う。 国際交流分野では、諸外国との相互理解促進、人的ネットワーク形成及び経 済交流活発化を念頭に、我が国の現況、今後の方向性を正確に理解してもらえ るようテーマを設定し、各種招聘事業等を効果的に実施する。 人材育成分野では、日本ケースセンター事業を中核に、長期的な視野に立っ て次世代を担う人材の育成強化を行う。また、APEC地域の人材育成に寄与 する活動に取り組んでいく。 調査研究及び情報提供分野では、国際情勢やアジア情勢の変化に沿ったテー マの選定と講師陣の充実により質の高い講演会、研究会を行い、参加者の増加 や満足度を高めることに努める。また当センターの事業全般について速やかに ウェブサイトで紹介するなど、事前事後の広報の充実を図ることとする。 これらの事業を実施するに当たっては、当センターの厳しい財政状況に鑑み 効率的に事業を実施するとともに、事業の効果を高めるため事業間の連携に努 めるものとする。 また、平成29年に当センターは設立50周年を迎えることとなるが、これ に向けて、中・長期的観点から当センターのあり方について検討を行っていく こととする。 1 1.国際交流事業 平成27年度においても、諸外国の対日理解促進と日本の国際的ビジネスの 発展を後押しするために、アジア有望指導者招聘、国際教育者招聘、地域経済・ 産業の国際交流支援等の事業を継続実施する。事業実施に際しては、実施期間 の見直し等による予算の節約に努める。また、アジア新興市場国との交流促進 事業やインダストリアルツアー等の事業については本年度の実施を見送り、事 業効果の検証、次年度以降の実施頻度や外部スポンサー開拓可能性等の検討を 進める。 (1)招聘事業 1)アジア有望指導者招聘 CLMV(カンボジア、ラオス、ベトナム、ミャンマー)諸国の行政機関、 産業界等の幹部職員で、経済分野において次世代を担うと目される指導者を日 本に招聘する事業を継続実施する。被招聘者には 企業や関係機関の訪問を通じ て日本経済や産業などについての理解を深めてもらうとともに、我が国各界要 人との人脈形成を支援する。 内容面ではアジア側、日本側双方に関心の強い分野を テーマに取り上げ、相 互理解の促進、ビジネス交流の活発化に繋がるように工夫する。招聘対象とし て各国からそれぞれ3名程度を受け入れる。 事業終了後も、e-Magazine 等による日本経済・産業情報の提供等のフォローア ップを行い、人的ネットワークの維持に努める。 2)国際教育者招聘(IEJ) 平成27年度においても、海外進出日本企業の子女教育を担う教師、教育関 係者を欧米から25名ほど招聘し、約10日間の日程で、講義、学校訪問、地 方視察、ホームステイ等を実施し、我が国の文化・社会・教育制度の理解促進 を図る。参加者の増加を目指し、欧米各地の日系企業団体等を対象とした事業 紹介、勧誘活動を強化する。 (2)地域経済活性化等交流事業 平成27年度においても、各地の経済産業局が主導する、国際化を軸とした 地域経済活性化の試みに対する支援を継続する。 2 具体的には、地域の企業・産業による海外市場開拓等を目的とした日本から の専門家派遣や海外からの専門家招聘、これらに付随した情報発信活動等に財 政支援を行う。案件は各地の経済産業局を対象に募集し、期待される効果等を 勘案して支援の可否を決定する。採択案件は5件程度とし、事業効果が十分に 発揮されるよう、経産局との連携を強化する。 (3)海外医療人材育成事業 諸外国、とりわけアジア諸国の医療分野で活躍している医療技術専門家( 医 師、医療技術者、研究者等)などを招聘し、我が国における最先端医療、最新 医療技術を習得させ、当該国の医療技術の発展とこれら分野での人材育成に貢 献する「海外医療人材育成事業」を実施している。本事業は昭和58年以来継 続して実施されており、当センターは平成16年度より本事業の推進を担って いる。 20年度からは産業界から寄附金を募り、これをもって専門医療機関と協力 して本事業を実施しており、27年度も引き続き、産業界、医療機関の協力の 下、アジア諸国の医療技術と医療分野での人材育成に貢献していく。 3 2.人材育成事業 27年度人材育成事業としては、 「日本ケースセンター」の活動を通じて、ケ ース教材の利用促進とケースメソッドの更なる普 及を図ることにより、国内の 実践的教育の質の向上に寄与することを目指す。 また、APECの人材育成事業については、APEC人材養成作業部会に参 加する国と地域の代表と連携して、同地域の経済統合を支える経営人材育成に 資する活動を行う。 (1)日本ケースセンター事業 日本ケースセンター事業は、研修や授業などの教育の場におけるケースメソ ッドの普及・活用を促進し、その質的な向上に貢献することを目指している。 27年度は、これまでの実績を基に、ケース教材の充実と利用促進、会員向 けの情報提供、各種研修・企画を推進し、更なるサービスの充実を図る 。具体 的には以下の事業を実施する。 1)会員制度・ケース流通サイトの運営・維持管理 日本ケースセンターは、国内外のさまざまな機関で開発されたケース教材の 販売・流通システムを提供する登録会員制のウェブサイトを運営している。 27年度も、引き続き会員のニーズに沿ったサービスを提供するため、新着 ケースの定期的な配信、ケースに関する 情報の更新と管理を継続実施し、サイ トの安定的な運営を維持する。また、更なる会員数の増加やケースの利用促進 を図るため、新しいコンテンツの掲載やサイトシステムの改良を行い、ウェブ サイトの質の向上を目指す。 2)ケース収集・翻訳・翻訳監修 これまで日本ケースセンターは、ハーバード・ビジネス・パブリッシングを 始めとする海外ケース提供機関との連携の下、質の高いケースを提供してきた。 27年度も、これら機関との協力・連携を更に強化し、多様なケースを収集 し、登録数の増加に努める。このほか、国内で開発されたケースや、国内ケー スユーザーが個別に翻訳したケースの登録を促進し、ケースの種類を拡充する。 なお、各ケースの登録に当たっては、翻訳監修を行い、翻訳ケースの質を確保 する。 3)研修・研究会開催 日本ケースセンターでは、ケースメソッド普及のためのワークショップやシ 4 ンポジウムを開催している。26年度は、21年から24年にかけてディスカ ッションリードの演習の場を提供するために実施していた「CCJケースメソ ッド研究会」を再開した。 27年度も、 「CCJケースメソッド研究会」を継続開催し、ケースメソッド 教育に携わる教育者や実務者を対象に、ケースメソッド運営の実践的な能力を 高める機会を定期的に提供する。また、ケースメソッド教育に関心のある初心 者を対象としたワークショップの開催や、既存の研究会との連携など について も、必要に応じて実施を検討していく。 (2)アジア太平洋経済協力(APEC)経営人材育成事業 貿易研修センターは、APEC人材養成作業部会(HRD-WG)キャパシ ティ・ビルディング・ネットワーク(CBN)に、APEC設立当初より日本 代表機関として参加している。 26年度に、新規プロジェクト「海外投資成功のための戦略的人材マネジメ ント」を申請し、域内の企業の海外事業展開先における人材管理に関するリサ ーチや専門家によるワークショップを実施した。 27年度は、プロジェクトの成果として開発されたリサーチ・ケース集や 人 材管理に関するガイドラインを国内外に広報し、 広くプロジェクトの成果を普 及することに重点を置く。特に、日本の中小企業の海外展開に資するため、国 内におけるプロジェクト成果の活用を促進する。 5 3.調査研究及び情報提供事業 調査研究事業は、現下の国際情勢を理解し、対外経済政策の立案等に資する ため、有識者による研究会・調査会を開催する。 情報提供事業は、時宜に適ったテーマにより国際情勢に関する講演会 等を開 催するとともに、対日理解の深化を図るため、e-Magazine 発行事業などを推進 する。 (1)調査研究事業 1)IIST国際情勢研究会 激動する世界情勢及び地域動向に関して、学識経験者、政府関係者等による 議論を通じて、対外経済政策策定の一助となる調査研究会を開催する。 27年度も引き続き、本研究会を4回程度開催し、国際情勢に関する最新の 動向を選択して議論を行うなど、政策立案策定に貢献する。また、研究会の成 果を広く一般に公開することとして、シンポジウムを年1回開催し、 当センタ ーウェブサイトなどでその概要を公開する。 2)IISTアジア研究会 アセアン統合などアジア地域が直面する課題など、時局に合ったテーマを選 定し、政府関係者、学識経験者等の参加を得て、自由に議論する研究会を開催 する。 研究会の研究成果を広く関係者が共有できるよう、年1回公開形式でシンポ ジウムを開催し、当センターのウェブサイトなどで概要を公開する。 27年度は、アセアン統合とその後の動向をテーマとする研究会を4回程度 開催する。さらに、議論の取りまとめとして公開シンポジウムを開催し、広く その成果を一般に公開する。 3)IIST・中央ユーラシア調査会 我が国において情報量が限られている一方でエネルギーや資源国として注目 を集める中央ユーラシア地域の情報収集・分析を行い、これら地域との一層の 経済関係を促進させることを目的として研究会を開催する。 参加者は、大学教授等の学識経験者、現地駐在経験者(ビジネスマン、外交 官等)で構成する。 この研究成果は、年に一度公開シンポジウムを開催して一般の方々にも披瀝 するとともに、当センターのウェブサイトなどで公開している。 27年度は、非公開の研究会を6回程度開催し、さらに、公開シンポジウム 6 を1回開催する。 4)特定テーマ調査研究 特定地域、特定テーマに焦点を当てて調査研究を実施し、その成果は報告書 として取りまとめ、各種研修等に活用する。 (2)情報提供事業等 1)IIST国際情勢講演会 我が国産業界が対外戦略を策定する上で必要不可欠な国際情勢に係る最新情 報の提供を行うため、国際情勢や地域の動向に造詣の深い学識経験者、行政官、 ジャーナリスト等を講師とする講演会を東京において年2回程度開催する。 講演テーマは、アジアや欧米の動向、変動する中東地域などの政治・経済動 向等を踏まえ、適切で鮮度の高いテーマを選定する。 対象は、産業界・企業の方々を中心にジャーナリスト、研究機関、行政機関 、 大学などに広く呼びかけていく。 講演内容は、要旨をウェブサイトなどで広く公開するとともに、関係資料は 主要関係機関及びあらかじめ登録(無料)されたIISTサポーターズに提供 する。 2)卒業生への自己研鑚・充実の場の提供 卒業生の自己研鑚・充実を図る生涯教育の場として、 当センター主催の講演 会、シンポジウム、あるいは他団体との共催セミナー等への参加を促す。 3)IIST e - M a g a z i n e の発行 我が国経済、産業の動向や企業動向など読者のニーズにマッチした情報を内 外に発信し、対日理解の促進に貢献している。e-Magazine は、毎月1回、和文、 英文にて4テーマの記事を国内外に配信している。 27年度も引き続き、我が国経済活動等に関する記事掲載により、読者層の 拡大や記事内容の充実を図る。 7 Ⅱ 日欧産業協力センター事業の概要 (27年度における分野ごとの事業) 情報提供の分野では、日・EU双方にとって関心の高いテーマによるセミナ ーなどをタイムリーに開催する。 また、EUが市場開放を求めている政府調達分野への対応として、日本の地 方自治体等の公共調達情報を英語化してウェブサイト上で提供していく。 EUの中小企業支援サービス「ヨーロッパ・エンタープライズ・ネットワー ク(EEN)」については、日本での認知度を高め、一層の利用促進を図る。 政策提言の分野では、27年4月にブリュッセルで開催する「日・EUビジ ネス・ラウンドテーブル(BRT)」年次会合で、日EU・FTA/EPA交渉 の進展及び協定締結後の日・EU関係を踏まえた議論と政府への提言を行うた めの事務局機能を果たす。日・EU間の重要課題についてはセミナーなどでも フォローアップし、事業の効果的な実施を図る。 研修分野では、EUのビジネスパーソン等を対象とする各種研修内容の 更な る拡充を目指すとともに、理工系学生の企業研修プログラムへの地方企業や大 学の積極的な参加を促していく。また、26年度に続き、過去の研修事業参加 者のネットワーク化を進めていく。 科学・技術・イノベーション協力促進の分野では、センターがコーディネー ターを務めている日欧イノベーション・科学・技術連携促進事業( JEUPISTE プロジェクト)の活動を引き続き充実させるとともに、欧州の新しいフレーム ワークプログラム「HORIZON 2020」の日本におけるナショナルコン タクトポイント(NCP)として、積極的な活動を展開する。また、27年 1 月に開始されたGnss.Asia2では、Gnss.Asiaに続き日欧の産業協力 を一層推進する。 8 1.情報提供事業 日本とEUとの間の貿易投資を促進し、ビジネスの活性化に資することを目 的に、各種セミナーやウェブサイト等を通じて積極的にビジネス関連情報を提 供するとともに、さまざまな機会を捉えて、センター事業の活用を呼びかけて いく。 (1)セミナー 日欧産業協力センターでは、日・EU企業の対EU・対日貿易投資の促進や、 日・EU産業界によるさまざまな分野での協力推進を目的として、日・EU双 方が関心を持つ企業・産業に関わるテーマを取り上げて「日・EU政策セミナ ー」を実施している。 27年度は、26年度に引き続き「エネルギー・環境・気候変動」、「貿易・ 投資」、「産業政策」を3本柱として、日・EU企業にとって重要かつタイムリ ーなテーマを取り上げていく。具体的には、日EU・FTA /EPAの動向を 含めた貿易・投資環境の動向、各種産業政策(イノベーション政策、中小企業 政策、その他時宜を得たもの)などをテーマとして検討する。 (2)エンタープライズ・ヨーロッパ・ネットワーク(EEN) 情報提供事業の1つとして、欧州委員会が運営する中小企業支援体制「エン タープライズ・ヨーロッパ・ネットワーク(EEN)」によるサービスを提供し ている。 EENは、中小企業の国際化や、国境を越えたビジネスパートナー探しを支 援するために欧州委員会が20年度に設立したビジネスネットワークで、セン ターは日本で最初のサポート機関として23年度にEENに加入し、日・EU 中小企業間のパートナーシップを促進する日本の各機関と積極的に協力関係を 構築して活動している。 27年度は以下の活動を予定している。 ・EUで開催されるB to B商談会への日本企業参加促進プロモーション。 ・来日するEU企業と日本企業間のB to B商談会を主催/共催するに当 たっての円滑な運営ノウハウ習得、ソフトウェアなどのツール整備。 ・首都圏だけでなく、地方在住の企業に対するプロモーション強化。具体 的には、26年度から開始したウェブセミナーを通じ、地方企業のEU 9 市場参入を支援する。 ・日本の官民中小企業支援機関と連携し、EENのより一層の認知向上を 図る。 ・クラスター・サポート・ミッション、科学技術協力事業などセンターの 他事業との連携を強化し、日欧パートナーシップ形成に向けた呼びかけ 及びマッチング支援を行う。 (3)地方公共団体等の政府調達情報の提供 EU向け情報提供の一環として、24年度から中小企業庁の官公需ポータル サイトをベースに、地方公共団体等の政府調達情報をセンターの英文ウェブサ イト上で提供している。 中小企業庁のポータルサイトが26年度にリニューアルされたのに伴い、セ ンターの英語版サイトも26年9月にリニューアルし、27年度も、日本の政 府調達市場の開放を求めるEU側の声に応えるべく、当該情報の 提供を継続し ていく。 (4)その他の情報提供 欧州委員会予算によるプロジェクト「EU Business in Japan」を運営し、日 欧のビジネス連携に役立つ情報や資料をまとめたウェブ・ポータルとして内容 を充実させていく。 10 2.日・EUビジネス・ラウンドテーブル 27年度のBRT本会合は、ブリュッセルで4月開催予定。BRT提言書は、 27年中の大筋合意を目指している日EU・FTA/EPA交渉における重要 な判断材料の1つとみなされてきたが、今回の年次会合は、協定締結後の日・ EU関係の新たな枠組みを考える場ともなる見込みである。センターは、BR Tが引き続きスムーズに運営されるよう、26年度に就任した日本側新議長会 社をサポートしつつ、シェルパ会議、プリンシパル会議、本会合の事務局を務 める。 11 3.研修事業 将来の日本とEUとの産業協力を担う人材を育成することを目的に、各種研 修事業を実施している。27年度も、EUのビジネスパーソン及び日・EUの 理工系学生を対象に、更に充実した研修事業に取り組む。 (1)受入れ研修事業 EU企業の中堅幹部ビジネスパーソン等を対象に、日本企業の競争力の源泉 ともいえる生産管理の実態等について、現場研修に力点を置き、講義と実務を 有機的に関連づけた研修を4週間(個別企業訪問のためのオプション1週間も 含めると合計5週間)にわたって実施している。 26年度は、第50回研修を5~6月に14名を対象に実施し、26年度末 までに、計633名が参加した。 27年度は、第51回研修を27年5~6月に実施予定。引き続き日本での ビジネス展開を視野に入れたEU企業のために、より効果の大きいプログラム を提供する。 (2)テーマ別研修事業 27年度も26年度に引き続き、 「ワールドクラス・マニュファクチュアリン グへの挑戦」をテーマに、EU製造業の中堅幹部ビジネスパーソンを対象に、 総合生産保全、品質管理、現場における改善や教育についての講義と工場・事 業所見学からなる1週間程度の短期研修を7月及び11月に実施予定。各回の 参加者は20名程度を見込んでいる。 本事業は、26年度末までに75回の研修を実施し、計1,239名が参加 しており、各方面から高い評価を得ている。参加 企業からの意見や要望を参考 に、27年度も更に研修内容を充実させていく。 (3)ヴルカヌス・プログラム 理工系の学部学生・大学院生を対象とした企業内研修プログラム(1年間)。 日本人学生向け(ヴルカヌス・イン・ヨーロッパ。8年度開始)とEU学生向 12 け(ヴルカヌス・イン・ジャパン。9年度開始)のプログラムから成る。事業 開始当時は日本人学生10名、EU学生14名でスタートしたが、日・EU 産 業協力を担う長期的人材育成の重要性に鑑み、26年末までに日本人学生33 9名、EU学生474名、計813名の派遣・受入れを行っている。 1)日本人学生のEU企業への派遣 26年秋に選考した27年度派遣生については、前年比3名増の20名を7 か国(ドイツ、フランス、ベルギー、スペイン、イタリア、ポーランド、スロ ベニア)に派遣予定。ポーランド企業への派遣は本事業開始以来初めて。また、 26年度に高等専門学校専攻科の学生も派遣対象とし、27年度には初めて2 名を派遣することになる。 派遣のためのビザ取得については、派遣先によりビザの種類、必要書類が異 なり、手続きは煩雑だが、渡航までに必ずビザが取得できるよう引き続き努力 していく。 センターでは、本事業を通じて毎年グローバル人材を生み出しており、参加 者はいずれ日本と欧州を結ぶリーダー的存在になることが期待されている。参 加者の質の高さを維持するため、有力なキャリアサイトや理工系学生向けの専 門紙などへの記事掲載、大学へのポスター配布、インターネット上のネットワ ークの有効活用など、積極的な広報努力を今後も続けて行く予定である。 2)EU学生の日本企業による受入れ 27年度は26年度より6名増員し、50名を受入れ予定。広報活動として、 EU加盟国の在日大使館や商工会議所などのネットワーク、民間の人事サービ ス会社を通じたプロモーションを行っており、より多くの海外人材を自社製品 開発に活用したいという企業からを中心に、問い合わせを受けている。 また、26年度からは、欧州委員会の助成により中小企業のプログラム参加 費用が半額となっていることを重視し、日系、外資系問わずより多くの中小企 業に呼びかけを行う。 (4)クラスター・サポート・ミッション 欧州のクラスターとそれに属する中小企業の国際化、日本市場への進出促進 を目的に、24年度からクラスター・サポート・ミッションの受入れを実施 し ている。 27年度は、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、ICT 分野を対象に 受入れ実施予定。2年度にわたり成功裏に終了したバイオミッション受入れに ついては、サポート人員などの体制が整えば、参加者40名を目標とする。 13 4.科学技術協力事業 研究開発・イノベーション分野での日・EU間の協力促進事業(科学技術協 力事業)は、JEUPISTEプロジェクトの活動やナショナル・コンタクト・ ポイント(NCP)としての活動を実施している。日欧の将来を担う事業とし て、27年度はNCPとしての活動を軌道に乗せ、科学技術協力事業とセンタ ーの既存事業との連携強化を図る。 (1)日欧のイノベーション連携促進に向けた活動 研究開発における戦略的連携が重要視される中、EUでは26年に新たなフ レームワークプログラム「HORIZON 2020」が始まった。 「J−BIL AT」プロジェクトに続きセンターがコーディネートしている「JEUPIS TE」プロジェクト(研究開発・イノベーションの広い分野での日欧連携強化 を目指す)への注目も一層高まっている。 27年度は以下の活動を予定している。 ・日欧の科学・技術政策対話への貢献に向けた情報収集と解析をまとめた電 子冊子を定期的にアップデートする。 ・「HORIZON 2020」 に関する日本での情報提供を日欧のパートナ ーと行い、NCP事業との相乗効果を発揮する。日本から欧州に向けての 情報発信も継続して行い、双方向の情報提供サービスを充実させる。 ・イノベーションや学術ワークショップ開催、特に日本での開催に注力し、 積極的にパートナーシップ形成を支援する。 ・中小企業を含む日本の研究開発・イノベーションマネージャー向けに実務 的なトレーニングコースのカリキュラムを構成する。 ・EENなどの日欧産業協力センターの他事業との連携により、マッチング 支援など、単独ではカバーしきれない領域を強化する。 ・補完関係にあるプロジェクトや他地域の同様のプロジェクトとの連携、情 報交換を強化する。 (2)Gnss.Asia2 (Global Navigation Satellite System) 27年1月から「HORIZON 2020」プログラム、Gnss.Asia 2が始まった。24年1月から2年間実施していたGnss.Asiaにおけ る衛星測位システムの利用、特に受信機やアプリケーション開発における日欧 の産業協力を一層促進すべく活動する。27年度は、初夏に特に産業界の協力 14 を念頭に置いたセミナーを日本で開催予定。さらに、国際会議などでの発表や、 2 5 年 度 に 創 設 し た 衛 星 測 位 テ ク ノ ロ ジ ー の ア イ デ ィ ア を 競 う European Satellite Navigation Competition(ESNC)の日本賞を、更に発展させる予 定。 (3)ナショナル・コンタクト・ポイント(NCP)事業 「HORIZON 2020」 に関する日本のナショナルコンタクトポイン ト(NCP)としての活動は、経済産業省により26年度から予算化されたこ とで体制作りが進み、監督官庁との密接な連絡の下に欧州委員会のガイドライ ンに沿ったサービス提供の枠組(専用ウェブサイトの開設やEENとの連携も 含む)が整えられつつある。 27年度は、イノベーション政策に関する省庁等からのレクチャー依頼など の要請に引き続き応え、欧州との国際連携戦略策定に貢献する。幅広いヘルプ デスク活動を継続するほか、特に戦略的に連携の芽の発掘、継続的支援を試み る。 26年度に立ち上げたウェブサイトでは、27年度には英語版も公開し、欧 州のステークホルダーに対しても情報を提供する。 また、より多くのステークホルダーにアクセスするために、26年度に構築 を始めた有力大学のリサーチ・アドミニストレーターなどとのネットワークを 強化するとともに、見本市での産業界への働きか けなど、セミナーやワークシ ョップ以外の方法での情報展開も行う。さらに、日欧連携に有望だと思われる 分野の最新情報や他地域でのコンタクト・ポイント設置・運営に関する情報を 積極的に収集する。 15 5.欧州事務所の活動 (1)情報提供事業 セミナーを通じた情報提供については、27年度も26年度に引き続き「エ ネルギー・環境・気候変動」、「貿易・投資」、「産業政策」の3本柱に基づき、 日・EU間の共通関心事項・課題に焦点を当て、在欧州日系企業・EU企業に とって重要かつタイムリーなテーマを取り上げる。EU 及び日系の各機関とも 適宜連携を図り、最新情報の提供、ネットワーク構築、政策担当者との意見交 換の機会を設けていく。 具体的なテーマ候補: ・「エネルギー・環境・気候変動」環境エネルギーに関わる日・EU産業界の 技術開発協力、等 ・「貿易・投資」FTA/EPA関連、等 ・「産業政策」成長戦略、規制協力、等 ニュースレター「EU-JAPAN NEWS」(季刊、電子版、英語)を引き続き発 行し、センター事業の成果紹介、日欧産業協力に関わる官民の取組についての 最新の動きや他機関の日・EU関連イベント情報紹介等を行う。また、ニュー スレターのデザイン改善に取り組み、購読者にとってより魅力的で読みやすい ものにする。 「エンタープライズ・ヨーロッパ・ネットワーク(EEN)」については、日 本窓口として、在欧州のパートナー機関との連携を引き続き強化し、日本との ビジネスに関心のあるEU企業等への情報提供・サポートを行う。 さらに、26年度に引き続き、日本市場におけるビジネス開拓に関心のある 欧州企業のための日本情報ウェブ・ポータル「EU Business in Japan」を円滑 に運営する。 (2)日・EUビジネス・ラウンドテーブル 27年度は、4月にブラッセルで開催される第17回年次会合の円滑な実施に 向け、各関係機関との調整、各種手配など運営に係る諸準備を行う。 16 (3)研修事業 1)受入れ研修事業・テーマ別研修事業 他事業との連携効果も高める工夫を行いながら、日本で実施する「受入れ研 修事業(HRTP)」と「テーマ別研修事業(ワールドクラス・マニュファクチ ャリング)」の広報・参加者募集を行う。また、日本への研修派遣前には必要な 情報提供を行う。 さらに、これら研修事業を通して構築した欧州製造業のネットワークを活用 し、26年度からEU内でのEU企業向けテーマ別研修(ワールドクラス・マ ニュファクチャリングに関する1日現場研修)の企画にも取り組んでおり、2 7年度も引き続き4~5回実施予定。 欧州クラスターの対日ミッション派遣については、27年度はバイオテクノ ロジー、ナノテクノロジー、ICTの3分野をテーマに対日ミッション派遣を 実施する。 2)ヴルカヌス・プログラム 日本からの派遣事業については、欧州到着時のセミナー、中間報告会、最終 報告会をブリュッセルで実施するほか、年間を通じ参加者・欧州受入れ企業の サポートを行う。 欧州からの派遣事業については、参加者50名を目標とし、広報、参加者の 募集・選考、円滑な日本渡航に向けた各種サポートを行う。 4)その他 本部が実施する外国人教師の日本招聘事業(IEJプログラム)に関しては、 欧州事務所が派遣団体の1つとなっている。27年度は、3名派遣予定で、プ ログラム実施に向けたサポートを引き続き行う。 17 Ⅲ 業務管理運営体制 (1)理事会、評議員会の開催 センターの運営に関する重要事項を議決するために、次のとおり理事会、評 議員会を開催する。他の議題は必要に応じ設定する。また、緊急の審議が必要 な場合は、臨時に開催する。 平成27年6月には、平成26年度の事業報告、収支決算を審議する。 平成28年3月には、平成28年度の事業計画、収支予算を審議する。 (2)平成27年度事務局体制、組織図 本部、支部の事務局体制、組織図は次のとおりである。 (一般財団法人貿易研修センター 組織図) (本部) 専務理事 (本部担当) 理事長 総務・企画調査広報部 (8人) 国際交流部 (4人) 人材育成部 日本ケースセンター (2人) (支部) 理事会 専務理事 (支部担当) 日欧産業協力センター 評議員会 監事 18 (17人) Ⅳ 収支 上記事業を実施するため必要な経費は、 ①基本財産の運用果実、 ②将来の事業展開に備え積立てられた事業強化資金等特定資産、及びその 運用果実等、 ③特定事業の推進のために交付される国庫補助金、寄附される資金、及び、 EU資金、 ④事業の実施に伴う収入 をもって充てる。 (以上) 19
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