米国経済 2015 年 4 月 8 日 全8頁 アメリカ経済グラフポケット(2015 年 4 月号) 2015 年 4 月 6 日発表分までの主要経済指標 ニューヨークリサーチセンター 上野 まな美 シニアエコノミスト 土屋 貴裕 実質GDPの推移 (前期比年率、%、%pt) 6 政府支出 純輸出 4 在庫投資 2 住宅投資 0 設備投資 -2 個人消費 実質GDP成長率 -4 11 12 13 14 (年) (前期比年率、%、%pt) 国内総生産 個人消費 設備投資 住宅投資 政府支出 輸出 輸入 寄与度 個人消費 設備投資 住宅投資 在庫投資 政府支出 輸出 輸入 2013 4-6 7-9 1-3 10-12 1-3 2014 4-6 7-9 10-12 2.7 3.6 1.5 7.8 -3.9 -0.8 -0.3 1.8 1.8 1.6 19.0 0.2 6.3 8.5 4.5 2.0 5.5 11.2 0.2 5.1 0.6 3.5 3.7 10.4 -8.5 -3.8 10.0 1.3 -2.1 1.2 1.6 -5.3 -0.8 -9.2 2.2 4.6 2.5 9.7 8.8 1.7 11.1 11.3 5.0 3.2 8.9 3.2 4.4 4.5 -0.9 2.2 4.4 4.7 3.8 -1.9 4.5 10.4 2.5 0.2 0.2 0.7 -0.8 -0.1 0.0 1.2 0.2 0.5 0.3 0.0 0.8 -1.4 1.4 0.7 0.3 1.5 0.0 0.7 -0.1 2.5 1.2 -0.3 -0.3 -0.7 1.3 -0.2 0.8 0.2 -0.2 -1.2 -0.2 -1.3 -0.4 1.8 1.2 0.3 1.4 0.3 1.4 -1.8 2.2 1.1 0.1 0.0 0.8 0.6 0.2 3.0 0.6 0.1 -0.1 -0.4 0.6 -1.6 ( 出 所 ) BEA, Haver Analytics よ り 大 和 総 研 作 成 株式会社大和総研 丸の内オフィス 〒100-6756 東京都千代田区丸の内一丁目 9 番 1 号 グラントウキョウ ノースタワー このレポートは投資勧誘を意図して提供するものではありません。このレポートの掲載情報は信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性、完全性を保証する ものではありません。また、記載された意見や予測等は作成時点のものであり今後予告なく変更されることがあります。㈱大和総研の親会社である㈱大和総研ホールディングスと大和 証券㈱は、㈱大和証券グループ本社を親会社とする大和証券グループの会社です。内容に関する一切の権利は㈱大和総研にあります。無断での複製・転載・転送等はご遠慮ください。 2/8 雇用環境1 ◆ 3 月の失業率は 5.5%で、2008 年 5 月以来の低水準を記録した前月と同水準であった。職探 しを始める人が増えなかったことが主要因である。 ◆ 非農業雇用者数の前月差は 12.6 万人増と前月の半分以下となり、2013 年 12 月以来の小幅 な伸びにとどまった。非農業雇用者数の前月差の 6 ヵ月平均は 26.1 万人増であった。 非農業雇用者数と失業率 労働参加率と就業率 (前月差、万人) 60 (%) 非農業雇用者数 (%) 12 67 10 66 (%) 労働参加率 40 64 就業率(右軸) 失業率(右軸) 63 20 62 8 0 65 61 6 -20 60 64 -40 4 59 -60 2 -80 0 -100 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (年) (万人) 1,200 再び職を探している 新たに職を探している 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (年) (出所)BLS, Haver Analyticsより大和総研作成 (%) U-5+経済的理由のパート労働者(U-6) 失業者+潜在的失業者(U-5) 20 失業者+就職を諦めた人(U-4) 18 自己都合 350 57 62 定義別失業率 理由別失業者数 400 58 15 (出所)BLS, Haver Analyticsより大和総研作成 (万人) 63 失業率(U-3) 1,000 会社都合(右軸) 300 800 250 16 非自発的離職者(U-2) 14 15週以上の失業率 (U-1) U-6 12 600 200 10 8 150 400 6 100 200 50 U-1 4 2 0 0 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 0 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (年) (出所)BLS, Haver Analyticsより大和総研作成 1 15 (年) (出所)BLS, Haver Analyticsより大和総研作成 大和総研 ニューヨークリサーチセンター 土屋貴裕「米雇用者数の増勢に一服感」(2015 年 4 月 6 日)参 照。http://www.dir.co.jp/research/report/overseas/usa/20150406_009624.html 3/8 個人消費 ◆ 2 月の小売売上高は前月比 0.6%減で、3 ヵ月連続で減少した。大雪などの悪天候が影響し たものと見られる。コア小売売上高は、前月と同水準であった。 ◆ 3 月のロイター/ミシガン大消費者センチメントは前月の 95.4 から 93.0 に低下した。低所 得者が厳冬による暖房費の高騰を懸念したことが響いた。 ◆ 3 月の自動車販売台数は前月比 5.6%増で、年率換算では 1,715 万台であった。外国ブラン ドの高級車や米国ブランドのトラックなどの好調な販売により、4 ヵ月ぶりに増加に転じ、 年率換算で 1,700 万台に回復した。 小売売上高の推移 消費と株価 (億ドル) (億ドル) 小売売上高 5,000 3,000 (3ヵ月前比、%) 6 株価(右軸) コア小売売上高(右軸) 2,800 4 20 2,600 2 10 2,400 0 0 2,200 -2 -10 2,000 -4 -20 1,800 -6 -30 1,600 -8 -40 1,400 -10 4,500 4,000 3,500 (3ヵ月前比、%) 30 小売売上高 3,000 2,500 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (年) (年) (注)コア小売売上高は自動車ディーラー、ガソリンスタンド、 建材・園芸、飲食サービスを除く。 (出所)Census, Haver Analyticsより大和総研作成 (注)株価はWilshire5000。 (出所)Census, Dow Jones, Haver Analyticsより大和総研作成 消費者マインド 自動車販売台数 (年率換算、万台) 消費者信頼感指数(1985=100) 120 -50 05 15 2,200 ロイター/ミシガン大消費者センチメント(1966Q1=100) 2,000 100 1,800 80 1,600 60 1,400 40 1,200 20 1,000 0 05 06 07 08 09 10 11 12 (出所)ロイター/ミシガン大, Conference Board, Haver Analyticsより大和総研作成 13 14 15 (年) 800 05 06 07 08 09 10 11 (出所)Autodata, Haver Analyticsより大和総研作成 12 13 14 15 (年) 4/8 住宅市場 ◆ 2 月の新築住宅着工(一戸建てと集合住宅を含む)は前月比 17.0%減と大幅に減少し、年率 換算で 89.7 万戸となった。大雪などの悪天候に因り、5 ヵ月連続で維持していた年率換算 の 100 万戸超を割り込み、2014 年 1 月以来の低水準に落ち込んだ。 ◆ 2 月の中古住宅販売(一戸建て)は低水準であった前月から僅かに増加し、前月比 1.4%増 の年率換算 434.0 万戸であった。中古住宅の物件不足や住宅価格の上昇などが影響し、販売 が伸び悩んでいる。 ◆ 2 月の新築住宅販売(一戸建て)は前月比 7.8%増、年率換算で 53.9 万戸であった。悪天候 にもかかわらず 3 ヵ月連続で増加し、2008 年 2 月以来の高水準になった。 ◆ 1 月のケースシラー住宅価格指数(20 都市)は前月比で 0.9%上昇し、5 ヵ月連続の上昇と なった。 住宅販売(一戸建て) 住宅ローン申請件数 (年率換算、万戸) (年率換算、万戸) 700 140 中古住宅販売 350 新規申請 借換申請 新築住宅販売(右軸) 650 (2005=100) 120 600 300 住宅ローン申請件数 250 100 550 200 500 80 150 450 60 100 400 40 350 300 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (出所)Census,NAR,Haver Analyticsより大和総研作成 20 15 (年) 住宅着工と建設業者の景況感 50 0 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (年) (出所)MBA, Haver Analyticsより大和総研作成 住宅価格 (最大=100) (年率換算、万戸) (2000/01=100) (1991/01=100) 240 80 建設業者の景況感 70 新築住宅着工(右軸) 220 ケースシラー住宅価格指数 (20都市) FHFA住宅価格指数(右軸) 210 230 200 190 60 210 180 50 160 170 190 140 40 120 30 100 20 150 170 130 80 10 0 05 06 07 08 09 10 11 12 13 (出所)Census, NAHB, Haver Analyticsより大和総研作成 14 60 110 40 15 (年) 90 150 130 05 06 07 08 09 10 11 12 (出所)S&P, FHFA, Haver Analyticsより大和総研作成 13 14 15 (年) 5/8 企業動向 ◆ 2 月の鉱工業生産指数は 3 ヵ月ぶりに上昇したが、前月比 0.1%の上昇にとどまった。指数 全体の約 7 割を占める製造業は同 0.2%低下したものの、厳冬による暖房需要の増加がかろ うじて全体の指数を押し上げた。 ◆ 2 月の国防・民間航空機を除く資本財受注は前月比 1.1%減少し、6 ヵ月連続で減少した。 世界的な需要の低迷やドル高が影響しているものと見られる。 ◆ 3 月の ISM 製造業指数は、前月比 1.4%ポイント低下の 51.5%であった。5 ヵ月連続で低下 し、2013 年 5 月以来の低水準となった。非製造業指数も 3 ヵ月ぶりに低下し、同 0.4%ポイ ント低下の 56.5%であった。両指標ともに低下したものの、景気の拡大・縮小の分岐点で ある 50%を上回る水準を維持している。 鉱工業生産と設備稼働率 企業の景況感 (%) (2007=100) 110 鉱工業生産 85 設備稼働率(右軸) 83 105 (%) ISM製造業 65 ISM非製造業 60 81 79 100 77 95 55 50 75 73 90 71 45 40 69 85 35 67 80 05 06 07 08 09 10 11 12 13 65 15 (年) 14 (出所)FRB, Haver Analyticsより大和総研作成 30 05 06 07 耐久財受注 (前年比、%) (億ドル) 在庫 3,200 11 12 13 14 15 (年) (億ドル) 750 資本財受注(国防・民間航空機除く、右軸) 3,000 10 10 耐久財受注 出荷 15 09 (出所)ISM, Haver Analyticsより大和総研作成 製造業の出荷・在庫 20 08 700 2,800 650 5 2,600 0 2,400 600 2,200 550 -5 -10 2,000 -15 500 -20 1,800 -25 1,600 -30 450 1,400 05 06 07 08 09 10 11 (出所)Census, Haver Analyticsより大和総研作成 12 13 14 15 (年) 400 05 06 07 08 09 10 11 12 (出所)Census, Haver Analyticsより大和総研作成 13 14 15 (年) 6/8 物価動向 ◆ 2 月の CPI(消費者物価指数)は前年比で変わらず、コア CPI は同 1.7%上昇した。ドル高 などからインフレ率の上昇が抑制されており、インフレ率が FRB の長期目標である 2%を下 回る状態が続いている。 ◆ 3 月の 2 年先及び 5 年先期待インフレ率は前月比で上昇したが、安価な原油やドル高などに より、期待インフレ率が低下傾向にある。 ◆ 3 月末の WTI 原油先物価格は 47.60 ドル/バレルと、2 月末の 49.76 ドル/バレルから下落し た。世界的な原油の供給過多の予測や、米国の原油備蓄が過去最高を記録したことなどによ り、原油先物価格が更に下落した。 消費者物価指数 期待インフレ率 (%) (前年比、%) 6 3.5 コアCPI 5 2年先・期待インフレ率 5年先・期待インフレ率 CPI 3.0 4 2.5 3 2.0 2 1 1.5 0 1.0 -1 0.5 -2 -3 0.0 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 05 06 07 08 09 10 11 12 13 15 (年) (出所)Cleveland Fed, Haver Analyticsより大和総研作成 (ドル/バレル) (1973=100) 実効為替レート(ブロード) コモディティ価格 (1967=100) 120 14 (年) (注)コアCPIは食品、エネルギーを除く。 (出所)BLS, Haver Analyticsより大和総研作成 実質実効ドル(1973年3月=100) 500 名目実効ドル(1997年1月=100) WTI原油先物価格(直近限月、右軸) 450 110 (ドル/バレル) 160 RJ/CRB先物指数 140 400 120 350 100 100 300 90 80 250 200 80 60 150 40 100 70 20 50 60 0 0 05 06 07 08 09 10 11 (出所)FRB, Haver Analyticsより大和総研作成 12 13 14 15 (年) 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (出所)Wall Street Journal, CRB, Haver Analyticsより大和総研作成 (年) 7/8 輸出入・経常収支 ◆ 2 月の貿易収支(財・サービス)は、輸出が前月比 1.6%減少し、輸入も前月比 4.4%減少 した。貿易収支の赤字は前月比 16.9%減と大幅に縮小し、2009 年 10 月以来最少の約 354 億 ドルとなった。西海岸の主要港湾における労働争議が輸出入を押し下げたほか、ドル高や世 界的な需要薄などが貿易収支に影響を与えたものと見られる。 ◆ 地域別(財)では、中国向けの輸出が前年比 11.9%減、日本向けが同 5.4%減少したほか、 欧州向けも同 1.6%減であった。輸入は、欧州からの輸入が前年比 2.5%増、中国からも同 1.6%増であった一方、日本からの輸入は同 12.9%減であった。日本からの輸入は 2009 年 10 月以来の大幅な前年比減となった。 貿易収支動向 経常収支の推移 (億ドル) (億ドル) (%) 0 0 3,000 貿易収支(右軸) 輸出 輸入 2,500 (億ドル) 0 経常収支(右軸) -100 -1 -200 -2 -300 -3 -400 -4 -500 -5 -600 -6 -700 -7 経常収支/GDP -500 2,000 -1,000 1,500 -1,500 1,000 -2,000 500 0 05 06 07 08 09 10 11 12 (出所)Census, Haver Analyticsより大和総研作成 13 14 15 -2,500 05 06 07 国・地域別輸出動向 国・地域別輸入動向 (前年比、%) 欧州 中国 09 10 11 12 50 日本 25 欧州 中国 13 14 (年) (出所)BEA, Haver Analyticsより大和総研作成 (前年比、%) 30 08 (年) 日本 40 20 30 15 10 20 5 10 0 -5 0 -10 -10 -15 -20 -20 12 13 14 (出所)Census, Haver Analyticsより大和総研作成 15 (年) 12 13 14 (出所)Census, Haver Analyticsより大和総研作成 15 (年) 8/8 金融・財政 ◆ 3 月の長期金利(10 年債利回り)の平均値は 2.04%であった。3 ヵ月ぶりに平均値が 2.0% 台に上昇したものの、FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ時期がずれ込む見通しや、ドル 高、そして他の主要国に比べて高めの金利水準であることなどから国債価格が上昇し、長期 金利が低下傾向にある。 ◆ 3 月の FOMC(連邦公開市場委員会)において、事実上のゼロ金利政策の据え置きと、保有す る資産規模の維持が決定された。FRB の資産残高は、直近の 4 月 2 日の週平均が約 4 兆 5,300 億ドルであった。 ◆ 連邦政府の財政収支(12 ヵ月平均)は、トレンドとして赤字幅が縮小している。 クレジットスプレッド 政策金利・長期金利 (%) (%) 6 FFレート誘導目標 7 Baa格社債利回り-10年債利回り Aaa格社債利回り-10年債利回り 10年債利回り 6 5 5 4 4 3 3 2 2 1 1 0 0 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (出所)FRB, Haver Analyticsより大和総研作成 15 (年) 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (年) (出所)FRB, Haver Analyticsより大和総研作成 FRBの資産構成 連邦政府の財政収支 (兆ドル) (億ドル) (億ドル) 5.00 4.50 4.00 0 3,500 -200 3,000 -400 2,500 -600 2,000 -800 1,500 -1,000 1,000 その他 3.50 3.00 MBS、政府 機関債 2.50 2.00 国債 1.50 1.00 財政収支 歳入(右軸) 歳出(右軸) -1,200 0.50 500 -1,400 0.00 07 08 09 10 11 12 13 (出所)FRB, Haver Analyticsより大和総研作成 14 15 (年) 0 05 06 07 08 09 10 11 12 (注)データは12ヵ月移動平均。 (出所)米財務省, Haver Analyticsより大和総研作成 13 14 15 (年)
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