(データヘルス計画) [796KB pdfファイル]

一関市保健事業実施計画
(データヘルス計画)
平成27年3月
一
関
市
目
次
序 計画策定の背景及び趣旨等
1 計画策定の趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2 計画の位置付け ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
3 計画の期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
第1 一関市の現状
1 人口と世帯数 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
2 人口動態・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
3 国民健康保険医療費等の推移 ・・・・・・・・・・・・・・・・8
第2
1
2
3
4
5
6
これまでの取組
特定健康診査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
特定保健指導・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
健康教育・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
健康相談・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
訪問指導・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
医療費適正化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
第3 健康医療情報の分析と健康課題
1 健康医療情報の分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
2 保健事業として優先的に取り組むべき健康課題・・・・・・・・22
第4 保健事業の目的・目標
1 保健事業の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
2 保健事業の目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
第5
1
2
3
4
保健事業の実施内容
特定健康診査に関する取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・24
特定保健指導に関する取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・25
健康教育に関する取組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
医療費適正化に関する取組・・・・・・・・・・・・・・・・・27
第6
1
2
3
4
実施計画の評価方法
個別事業の評価方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
成果目標の評価方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
実施計画全体の評価方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
評価を行う者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
第7
実施計画の見直し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
第8
実施計画の公表・周知・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
第9 事業運営上の留意事項
1 庁内での実施体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
2 関係団体等との連携・協力・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
第10
個人情報の取扱い
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
序
計画策定の背景及び趣旨等
1
計画策定の趣旨
近年、特定健康診査の実施や診療報酬明細書等(以下「レセプト等」という。)の
電子化及び国保データベースシステム(以下「KDB」という。)等の整備により、
保険者が健康や医療に関する情報を活用して被保険者の健康課題の分析、保健事業の
評価等を行うための基盤整備が進んできています。
こうした中、「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)において、「全ての健
康保険組合に対し、レセプト等のデータの分析、それに基づく加入者の健康保持増進
のための事業計画として「データヘルス計画」の作成・公表、事業実施、評価等の取
組を求めるとともに、市町村国保が同様の取組を行うことを推進する。」とされ、保
険者はレセプト等を活用した保健事業を推進することとされました。
これを受け、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)第82条第4項の規定に基づ
き厚生労働大臣が定める国民健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針(平
成16年厚生労働省告示第307号)の一部が改正され、保険者は健康・医療情報を活用し
てPDCAサイクル※に沿った効果的かつ効率的な保健事業の実施を図るための保健
事業の実施計画(データヘルス計画)を策定した上で、保健事業の実施及び評価を行
うこととされました。
当市においても、統計資料等を活用することにより、「特定健康診査等実施計画」
の策定や見直し、その他の保健事業を実施してきたところでありますが、今後は、さ
らなる被保険者の健康保持増進に努めるため、KDB、レセプト等データなど保有し
ているデータを活用しながら、被保険者全体を対象とした保健事業(ポピュレーショ
ンアプローチ)から被保険者をリスク別に分けてターゲットを絞った保健事業(ハイ
リスクアプローチ)まで総合的に進めていく必要があります。
本計画は、特定健康診査の結果及びレセプト等のデータを活用して、被保険者の健
康増進を図るとともに医療費の適正化を図ることを目的とします。
※PDCAサイクル:plan(計画)−do(実施)−check(評価)−action(改善)。業務改善の手法
の一つ。
2
計画の位置付け
本計画は、
「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)(第2次)」及び「健
康いわて21プラン(第2次)」に示された基本方針を踏まえるとともに、本市の最上
位計画である「一関市総合計画」に基づく「健康いちのせき21計画」で用いた評価指
標を用いるなど、それぞれの計画との整合性を図りながら、国民健康保険被保険者の
健康増進を図っていく計画です。
また、保健事業の中核をなす特定健康診査及び特定保健指導について、具体的な実
施方法を定めた「特定健康診査等実施計画(第2期)」と一体的に実施してまいりま
す。
-1-
3
計画の期間
この計画の期間は、平成27年度(2015年度)から平成29年度(2017年度)までとし、必
要に応じて見直していくものとします。
平成
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
次期計画
健康いちのせき 21 計画
平成 19 年度∼28 年度
一関市特定健康診査等実施計画(第2期)
平成 25 年度∼29 年度
一関市保健事業実施計画
平成 27 年度∼29 年度
一関地区広域行政組合
第5期介護保険事業計画
一関地区広域行政組合
第6期介護保険事業計画
平成 24 年度∼26 年度
平成 27 年度∼29 年度
【図表の出典等】
本計画の図表において、出典や年度等を記載していないものは、KDB による
平成 25 年度累積数値を用いています。
-2-
第1
一関市の現状
1 人口と世帯数
(1) 総人口
平成22年の国勢調査による市の人口は127,642人で、岩手県全体の約9.6%を占め、県
内では盛岡市に次いで第2位の規模となっています。
過去の推移をみると、戦後大きく増加した人口は昭和30年代から40年代にかけて転出
超過により大幅な減となりました。昭和50年からは緩やかな減少傾向が続いた後、平成
7年頃から減少が大きくなり、平成17年から22年の5年間では約8,000人の減少となり
ました。
市の人口は、これまでのすう勢などからみると、今後も減少を続け、平成27年には約
122,800人、平成32年には115,600人程度になると見通されます。
資料:国勢調査
資料:平成12年から22年【国勢調査】平成27・32年【国立社会保障・人口問題研究所(平成20年12月計)】
-3-
(2) 年齢3階層別人口
市の人口を年齢3階層別にみると、年々高齢化率が高くなってきています。平成22
年では65歳以上が全体の30.3%を占めており、全国平均の23.2%、岩手県平均の27.1%
を上回っています。
年齢構造は、今後も高齢化が進み、65歳以上の構成割合は平成27年には32.7%、平成
32年には35.8%程度にまで達すると見通されます。
資料:平成12年から22年【国勢調査】平成27・32年【国立社会保障・人口問題研究所(平成20年12月計)】
人口ピラミッドの推移(縦軸は年齢5歳階級別、横軸の単位は人)
資料:平成12年から22年【国勢調査】平成27・32年【国立社会保障・人口問題研究所(平成20年12月計)】
-4-
(3) 世帯数
市の人口が減少傾向で推移しているのに対して、総世帯数は増加を続けておりました
が、平成22年の国勢調査では42,633世帯となり、平成17年からの5年間で937世帯の減
少となりました。
資料:国勢調査
-5-
2 人口動態
(1) 出生・死亡の年次推移
出生数は年々減少しており、出生率も5年間で 1.0 ポイントも減少しています。
また、死亡数については年々増加しており、平成 22 年度以降は毎年 1,800 人を超え
ています。
(毎年 10 月1日現在)
出生数(人)
出生率
岩手県
出生率
死亡数(人)
死亡率
岩手県
死亡率
平成 20 年度
990
7.5
7.6
1,634
12.4
11.1
平成 21 年度
875
6.7
7.4
1,747
13.5
11.5
平成 22 年度
916
7.2
7.3
1,808
14.2
11.8
平成 23 年度
836
6.6
7.1
1,978
15.6
17.0
平成 24 年度
817
6.5
7.1
1,884
15.1
12.3
注)出生率・死亡率は人口 1,000 人あたりの割合
資料:岩手県保健福祉年報及び岩手県統計年鑑
(2) 主要死因別年次推移
主要死因別死亡数の推移をみると、平成 24 年は前年度に比べ全体的に減少傾向とな
っていますが、悪性新生物は前年より 22 人増加しています。
資料:岩手県保健福祉年報
-6-
(3) 平成 24 年の主な死因別死亡数及び死亡率
平成 24 年の死亡数を主要死因別にみると、生活習慣病の占める割合が、上位 10 疾患
の約 8 割を占めており、そのうち、特にメタボリックシンドロームに関連が深い、心疾
患および脳血管疾患が第 2 位、第 3 位を占めています。
一関市
順
位
死因
岩手県
死亡数
死亡率
人口 10 万対
(人)
(人)
順
位
死因
死亡数
死亡率
人口 10 万対
(人)
(人)
1
悪性新生物
497
397.0
1
悪性新生物
4,241
325.4
2
心疾患(高血圧性を除く)
322
257.2
2
心疾患(高血圧性を除く) 2,848
218.5
3
脳血管疾患
244
194.9
3
脳血管疾患
2,144
164.5
4
肺炎
214
171.0
4
肺炎
1,484
113.9
5
不慮の事故
71
56.7
5
老衰
809
62.1
6
老衰
67
53.5
6
不慮の事故
592
45.4
7
腎不全
52
41.5
7
腎不全
341
26.2
8
自殺
27
21.6
8
自殺
329
25.2
9
糖尿病
27
21.6
9
糖尿病
176
13.5
10
肝疾患
15
12.0 10 肝疾患
162
12.4
資料:人口動態統計から算出
-7-
3
国民健康保険医療費等の推移
国民健康保険の被保険者は平成 22 年度から年々減少しており、平成 25 年度には 34,322
人となり、平成 22 年度と比較すると 2,829 人の減少となっています。
また、総医療費は平成 24 年度まで増加していましたが、平成 25 年度には減少していま
す。医療費を1人あたりの推移でみると、年々増加しており平成 25 年度は 308,329 円と
なっています。
(1) 被保険者の推移
(単位:人)
平成 22 年度
平成 23 年度
平成 24 年度
平成 25 年度
一般被保険者
34,204
33,557
32,617
31,425
退職被保険者
2,947
3,255
3,030
2,897
計
37,151
36,812
35,647
34,322
資料:国民健康保険事業年報
(2) 医療費の推移
(単位:円)
平成 22 年度
平成 23 年度
平成 24 年度
平成 25 年度
一般被保険者
9,157,669,061
9,367,650,310
9,729,026,778
9,622,346,394
退職被保険者
1,137,857,374
1,009,986,262
1,040,193,088
960,122,633
計
10,295,526,435
10,377,636,572
10,769,219,866
10,582,469,027
資料:国民健康保険事業年報
(3) 1人あたり医療費の推移
(単位:円)
平成 22 年度
平成 23 年度
平成 24 年度
平成 25 年度
一般被保険者
267,737
279,156
298,281
306,200
退職被保険者
386,107
310,288
343,298
331,420
計
277,126
281,909
302,107
308,329
資料:国民健康保険事業年報
-8-
第2
これまでの取組
これまでも被保険者の健康の保持増進のため、特定健康診査をはじめとして、様々な保
健事業を実施してきました。それらの取組および主な内容、成果、考察については次のと
おりです。
1 特定健康診査
(1) 目的
メタボリックシンドロームに着目し、糖尿病や高血圧症等の生活習慣病の発症や重症
化を予防することを目的として行う特定保健指導の対象者について、的確に抽出するこ
とを目的とします。
(2) 対象
40 歳から 74 歳までの国保険加入者
(3) 実施方法
集団健診
岩手県予防医学協会に委託して実施
個別健診
一関医師会に委託し、市内 37 医療機関で実施
人間ドック 岩手県厚生農業協同組合連合会に委託して実施
(4) 内容
・基本的な項目
質問項目、身体計測(身長、体重、BMI、腹囲(内臓脂肪面積))、理学的検査(身
体診察)、血圧測定、血液化学検査(中性脂肪、HDL コレステロール、LDL コレステ
ロール)、肝機能検査(AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GT(γ-GTP)、血糖検査(空腹時
血糖、HbA1c 検査)、尿検査(尿糖、尿蛋白)
・詳細な健診の項目
心電図検査、眼底検査、貧血検査のうち一定の基準の下、医師が必要と判断した場
合に選択的に実施
(5) 実施体制
国保年金課と健康づくり課が連携し実施する。
(6) 事業の成果
平成 25 年度事業実績
集団健診
延べ 80 会場 受診者 7,445 名
個別健診
37 医療機関
受診者
568 名
人間ドック 121 日間
受診者 2,064 名
(7) 考察
平成 23 年度より特定健康診査未受診者に対し、勧奨はがきを送付するなど受診勧奨
に努めていますが、受診率に大きな変化はありません。特に 40 歳代の受診者が少ない
ため、全体的なアプローチだけでなく、ターゲットを絞った受診勧奨が必要と考えます。
(P14 図 1)
-9-
2
特定保健指導
(1) 目的
生活習慣病を引き起こす大きな原因である内臓脂肪型肥満に着目し、その要因となっ
ている生活習慣を改善するために保健指導を行います。対象者が自らの生活習慣におけ
る課題を認識して行動変容と自己管理を行うことにより、糖尿病等の生活習慣病を予防
し、健康的な生活を維持することができるようになることを目的とします。
(2) 対象
特定健康診査の結果、内臓脂肪型肥満、高血圧、高血糖、脂質異常、喫煙などのリス
ク要因から生活習慣の改善を要すると判定された者。
(3) 実施方法
・積極的支援
ヘルシー教室として個別指導及び電話・レター支援
・動機づけ支援
結果説明会として集団指導及びレター支援
・情報提供
健診結果と併せて特定保健指導のちらしを送付
(4) 内容
積極的支援と動機づけ支援の対象者に、特定健康診査の結果説明会やヘルシー教室を
開催し、初回面接を行います。特定健康診査の結果と生活アンケートから生活習慣の改
めるべき点を一緒に探り、対象者が自ら計画を立てます。計画に基づき実践できるよう
に保健師や管理栄養士が面接や電話・支援レターでの保健指導を行い、6か月間支援し
ます。
(5) 実施体制
市の単独実施として保健師・栄養士・看護師等が指導します。
(6) 事業の成果
表1:平成 25 年度事業実績(法定報告)
区分
対象者
終了者
終了率
目標実施率 目標の達成率
積極的支援
366 人
24 人
6.6%
動機づけ支援
935 人
168 人
18.0%
20.0%
74.0%
合計
1,301 人
192 人
14.8%
(7) 考察
特定保健指導の終了者の割合は、平成 25 年度で 14.8%と目標には達していない状況
です。(表 1)
ヘルシー教室や結果説明会としての教室だけでは限界があるため、訪問指導での対応
などが必要です。
3 健康教育
(1) 目的
生活習慣病の予防や健康増進等、健康に関する正しい知識の普及啓発を行うことによ
り、自助努力の認識と自覚を高め、壮年期からの健康の保持増進を図ることを目的とし
ます。
(2) 対象
全市民
- 10 -
(3) 実施方法
生活習慣病予防や健康増進などをテーマに、医師・歯科医師・薬剤師・保健師・栄養
士・歯科衛生士等が各地域において講演会や健康教室を開催します。
(4) 事業の成果
平成25年度事業実績(①∼⑥は地域保健報告)
延べ1,088回 19,808人参加
(内訳)
① 医師講演会
10回
687人参加
② 歯科医師講演会
8回
371人参加
③ 薬剤師による健康教育
9回
343人参加
④ 歯科衛生士による健康教育 10回
257人参加
⑤ 軽体操普及推進事業
50回 1,216人参加
⑥ その他の健康教育
689回 11,238人参加
⑦ 食生活改善普及講習会
312回 5,696人参加
(5) 考察
これまでは「健康増進」という大きなテーマで健康教育を行ってきましたが、今後は
市が重点的に取り組むべき健康課題を設定し、健康教育の場を有意義に活用していくこ
とが必要です。
4 健康相談
(1) 目的
心身の健康に関する個別の相談に応じながら必要な指導及び助言を行い、自ら健康管
理ができるようにすることを目的とします。
(2) 対象
全市民
(3) 実施方法
保健師・栄養士・看護師等が健康や栄養に関することなどの来所相談や電話相談に対
応します。
また、地区集落公民館等で開催される健康相談に対応します。
(4) 事業の成果
平成25年度実績(地域保健報告)
① 所内相談(健康相談)
延べ
686人
② 所内相談(栄養相談)
延べ
28人
③ 地区健康相談等
延べ 5,296人
(5) 考察
自ら健康管理ができるよう、引き続き必要な指導及び助言を行います。
5 訪問指導
(1) 目的
特定健康診査の結果、生活習慣病の要指導者に対して保健師等が訪問し、医療機関の
受診勧奨など重症化予防を図ることを目的とします。
- 11 -
(2) 対象
特定健康診査において要医療の人(至急連絡があった人)、各種がん検診において保
健指導が必要な人(至急連絡があった人)を対象とします。
(3) 実施方法
保健師等が自宅へ訪問し、対象者の生活環境を踏まえた保健指導を行います。
(4) 事業の成果
平成25年度実績(地域保健報告)
生活習慣病要指導者 延べ 32人
(5) 考察
これまでは特定健康診査後のフォローを通知で行ってきましたが、今後は家庭訪問に
よる指導を強化していくことが必要です。
6 医療費適正化
(1) レセプト点検
① 目的
レセプトの点検調査を的確に行い、診療報酬の支払いの適正化を図ります。
② 対象
国民健康保険団体連合会において審査決定したレセプトで、一関市へ送付された医
科、歯科、調剤、訪問看護及び柔道整復のレセプト
③ 実施方法
被保険者資格の点検、診療報酬請求点数の点検、調剤報酬明細書との突合、縦覧点
検(同一被保険者のレセプトを複数月まとめた点検)を行います。
④ 内容
点検で抽出した疑義のあるレセプトについて、過誤調整(医療機関へ返戻、返納金
の精算等)を行います。
⑤ 事業の成果
平成25年度実績
被保険者一人あたり財政効果額 1,108円
被保険者財政効果率 0.42%
⑥ 考察
システム上対応できない遡及資格喪失者の抽出点検を適切に行う必要があります。
(2) 医療費通知
① 目的
診療等にかかる受診内容や医療費等について理解してもらい、その後の健康管理に
役立てていただくことを目的とします。
② 対象
国保加入者のうち診療等を受けた者
③ 実施方法
2カ月に1回の通知で年6回実施
- 12 -
④
内容
診療月、受診医療機関名、医療費の実績を記載して通知
⑤ 事業の成果
平成25年度実績
延べ通知数 92,608件(1回平均 15,434件)
⑥ 考察
単に支払った医療費のお知らせと受け止められることが多いことから、関心を持っ
ていただけるような通知文書の工夫が必要です。
(3) ジェネリック利用差額通知
① 目的
ジェネリック医薬品(後発医薬品)に切り替えた場合の差額をお知らせし、調剤に
かかる費用を理解していただくとともに、ジェネリック医薬品への理解と普及促進を
図ります。
② 対象
40歳以上の国保加入者のうち薬の投薬期間が14日以上で、ジェネリック医薬品に切
り替えた場合に自己負担額が月額300円以上減額される者
③ 実施方法
対象者に年3回通知
④ 内容
処方されている薬品、自己負担額、ジェネリック医薬品に切り替えた場合の自己負
担軽減額
⑤ 事業の成果
平成25年度実績
延べ通知数 4,991件(1回平均 2,495件)
⑥ 考察
ジェネリック医薬品は年々浸透してきていますが、一層の利用促進に向けた取組が
必要です。
- 13 -
第3
健康医療情報の分析と健康課題
1 健康医療情報の分析
(1) 特定健康診査データの分析による傾向
① 特定健康診査受診者の状況
平成25年度の受診率は38.7%となっており、近年横ばい傾向にあります。(表2)
年代別に見ると、65歳以上では約半数が受診していますが、40∼50歳代の受診率が低
くなっています。(図1)
表2:特定健康診査受診率
平成 21 年度 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度
対 象 者
24,127 人
23,654 人
25,364 人
24,751 人
24,206 人
受 診 者
9,147 人
8,859 人
9,908 人
9,544 人
9,375 人
受 診 率
37.9%
37.5%
39.1%
38.6%
38.7%
目標実施率
35.0%
45.0%
55.0%
65.0%
45.0%
目標の達成率
108.2%
83.3%
71.0%
59.4%
86.0%
(平成 21 年度から平成 22 年度は旧一関市)資料:法定報告
図1:年齢区分別の年次推移
50.0%
40.0%
30.0%
20.0%
10.0%
0.0%
平成21年度
平成22年度
平成23年度
平成24年度
平成25年度
40∼44歳
18.5%
18.1%
17.9%
17.2%
19.9%
45∼49歳
24.6%
23.9%
22.6%
22.4%
20.9%
50∼54歳
26.6%
25.5%
28.6%
26.9%
28.0%
55∼59歳
30.1%
30.0%
31.2%
30.1%
30.0%
60∼64歳
38.6%
38.0%
38.9%
38.8%
38.7%
65∼69歳
46.0%
45.3%
46.8%
46.2%
44.9%
70∼74歳
45.2%
44.8%
47.9%
46.6%
46.8%
(平成 21 年度から平成 22 年度は旧一関市)資料:法定報告
②
特定健康診査結果の状況
メタボリックシンドローム該当者の割合は、国や県と比較し低くなっていますが、
予備群は国や県と同じ割合となっています。非肥満高血糖の割合は県と比較し約2
倍と高くなっています。(図2)
また、血糖と血圧、血糖と脂質のように重複した所見がある者の割合が、国や県
と比較し高くなっています。(図3)
- 14 -
図2:平成25年度
特定健康診査有所見率(国・県との比較)(%)
20.0
15.0
14.8
17.4 16.4
11.0 10.4 11.0
8.2
10.0
4.2 5.0
5.0
0.0
メタボ予備群
メタボ該当者
市
図3:平成25年度
県
特定健康診査
非肥満高血糖
国
重複有所見率(国・県との比較)(%)
10.0
7.0 6.9
8.0
8.2 8.3
7.6
5.8
6.0
2.0
3.4 3.0
3.0 2.7 2.7
4.0
4.4
5.1 4.7
2.6
1.2 1.2 0.9
1.1 0.8 0.7
0.0
血糖
血圧
脂質
血糖・血圧
市
③
県
血糖・脂質
血圧・脂質
血糖・血圧・脂質
国
検査項目別有所見率
全体の傾向:
血糖値とヘモグロビンA1c高値の割合が国や県平均と比較すると高くなっています。
中性脂肪と血圧が高い人の割合は、国や県平均と同程度となっています。(図4)
図4:検査項目別有所見率(%)
40
30
29.7
26.8 24.8
31.0
30.7
29.8
80
29.5
25.2
21.9
20
40
10
20
0
BMI
腹囲
中性脂肪
61.2
59.7
50.9
60
45.9
41.745.8
31.8
20.5
15.7
16.317.518.6
0
血糖
市 県 国
市
- 15 -
収縮期血圧
HbA1c
県
国
拡張期血圧
男性の傾向:
BMIが25以上の割合はどの年代でも男性が高く、特定健康診査を受けた40歳代の3人
に1人が肥満となっています。40歳代では中性脂肪の有所見率が高く、50歳代になると
ヘモグロビンA1cと血圧の有所見率が高い傾向にあります。
女性の傾向:
BMIが25以上の割合は各年代に大きな差は見られません。
また、ヘモグロビンA1cと血圧の有所見率が年齢とともに高くなっています。
(図5∼
図9)
図5:BMI(%)
40
30
図6:中性脂肪(%)
36.4
24.3
28.8
23.4
27.9
21.9
29.1
24.4
28.8
28.1
20.0
10
10.0
40代
50代
60∼64歳 65∼69歳 70∼74歳
男性
50.9
48.7
60.0
40.0
63.1
62.2
28.3
18.8
66.8
66.2
24.1
22.7
0.0
40代
50代
60∼64歳 65∼69歳 70∼74歳
女性
図8:収縮期血圧(%)
65.7
64.7
60
50
38.8
40
36.0
27.8
30
20
23.6
16.9
42.4
38.3
45.9
40.7
50.8
48.4
26.5
10
0.0
40代
50代
60∼64歳 65∼69歳 70∼74歳
男性
0
40代
女性
27.3
30
25
24.5
20.7
18.2
12.9
12.2
15
11.8
18.4
11.9
7.1
5
0
40代
50代
60∼64歳 65∼69歳 70∼74歳
男性
50代
60∼64歳 65∼69歳 70∼74歳
男性
図9:拡張期血圧(%)
10
21.3
19.2
男性
20.0
20
33.6
21.9
女性
図7:ヘモグロビンA1c(%)
80.0
37.4
30.0
20
0
38.0
40.0
女性
- 16 -
女性
④
特定健康診査質問票からみる生活習慣
全体の傾向:
「20歳時体重から10kg以上増えている人」の割合が、国や県平均と比較して高く
なっています。
「週3回以上夕食後間食を摂る人」の割合は、国や県平均と同程度ですが、女性
にやや高い傾向があります。
「1時間以上の身体活動を行っていない人」の割合は、国や県平均より低くなっ
ていますが、「1回30分以上の運動の習慣がない人」の割合は国や県平均より高く
なっています。
「喫煙習慣がある人」と「毎日飲酒する人」の割合は、国や県平均と同程度の割
合になっています。飲酒習慣がある人で「1回2合以上飲酒する人」の割合は、国
や県平均を上回っています。(図10∼図16)
図10:20歳時体重から10kg以上増加した人の割合(%)
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
38.4 36.6
32.3 31.1
図11:週3回以上夕食後間食を摂る人の割合(%)
15.2
16.0
14.0
34.5
28.1
13.7
12.1
11.8
12.0
27.2 27.1
13.7
10.3
12.3
11.7 11.3
10.0
23.1
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
全体
男性
市
県
全体
女性
男性
市
国
県
女性
国
図12:1時間以上の身体活動を行なっていない人の割合(%) 図13:1回30分以上の運動習慣がない人の割合(%)
80.0
60.0
47.5
50.0
48.0
46.8
70.0
72.0
70.9
68.0
59.9
73.0
65.9
60.0
40.0
30.0
29.4
32.2
30.6 32.7
28.4
61.7
50.0
31.9
40.0
30.0
20.0
20.0
10.0
10.0
0.0
0.0
全体
男性
市
県
女性
全体
国
30
24.9
26.7
男性
市
図14:喫煙習慣がある人の割合(%)
県
女性
国
図15:毎日飲酒する人の割合(%)
60
25.2
46.6 48.0 46.8
50
25
40
20
15
69.5
57.7
13.5 13.7 14.0
30
24.5 24.2 25.5
20
10
3.9
5
4.3
5.3
8.9
5.8 6.9
10
0
0
全体
男性
全体
女性
図16:1回あたり2合以上飲酒している人の割合(%)
市 県 国
- 17 -
男性
市
県
女性
国
25
21.3
20
16.6
22.3
19.8
15.3
15
11.8
10
5.3
5
4.1
3.0
0
全体
男性
市
県
女性
国
男性の傾向:
「20歳時体重から10kg以上増えている人」の割合は国や県平均と比較して高く、特に
40∼44歳の割合は高くなっています。
「1回30分以上の運動習慣がない人」の割合は7割を超えており、特に50歳代は多く
なっています。
「毎日飲酒している人」の割合は県平均と比較すると低くなっています。
「1回2合以上飲酒する人」の割合は国や県平均並みですが、45∼49歳の割合は高く
なっています。(図17∼図20)
図17:20歳時体重から10kg以上増加している人の割合(%)図18:1回30分以上の運動習慣がない人の割合(%)
40
100
52.3
60
44.5
38.4 36.6
34.5
39.6
80
60
70.9 65.9
83.5 78.9
88.6
72.8
79.9
73.1
57.7
40
20
20
0
全体
市
県
男性総数
市
50.0
48.0
40
49.0
30
国
33.0 30.8
29.0
21.3 22.3 19.8
20
46.8
46.6
県
男性50∼54歳
図20:1回あたり2合以上飲酒する人の割合(%)
51.1
52
50
男性45∼49歳
国
図19:毎日飲酒する人の割合(%)
48
0
男性40∼44歳
46
10
44
0
男性総数
男性55∼59歳
市
県
男性総数
国
男性45∼49歳
市
- 18 -
県
国
女性の傾向:
「20歳時体重から10kg以上増えている人」の割合は国や県平均と比較して高く、特に
40歳代の割合は高くなっています。
「1回30分以上の運動習慣がない人」の割合は国や県平均と比較して高く、特に45
∼49歳は9割となっています。
「毎日飲酒している人」の割合は国や県平均より低くなっていますが、飲酒習慣があ
る人で「1回2合以上飲酒する人」の割合は高く、特に40歳代の割合が高くなっていま
す。(図21∼図24)
図21:20歳時体重から10kg以上増加している人の割合(%)
35
23.1
25
27.7
24.0
21.3
80.0
20
60.0
15
40.0
10
20.0
5
0.0
73.0
0
全体
女性40∼44歳
市
県
57.7
女性45∼49歳
市 県
国
19.6 19.5
20
65.9
女性総数
女性45∼49歳
図23:毎日飲酒する人の割合(%)
25
90.2 85.0
80.9
100.0
30.8
29.5 28.9
27.2 27.1
30
図22:1回30分以上の運動習慣がない人の割合(%)
国
図24:1回あたり2合以上飲酒する人の割合(%)
27.1
30
17.7
25
20
15
14.7
15
10
3.9
5
4.3
5.3
10
5
0
女性総数
県
4.1
3.0
0
女性40∼44歳
市
10.0
5.3
女性総数
国
女性40∼44歳
市
⑤
県
国
特定保健指導の実施状況
特定健康診査受診者9,375人のうち、特定保健指導対象者は1,301人で受診者全体の
13.9%の人が特定保健指導の対象となっています。
このうち、特定保健指導を受け、最後まで生活習慣の改善に取組んだ終了者は192
人で、終了者の割合は14.8%です。
特定保健指導の対象者は男性が多く、終了者の割合は13.9%となっていますが、45
∼54歳までの終了者は0人です。
一方女性の終了者の割合は、16.1%と男性よりやや高くなっていますが、45∼49
歳の終了者は0人です。
全体的に40∼59歳までの働き盛り世代での特定保健指導終了率が低くなっていま
す。(表3)
- 19 -
表3:性別・年齢階級別にみた保健指導の実施状況(H25:法定報告)
男性
女性
年齢
40-44歳
45-49歳
50-54歳
55-59歳
60-64歳
65-69歳
70-74歳
合計
対象者(人) 終了者(人) 終了率(%) 対象者(人) 終了者(人) 終了率(%)
35
34
67
72
180
224
193
805
2
0
0
5
21
45
39
112
5.7
0.0
0.0
6.9
11.7
20.1
20.2
13.9
(2)
15
21
28
53
113
125
141
496
3
0
2
5
19
28
23
80
20.0
0.0
7.1
9.4
16.8
22.4
16.3
16.1
レセプトデータの分析による傾向
平成25年度の市の国保加入者の診療費(入院と外来の合計)は、約75億円となって
おり、割合が最も多いのは糖尿病で7.1%となっています。次いで統合失調症、高血圧
症、慢性腎不全、うつ病という状況を示しており、生活習慣病とともに精神疾患によ
る診療費が多いことがわかります。
表3:診療費上位10疾病(入院+外来)
(単位:%)
順位
疾病名
割合
1
糖尿病
7.1
2
統合失調症
5.4
3
高血圧症
5.4
4
慢性腎不全
4.7
5
うつ病
3.3
6
関節疾患
3.1
7
脂質異常症
2.0
8
大腸がん
1.8
9
胃がん
1.6
10
不整脈
1.6
- 20 -
(3) 介護データの分析による傾向
介護保険の要支援者、要介護者の有病状況をみると、有病割合が高い疾病は、要支援
者及び要介護者とも、心臓病、筋・骨疾患、脳疾患、精神疾患、糖尿病、がんの順とな
っています。
割合では、心臓病は認定者の6割と最も高く、筋・骨疾患は5割、脳疾患は3割、精
神疾患と糖尿病はそれぞれ2割、がんが1割となっており、一人で複数の病気を抱えて
いることになります。
このように、重症となった疾病が原因となって介護を必要とする場合が生じることか
ら、疾病の重症化防止はもちろんのこと、日常の疾病予防による介護予防活動が大切で
す。
そのため、国民健康保険においても疾病予防を中心とした保健事業をしっかりと取り
組むことが大切であり、今後も特定健康診査時の生活機能評価による口腔衛生指導や転
倒予防事業などの対象者の把握に協力し、介護予防事業との連携強化を図っていくこと
が重要です。
表4:介護保険認定状況及び要介護(支援)者有病状況
(単位:人、%)
2号
1号
40∼64
被保険者数
65∼74
計
75∼
40,112
15,305
20,169
75,586
認定者数
254
808
7,635
8,697
認 支援
63
275
2,156
2,494
定 介護
191
533
5,479
6,203
人数
有
割合
人数
割合
人数
割合
人数
割合
心臓病
78
30.7
353
43.7
4,622
60.4
5,053
58.1
筋・骨格
80
31.5
287
35.5
3,912
51.2
4,279
49.2
脳疾患
64
25.2
232
28.7
2,210
28.9
2,506
28.8
53
20.9
218
27.0
1,812
23.7
2,083
24.0
48
18.9
181
22.4
1,757
23.0
1,986
22.8
24
9.4
98
12.1
993
13.0
1,115
12.8
15
5.9
28
3.5
234
3.1
277
3.2
難病
16
6.3
28
3.5
183
2.4
227
2.6
その他
85
33.5
373
46.1
4,654
61.2
5,112
58.8
463
182.3
1,798
222.5
20,377 266.7
22,638
260.3
精神疾患
病
糖尿病
状
がん
況
糖尿病合併症
合計
- 21 -
2
保健事業として優先的に取り組むべき健康課題
1の各種データの分析により明らかになった健康上の傾向のうち、今回の実施計画にお
いて、保健事業として優先的に取り組むべき健康課題を次のとおりとします。
(1) ハイリスクアプローチが必要な課題(重症化予防対策)
レセプトで人工透析患者の基礎疾患をみると、高血圧症が多く、腎不全の大きな原因
となっていることが分かります。(図25)
腎不全などを含めた重症生活習慣病は、高血圧や高血糖などの血管を傷つけるリスク
が重なると起こりやすくなります。
特定健康診査の結果から市の傾向をみると、血糖やヘモグロビンA1cが高値の人の割
合が多く、特に非肥満者の高血糖の割合は県平均の約2倍となっています。また、高血
糖と高血圧のリスクが重複している人の割合が高くなっています。
以上から、重症生活習慣病を引き起こす前に、高血糖と高血圧への対策が必要と考え
られます。
(2) ポピュレーションアプローチが必要な課題
岩手県では「脳卒中ワースト1からの脱却」に向けて様々な取組を行っており、市と
しても同様の取組をしているところです。
市の主要死因別死亡数をみると脳血管疾患は第3位となっています。特定健康診査の
結果で20歳時体重から10kg以上増えている人の割合が多いことから、内臓脂肪が原因で
脳血管疾患を含めた生活習慣病を引き起こしていることが考えられます。そのため脳卒
中対策のひとつとして、適正体重の維持が健康課題であると考えられます。
図25:重症生活習慣病に合併している基礎疾患(%)
(平成26年11月レセプトデータ)
- 22 -
第4
保健事業の目的・目標
1
保健事業の目的
第3の2にあげた保健事業として優先的に取り組む課題に対応するため、保健事業実施
の目的を次のとおり設定します。
(1) メタボリックシンドローム該当者及び予備群の人の割合を減少させる。
(2) 特定健康診査受診率及び特定保健指導実施率を増加させる。
(3) 被保険者1人あたりの療養給付費の伸びを抑制する。
2
保健事業の目標
目的を達成するための成果目標を次のとおり設定します。
(1) メタボリックシンドローム該当者及び予備群の人の割合を減少させる。
平成25年度(実績)
平成27年度
平成28年度
平成29年度
区分
メタボリックシンド
ローム該当者・予備群
25.8%
24.0%
23.0%
22.0%
該当者率
メタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少は生活習慣改
目標の説明
善の指標となります。
(メタボリックシンドローム該当者+メタボリックシンドローム
予備群の人)/特定健康診査受診者×100
(2) 特定健康診査受診率及び特定保健指導実施率を増加させる。
区分
平成25年度
平成27年度
平成28年度
平成29年度
実績
特定健康診査受診率
38.7%
53.0%
56.0%
60.0%
特定保健指導実施率
14.8%
40.0%
50.0%
60.0%
特定健康診査等実施計画第2期に定めた目標値とします。
目標の説明
(3) 被保険者1人あたりの療養給付費の伸びを抑制する。
平成25年度
平成27年度
平成28年度
区 分
実績
療養給付費の費
用額の対前年度
+2.1%
+2.7%
+2.7%
比
目標の説明
平成29年度
+2.7%
平成23年度実績から27年度見込みまでにおける最大と最小を除く3ヵ
年の平均伸び率以下とする。
- 23 -
第5
保健事業の実施内容
1 特定健康診査に関する取組
(1) 特定健康診査の受診勧奨
① 目的・内容
特定健康診査未受診者が生活習慣病で医療にかかったときには、すでに病状が重症
化している場合が多くあります。重症化予防のためには、まず特定健康診査を受け、
健康状態を知る必要があるため、特に受診率の低い若い世代に受診勧奨を行います。
② 対象者
年度末年齢40歳の国保加入者
③ 実施方法
対象者に受診を促すため、特定健康診査受診票の送付と併せて健康ファイルを送付
します。また、働き盛り世代の人が受診しやすくするため、秋の単独健診では夜間に
特定健康診査を実施します。
④ 達成目標
H25年度実績
平成27年度
平成28年度
平成29年度
区分
年度末年齢40歳で健
診を受診した人の割
27.0%
30.0%
33.0%
35.0%
合
(成果)
(2) 各種団体と連携した受診勧奨
① 目的・内容
各種団体と連携し、機会を捉える受診勧奨を行います。
② 対象者
商工会議所やJAなどの団体に所属している国保加入者
③ 実施方法
総会等の場を利用して、特定健康診査と各種がん検診の普及啓発、受診勧奨を行い
ます。
④ 実施期間
通年
⑤ 達成目標
区分
H25年度実績
平成27年度
平成28年度
平成29年度
普及啓発を行なった
回数
―
3回
5回
8回
(事業量)
- 24 -
2 特定保健指導に関する取組
(1) 特定保健指導未利用者へのアプローチ
① 目的・内容
特定保健指導対象者の生活実態を踏まえた保健指導を実施し、生活習慣の改善を図
ることを目的に、家庭訪問により特定保健指導を行います。
② 対象者
特定保健指導対象者(積極的支援)のうち、家庭訪問での指導受け入れの了解を得
た人を対象とします。
③ 実施方法
特定保健指導の案内の際、家庭訪問での保健指導希望の有無を把握し、希望者に対
し、保健師や管理栄養士が家庭訪問により特定保健指導を実施します。
④ 実施期間
通年
⑤ 達成目標
平成25年度
平成27年度
平成28年度
平成29年度
区分
(実績)
訪問による特定保健指導
―
10人
15人
20人
終了者数
(事業量)
積極的支援の利用率
(成果)
―
10.0%
11.5%
13.0%
(2) 特定健康診査受診結果から血糖・血圧の要医療の人に対する受診勧奨
① 目的・内容
循環器系健康診査、総合判定C(精密検査または治療が必要と思われる所見がある)
と判定された人に、生活習慣病の予防と早期発見のために医療機関の受診を促します。
また、糖尿病や高血圧等の重症化及び合併症の発症を予防するため、確実に受診に
結びつけます。
② 対象者
循環器系の健康診査の結果、下記のいずれかに該当する人
a 空腹時血糖 126mg/dl以上
b ヘモグロビンA1c 6.5%以上
c 収縮期血圧 160mmHg以上
d 拡張期血圧 100mmHg以上
(標準的な健診、保健指導プログラム改訂版 フィードバック文例集より)
③ 実施方法
集団健診の結果が届いてから(健診受診後概ね1か月)対象者を抽出し、受診確認
及び勧奨通知と返信用封筒を送付します。1回目通知から2か月後、回答がない人に
対し再通知を行います。再通知から1か月後回答がない人に対し、電話または訪問に
より受診確認及び受診勧奨を行います。
- 25 -
④
実施期間
通年
⑤ 達成目標
区分
血糖要医療の人への
通知数
平成26年度
平成27年度
平成28年度
平成29年度
235人
530人
500人
470人
37人
360人
330人
300人
64.0%
70.0%
75.0%
80.0%
(H26.12月末現在)
(事業量)
血圧要医療の人への
通知数
(事業量)
通知した人のうち受診
した人の割合
(成果)
目標の説明
平成26年度と基準の変更があります。治療中の方を除き、受
診を促します。
3 健康教育に関する取組
(1) 適正体重を維持するため、運動習慣の定着
① 目的・内容
特定健康診査を受けた人の生活習慣の特徴として、喫煙や毎日飲酒の習慣がある人
は国や県平均よりも低い割合ですが、飲酒習慣のある人が多量に飲酒する傾向が見ら
れます。また、20歳時体重から10kg以上増えている人の割合が多く、その原因として、
20歳以降からの生活習慣の悪化、特に運動習慣のない人の割合が多い傾向があります。
これらの状況を踏まえ、適正体重の維持と運動習慣の定着を目的として、健康教育
を重点的に実施します。
② 対象者
全市民
③ 実施方法
適正体重の維持・運動習慣の定着のため、独自のリーフレットを作成します。リー
フレットの内容では、特定健康診査結果から読み取れる疾病や生活習慣の傾向を周知
します。健康教室で適正体重維持の重要性と継続できる運動について保健指導を行い
ます。
④ 実施期間
通年
- 26 -
⑤
達成目標
平成25年度
区分
平成27年度
平成28年度
平成29年度
5,296人
5,560人
5,800人
6,000人
28.0%
30.0%
32.0%
34.0%
(実績)
地区健康教室の参加人数
(事業量)
運動習慣ありの割合
(特定健康診査問診項目より)
(成果)
4 医療費適正化に関する取組
(1) ジェネリック医薬品への切替え促進
① 目的・内容
ジェネリック医薬品に切替えた場合に軽減できる自己負担額を記載し、通知するこ
とにより、被保険者の自己負担額及び保険者負担額の削減を図ります。
② 対象者
満40歳以上の国保加入者のうち、薬の投薬期間が月14日以上で減額結果が300円以
上の者
③ 実施方法
対象者に差額通知書を送付
④ 実施期間
年3回(6月、10月、2月)実施
⑤ 達成目標
平成25年度
区分
平成27年度
平成28年度
平成29年度
実績
1回あたりの通
2,495件
2,300件
2,230件
2,150件
知件数
(事業量)
ジェネリック医
薬品の数量ベー
スでの割合
35.47%
40%
43%
45%
(成果)
目標の説明
ジェネリック医薬品への切替えが進むと、数量ベースでの割合が
高くなる。
- 27 -
第6 実施計画の評価方法
この実施計画で計画された保健事業が、計画どおりに実施できたか、その成果や効果がど
うだったかを評価し、その検討結果を翌年度以降へ生かすため、PDCAサイクルに沿って、
次により評価を行います。
1
個別事業の評価方法
成果目標を達成するために取り組む第5の個別事業の評価にあたっては、4つの評価項
目について年度ごとに評価を行うこととし、必要に応じて翌年度以降の事業内容等の見直
しを行います。
各評価項目の評価は、次の表に基づき行い、実績や成果を示す③事業実施量と④成果の
評価点数の平均点数で総合的な評価を行います。
評価項目
内
容
評 価 点 数
①事業構成・
だれが どういう体
各 項 目 に お い て 非 常 に 適 切 だ っ た →4点
実施体制等
制で
各 項 目 に お い て 適 切 だ っ た →3点
(ストラクチャー)
(事業計画、人的体制、予
一部で対応遅れた等があったが概ね準備できた →2点
算、実施施設など)
一部項目で問題があったが準備できた →1点
②実施過程
(プロセス)
準備が整わなかった
→0点
どうやって
円滑、順調に実施できた
→4点
(周知方法、実施手順・
ほぼ計画どおりに実施できた
→3点
方法、会場設営、記録な 一 部 変 更 が あ っ た が 概 ね 実 施 で き た
→2点
一 部 問 題 が あ っ た が 実 施 で き た →1点
ど)
実施できなかった
→0点
③事業実施量
どのくらいやって
予め目標値を設定し、その目標値と実績値との
(アウトプット)
(開催回数、参加者数な
割合により評価
達成率=実績値÷目標値×100
ど)
④成果
どうなったか
(アウトカム)
(対象者の実施前との変
化や効果など)
※実績値を下げることを目標とする場合は次
の算定式とする。
達成率=(2−実績値÷目標値)×100
評価点数
達成率100%以上
→5点
達成率85∼100%未満
→4点
達成率70∼85%未満
→3点
達成率50∼70%未満
→2点
達成率50%未満
→1点
- 28 -
評 価 の 算 定 式
評 価 基 準
(③事業実施量の評価点数+④成果の評
平均点数
価点数)÷2=平均点数
2
4.0点以上
評
→ A
価
大いに評価できる
3.5∼3.9点 → B
概ね評価できる
3.0∼3.4点 → C
まあまあ評価できる
2.5∼2.9点 → D
あまり評価できない
2.4点以下
評価できない
→ E
成果目標の評価方法
第4で設定した成果目標の評価については、次の表に基づき行います。
評価項目
内
容
評 価 点 数
成果
どうなったか
(アウトカム)
(対象者の実施前との変
達成率=実績値÷目標値×100
※実績値を下げることを目標とする場合は次
化や効果など)
の算定式とする。
達成率=(2−実績値÷目標値)×100
評価点数
達成率100%以上
→5点
達成率85∼100%未満
→4点
達成率70∼85%未満
→3点
達成率50∼70%未満
→2点
達成率50%未満
→1点
3
実施計画全体の評価方法
健康課題の改善にあたり、優先的に取り組んだ第5の個別事業の実施により、第4で定
めた成果目標について、効果や成果があったかどうかなど実施計画全体について次により
評価するとともに、その他の保健事業の進捗状況等を勘案しながら総合的に評価します。
評
価 項
目
評価点数
評 価 基 準
①個別事業全体の評価
評価点数
4.0点以上
7つの個別事業それぞれの平
均点数の合計÷7
点
②成果目標全体の評価
大きな成果があった
3.5∼3.9点 → B
概ね成果があった
3.0∼3.4点 → C
ま あまあ成果があった
点
2.4点以下
実施計画全体の評価
(①+②)÷2
→ A
価
2.5∼2.9点 → D あまり成果がなかった
4つの成果目標それぞれの点
数の合計÷4
評
点
- 29 -
→ E
成果がなかった
4
評価を行う者
実施計画の評価は、国民健康保険主管課及び保健事業主管課の担当職員が行うものとし
ますが、必要に応じ関係部署の意見を求めるものとします。
- 30 -
第7 実施計画の見直し
この計画の最終年度である平成29年度において、計画期間での目標達成状況や課題等に
ついて、関係部署の職員による評価を行い、次期実施計画に反映させることとします。
また、計画期間中においても年次ごと、計画の達成度にかかる評価を行い、必要に応じ
て次年度の目標数値の見直しや取組方法等について検討することとします。
第8
実施計画の公表・周知
この実施計画は、市ホームページ等で公表するとともに、実施計画の趣旨や保健事業の
実施等について、市広報等により周知を図っていきます。
第9
事業運営上の留意事項
1
庁内での実施体制
この計画の実施にあたっては、次の担当部署の職員が連携するとともに、関係団体と協
力しながら進めます。
・国民健康保険主管課
・保健事業主管課
・介護保険主管課
2
関係団体等との連携・協力
この計画の実施にあたっては、次の関係団体等から協力を得るとともに、情報を共有す
るなど連携しながら進めていきます。
(1) 一関市医師会、一関歯科医師会、一関薬剤師会
・特定健康診査等の受診勧奨などについて
・ジェネリック医薬品の利用促進などについて
(2) 一関市保健推進委員協議会、一関市食生活改善推進員協議会
・特定健康診査の受診勧奨などについて
・食育等を通じた健康づくり活動の推進などについて
・地区の健康教室等を通じた健康活動の推進などについて
第10 個人情報の取扱い
この計画に基づく保健事業の実施で得られた個人情報の取扱いについては、一関市個人
情報保護条例(平成18年一関市条例第76号)及び関係例規の諸規定を遵守します。
また、個人情報等の活用等について、対象者の同意を必要とするものついては、対象者
から書面等により同意を得たうえで対応します。
- 31 -