1.北陸地方における空き家問題の現状と課題 1.北陸地方における空き家問題の現状と課題 1-1.住宅事情の変化と現状 ●住宅数及び世帯数は、全国及び北陸地方(新潟県、富山県、石川県の3県を指す。以下 同様)ともに年々増加している。北陸地方の 1 世帯当たり住宅数は、2003 年以前は全 国平均よりも低い数値であったが、2003 年以降全国平均の数値まで増加し、世帯数の 増加に比べ住宅数の増加が上回る状況である。 ●さらに、今後人口減少が進み、また世帯数の減少も進むと予想されることから、空き家 等の増加の加速化が懸念される。 ①北陸地方 住宅数 (千戸、千世帯) 世帯数 1世帯当たり住宅数 3,000 1.10 2,000 1,500 1,412 1,289 1.10 1,528 1,389 1.20 1.16 1.15 1.14 2,500 (戸/世帯) 1.15 1.11 1,664 1,852 1,766 1,609 1,555 1,495 1,931 1,665 1.10 1.05 1,000 1.00 500 0.95 0 0.90 1988年 1993年 1998年 2003年 2008年 2013年 ②全国 住宅数 (万戸、万世帯) 世帯数 1世帯当たり住宅数 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 1.15 1.12 4,588 4,201 3,986 3,760 1.14 5,025 4,421 1.14 5,389 4,716 1.15 (戸/世帯) 1.16 6,063 5,759 4,989 5,245 1.20 1.15 1.10 1.05 3,000 1.00 2,000 0.95 1,000 0 0.90 1988年 1993年 1998年 2003年 2008年 2013年 資料:国勢調査より 1-1 1.北陸地方における空き家問題の現状と課題 1-2.空き家数の推移と状況 1)空き家(全体) ●空き家数及び空き家率は、全国及び北陸地方ともに年々増加している。 ●空き家率をみると、2013 年以前は全国に比べ北陸地方の方が低かったが、2013 年は全国 が 13.5%、北陸地方が 13.7%と同程度となり、7~8 戸に 1 戸が空き家となっている。 ①北陸地方 二次的住宅 その他の住宅 (百戸) 3,000 賃貸用又は売却用の住宅 空き家率 11.5% 2,500 9.6% 2,000 1,500 1,000 500 0 12.8% 8.0% 1,131 473 8.2% 1,253 2,375 2,029 982 1,605 13.7% 2,651 1,373 14% 12% 10% 8% 847 6% 653 533 1,262 1,014 815 1,152 4% 2% 582 602 76 118 137 168 131 126 1988年 1993年 1998年 2003年 2008年 2013年 0% ②全国 二次的住宅 その他の住宅 (万戸) 1,000 900 800 700 9.4% 400 300 200 100 0 757 9.8% 659 576 600 500 12.2% 11.5% 394 131 234 448 賃貸用又は売却用の住宅 空き家率 13.5% 13.1% 212 182 268 820 318 12% 10% 8% 6% 149 262 14% 398 352 448 460 4% 2% 30 37 42 50 41 41 1988年 1993年 1998年 2003年 2008年 2013年 0% 資料:住宅・土地統計調査より(2013 年は速報値) 1-2 1.北陸地方における空き家問題の現状と課題 1-2.空き家数の推移と状況 2)空き家(「その他の住宅」内訳) ●北陸地方の方が全国に比べて、空き家における「その他の住宅」の割合が高い(北陸: 41.4% 全国:35.4%)。 ●「その他の住宅」の内訳をみると、北陸地方は木造の一戸建が多いこと(北陸:80.5% 全国:64.5%)が特徴といえる。 ●「その他の住宅」は管理・処分方針が未定な状態であり、十分に管理されていないこと が懸念される。 ※「その他の住宅」:転勤等のため居住世帯が長期に渡って不在の住宅や、建替等のために 取壊すことになっている住宅。管理が不十分になりがちと考えられる。 ①空き家形態の内訳 二次的住宅 北陸地方 5.5% 全国 5.4% 0% 賃貸用又は売却用の住宅 53.1% 41.4% 59.1% 20% その他の住宅 35.4% 40% 60% 80% 100% ②その他の住宅の内訳 一戸建(木造) 一戸建(非木造) 長屋建 共同住宅(木造) 共同住宅(非木造) その他 1.3% 3.0% 3.8% 0.5% 80.5% 北陸地方 10.9% 3.1% 5.0% 4.3% 64.5% 全国 0% 20% 0.7% 22.5% 40% 60% 80% 100% 資料:住宅・土地統計調査 2013 年(速報値)より 1-3 1.北陸地方における空き家問題の現状と課題 1-3.空き家の発生要因と考えられる人口減少・高齢化の進行 1)人口(人口総数・65 歳以上の人口)・高齢化率 ●2010 年から 2040 年の人口は、全国及び北陸地方ともに減少傾向であるが、減少率は 北陸地方の方が高い。(北陸:22.2%減 全国:16.2%減) ●65 歳以上の人口は、全国及び北陸地方ともに増加傾向で、2010 年に対する 2040 年 の 65 歳以上の人口を比較すると、全国の方が高い(北陸:1.2 倍 全国:1.3 倍)。 ●高齢化率は、全国及び北陸地方ともに増加傾向であるが、2010 年から 2040 年にかけ ては、北陸:12.3 ポイント増、全国:13.1 ポイント増となっている。また、2040 年 の高齢化率は全国 36.1%に対し北陸地方 37.9%と高く、将来的には高齢化の進行が進 み、高齢者の死亡や福祉介護施設への入居等により、空き家となる住宅が多く発生する ことが懸念される。 ①北陸地方 500 65歳以上の人口 人口総数 (万人) 464 451 50% 437 419 401 400 300 200 381 40% 35.6% 361 37.9% 30% 140 134 119 34.3% 33.3% 32.1% 29.6% 25.6% 高齢化率 140 138 137 136 100 20% 10% 0 0% 2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年 ②全国 14,000 65歳以上の人口 人口総数 (万人) 12,806 12,660 12,410 12,000 10,000 8,000 23.0% 26.8% 50% 12,066 11,662 30.3% 29.1% 高齢化率 11,212 31.6% 10,728 33.4% 36.1% 30% 6,000 4,000 40% 20% 2,948 3,395 3,657 3,612 3,685 3,741 3,868 10% 2,000 0 0% 2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年 資料:国立社会保障・人口問題研究所より 1-4 1.北陸地方における空き家問題の現状と課題 1-3.空き家の発生要因と考えられる人口減少・高齢化の進行 2)世帯数(一般世帯数・高齢世帯数)・高齢世帯率 ●2010 年から 2035 年の一般世帯数は、全国及び北陸地方ともに減少傾向であるが、北 陸地方は 2015 年をピークに減少しているのに対し、全国は 2020 年がピークであり、 北陸地方の方が早く減少傾向に入っている。 ●高齢世帯数は、全国及び北陸地方ともに増加傾向で、2010 年に対する 2035 年の高齢 世帯数を比較すると、全国の方が高い(北陸:1.2 倍 全国:1.3 倍)。 ●高齢世帯率は、全国及び北陸地方ともに増加傾向であるが、2010 年から 2035 年にか けては、北陸:9.3 ポイント増、全国:9.6 ポイント増となっている。また、今後も高 齢世帯率は全国に比べ、北陸地方の方が高い傾向にあると予想されている。 ①北陸地方 一般世帯数 (千世帯) 高齢世帯数 2,500 35.0% 1,660 44.3% 43.6% 43.4% 42.6% 40.1% 2,000 高齢世帯率 40% 1,668 1,653 1,620 1,574 1,518 1,500 1,000 30% 20% 704 669 581 50% 702 687 672 500 10% 0 0% 2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 ②全国 一般世帯数 (千世帯) 60,000 53,053 52,904 51,842 高齢世帯数 52,439 高齢世帯率 50% 51,231 50,000 40,000 35.7% 37.8% 38.4% 49,555 39.3% 40.8% 40% 30% 31.2% 30,000 20,000 16,200 18,887 20,060 20,154 20,111 20,215 20% 10% 10,000 0 0% 2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 資料:国立社会保障・人口問題研究所より 1-5 1.北陸地方における空き家問題の現状と課題 1-4.北陸地方における空き家問題への取組状況 1)空き家対策の実施状況について ●北陸地方において、多くの自治体で「実施済み」または「準備中又は実施予定」として いる空き家対策は、「実態調査」が 68.8%(44 自治体)、「空き家バンク」が 67.2% (43 自治体)、「条例の施行」が 57.9%(37 自治体)となっている。 ●実施の少ない空き家対策は、「データベース」が 25.0%(16 自治体)、「協議会の設 置」が 25.0%(16 自治体)となっている。 ●支援の取組状況については、「改修支援」が 42.2%(27 自治体)、「除却支援」は 35.9%(23 自治体)が「実施済み」または「準備中又は実施予定」としている。 実施済み 準備中、又は実施予定 43.8%(28) 条例の施行 14.1%(9) 56.3%(36) 実態調査 32.8%(21) 10.9%(7) 35.9%(23) 改修支援 20.3%(13) 除却支援 (N=64) 75.0%(48) 56.3%(36) 62.5%(40) 空き家バンク 0% 31.3%(20) 75.0%(48) 14.1%(9) 10.9%(7) 相談窓口 42.2%(27) 12.5%(8) データベース 10.9%(7) 14.1%(9) 協議会の設置 取組み予定なし 4.7%(3) 6.3%(4) 32.8%(21) 57.8%(37) 15.6%(10) 64.1%(41) 20% 40% 60% 80% 100% 資料:空き家等対策に関する取組状況調査アンケート(H26)より(無回答除く) 2)空き家等に係る問題の実態 ①空き家等に関する相談・苦情の有無 ●北陸地方では「相談・苦情が寄せられている」が 82.8%(53 自治体)、「相談・苦情 は寄せられていない」が 17.2%(11 自治体)となっている。 ●全国と比べて「相談・苦情が寄せられている」とした割合が高い。 相談・苦情が寄せられている 北陸地方(N=64) 相談・苦情は寄せられていない 82.8%(53) 全国(N=1777) 17.2%(11) 69.0%(1227) 0% 20% 40% 31.0%(550) 60% 80% 100% 資料:空き家等対策に関する取組状況調査アンケート(H26)より(無回答除く) 1-6 1.北陸地方における空き家問題の現状と課題 1-4.北陸地方における空き家問題への取組状況 ②空き家等に関する相談・苦情の内容 ●全国と同様、北陸地方も「外壁材・瓦材等の飛散による近隣家屋・通行人等への被害の 危険」が最も多く 78.0%(39 自治体)を占め、次いで「柱・梁等の腐朽・損壊等によ る空き家等の倒壊の危険」が 62.0%(31 自治体)、「樹木等の繁茂による景観への悪 影響」が 54.0%(27 自治体)となっている。 ●全国と比較して「屋根雪による家屋崩落や屋根雪落下による通行人等への被害の危険」 が 12.2 ポイント高くなっており、積雪量が多い北陸地方における特徴といえる。 北陸地方(N=50) 全国(N=1223) 62.0%(31) 62.4%(763) 柱・梁等の腐朽・損壊等による空家等の倒壊の危険 外壁材・瓦材等の飛散による近隣家屋・通行人等への被害 の危険 78.0%(39) 76.5%(935) 屋根雪による家屋崩落や屋根雪落下による通行人等への 被害の危険 32.0%(16) 19.8%(242) 敷地内の斜面・石垣の崩壊による近隣家屋・道路等への被 害や交通障害の危険 8.0%(4) 14.5%(177) 16.0%(8) 24.0%(293) ごみの不法投棄等による衛生面での悪化・悪臭の発生 犬猫等のすみか等となることによる近隣生活環境への悪影 響 32.0%(16) 25.2%(308) 38.0%(19) 32.1%(392) 管理不全の建築物による景観への悪影響 54.0%(27) 44.6%(546) 樹木等の繁茂による景観への悪影響 樹木等の腐朽、台風等による倒壊又は道路へのはみ出し 等による近隣家屋・通行人等への被害や交通傷害の危険 40.0%(20) 45.6%(558) 20.0%(10) 17.6%(215) シロアリ、病害虫の発生・繁殖による近隣生活環境への悪影響 空家等の出入口等の開口部が施錠されていないこと等によ り不法侵入等の犯罪を誘発する危険 28.0%(14) 28.3%(346) 8.0%(4) 11.2%(137) その他 0% 20% 40% 60% 80% 100% (相談・苦情が寄せられていると回答の 53 自治体のうち無回答 3 自治体を除く 50 自治体からの回答) (最も多いものから5つ選択して回答) 資料:空き家等対策に関する取組状況調査アンケート(H26)より(無回答除く) 1-7
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