すべてのこどもに平等に学習する機会を「自由塾」 <イントロ> 勉強したいのに塾に行けない。また、勉強につい ていくのが難しいのに、塾は高額で通いづらい。構 造不況が叫ばれる中、家計の事情でこうした問題を 抱えるこどもたちがたくさんいます。そんなこども たちにも平等に学習する機会が得られる場所として 「自由塾」というところがあるのをご存知でしょう か。こどもたちの学習支援、放課後の居場所、地域 の支えとして活動をしています。 <本文> 主催するのはユースコミュニティーという NPO 法人です。大田区との協働事業としてこの 「自由塾」を運営しています。 経済的事情に左右されないこどもの学習機会の平等を目指し、自由塾は一般の塾の半額以 下の費用で、クオリティの高い教育の提供を目指しています。 現在は仲池上や蒲田、大森などの区内4か所に教室 があり、約 40 人の生徒が通っています。対象は小学 4年生から高校生まで。塾の場所は(趣旨に賛同し た)カフェや民間の施設を利用していて普通の塾と 同じようなスタイルで運営しています。 学習方法もユニークで、 「落ちこぼれを作らない」と いう欧州教育のメソッドをお手本に行われています。 この欧州の教育メソッドとは 「学習する意欲をつける」→「自分に合った勉強の仕方を考える」→「勉強だけでなく将 来どうしたいかを考えさせる」 という3つのポイントを押さえて学力の基礎から伸ばすだけでなく、自分自身で将来を見 据えて勉強をする力をつけてもらい、将来、社会へ踏み出してからの、生きる力を身につ けることも目的としているのです。 その具体的な方法の一例として、塾の開始と終了時に「サークル対話」を行っています。 「サークル対話」とは、ほかの生徒たちと教師スタッフが車座になって対話を行い、一日 の学習の振り返り、進めかた、問題点などを話し合います。こうした活動を続けることに よって、学習意欲の喚起と同時にコミュニケーション能力や表現力、人の話をきちんと聴 いて理解する能力を培うなど、いろいろな考えに触れることもできる場としての役割もあ るそうです。 また、大手学習企業の通信教材である「すらら」という e ラーニングも導入しています。 この「すらら」は、キャラクター(先生)が解説をしながら、随所に確認問題やドリルを 埋め込む、まるでロールプレイングゲームのような作りの教材です。大学教授や有名予備 校講師らと共同で開発され、カリキュラムが作られているそうです。 指導には教員免許を持った指導者をはじめ、元区 役所職員、元教員、バイリンガルな社会人などがあ たっています。 また、学生(高校生・大学生)バリスタといって、 先生でもない、友達でもない、相談できるお兄さん お姉さん的な存在をおく制度も導入されていて、こ どもたちを先生とは違う関係(ナナメの関係)から も支えています。 この他にも、夏休みなどには合宿などの自然学習イベントを行い、交流を深めているそう です。 また、塾内には専門のカウンセラー(有資格者)も配置しています。保護者に対して、学 習に関する相談だけではなく、学習のための家計支援に関する制度や奨学金のなどについ てカウンセラーが相談にのってくれるそうです。 さらに不登校や引きこもりなどで、本人が通うことが困難な場合は通信教育からはじめる こともできるそうです。 学習のためのノートパソコンも無料貸与し、インターネットを通じ、こどもたちをサポー トしています。 現在、日本ではこどもの貧困率は約 16%にものぼるそうです。この数字は年々増加傾向に あります。普通に勉強する環境もなければ、当然塾にも通えないこどもたちがたくさんい るのです。 自由塾はこうしたこどもたちに単純な学習指導を行うだけでなく、そのこどもの将来まで を見据えたきめ細やかな支援を行うことを目指しています。 勉強ができない、塾に行けない学校に行かなくなる、つまらなくなる、というスパイラス は、その子に合った勉強を教える技術と細やかなサポートなくしてはなかなか抜け出せな いのではないでしょうか。 どんなこどもにも平等に学習する機会を与え、将来の夢を持つキッカケを与える場所「自 由塾」 普段の勉強を教える学校や、受験テクニックを教える学習塾とはまた別の機関として、未 来あるすべてのこどもたちのために、この自由塾のような存在には大切な役割があるよう に思いました。 詳細に関しては直接団体にお問い合わせください。 NPO 法人ユースコミュニティー http://youthcommunity.jimdo.com/ (nao)
© Copyright 2024 ExpyDoc