裁判員制度に対する出前講義の詳しい様子 【座談会の様子】 出前講義は,裁判員経験者の職場の皆様約30人にお集まりいただき,座談会形式で行 われました。 裁判官が,裁判員裁判の運用の状況と改善に向けた取組状況を御説明するとともに,裁 判員経験者にインタビューする形で,参加いただいた裁判員裁判の様子や,裁判員を経験 して感じたことなどについて話をしていただきました。 (裁判員制度の実施状況について) 座談会では,冒頭,裁判官から,裁判員制度の実施状況について,全国の裁判員裁判に おける「罪名別判決人員」の内訳や,裁判員の職業・年齢構成について,資料を示しなが ら参加者に御紹介したほか,裁判員選任手続の運用状況についても説明を行いました。そ の際に,裁判員経験者から御自身が担当した事件について,裁判員等の男女比や年齢層, 選任手続期日に臨まれたときのお気持ちなどについて,お話を聞くことができました。 裁判員経験者からは, 「裁判員候補者名簿に載ったという通知が来たときは驚きましたし,実際に裁判所に 呼び出されて自分が裁判員に選ばれたときは,驚きとともに不安でいっぱいになりま した。 」 「裁判初日の昼食は,自己紹介も兼ねて裁判官と裁判員で一緒に食べましたが,なか なか緊張感が抜けきれませんでした。」 といった感想が述べられました。 (審理・評議の状況について) 続いて,裁判官から,裁判員裁判の法廷での審理の状 況や評議の状況,法曹三者の工夫例について説明がありました。裁判員裁判では,裁判官, 検察官,弁護人とも, 「法廷で見て,聞いて,分かる裁判」を目指して,裁判員にも(理解 し)分かりやすい裁判とするよう心掛けており,例えば,検察官,弁護人がプレゼンテー ションソフトを活用して,法廷の大型モニターを効果的に使用するなどの取組も行われて います。そして,裁判員裁判は,全体の7割程度が5日以内で終わっているということが 紹介されました。 裁判員経験者からは, 「検察官,弁護人とも,分かりやすい用語や説明の仕方で冒頭陳述や論告・弁論を行 ってくれましたので,裁判員にも理解しやすいものでした。 」 「審理の合間に休憩も適宜入れてくださったので,裁判員の負担感も少なかったと思 います。 」 「証人尋問に臨むに当たって,裁判官と裁判員とで事前の打ち合わせを経て質問をし たので,不安感は特にありませんでした。」 「評議に当たって,裁判官から刑の決め方についての説明がありました。評議も話し やすい雰囲気で行われ,各裁判員が自分の意見を十分に述べることができました。 」 「判決を宣告した後は,選任されたときと違い,不安がなくなり責任感から解放され て,晴れ晴れとした気持ちになりました。」 といった感想が述べられました。 (守秘義務について) 裁判員に課せられている守秘義 裁判官から,裁判員の自由な発言の 務及びその必要性について, 確保やプライバシー保護の ために,評議の内容や法廷で明らかになっていない事件関係者のプライバシーに関する事 実などは話してはいけないが,裁判員を経験した感想や法廷で見聞きしたことはお話しい ただいても構わないといった説明がありました。 裁判員経験者からは, 「裁判官から守秘義務についてきちんと説明がありましたので,私 自身はそれほど不安に感じることはありませんでした。 」といったお話がありました。 (精神的負担の軽減について) 裁判員の精神的負担の軽減について,裁判官から,裁判所の取組として,例えば遺体写 真の取調べに当たっても,本当に必要な証拠なのかどうか,遺体写真に代えて,傷痕部分 のイラストや他の証拠を取り調べることができないのかを検討したり,仮に遺体写真を取 り調べる予定がある場合には,選任手続の際にも説明して,不安のある方は個別に事情を お聴きするなど,できる限り配慮するように工夫しているとの説明がありました。 裁判員経験者からは, 「担当した事件で,被害者の負傷状況の写真を見まし た。私自身はあまり気になりませんでしたが,少なから ず負担に感じた裁判員もいたと思います。」 「裁判所からメンタルヘルスサポートについての説 明もあり,アフターケアにも配慮されていると感じまし た。 」 といったお話がありました。 【意見交換の様子】 最後に,出席いただいた皆様から,裁判官の説明や,裁判員経験者から出された御意見, 御感想を踏まえ,裁判員裁判に対する印象や御意見をうかがいました。出席者から,たく さんの御意見をいただきましたので,以下,主なものを御紹介します。 (出席者から出された意見) ・ 裁判員制度について,裁判員選任手続期日の様子など,これまであまり知ることが できなかった内容についても,裁判官や裁判員経験者のお話を聞いて理解することが できた。 ・ 裁判員裁判に参加できない事情がある場合には,選任手続期日より前の段階から, 調査票や事前質問票により,きめ細かく事情を把握してもらえることが分かった。 ・ 裁判員等に危害が加えられるおそれのある事件については,裁判員裁判対象事件で あっても除外される場合もあるとの裁判官の説明を聞いて,安心した。 ・ 「評議では,裁判官がうまく司会進行をしてくださり,裁判員全員の意見を聴いて もらえた。 」という裁判員経験者の話を聞いて,もし自分が裁判員に選ばれても大丈夫 だと思った。 【終わりに】 裁判所としては,皆様からいただいた貴重な御意見を踏まえ,今 後の裁判員裁判の運営改善に役立たせていきたいと考えておりま す。
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