警察公論2014年11月号「懸賞SA問題」問題と解答 【問題】 1 次は,信教の自由に関する記述であるが,誤りはどれか。 ① 信教の自由は,「信仰の自由」,「宗教的行為の自由」,「宗教的結社の自由」の3つの 内容から構成される。 ② 信仰の自由は,何らかの宗教を信仰し,又は信仰しない自由,及び信仰の告白を強制 されない自由(沈黙の自由)を意味する。 ③ 宗教的行為の自由は,礼拝,祈禱その他の宗教上の行為,祝典,儀式,行事等を行う 自由,及びこれらに参加しない自由を意味する。 ④ 宗教的結社の自由は,宗教的団体を結成組織することの自由,これに参加することの 自由また参加しないことの自由を意味する。 ⑤ 信仰の自由,宗教的行為の自由及び宗教的結社の自由は,絶対的な保障を受けるため, 公共の福祉の観点から制約されることはない。 2 次は,警察署協議会に関する記述であるが,誤りはどれか。 ① 管轄区域内の人口が僅少であることその他特別の事情がある場合を除き,警察署に警 察署協議会を置く。 ② 警察署協議会は,警察署の管轄区域内における警察の事務の処理に関し,警察署長の 諮問に応ずるとともに,警察署長に対して意見を述べる機関である。 ③ 警察署協議会の意見については,警察署長はこれを尊重すべきであるから,警察署長 はこれに拘束される。 ④ 警察署協議会の委員は,都道府県公安委員会が委嘱する。 ⑤ 警察署協議会の設置,その委員の定数,任期その他警察署協議会に関し必要な事項は, 条例で定める。 3 次は,名誉毀損罪に関する記述であるが,誤りはどれか。 ① 公然と事実を摘示し,人の名誉を毀損したときは,摘示された事実が真実であるか否 かにかかわらず,本罪が成立する。 ② 本罪の客体は「人の名誉」であり,ここでいう「人」は自然人をいい,法人,法人格 のない団体はこれに含まれない。 ③ 名誉毀損行為としては,人の社会的評価を害するに足る行為がされればよく,それが 現実に害されることは必要ではない。 ④ 本罪における「公然」とは,不特定又は多数人の知り得べき状態であれば足り,現実 に了知されたことを要しない。 ⑤ 名誉毀損行為が,公共の利害に関する事実に係り,その目的が専ら公益を図ることに あったと認める場合,真実性の証明があったときは処罰しない。 4 次は,令状による捜索・差押えに関する記述であるが,誤りはどれか。 ① 司法警察職員は,犯罪の捜査をするについて必要があるときは,裁判官の発する令状 により,捜索・差押えをすることができる。 ② 「犯罪の捜査をするについて必要があるとき」とは,単に捜査のために必要であると いうことだけでなく,強制処分として行う必要があることを意味する。 ③ 令状による捜索・差押えを実施するに当たっては,処分を受ける者に当該令状を示さ なければならない。 ④ 司法巡査も捜索・差押えの令状を請求することができる。 ⑤ 逮捕状と異なり,捜索・差押えの令状を所持しない場合の緊急執行は認められていな い。 5 次は,警察本部長が行う表彰の種類を列挙したものであるが,誤りはどれか。 ① 警察功労章 ② 警察功績章 ③ 賞 詞 ④ 賞 状 ⑤ 賞 誉 6 次は,少年事件の簡易送致に関する記述であるが,誤りはどれか。 ① 捜査した少年事件について簡易送致するには,事実が極めて軽微であるという要件が 必要である。 ② 簡易送致するには,犯罪の原因及び動機,当該少年の性格,行状,家庭の状況及び 環境等からみて再犯のおそれがないという要件が必要である。 ③ 簡易送致するには,刑事処分又は保護処分を必要としないと明らかに認められると いう要件が必要である。 ④ 簡易送致するには,検察官又は家庭裁判所からあらかじめ指定されたものという要 件は必要ない。 ⑤ 簡易送致該当事件については,家庭裁判所において,特に問題がなければ審判不開始 とされている。 7 次は,交番・駐在所連絡協議会に関する記述であるが,誤りはどれか。 ① 交番・駐在所連絡協議会は,交番・駐在所の所管区において,所管区内の住民等の意 見・要望等を広く聴取して相互に検討・協議するものである。 ② 交番・駐在所連絡協議会は,委員及び運営担当者をもって構成し,委員は地域の実情 に精通して地域住民から信望が厚い者の中から,幅広く選定する。 ③ 運営担当者は所管区の勤務員の一部をもって充て,警察署長は,交番所長等を運営責 任者として指定する。 ④ 委員の選定に際しては,他部門と緊密に連携して総合的に決定し,任期は概ね 2 年と し,再任は妨げないものとする。 ⑤ 運営担当者は,随時委員その他の参加者宅を訪問して必要事項の連絡に当たり,運営 責任者は,連絡協議会を主宰して会議の円滑な運営と活性化に努める。 8 次は,聞き込み捜査の要領に関する記述であるが,誤りはどれか。 ① 聞き込みによって得られる情報は,情報提供者に過度の負担を与えないために,その 情報の根源までさかのぼってはならない。 ② 真実の情報かどうかは,相手の顔色,表情等表面に現れた徴候から,心の動揺を的確 に観察し,これを看破しなければならない。 ③ 相手から真実の内容を聞き出すことができるようにするためにも,質問が暗示,誘導 にならないように注意する。 ④ 聞き込み内容によっては,捜査方針の再検討が必要となるので,聞き込み内容は,細 大もらさず,タイミングよく幹部に報告しなければならない。 ⑤ 捜査協力者に対し危害が及び,あるいは,精神的な圧力が加えられることのないよう, 必要に応じ保護措置の徹底に努めなければならない。 9 次は,運転免許と運転することができる自動車等の種類の組合せに関する記述である が,誤りはどれか。 ① 大型免許――普通自動車 ② 中型免許――小型特殊自動車 ③ 普通免許――原動機付自転車 ④ 大型二輪免許――普通自動二輪車 ⑤ 大型特殊免許――大型自動車 10 次は,歴代内閣総理大臣とその在任中の業績を組み合わせたものであるが,誤りはど れか。 ① 岸 信介――日米安保条約改定 ② 池田隼人――日中共同声明 ③ 鳩山一郎――日ソ共同宣言 ④ 佐藤栄作――沖縄返還協定 ⑤ 吉田 茂――サンフランシスコ平和条約 【解答】 1 正解=⑤ 内心における信仰の自由は,思想良心の自由と同様に,絶対的な保障を受 けるが,宗教的行為の自由及び宗教的結社の自由は,他人の権利自由を侵害することが あり得るので,公共の福祉の観点から制約されることがある。 2 正解=③ 警察署協議会の意見については,警察署長はこれを尊重すべきであるが, 警察署長はこれに拘束されるものではない。 3 正解=② 「人の名誉」における「人」は自然人だけでなく,法人,法人格のない団 体も含まれる。法人その他の団体も,その構成員とは独立して社会的活動を行っている 実体がある以上,その経済的側面での評価である信用以外にも社会的評価につき保護を 受けることが適当だからである。 4 正解=④ 捜索・差押えの令状を請求する権限のある者は,検察官,検察事務官又は 司法警察員である(刑訴法 218 条4項)。司法巡査には令状請求の権限はない。なお, 差押え等の実施は,「検察官,検察事務官又は司法警察職員」とされ,司法巡査も含ま れる(同条 1 項)。 5 正解=① 警察功労章は,警察庁長官が授与することと規定されている(警察表彰規 則6条 1 項)。枝文②~⑤については,警察庁長官,皇宮警察本部長,管区警察局長, 東京都警察情報通信部長,北海道警察情報通信部長,警視総監,道府県警察本部長又は 方面本部長が所部の警察職員又は所属の部署に対して授与するものである(同条 2 項)。 6 正解=④ 簡易送致できる事件は,○その事実が極めて軽微であり,犯罪の原因及 び動機,当該少年の性格,行状,家庭の状況及び環境等からみて再犯のおそれがなく, 刑事処分又は保護処分を必要としないと明らかに認められること,○検察官又は家庭裁 判所からあらかじめ指定されたもの,という両要件を満たす場合に限られる(犯罪捜査 規範 214 条 1 項)。 7 正解=③ 運営担当者は所管区の勤務員「全員」をもって充てる。所管区の勤務員の 「一部」をもって充てるとする枝文は誤りである。 8 正解=① 聞き込みは,常に,その情報の根源まで遡る努力をすることが大切である。 聞き込みによって得られる情報は,間接的なものが多い。したがって,誤りが介入しや すいものであるから,できるだけ直接体験した者に遡って,確かめるようにすることが 必要である。 9 正解=⑤ 大型特殊免許で運転できる自動車等は,大型特殊自動車,小型特殊自動車, 原動機付自転車である(道交法 85 条 1 項,2 項)。大型特殊免許で大型自動車を運転す ることはできない。 10 正解=② 「日中共同声明」発表当時の内閣総理大臣は,田中角栄である。また,池 田隼人ではなく,池田勇人が正しい。
© Copyright 2025 ExpyDoc