逐条解説 - 日立市

日立市議会基本条例(逐条解説)
目次
前文
第1章
第2章
第3章
第4章
第5章
第6章
第7章
第8章
第9章
附則
総則(第1条・第2条)
議会の活動原則等(第3条 ― 第6条)
議員の活動原則等(第7条 ― 第9条)
市民と議会の関係(第10条 ― 第12条)
議会と市長等との関係(第13条・第14条)
議会機能の強化(第15条 ― 第17条)
議会事務局等(第18条・第19条)
議員の身分及び待遇(第20条・第21条)
見直し手続(第22条)
地方分権の進展に伴い、二元代表制の一翼を担う地方議会の果たすべき役割及び責務の
重要性はますます大きなものとなってきている。
日立市議会(以下「議会」という。)においては、これまで地域住民の代表機関として、
市の意思決定や執行機関の事務に対する監視を行うとともに、執行機関が進める行財政改
革に先駆けて自らも改革を実施してきた。
加えて、このような時代の背景を踏まえつつ、市民に対してより分かりやすい議会運営
を実現するため、平成24年度からは「議会の公開」、「議会への住民参加」といった視
点に立ち、日立市議会議員(以下「議員」という。)相互間の積極的な議論を経て、議会
の活性化に取り組んできた。
今後、これまで積み重ねてきた取組を継続し、不断の検証を行うとともに、議会及び議
員の活動原則、市民と議会との関係、市長その他の執行機関(以下「市長等」という。
)と
の関係などを明らかにし、変動する時代の要請に即応できる公正かつ透明性のある市民に
開かれた議会を目指すことを決意し、議会の運営及び活動の基本となる事項を定めた、議
会の最高規範としての条例をここに制定する。
【趣旨】
前文は、この条例を制定するに至った背景や経緯、議会の決意等を明らかにしたものです。
【解説】
前文では、地方分権が進展する中、本市を含む地方議会の置かれている状況などを踏まえ、これ
まで進めてきた議会活性化の取組等を記載するとともに、この条例を制定する理由やその位置付け
を明確にし、今後も不断の検証によって活性化を推進することなど、この条例の制定の経緯と日立
市議会の決意を述べています。
【用語】
※二元代表制:日本国憲法において、地方公共団体の長と議会の議員は、住民が直接選挙すると規
定されています。二元代表制は、それぞれが住民の代表機関として独自の権限を持ち、相互に抑
制と均衡による緊張関係を保持し、公正で円滑な自治の運営を図るための制度です。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、議会及び議員の活動原則、市民と議会との関係、市長等との関係そ
の他議会の基本的事項を定め、二元代表制の下での意思決定機関として、議会の機能を
最大限に発揮した活動を行い、もって市民福祉の向上及び市政の発展に寄与することを
目的とする。
【趣旨】
本条は、この条例を制定する目的について規定したものです。
【解説】
前文において掲げた議会の決意を受けて、これまで明文化されていなかった議会及び議員の活動
原則、市民及び市長等との関係、議会運営などの基本的事項を定め、議会及び議員の果たすべき役
割をしっかりと行うことで、「市民福祉の向上」と「市政の発展」に寄与することを定めています。
(最高規範性)
第2条 この条例は、
議会における最高規範であって、
議会に関する他の条例等を制定し、
又は改廃するときは、この条例に定める事項との整合を図らなければならない。
【趣旨】
本条は、議会における最高規範であるこの条例の位置付けについて規定したものです。
【解説】
議会基本条例を日立市議会における基本的事項を定めた最高規範性を有するものと位置付けると
ともに、議会に関する他の条例等の制定改廃は、議会基本条例との整合を図り、その趣旨に反する
ものとしてはならないことを定めています。
第2章 議会の活動原則等
(議会の活動原則)
第3条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動するものとする。
(1) 公正性、透明性及び信頼性を確保し、市民に開かれた議会運営に努めること。
(2) 市民の意見を的確に把握し、それらを市政に反映させるため、議会での協議を重ね、
政策立案及び政策提言を積極的に行うこと。
(3) 議決の結果等について、市民に対して積極的に情報を提供するとともに、説明責任
を果たすこと。
(4) 市長等の市政運営状況を監視し、及び評価すること。
(5) 議員間、市長等との自由かっ達な討議を中心とした議会運営に努めること。
(6) 議会運営に関する条例、規則、規程、要綱及び先例・申し合わせ事項については、
不断に見直しを行うこと。
(7) 市民に分かりやすい言葉、表現を用いた議会運営に努めること。
【趣旨】
本条は、議会が行う活動の基本原則について規定したものです。
【解説】
議会が市民の代表機関であることを意識し、開かれた議会及び市民参加を推進する議会を目指し
て、以下の7つの原則に基づき活動することを定めています。
(1) 第1号では、市民に対する公正性、透明性及び信頼性を確保して、議会運営に努めることを定
めています。
(2) 第2号では、市民の多様な意見を把握し、それらを市政に反映させるため、議会において調査
研究、議論を重ね、その中で明確となった問題点等に対し積極的に政策立案、政策提言を行うこ
とを定めています。
(3) 第3号では、議決責任を深く認識し、市民に対して議決事項や議会運営などの情報を積極的に
提供するとともに、市民への説明責任を果たすことを定めています。
(4) 第4号では、議決を行う前提として、調査や議会審議などを通じて市長等の執行機関による市
政運営を監視するとともに、事務執行の成果等について評価することを定めています。
(5) 第5号では、議会が言論の場であることから、一般質問や質疑における単なる質疑応答ではな
く、議員相互間、更には市長等との自由かっ達な討議を中心とした議会運営に努めることを定め
ています。
なお、討議をより円滑に進めるため、第13条において市長等に対し反問権を認めることとし
ています。
(6) 第6号では、この条例の目的を達成するために、日立市議会委員会条例、日立市議会会議規則、
日立市議会先例・申し合わせ事項など議会運営に関する諸規定を、継続的に見直すことを定めて
います。
(7) 第7号では、市民に分かりやすい議会運営に努めるため、よりやさしい言葉や表現を用いるこ
とを定めています。
(定例会の回数、会期等)
第4条 定例会の回数については、日立市議会定例会に関する条例(昭和31年条例第18
号)の定めるところによる。
2 定例会の会期及び運営等については、日立市議会定例会規則(昭和28年規則第1号)
及び日立市議会会議規則(昭和42年議会規則第1号)の定めるところによる。
【趣旨】
本条は、議会の定例会の回数、会期及び運営等について規定したものです。
【解説】
(1) 第1項では、日立市議会の定例会の回数は、「日立市議会定例会に関する条例(以下「定例会
条例」という。)」で規定することとしています。
地方自治法では、定例会を毎年、条例で定める回数招集しなければならないと規定しており、
定例会条例で毎年4回招集することを定めています。
(2) 第2項では、日立市議会の定例会の会期及び運営等は、「日立市議会定例会規則(以下「定例
会規則」という。)」及び「日立市議会会議規則(以下「会議規則」という。)」で規定するこ
ととしています。
定例会規則では、毎年3月、6月、9月及び12月に招集するのを常例とすること、会議規則
では、会期を毎会期の初めに議会(本会議)の議決で定めることとしています。
なお、「常例」とは、「おおむね」ということを意味し、日立市議会では3月、9月の定例会
を、それぞれ2月、8月に招集した例があります。
【用語】
※本会議:全議員で構成する議会の会議のことをいいます。議会としての権限、能力は本会議に認
められており、議案などを議決することは、この本会議で行わなければ法的な効力が生じないこ
とになります。
(委員会)
第5条 委員会(日立市議会委員会条例(昭和31年条例第17号。以下「委員会条例」
という。)に規定する常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会をいう。以下同じ。)
は、市政の課題に迅速かつ的確に対応するため、閉会中においても所管事務の調査を行
うなど、委員会の専門性と特性をいかし、その機能を発揮するよう努めるものとする。
2 委員会での審査に当たっては、委員間討議を重視し、市民に対して分かりやすい議論
に努めるとともに、必要に応じて審査経過等の十分な説明を行うものとする。
3 委員会での審査経過と審査結果は、委員長及び副委員長が責任を持って取りまとめ、
委員長は委員長報告の質疑に対して責任を持って答弁を行うものとする。
【趣旨】
本条は、日立市議会に設置する委員会の適切な運営について規定したものです。
【解説】
(1) 第1項では、市政の諸課題に迅速かつ的確に対応するため、委員会の持つ専門性と特性をいか
し、また、その機能が十分に発揮できるように適切に運営することを定めています。
委員会は、地方自治法において設置が認められているもので、議会の専門的な審査機関として、
慎重かつ詳細な事案の審査及び調査を効率的に行うものです。
日立市議会においては、総務産業、教育福祉、環境建設の3つの常任委員会及び議会運営委員
会を設置しています。
なお、特別委員会は必要に応じて議会の議決で設置するもので、平成26年12月1日現在、
幹線道路整備促進特別委員会、新庁舎建設特別委員会の2つの委員会を設置しています。
(2) 第2項では、委員会がその特性である専門的かつ効率的な審査を行う場であることを踏まえ、
委員間の自由な討議を重視し、多様な意見を出し合った上で合意形成を図るとともに、審査の経
過等について説明を行うことを定めています。
(3) 第3項では、委員会での審査経過と審査結果は、委員長及び副委員長が取りまとめて本会議で
報告するとともに、その報告に対し議員からの質疑があった場合には責任を持って答弁すること
を定めています。
当該委員会に所属していない議員は、審査の経過を本会議で行われる委員長報告で初めて知る
ため、委員長は他の委員会の議員にもその経過が分かるよう委員長報告を作成して説明し、質疑
にも責任を持って応じなければならないものです。
(災害時の対応)
第6条 議会は、市民の生命又は生活に直接影響を及ぼす災害等が発生した場合は、市民
及び地域の状況を的確に把握し、市長等に速やかに必要な要請を行うものとする。
2 前項の災害等が発生した場合における議会の対応については、別に定める。
【趣旨】
本条は、災害が発生した場合における議会の対応について規定したものです。
【解説】
(1) 第1項では、東日本大震災(H23.3.11)の被災地としての経験・教訓を踏まえ、大規
模災害時には、市民や地域の状況の把握、市長等への要請を行うことなど、議会としての対応に
ついて定めています。
(2) 第2項では、災害時の対応に関して必要な事項は別に定めることとしています。
具体的には、新たに日立市議会災害対応規程を制定して、大規模災害が発生した場合に、市の
災害対策を側面から支援するために議員がとるべき行動等について定めます。
第3章 議員の活動原則等
(議員の活動原則)
第7条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動するものとする。
(1) 議会が言論の場であること及び合議制の機関であることを認識し、議員間の自由な
討議を重んじること。
(2) 市政の課題全般について、市民の意見を的確に把握するとともに、自らの資質を高
める不断の研さん及び市政等に関する調査研究を行い、政策提言に努めること。
(3) 一部の団体及び地域の代表にとどまらず、市民全体の福祉の向上を目指して活動す
ること。
(4) 議会活動について、市民に対して説明責任を果たすこと。
(5) 議会活動を最優先するよう努めること。
【趣旨】
本条は、議員が行う活動の基本原則について規定したものです。
【解説】
(1) 第1号では、議会は言論の場であり、議論を経て意思決定を行う合議制の機関であることを認
識して、市民の意思の反映のために議員相互間の積極的な議論を重んじることを定めています。
(2) 第2号では、議員が市民の代表として、市政全般の課題について市民の意見を的確に把握する
とともに、常に自己の研さんに努め、調査研究を通じて、政策立案、政策提言等を行うことを定
めています。
(3) 第3号では、議会を構成する一員である議員は、一部の団体や地域の代表にとどまらず市政全
般の課題と市民の多様な関心や意見を的確に把握することに努め、市民全体の福祉向上のために
活動することを定めています。
(4) 第4号では、議員自らが行う議会活動について、市民に対して情報発信を行い説明する責任が
あることを定めています。
(5) 第5号では、公務である議会の活動を最優先するよう努めることを定めています。
(会派)
第8条 議員は、議会活動を行うに当たり、会派を結成することができるものとする。
2 会派は、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成し、活動するものとする。
3 会派は、議会運営、政策立案等に関し、必要に応じて会派間で調整を行い、合意形成
に努めるものとする。
【趣旨】
本条は、会派の結成及び活動に当たり留意すべき事項について規定したものです。
【解説】
(1) 第1項では、議員が議会活動を行うために、議会において会派を結成することができることを
定めています。
(2) 第2項では、会派は政策などについて同じ理念を持った議員で構成して活動することを定めて
います。
(3) 第3項では、会派は議会運営、政策立案等に関して、会派間で意見の調整を行い、合議制の機
関としての合意形成に努めることを定めています。
(議員の政治倫理)
第9条 議員は、市民の代表者としての倫理を常に自覚し、良心及び責任を持ってその責
務を果たすとともに、品位の保持に努め、自己の地位に基づく影響力を不正に行使する
ことによって、市民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。
2 議員の政治倫理に関し必要な事項は、別に定める。
【趣旨】
本条は、議員としての政治倫理について規定したものです。
【解説】
(1) 第1項では、選挙で選ばれた市民の代表である議員は、政治倫理を常に自覚し、公正・誠実に職責
を全うするとともに、良心と責任感を持って、品位の保持や市民から疑惑を招くことのない行動
に努めるべきことを定めています。
(2) 第2項では、議員の政治倫理に関して必要な事項は別に定めることとしています。
具体的には、新たに日立市議会議員政治倫理規程を制定して、議員の倫理意識の確立に努める
こととします。
第4章 市民と議会の関係
(市民参加及び市民との連携)
第10条 議会は、議会活動に関して有する情報を積極的に公表し、透明性を高めるとと
もに、説明責任を十分に果たすよう努めるものとする。
2 議会は、広聴活動及び市民との意見交換を通じて得た意見を、政策提案につなげるよ
う努めるものとする。
3 議会は、請願・陳情の審査、参考人からの意見聴取、公聴会の開催等により、市民の
意見を適切に市政運営に反映させるよう努めるものとする。
4 議会は、議会だより、議会ホームページ等の多様な手段を活用し、多くの市民が議会
及び市政に関心を持つよう広報に努めるものとする。
【趣旨】
本条は、議会活動への市民参加及び市民との連携について規定したものです。
【解説】
(1) 第1項では、議会活動に関する情報を市民に公表することにより、透明性を高め、審議等にお
ける論点や争点を明らかにするなど、市民に対する説明責任を十分に果たすよう努めることを定
めています。
(2) 第2項では、議会が、市政全般について市民と意見交換する場を設けるとともに、そこで聴取
した意見を市政に反映させるため、積極的な政策提案に努めることを定めています。
なお、第12条において、市民との情報や意見交換の場として「議会報告会」を行うことを定
めています。
(3) 第3項では、議会が、請願・陳情の審査や参考人制度及び公聴会制度により得た市民の意見及
び知見を、適切に市政運営に反映させるよう努めることを定めています。
(4) 第4項では、議会が、議会だよりや議会ホームページ等の多様な媒体を活用して議会に関する
情報提供を行うことで、市民が市政に関心を持つよう広報に努めることを定めています。
なお、本市議会では、従来から議会だよりや議会ホームページを活用して情報提供に努めてき
ましたが、平成26年6月からは、本会議における一般質問の模様をケーブルテレビ、FMラジ
オ、インターネットで中継しています。
【用語】
※請願:憲法が保障する国民の権利であり、国又は地方公共団体の機関に対して、希望を述べるこ
とをいいます。本市議会では、議員の紹介により提出された請願書については、本会議に上程さ
れ、所管の委員会で審査した後に、本会議で議決します。
※陳情:請願と同様の行為ですが、議員の紹介がないものをいいます。法律上、権利として認めら
れているものではありませんが、本市議会では、請願に準じて取り扱うこととしています。
※参考人制度:本会議又は委員会において、その調査又は審査のため必要があるときは、参考人の
出頭を求め、その意見を聴くことができるという制度です。
※公聴会制度:本会議又は委員会において、予算その他重要な議案、請願等について、真に利害関
係を有する者等から意見を聴くことができるという制度です。
(会議等の公開)
第11条 議会は、本会議及び委員会については原則として公開するものとし、その他の
会議についても公開に努めるものとする。
2 議会は、議会が開催する議員研修会等についても必要に応じて公開するものとする。
【趣旨】
本条は、議会が行う会議等の公開について規定したものです。
【解説】
(1) 第1項では、市民に開かれた議会とするため、秘密会とする場合などを除き、本会議及び委員
会(常任委員会、議会運営委員会、特別委員会)を、原則として公開で行うことを定めています。
日立市議会では、従来から「日立市議会委員会等傍聴運営方針」を定め、会議の公開を進めて
きており、現在は、本会議及び委員会のほか、全員協議会、議会報編集委員会を公開しています。
今後も、対象会議等の拡大に努めることとしています。
(2) 第2項では、第17条で規定している議員研修の充実の方策として、議会が開催する議員研修
会、講演会等についても、必要に応じて市民に公開することを定めています。
【用語】
※秘密会:議会の本会議及び委員会は公開が原則となるが、例外として、プライバシーの保護等の
観点から、審議する事項が公益を害するような場合や個人の利益に関わる重要なものである場合
には、議長又は出席議員(委員会の場合は委員長又は委員)の発議により、一時会議の公開を停
止し、秘密会とすることができます。
(議会報告会)
第12条 議会は、市民への報告と市民との意見交換の場として、議会報告会を行うもの
とする。
2 前項の議会報告会に関し必要な事項は、別に定める。
【趣旨】
本条は、議会報告会について規定したものです。
【解説】
(1) 第1項では、市民に対し議案等の審査過程や結果等を報告し、市民との意見交換の場として議
会報告会を開催することを定めています。
(2) 第2項では、議会報告会の開催に関して必要な事項は別に定めることとしています。
具体的には、新たに日立市議会報告会開催規程を制定して、開催時期や回数、会議の流れ、報
告会での議員の役割などを定め、円滑な運営に努めることとします。
第5章 議会と市長等との関係
(市長等との関係)
第13条 議会は、議会審議において、市長等との緊張関係の保持に努めなければならない。
2 議員が市長等に対して一般質問を行うときは、一問一答方式その他の効果的な方式を
選択し、市政の課題に関する論点及び争点を明らかにしなければならない。
3 本会議及び委員会に出席した市長等は、議員から質問を受けたときは、その論点を整
理するため議長及び当該委員会の委員長の許可を得て、当該議員に対し反問することが
できるものとする。
4 前項の反問に関し必要な事項は、別に定める。
【趣旨】
本条は、議会と市長等との関係に関する基本原則について規定したものです。
【解説】
(1) 第1項では、二元代表制の趣旨を踏まえ、議会での審議における議員と市長等との健全な緊張
関係の保持に努めることについて定めています。
(2) 第2項は、市長等に対して一般質問をするときには、一問一答方式その他の効果的な方式によ
って、論点や争点を明らかにして行わなければならないことを定めています。
日立市議会では、かつて一括質問一括答弁方式のみを採用していましたが、平成25年12月
の定例会からは、一括質問一括答弁方式、分割質問分割答弁方式、一問一答方式の3つの方式か
ら議員が選択して質問を行うこととしました。併せて、本会議場に対面式の質問席を設置し、市
民に、より分かりやすい議会運営に取り組んでいます。
(3) 第3項では、市長等が、議長又は当該委員会の委員長の許可を得た上で、質問した議員に対し
てその論点を整理するため質問ができる、いわゆる「反問権」について定めています。
(4) 第4項では、反問の実施に関して必要な事項は別に定めることとしています。
具体的には、新たに日立市議会反問実施規程を制定して、その運用に関することを定め、円滑
な実施に努めることとします。
【用語】
※一般質問:議員が、市の行政全般にわたり、市長等に対し事務の執行状況及び将来に対する方針
等について説明を求めるための質問をいいます。
日立市議会では、一般質問について事前にその内容を通告することとしており、定例会ごとに
開会日の属する週の月曜日を締切日としています。通告の締切後は、発言順を抽選で決定し、そ
の内容とともに議会ホームページにおいて公開しています。
※一括質問一括答弁方式:質問者が通告した事項をまとめて質問した後、答弁者が答弁をまとめて
行う方法のことです。
※分割質問分割答弁方式:質問者が通告した事項のうち、大項目ごとに質問し、その都度答弁者が
答弁を行う方法のことです。1つ目の大項目の質問・答弁が終了後に、2つ目の大項目の質問・
答弁に移り、以下同様のことを繰り返して行います。
※一問一答方式:質問者が通告した事項のうち、最小の項目ごとに質問し、その都度答弁者が答弁
を行う方法のことです。1つ目の小項目の質問・答弁が終了後に、2つ目の小項目の質問・答弁
に移り、以下同様のことを繰り返して行います。
※反問権:議会の審議において、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問に対して、その趣旨や
論点を明確にするため、問い返すことができる権利のことをいいます。
(政策形成過程の説明要求)
第14条 議会は、市長が提案する重要な計画、政策、事業等(以下「政策等」という。)
について、議会審議における論点情報を整理し、その政策等の水準を高めることに資す
るため、市長に対し、次に掲げる事項に関し説明を求めるものとする。
(1) 政策等を必要とする背景
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 市民参加の実施の有無及びその内容
(4) 他の地方公共団体の類似する政策等との比較検討
(5) 総合計画における根拠又は位置付け
(6) 政策等の実施に係る財源措置
(7) 将来にわたる政策等の費用及び効果
【趣旨】
本条は、市長が提案する重要な計画、政策、事業等に関して、議会から説明を求めることについ
て規定したものです。
【解説】
市長から提案される重要な政策等について、その水準を高める議論を行うためには十分な情報が
必要であることから、提案者である市長に対して、第1号から第7号までに列挙した7項目につい
て説明するよう求めることを定めています。
第6章 議会機能の強化
(自由討議による合意形成)
第15条 議会は、合議制の機関であることを認識し、議案等の審議又は審査をするに当
たっては、合意形成に向けた自由討議を通じて議員相互間の議論を尽くすよう努め、意
思決定するものとする。
【趣旨】
本条は、議員相互間の自由討議による合意形成について規定したものです。
【解説】
議会は、合議制の機関であり言論の場であるとの認識の下、議案等の審議又は審査に当たり結論
を出す場合においては、論点及び争点を明らかにして合意形成を図るため、議員相互間の自由討議
を通じて、議論を尽くすよう努めることを定めています。
(議決事件の追加)
第16条 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項の規定に基づ
く議会が議決すべき事件の追加を積極的に検討するものとする。
2 前項の議会が議決すべき事件は、別に条例で定める。
【趣旨】
本条は、議会の議決事件の追加について規定したものです。
【解説】
(1) 議会が議決すべき事件は、地方自治法第96条第1項において条例の制定又は改廃、予算の決
定、決算の認定など15項目が明示されており、さらに同条第2項では、必要に応じて議会の議
決すべき事件を条例で定めることができると規定されています。
第1項では、この規定を有効に活用して議会の権限を拡大することについて、議会として積極
的に検討していくことを定めています。
(2) 第2項では、議決事件を追加する際は地方自治法の規定に沿って、条例で制定することを定め
ています。
日立市では既に、
「日立市総合計画の議決に関する条例(平成23年条例第23号)
」を制定し、
総合計画の基本構想部分を策定又は変更するときは、議会の議決を経なければならないと規定し
ています。
(議員研修の充実)
第17条 議会は、議員の政策形成能力及び政策立案能力の向上を図るため、議員研修の
充実に努めるものとする。
【趣旨】
本条は、議員研修の充実について規定したものです。
【解説】
第3条において、議会の活動原則としての積極的な政策立案及び政策提言について定めましたが、
実際に政策立案等を行うのは議員であることから、個々の政策形成能力及び政策立案能力等の向上
のため、研修の充実強化を図ることを定めています。
第7章 議会事務局等
(議会事務局の充実)
第18条 議会は、政策形成機能を高め、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事
務局の調査、法務その他必要な機能の充実に努めるものとする。
【趣旨】
本条は、議会事務局の充実について規定したものです。
【解説】
議会事務局は、議会に関する事務を行うとともに、効果的・効率的な議会運営が行えるよう、議
会の活動を補助する役割を担っています。
現在のような地方分権時代において、二元代表制の一翼を担う地方議会に対しては、市政の課題
解決のための機能の充実強化が求められていることから、その活動を補助する議会事務局の調査・
法務機能等の充実に努めることを定めています。
(議会図書室の充実)
第19条 議会は、議員の調査研究等に資するため、議会図書室を適正に管理運営すると
ともに、その機能の充実に努めるものとする。
【趣旨】
本条は、議会図書室の充実について規定したものです。
【解説】
議会図書室は、地方自治法の規定により議員の調査研究のため議会に置かれるもので、議員の見
識を広めるための図書や資料等を備えています。
今後も、適正な管理と機能の充実に努めることを定めています。
第8章 議員の身分及び待遇
(議員定数)
第20条 議員定数については、日立市議会議員定数条例(平成13年条例第16号。以
下「定数条例」という。)の定めるところによる。
2 議員定数の改正に当たっては、他市との比較だけでなく、市政の現状及び課題並びに
将来の展望を考慮するとともに、市民の意見を参考とし、検討するものとする。
3 定数条例の改正に関する議案は、市民の直接請求(以下「直接請求」という。)によ
る場合及び市長が提出する場合を除き、明確な改正理由を付して議員が提出するものと
する。
【趣旨】
本条は、議員定数について、その根拠と改正を行う場合の考え方や手続を規定したものです。
【解説】
(1) 第1項では、議員定数は、
「日立市議会議員定数条例(以下「定数条例」という。
)
」で規定する
こととしています。
地方自治法では、議員定数を条例で定めると規定されており、日立市議会では定数条例で、28人
と定めています。
(2) 第2項では、議員定数を改正するに当たり、他市との比較だけで議論するだけではなく、市政
の現状や将来展望を考慮し、市民の意見も参考としながら、議会の機能を十分に果たすことがで
きるよう検討することを定めています。
(3) 第3項では、定数条例の改正の議案は、市民への説明責任を果たすためにも、市民から直接請
求があった場合を除き、明確な改正理由を付して議員が提出することを定めています。
(議員報酬等)
第21条 議員報酬については、日立市議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条
例(昭和31年条例第23号。以下「議員報酬条例」という。)の定めるところによる。
2 議員報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点、市政の現状及び課題並びに将来の
展望を考慮した上で、検討するものとする。
3 政務活動費については、日立市議会政務活動費の交付に関する条例(平成13年条例
第4号。以下「政務活動費条例」という。)の定めるところによる。
4 議員報酬条例及び政務活動費条例の改正に関する議案は、直接請求による場合及び市
長が提出する場合を除き、明確な改正理由を付して議員が提出するものとする。
【趣旨】
本条は、議員報酬及び政務活動費について、その根拠と改正を行う場合の考え方や手続を規定し
たものです。
【解説】
(1) 第1項では、議員報酬は、
「日立市議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例(以下「議
員報酬条例」という。)」で規定することとしています。
地方自治法では、議員報酬を条例で定めると規定されており、日立市議会では、議員報酬条例
で議員報酬の額や支給方法などについて定めています。
(2) 第2項では、議員報酬を改正するに当たり、議員報酬が市民の負託に応える議員活動の対価で
あることを基本とし、市の財政状況や市政の課題等を十分に考慮し、決定することを定めていま
す。
(3) 第3項では、政務活動費は、
「日立市議会政務活動費の交付に関する条例(以下「政務活動費条
例」という。
)
」で規定することとしています。
地方自治法では、政務活動費は条例の定めるところにより、会派又は議員に対し交付すること
ができるとされており、日立市議会では、政務活動費条例で、政務活動費の額や交付方法などに
ついて定めています。
(4) 第4項では、議員報酬条例及び政務活動費条例の改正の議案は、市民への説明責任を果たすた
めにも、市民から直接請求があった場合を除き、明確な改正理由を付して議員が提出することを
定めています。
第9章 見直し手続
(見直し手続)
第22条 議会は、この条例の目的が達成されているかを委員会条例に規定する議会運営
委員会で検証し、必要に応じてこの条例の見直しを行うものとする。
【趣旨】
本条は、この条例の見直しについて規定したものです。
【解説】
議会を取り巻く状況の変化に的確に対応していくためには、必要に応じて条例の内容について見
直すことが求められます。
本条では、議会運営委員会において、この条例の目的が達成されているかを随時検証し、必要と
認めるときは見直しを行うことを定めています。
附 則
この条例は、平成27年4月1日から施行する。