患者申出療養の対象になると予想される 海外承認

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革新への挑戦と変革
国立研究開発法人
国立がん研究センター
患者申出療養の対象になると予想される
海外承認済み、国内未承認の抗がん剤の実態を集計
2015 年 4 月 3 日
国立研究開発法人 国立がん研究センター
国立研究開発法人 国立がん研究センター(理事長:堀田知光、所在地:東京都中央区、略称:
国がん)先進医療評価室(室長:藤原康弘)は、英国学術雑誌 Lancet Oncology の 3 月号において
2016 年度に導入予定の「患者申出療養(仮称)」の対象になると予想される抗がん剤(欧米先進国で承
認され日本では未承認または適応外)の実態を報告し、ホームページ上で「国内で薬事法上未承認・
適応外となる医薬品・適応のリスト」(2015 年 1 月末の時点の更新データ)を公開しました。
http://www.ncc.go.jp/jp/about/senshiniryo/senshiniryo_01.html
患者申出療養(仮称)の対象になると予想される抗がん剤は 2015 年 1 月末時点で 42 剤であり、
その対象がん種は、血液がん、悪性黒色腫(メラノーマ)、前立腺がんが主なものでした。また、それら抗
がん剤の大半は 1 ヶ月当たり 100 万円を超える薬剤費が必要となります。患者申出療養(仮称)
で適用される保険外併用療養費制度下では薬剤費の多くは患者さんの負担となることが予想され
ます。
先進医療評価室は 2014 年 6 月よりホームページにおいて欧米先進国既承認、国内未承認の抗が
ん剤リスト「国内で薬事法上未承認・適応外となる医薬品・適応のリスト」を公開しています。今
回、2015 年 1 月末時点のデータに更新いたしました。このリストにより抗がん剤におけるドラッ
グ・ラグの現状を知ることができ、1 ヶ月にかかる薬剤費についても把握することができます。
【背景】
2014 年 6 月 13 日の規制改革会議 「規制改革に関する第 2 次答申」において、患者申出療養(仮
称)の制度導入が提言され、2014 年 6 月 24 日に閣議決定された「日本再興戦略」改訂 2014 年の中
で、その創設が明記され、現在の通常国会で法案が審議される予定です。患者申出療養(仮称)とは、
患者さんが希望すれば、迅速な審査で国内未承認の薬剤を使った医療を混合診療として認めると
いう制度(保険外併用療養費制度)です。混合診療は公的医療保険で認められている保険診療と
保険外の診療を併用することで、一部の例外を除き、原則禁止されています。患者申出療養(仮
称)では未承認薬・適応外薬の薬剤費は患者さんの自己負担となることが予想されます。
【ホームページの概要】
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2015 年 1 月末時点で、欧米先進国既承認、日本未承認の抗がん剤は 42 剤でした。
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内訳は、血液領域 19 剤、皮膚科領域(主に悪性黒色腫)5 剤、泌尿器科領域(主に前立腺がん)5
剤、骨軟部腫瘍(肉腫)2 剤、甲状腺がん 2 剤、肺がん(非小細胞肺がん)2 剤が主なものでした。5
大がん(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、肝がんあるいは子宮がん)のうち肺がんを除いて未
承認薬は 1 剤のみでした。
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42 剤の抗がん剤のうち、薬剤費が判明している 35 剤中 24 剤において 1 ヶ月当たりの薬剤費が
100 万円以上でした。
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患者申出療養(仮称)で適用される保険外併用療養費制度下では薬剤費の多くは患者さんの負
担となることが予想され、患者申出療養(仮称)の制度が導入されても、高額な薬剤費用を負担
できる裕福な患者さんしか制度の恩恵を受けられない可能性が懸念されます。
【発表雑誌】
雑誌名:Lancet Oncology, 2015 Mar;16(3): 251-2.
論文タイトル:Japanese universal health care faces a crisis in cancer treatment
著者:(*責任者)Yasuhiro Fujiwara*, Kan Yonemori, Taro Shibata, Natsuko Okita, Nobuko
Ushirozawa
DOI 番号:10.1016/S1470-2045(15)70007-0
URL:http://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(15)70007-0/abstract
【国内で薬事法上未承認・適応外となる医薬品・適応のリスト】
先進医療評価室の「国内で薬事法上未承認・適応外である医薬品について」
(http://www.ncc.go.jp/jp/about/senshiniryo/senshiniryo_01.html)のページで「国内で薬事
法上未承認・適応外となる医薬品・適応のリスト」を公開しています。このリストは独立行政法
人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開している「未承認薬データベース」をもとに、先進
医療評価室が、米国あるいは欧州の承認情報を追加して作成したリストで薬剤名、適用がん種名、
1 ヶ月の薬剤費の試算などを紹介しています。
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<お問い合わせ先>
国立研究開発法人 国立がん研究センター 〒104-0045 東京都中央区築地 5-1-1
先進医療評価室 室長 藤原康弘
TEL: 03-3542-2511 内線 2373
E-mail: [email protected]
企画戦略局 広報企画室
TEL:03-3542-2511(代表) FAX:03-3542-2545
E-mail:[email protected]
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