(H9-10) 近赤外を利用 した調味料の非破壊分析 に関する試験研究 発酵食 品部調味食品科 奥 村幸広 山 木携 本 堂正明 1研 究 の 目的 と概要 近赤外法 に代表 され る非破壊分析法 は、迅速 、大 量 の化学薬 品 が不要、熟練 した技術 を 要 しな い な ど、 これ まで の分析法 にはない 特徴 を有 して い る。 これ までわれ われ は、醤 油 の全窒素 、固形分 、食塩 の 同時多成分分析 について 、近赤外法 を使 って精度 のよい 分析 が 可能 で ある ことを明 らかに した。 近赤外法では、得 られ たスパ ク トル に対 して統計 処理 を行 い 、成分値 を算 出す るため の 検量線 」 と呼ぶ。近赤外法 による分析 の精度 とは、 この検 数 式 を作成す る。 この数 式 を 「 量線 の予測精度 を示 してい る。 また、精度 のよい 検量線 を作成す るためには、従来法 によつ て精度 よく分析 され た試料が大量 に必要で ある、 とい われ てい る。 そ こで 、統計 処理 に使 用す る試料数、 お よび試料 の選抜 方法 と検量線 の精度 の 関係 について検討 を行 つた。 2.試験研究 の方法 点を北海道味噌醤油技術 会 よ り提供 していただいた。分析項 目は全窒 試料 として醤油234′ 点の試料 の うち、検量線作成 用 の 素 とし、分析値 はJAS検 査所で の分析値 を使用 した。234′ グル ー プ と して126点を使用 し、残 りの試料 を検量線評価用 の グル ー プ とした。 を使用 し、試料温度 25℃、光路長 lnlmのキ ュベ ッ 近赤外分光光度計 はNIR Systcms 6500型 ・ トセル による透過演1定を行 つた。検量線作 成 評価 用 ソフ トウエア はNSAS Ver3 20 cNIR (Dに Syttcms)を 使用 、重回帰分析 によつて検 量線 を作成 した。検量線 は、平成 8年度 の方法 一 準 じ、波長 を 部 マニュアル で選択 して約 50種の検量線 を作成 し、 この 中か らもつ ともSEP (予濃1標準誤差)の小 さい もの を予測精度 の 高 い 検 量線 とした。 3.実験結 果 ○検量線作成用試 料数n、評 価用試料数mと 検量線 の精度 平成 8年度(Dでは、n=58で検量線 を作成 した(#1)。今回 はn-126で検量線 を作成 し(#2)、試 料数nと検量線 の精度 の 関係 を検討 した。評価 用試料数 m=68で 検量線 の評価 を行 い 、SEPに つい てF検定を行 つた結果、#1と#2との 間 に有意差 (有意水準5%)が 見 られた (表1)。両者 の SECと SEPを 比べ ると、SECヤ群 1のほ うが小 さいが、SEPで は逆に抱 のほ うが小 さい。すなわ ち、SECが 小 さければSEPも 小 さくなるとは限 らない ことが示 され、SECの みで検量線 の精 度 を評価す る ことが適 当でな い ことが示唆 され た。 り また、m=68の 場合 にはSEPに 大きな差 が 見 られ たのに対 し、平成8年慶 と同様 にm=18で 検量線 の評価 を行 った ところ、SEP、BIASと も有意差 は認 め られなかつた。 これは、mが 小 さい と偶然SEPが 小 さくなる場合 がある ことを示 してお り、nだ けでな くmも できるだけ大 き くとる ことの重要性 が示唆 された。 ○検量線作成用 試 料 の選抜方法 の検討 一様分布 となる方法 としてm=68を 一様分布 n=126よ り73点を選抜 して検量線 を作成 した。選抜方法は、分析値 が (図1、#3)と、無作為法 (図2、紹 )の2通 りとした。検量線評価 試料 一-33-― となるよ うに選抜 し、#3と料 の評価 に使用 した。その結果、#3と料 のSEP、 BIASに は有意差 は見 られ なか った。 重回帰分析 には、検量線作成用試料 の平均値 の周 りで もつ とも誤差 が 小 さくなる とい う特徴 がある。 そ のた め分析値 の分散 が大 き くなる よ うに試料 を選択す る 一 必要が あ ると言われ てお り②、 様分布 となるよ うサ ンプル選 抜す る手法が よ く用 い られ る。 ヽ 今 回は この効果 が認 め られ なかったが、 これ は全窒素分析値 の平均値 と最頻値 が離 れ て分布 してお り、標本 自体 の分散 が十分 に大 きかつたためと考 え られ る。 また、#2と#3、 #2と料 との比較 を行 つた ところ、SEPに は有意差はな く、#2とれ のBIASに 有意差 が見 られ た。以 上 よ り、SEP、 BIASと もに良好な検量線 を作成す るには、試料数 を大き くす る (#2) か、 分析値 を一様分布 にす る(#3)ことが効果的 で あ つた。 表 1.検 量線作成用試料数n、評価用試料 数mと 検量線 の精度 m=68 Ll 検量線 n L2 L3 SEP L4 B:AS m=18 SEP #1 58 2204 1244 1814 1462 0.9730 0.0270 00807 -00404 #2 126 1412 2232 1800 1848 0.9580 0.0339 0.0289 -0.0019 検量線秤価用試料は、作成用試料とは別のものを用意した R I 検 量線の重相関係数 、 S E C i 検 量線の標準誤差 、 S E P : 予 145 15 B:AS 0.0337 -0.0113 0.0330 -0.0183 BIAS i残 差の平均値 測標準誤差 155 全壼素 分析値( % ) 全菫素 分析値( % ) 図2.検 量線作成用試料 の選抜 2 (n=126から73を選抜 、無作為) 図 1.検 量線作成用試料の選抜 1 一 (n=126から73を選抜、 様分布) 表2.検 量線作成用試料数の選抜方法と検量線 の精度 検量線 n Ll SEP L3 0.9661 0,0344 0.0314 -0.0018 一様 分布 1858 0.9671 0.0308 00324 -0.0031 無作為 1848 0.9580 0.0339 0.0305 -0.0001 全試料 2 9 7 73 1412 2234 #4 73 1410 2236 #2 126 1412 2232 4 0 9 0 7 8 #3 選抜方法 1856 検量線評価用試料は、作成用試料とは別に用意し、一様分布を示す6 8 点 を選抜した 4.平 成 10年 度 計 画 選択 波 長 の 帰属 に関す る検討 参考 文 献 ー (1)北海 道 立 食 品加 工研 究 セ ン タ 平成 8年度事 業報告 (2)第12回非破壊計測 シンポ ジ ウム 要 旨集 別冊 (1996) (3)第13回非破 壊計淑1シンポジ ウム 要 旨集別 歌 1997) ―-34-―
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