(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 シースの内面に沿ってOFCを装着し

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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 シースの内面に沿ってOFCを装着し、
このOFCを温度測定手段に接続し、グラウト材をシー
ス内に注入する前に、温度測定手段によってシース又は
シース内の温度を測定して、その温度分布を初期値Tと
して記録し、その後グラウト材の注入時のシース内の任
意の時間、任意の位置の温度T′を該温度測定手段によ
ってリアルタイムに測定し、この温度T′を初期値Tと
対比させ、温度T′と初期値Tとの差ΔTを監視して、
温度差ΔTが認められれば、グラウト材の充填状況が良 10
好であり、温度差ΔTが認められなければ未充填である
と判定することを特徴とするグラウトモニターシースに
よるグラウト管理方法。
【請求項2】 シースの外面に沿ってOFCを装着し、
このOFCを温度測定手段に接続し、グラウト材をシー
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ス内に注入する前に、温度測定手段によってシース又は
シース内の温度を測定して、その温度分布を初期値Tと
して記録し、その後グラウト材の注入時のシース内の任
意の時間、任意の位置の温度T′を該温度測定手段によ
ってリアルタイムに測定し、この温度T′を初期値Tと
対比させ、温度T′と初期値Tとの差ΔTを監視して、
温度差ΔTが認められれば、グラウト材の充填状況が良
好であり、温度差ΔTが認められなければ未充填である
と判定することを特徴とするグラウトモニターシースに
よるグラウト管理方法。
【請求項3】 シースの一部をOFCで構成し、このO
FCを温度測定手段に接続し、グラウト材をシース内に
注入する前に、温度測定手段によってシース又はシース
内の温度を測定して、その温度分布を初期値Tとして記
録し、その後グラウト材の注入時のシース内の任意の時
(2)
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間、任意の位置の温度T′を該温度測定手段によってリ
アルタイムに測定し、この温度T′を初期値Tと対比さ
せ、温度T′と初期値Tとの差ΔTを監視して、温度差
ΔTが認められれば、グラウト材の充填状況が良好であ
り、温度差ΔTが認められなければ未充填であると判定
することを特徴とするグラウトモニターシースによるグ
ラウト管理方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、シースとPC鋼
材との間隙にグラウト材を充填するグラウト工の際のグ
ラウトモニターシースによるグラウト管理方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】前記のようなグラウト工の際施工不良に
よる未充填部において、空隙水の凍結によるコンクリー
トのひび割れやPC鋼材の腐食等が発生するので、この
ようなことが発生することのないようにグラウトの充填
状況を検査して管理する必要がある。そこでこのような
空洞部を発見するために、未充填部の非破壊検査に適用
されている(1)X線透過法、(2)打音振動法、(3)赤外
線法、(4)超音波法等が考案されているが、一般のグラ
ウト工において、グラウト工の際の未充填部の非破壊検
査には(2)打音振動法が一部使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで(1)のような
方法は、既設構造物の外観にひびわれ、漏水等が見られ
るものの場合、健全度調査として詳細な調査を行う場合
に適用されるのであるが、煩雑な作業を必要とすること
から、グラウト工の未充填部の非破壊検査には不適当で
ある。また(2)のような方法は、PC鋼材をハンマで叩
いて、その応答をAEセンサで測定するという比較的簡
易な検査方法であるため、橋梁床版の横締めのような小
規模の緊張材のグラウトの際に適用することができる
が、主桁のように大型緊張材のグラウトに適用できるこ
とについては確認されていない。また(3),(4)のよう
な方法は、表面付近の損傷には適用できるが、グラウト
充填性を精度よく確認することができることについて確
認されていない等の問題がある。
【0004】そこでこの発明の目的は、前記のような従
来の各種の検査方法のもつ問題を解消し、グラウト工の
施工不良を正確に判断することができて、施工不良によ
るPC鋼材の腐食を防止することができ、耐久性に富む
PC構造物を提供することのできるグラウトモニターシ
ースによるグラウト管理方法を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、前記のよう
な目的を達成するために、グラウトモニターシースによ
るグラウト管理方法において、請求項1に記載の発明
は、シースの内面に沿ってOFCを装着し、このOFC
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40
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を温度測定手段に接続し、グラウト材をシース内に注入
する前に、温度測定手段によってシース又はシース内の
温度を測定して、その温度分布を初期値Tとして記録
し、その後グラウト材の注入時のシース内の任意の時
間、任意の位置の温度T′を該温度測定手段によってリ
アルタイムに測定し、この温度T′を初期値Tと対比さ
せ、温度T′と初期値Tとの差ΔTを監視して、温度差
ΔTが認められれば、グラウト材の充填状況が良好であ
り、温度差ΔTが認められなければ未充填であると判定
することを特徴とするものである。
【0006】請求項2に記載の発明は、シースの外面に
沿ってOFCを装着し、このOFCを温度測定手段に接
続し、グラウト材をシース内に注入する前に、温度測定
手段によってシース又はシース内の温度を測定して、そ
の温度分布を初期値Tとして記録し、その後グラウト材
の注入時のシース内の任意の時間、任意の位置の温度
T′を該温度測定手段によってリアルタイムに測定し、
この温度T′を初期値Tと対比させ、温度T′と初期値
Tとの差ΔTを監視して、温度差ΔTが認められれば、
グラウト材の充填状況が良好であり、温度差ΔTが認め
られなければ未充填であると判定することを特徴とする
ものである。
【0007】請求項3に記載の発明は、シースの一部を
OFCで構成し、このOFCを温度測定手段に接続し、
グラウト材をシース内に注入する前に、温度測定手段に
よってシース又はシース内の温度を測定して、その温度
分布を初期値Tとして記録し、その後グラウト材の注入
時のシース内の任意の時間、任意の位置の温度T′を該
温度測定手段によってリアルタイムに測定し、この温度
T′を初期値Tと対比させ、温度T′と初期値Tとの差
ΔTを監視して、温度差ΔTが認められれば、グラウト
材の充填状況が良好であり、温度差ΔTが認められなけ
れば未充填であると判定することを特徴とするものであ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】図1∼4に示すこの発明の第1実
施形態において、1はプレストレストコンクリート材
(この明細書ではPC材という)であって、シース3が
埋設されており、このシース3内に光ファイバーケーブ
ル(この明細書ではOFCという)4を配置し、このO
FC4を常用されている温度測定手段5に接続し、この
温度測定手段5をパソコン等の表示手段6に接続する。
そして温度測定手段5によってシース3又はシース3内
の温度を測定し、その温度分布を初期値Tとして記録
し、そのデータを表示手段6の表示部7に図2に示すよ
うに表示しておく。
【0009】そしてシース3に注入するグラウト材の温
度と、初期値Tとが異なるように、グラウト材又はシー
ス3内の温度を調整する。この際の温度調整は、例えば
グラウト材料の混練時における発熱の利用、電熱等によ
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る加熱、又は気温の変化に伴うシース内の温度変動を利
* て、その使用の効率化を促進することができるものであ
用しての適切な時間帯におけるグラウト等によって行う
る。
こととなる。この温度調整は、グラウト材の温度と、初
【0014】
期値Tとの差異が小さいと、モニターしにくくなるの
【発明の効果】この発明は、前記のようであって、グラ
で、これを避けるために行われることとなる。
ウトモニターシースにおけるグラウト管理方法におい
【0010】それからグラウト材のシース3内への注入
て、請求項1,2,3に記載の発明は、シースにOFC
を開始する。そしてこのグラウト材の注入時のシース3
を装着し、このOFCを温度測定手段に接続し、グラウ
内の任意の時間、任意の位置の温度T′をリアルタイム
ト材をシース内に注入する前に、温度測定手段によって
に温度測定手段5によって測定して、初期値Tと対比さ
シース又はシース内の温度を測定して、その温度分布を
せながら、表示手段6の表示部7にそれらのデータを表 10 初期値Tとして記録し、その後グラウト材の注入時のシ
示させておく。そして温度T′と初期値Tとの差ΔTを
ース内の任意の時間、任意の位置の温度T′をリアルタ
監視し、差ΔTが認められればグラウト材の充填状況が
イムに該温度測定手段によって測定して初期値Tと対比
良好であり、差ΔTが認められなければ未充填であると
させ、温度T′と初期値Tとの差ΔTを監視し、温度差
判定する。
ΔTが認められれば、グラウト材の充填状況が良好であ
【0011】前記のようにしてシース3内へのグラウト
り、温度差ΔTが認められなければ未充填であると判定
材の注入工程が終了すると、グラウト材は注入工程の終
するので、グラウト工の施工不良を正確に判断すること
了後数時間で硬化し、やがてPC材1の内部のシース3
ができて、施工不良によるPC鋼材の腐食を防止するこ
の周辺の温度と、グラウト材の温度との差がなくなる。
とができ、耐久性に富むPC構造物を提供することがで
ここで充填状態を確認したい場合には、一日の気温の変
き、さらにOFCがシースの内面又は外面に沿って装着
化に伴うPC材1の内部の温度変化を利用することとな 20 され、もしくはシースの一部を構成したものとなってい
り、温度測定手段5によってシース3の周辺の一日の温
て、いずれもOFCをシースの製造時に装着することが
度変化を測定する。このような際シース3の内部に図3
できるので、その使用の効率化を促進することができる
に示すように、グラウト材の未充填部8があると、温度
という効果がある。
の上昇時又は下降時に未充填部8と、その近傍の充填部
【図面の簡単な説明】
9との間に温度差が生ずる。これらのデータが図4に示
【図1】この発明の第1実施形態の実施状態を示す斜面
すように表示手段6の表示部7に未充填部8の温度及び
図である。
位置(t8,x8)、充填部9の温度(t9)として表
【図2】同上の第1実施形態の注入状況線図である。
示され、このような温度分布の状況を監視することによ
【図3】同上のシース内のグラウト材の充填状態図であ
って温度差を確認し、未充填部8の存在を把握すること
る。
となる。その後OFC4と温度測定手段5との接続を解 30 【図4】同グラウト材の充填状況線図である。
除する。
【図5】この発明の第2実施形態を示し、(A)は要部の
【0012】前記のようにして、グラウトの充填状況の
正断面図、(B)は要部の側断面図である。
検査が終了することとなるが、その後再び検査を行う場
【図6】この発明の第3実施形態を示し、(A)は要部の
合には、OFC4に温度測定手段5を接続して、前記と
正断面図、(B)は要部の側断面図である。
同様にして所望の検査を行うこととなる。
【図7】この発明の第4実施形態を示し、(A)は要部の
【0013】図5にはこの発明の第2実施形態が示され
正断面図、(B)は要部の側断面図である。
ており、この実施形態においては、OFC4がシース3
【符号の説明】
の内面に沿って装着されており、図6に示す同第3実施
1 PC材
2 PC鋼材
形態においては、OFC4がシース3の外面に沿って装
3 シース
4 OFC
着されており、図7に示す同第4実施形態においては、 40 5 温度測定手段
6 表示手段
OFC4がシース3の一部を構成したものとなってい
7 表示部
8 未充填部
て、いずれもシース3の製造時に装着されるものであっ*
9 充填部
【図7】
(4)
【図1】
【図3】
特許2952348
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
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フロントページの続き
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(58)調査した分野(Int.Cl. ,DB名)
G01N 25/72
E04G 21/12
JICSTファイル(JOIS)