基本目標2.まちの魅力の創出(PDF:3114KB);pdf

2. まちの魅力の創出
Ⅰ
【第2章】将来像の実現にむけて
にぎわいと活力のまち
2. まちの魅力の
創出
(1)観光資源の再発見と活用の推進
(2)地域のネットワーク化と回遊性の向上
(3)おもてなし環境の整備
41
I
【第2章】将来像の実現にむけて
にぎわいと活力のまち
2. まちの魅力の創出
1
観光資源の再発見と活用の推進
施 策 名
①観光に関する情報の収集と分析 [9]
現
状
台東区では、観光統計の基礎資料とするために、隔年で観光統計・マーケティング調査を
実施し、観光客数、観光消費額を推計するとともに、来訪目的・場所などをアンケート調査
により分析しています。
近年では、価値観やライフスタイルの多様化が進んだことで、観光の形態が「団体旅行」
から「個人旅行」へ、
「見学」から「参加・体験」へと移り変わるなど、
観光に対する新たなニー
ズが発生しています。
また、経済成長やグローバル化の進展、交通・輸送手段の発達によって、異なる国や地域
がこれまで以上に緊密に結びついたことで、海外から訪れる方の国籍・思想・趣向などの多
様化が進んでいます。
今後、多様化する観光客のニーズを的確に把握し、効果的な観光施策を展開するためには、
新たな手法を用いた調査・分析に取り組むことが重要となります。
課
題
多様化する観光ニーズに対応していくためには、台東区における観光の現状や潜在的な観
光資源を的確に把握することが必要です。
また、個人のニーズを的確に把握するためには、ICTを活用するなど多様な手法を活用
した取り組みも必要となっています。
10 年後のめざす姿
●多様な媒体と手法を活用して情報収集を行い、観光客の動向を的確に把握し、ニーズを捉
えた観光施策を展開しています。
42
2. まちの魅力の創出
❶観光資源の再発見と活用の推進
①観光に関する情報の収集と分析 [9]
主な取り組み
︻第2章︼将来像の実現にむけて
■観光客の動向と受入施設の現況調査
観光統計・マーケティング調査において、観光客数や観光消費額を推計するほか、
観光客の滞在時間や回遊などの行動パターンを把握することで、効果的な誘客促進
につなげます。
また、観光施設や宿泊施設などの現況を調査することで、観光客の受入体制の充
実につなげます。
さらに、観光統計・マーケティング調査で得られた情報を、観光団体をはじめ商
業団体や事業者と共有し、分析・検証することで、今後の施策展開につなげます。
■多様な手法を活用した観光客のニーズ調査
観光統計・マーケティング調査を補完し、台東区の潜在的な観光資源や個人の
観光ニーズを的確に把握・分析するため、SNS※ 1 などを活用した口コミや投稿、
GPS※ 2 を活用した観光客の動線など、多様な手法を活用して情報を収集・分析す
ることで、新たな台東区の魅力を発見し、観光客のニーズに合った観光情報の発信
につなげます。
施策の指標
計画策定時
(26 年度末)
目 標
(36 年度末)
観光に関する情報収集・分析手法
1種類
(観光統計・マーケティング調査)
増 加
区が発信する観光情報に対する
満足度※ 3 −
80%
指
標
名
※ 1 SNS
「Social Networking Service」
(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の略称で、人と人
とのつながりを促進、サポートする、コミュニティ型の会員制のサービスもしくはウェブサイト
です。
※ 2 GPS
「Global Positioning System」
(グローバル・ポジショニング・システム)の略称で、人工衛星
を利用して、利用者の地球上における現在位置を正確に把握するシステムです。
※ 3 区が発信する観光情報に対する満足度
区が提供している観光情報誌やホームページなどの情報媒体に関する、観光客の満足度です。
43
【第2章】将来像の実現にむけて
施 策 名
②観光案内と情報発信の充実 [10]
現
状
台東区を訪れる観光客数は、平成 16 年には約 3,306 万人でしたが、平成 24 年には東京スカ
イツリー ®開業などの影響により、約 4,382 万人と約 1,076 万人も増加しています。
区では、平成 24 年に観光案内の拠点施設である浅草文化観光センターをリニューアルオー
プンして観光案内体制の充実を図ったほか、宿泊施設や店舗などと連携して、いつでも、ど
こでも、必要な観光情報を入手できる環境づくりに取り組むなど、観光
客の利便性向上に努めています。
近年、国内外の観光地では、観光客誘致に向けた積極的な取り組みが
行われており、多様なメディアを活用して、情報発信力の強化に取り組
む動きが見られます。
区では、平成 24 年に観光ポータルサイトを全面リニューアルし、公
式観光情報サイト「TAITOおでかけナビ」を開設したほか、
情報チャ
ネルの多様化に合わせて、SNSを活用した観光情報の発信にも取り組
んでいます。
課
浅草文化観光センター
題
2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催や羽田空港アクセス線構想、上
野東京ラインや北陸新幹線の開業といった新しい交通ルートの整備により、国内外からの観
光客の増加が見込まれるため、国内・国外それぞれの観光客に合わせた、きめ細かな観光案
内の充実と、ターゲットに合わせた効果的な情報発信が求められています。
10 年後のめざす姿
●区内観光案内体制がさらに充実し、観光客の利便性が向上しています。
●多様な媒体を活用した効果的な情報発信が行われ、国内外からさらなる誘客を促進してい
ます。
■浅草文化観光センター利用者数の推移
(人)
1,200,000
1,058,622
926,029
1,000,000
800,000
548,814
484,929
600,000
437,677
400,000
440,428
492,029
452,299
428,152
382,360
371,993
200,000
平成15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
(年度)
<資料>台東区調べ
44
2. まちの魅力の創出
❶観光資源の再発見と活用の推進
②観光案内と情報発信の充実 [10]
主な取り組み
︻第2章︼将来像の実現にむけて
■観光情報を容易に入手できる環境づくり
観光案内体制を充実させるため、区内の観光案内所や宿泊施設、交通拠点、店舗
などと連携して、観光客が容易に観光情報を入手できる環境づくりに努めます。
■区内外の観光案内所との連携
観光客にニーズの高い情報や観光案内に関する課題などを、区内外の観光案内所
と共有することで、観光案内所におけるサービスの質の向上を図ります。
■多言語での案内体制の充実
浅草文化観光センターでの多言語での案内体制の充実を図り、外国人観光客の利
便性向上に努めます。
■国内プロモーションの推進
上野東京ラインや北陸新幹線開通などの新しい交通ルートの整備を見据え、ター
ゲットとエリアを絞った効果的なシティセールスを展開するなど、国内から観光客
を呼び込むための取り組みを推進します。
■インバウンド※の推進
海外の旅行博覧会での情報発信や、海外メディア・旅行関連事業者の招へいなど、
国や東京都、民間事業者と連携し、積極的なインバウンドを推進します。
■多様な媒体を活用した情報発信の充実
情報発信メディアを多様化・多言語化することで、効果的に観光情報を発信します。
施策の指標
計画策定時
(26 年度末)
目 標
(36 年度末)
浅草文化観光センター入館者数
年 100 万人
年 120 万人
台東区公式観光ウェブサイト
アクセス件数 年 50 万件
年 100 万件
区が発信する観光情報に対する
満足度 −
80%
指
標
名
※ インバウンド
外国人旅行者を自国へ誘致することです。
45
【第2章】将来像の実現にむけて
施 策 名
③観光資源の活用と拡充 [11]
現
状
台東区は、上野・浅草といった国際的な観光地を有しており、江戸の歴史を感じられる伝
統文化、大衆芸能や文学に根ざした歴史・芸術、四季の風物ともなるお祭りなどの多彩な魅
力から、四季を問わず年間 4,000 万人以上の観光客を惹きつけています。
区では、地域の特性を活かしたにぎわいの創出を図るため、台東区の歴史や文化資源など
の多彩な魅力を国内外に広く発信するフィルム・コミッション※ 1 事業や、
かつての興行街や大
衆芸能発祥の地という台東区のイメージを活かした映画祭や演劇祭などを展開しています。
一方で、台東区は「ものづくりのまち」として発展してきました。近年では、こうした地
場産業や伝統産業の製造工程の見学なども、新たな観光資源として注目されていることから、
地場産業をはじめとする区内産業の観光分野への活用を図っています。
また、隅田川の水辺空間も重要な観光資源です。区では、東京都や隅田川の沿川区・観光
団体などと連携して、隅田川の水辺空間をより一層磨きあげることで、かつて江戸の華とし
て名を馳せた隅田川に、にぎわいを取り戻すための取り組みも進めています。
さらに、区では国家戦略特区※ 2 の枠組みを活用し、地域全体の競争力の強化と活性化を図
るために、新たな取り組みを検討しています。
■観光客数
(万人) 5,000
4,382
4,500
4,000
3,500
4,083
3,934
3,402
3,306
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
613
672
733
834
678
191
56
43
835
17
観光客数
(台東区)
18
19
訪日外客数
20
621
413
0
平成16
861
21
22
835
1,036
425
23
24
外国人観光客数
(台東区)
※観光客数
(台東区)
内数
25
(年)
<資料>台東区「台東区観光統計・マーケティング調査」
(隔年調査)
、及び
日本政府観光局
(JNTO)
「訪日外客数の動向」
より作成
課
題
さらなるにぎわいを創出するためには、新たな観光資源を掘り起こしていくとともに、台
東区が有する歴史、文化、産業などの魅力的で多彩な観光資源を活用・拡充し、より一層磨
き上げていくことが必要です。
46
2. まちの魅力の創出
❶観光資源の再発見と活用の推進
③観光資源の活用と拡充 [11]
10 年後のめざす姿
●台東区が持つ豊富な観光資源に一層磨きがかかり、多くの観光客を惹きつける魅力ある観
︻第2章︼将来像の実現にむけて
光地としてさらなるにぎわいが創出されています。
主な取り組み
■台東区の魅力を活用したにぎわいの創出
映画やテレビドラマなどを通じて、台東区の多彩な魅力を国内外に発信するフィ
ルム・コミッション事業など、台東区の魅力を活用したにぎわいの創出に取り組み
ます。
■産業を活用した観光の推進
中小製造業のアトリエ化支援や、ものづくりのまちPRに向けた支援をすること
で、産業を通じた誘客促進に取り組みます。
■多彩な文化を活用した体験型観光の推進
「本物に会えるまち台東区」の魅力である生活文化、ものづくり文化、芸能文化な
ど、台東区の多彩な文化を活用した体験型観光を推進します。
■水辺空間を活かした魅力づくり
四季を通して多くの区民と観光客が訪れる隅田川の魅力を高めるため、水辺空間
を活用した新たなにぎわいの創出を図ります。
施策の指標
指
標
名
観光客数
計画策定時
(26 年度末)
目 標
(36 年度末)
年 4,382 万人
(24 年)
年 5,000 万人
※ 1 フィルム・コミッション
台東区が持つ魅力を、映像を通じて国内外に発信するため、映画、テレビなどの映像関係者へ
の撮影の支援などを行うものです。
※ 2 国家戦略特区
産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に向けた大胆な規制・制度改革を
実行するため、国が主導し国・地方・民間が一体となって、国家戦略として日本経済の再生に資
するプロジェクトを推進するものです。
47
【第2章】将来像の実現にむけて
2
地域のネットワーク化と回遊性の向上
施 策 名
①地域のネットワーク化推進 [12]
現
状
台東区は上野や浅草、谷中など、国内外から多くの観光客を惹きつける観光地を有してい
ます。
点在する豊富な観光資源を活かし、台東区全域を観光圏として観光客の満足度を高めるよ
うな魅力的な地域づくりを進めていくためには、区内の観光拠点から観光拠点へと、容易に
アクセスできる交通ネットワークを整備することが重要です。
区では、区内を巡る循環バスを活用した交通ネットワークの充実に取り組み、観光施策に
も活用しています。
また、隅田川の沿川地域には、両国、築地、お台場など、都内有数の観光地が広域的に
点在しています。平成 23 年から、浅草東参道二天門防災船着場の供用が開始されたことで、
こうした隅田川の沿川地域の観光地からの、水上交通を利用した台東区へのアクセスもより
一層充実が図られています。
さらに、東京スカイツリー ®開業を契機に、隅田川周辺のビュースポットに多くの人が
訪れるようになるなど、隅田川の魅力的な水辺空間の創出への期待は、より一層高まってい
ます。
■めぐりん年度別乗車人数
(人)
600,000
496,679
500,000
478,677
400,000
331,412
300,000
200,000
100,000
平成13
14
15
16
北めぐりん
17
18
19
南めぐりん
20
21
22
東西めぐりん
23
24
25
(年度)
<資料>台東区調べ
48
2. まちの魅力の創出
❷地域のネットワーク化と回遊性の向上
①地域のネットワーク化推進 [12 ]
課
題
区民の日常の交通手段として、また観光客にも利用されている区内循環バスについては、
︻第2章︼将来像の実現にむけて
利便性の一層の向上が求められています。
また、陸から水上へ、水上から陸へと人の流れを生むために、区内外の観光地との連携を
強めていくとともに、水上交通のさらなる活性化に向けて、船着場を利用する旅客船の新た
な運行事業者を誘致する取り組みが必要です。
さらに、隅田川の水辺空間に恒常的なにぎわいを創出するために、陸と水上の結節点にあ
るオープンカフェなどを活用した新たな誘客への取り組みも必要です。
10 年後のめざす姿
●陸上及び水上にまたがる広域的な交通ネットワークの構築により、観光客が区内外の観光
拠点へ容易にアクセスできる環境が整備されています。
●隅田川の水辺空間が観光スポットとして注目され、水辺のにぎわいが創出されています。
主な取り組み
■循環バス新路線の開業
これまでの循環バス 3 路線に加えて、新たに区北部地域と南部地域における双方
向性を確保するため、循環バス新路線を開業します。
■交通ネットワークの充実
区内公共交通に関する利用者ニーズの把握に努め、利便性の向上に向けて公共交
通網の充実を図ります。
■水上交通の活性化
新たな舟運事業者の参入を促すなど、船着場の利用拡大に向けた取り組みを展開
し、区内外の観光拠点を結ぶ水上交通の活性化を図ります。
■水辺空間を活用したにぎわいの創出
水辺空間に恒常的なにぎわいを生み出すため、オープンカフェなどを活用した誘
客を促進し、水辺空間における新たな観光スポットの創出に取り組みます。
49
【第2章】将来像の実現にむけて
施策の指標
計画策定時
(26 年度末)
目 標
(36 年度末)
循環バス乗降客数
年 136 万人
年 180 万人
船着場利用回数
年 3,000 回
増 加
指
標
名
浅草東参道二天門防災船着場
50
東西めぐりん
2. まちの魅力の創出
❷地域のネットワーク化と回遊性の向上
②何度も訪れたくなる仕組みづくり [13]
施 策 名
②何度も訪れたくなる仕組みづくり[13]
︻第2章︼将来像の実現にむけて
現
状
わが国は人口減少期を迎えており、今後もさらに人口減少と少子高齢化が進展していくこ
とが予想されています。
これに伴い、国内旅行市場は縮小していくことが見込まれていることから、今後は、新た
な観光客誘致に向けた取り組みに加え、リピーターを確保していくことが重要となってい
ます。
近年では、観るだけの観光から、地域の文化を楽しむ観光、地域の人々とふれあう観光、
地域固有の生活や産業を体験する観光へと観光客の嗜好は変化しています。
こうしたことから、区では、何度訪れても楽しめる観光地づくりへの取り組みとして、地
域の魅力ある観光資源を活かした体験型観光など、観光客のニーズを捉えた多彩な観光メ
ニューを提供することで、リピーターの確保に取り組んでいます。
また、観光消費額を増加させ、観光産業の経済波及効果を区内産業全体へと広げていくた
めに、回遊の促進を図ることも重要です。
区では、区内に点在する豊富な観光資源をテーマごとに整理し、観光コース化することで、
観光客の回遊の促進にも取り組んでいます。
課
題
国内旅行市場の縮小化に対応するためのリピーター確保に向けて、何度訪れても楽しめる、
多彩な観光メニューの開発に取り組む必要があります。
また、観光客の滞在時間と観光消費額の増加を図るため、まちなかの回遊を促進させるた
めの取り組みが必要です。
さらに、ICTの発達に伴い、インターネットを介してさまざまなサービスを提供するこ
とが可能となっていることから、観光客誘致に向けて、ICTを活用した新たな取り組みも
必要です。
10 年後のめざす姿
●台東区が有する観光資源を活かし、豊富な観光メニューを提供することで、何度も訪れた
くなる観光地として、多くのリピーターを惹きつけています。
●特色ある台東区の魅力を活かした多彩な観光ルートの開発により、観光客の回遊が一層促
進され、地域の活性化が図られています。
51
【第2章】将来像の実現にむけて
主な取り組み
■多彩な観光メニューの開発
台東区が有する観光資源をテーマごとにコース化し、観光客に多彩な街歩きメ
ニューを提供します。また、観光客参加型イベントや体験型観光など、多様なニー
ズに応える、新たな観光メニューの開発に取り組みます。
■ICTを活用した観光客誘致
携帯情報端末などのICT機器を活用して、台東区への来訪動機を喚起するなど、
観光客誘致に向けた新たな取り組みを推進します。
施策の指標
計画策定時
(26 年度末)
目 標
(36 年度末)
来訪者のリピート率
83.2%
(24 年)
増 加
来訪者の区内平均滞在時間が
3時間以上の割合 39.3%
(24 年)
60%
指
標
名
観光マップ(台東ぶらり散歩)
52
2. まちの魅力の創出
❸おもてなし環境の整備
①来街者にやさしいまちづくり [14]
3
おもてなし環境の整備
︻第2章︼将来像の実現にむけて
施 策 名
①来街者にやさしいまちづくり [14]
現
状
だれでも快適に安心して観光できることは、その都市を魅力的に感じる重要な要素となる
ことから、近年では、高齢者や障害者、外国人観光客など、だれもが安心して訪れることが
できるユニバーサルツーリズム※ 1 に対応した観光地づくりが求められています。
こうしたことから、区では「台東区バリアフリー基本構想」の中で「観光バリアフリー」
を基本目標に掲げるなど、だれもが安心して訪れることができる観光地を目指した取り組み
を進めています。
一方で、平成 23 年 3 月に発生した東日本大震災では、公共交通機関の停止に伴う帰宅困難
者の発生や災害時の情報伝達など、さまざまな課題が顕在化しました。
台東区の場合、帰宅困難者には、多くの観光客が含まれることが予想されることから、災
害に備えた取り組みを進めることにより、観光客にとって安心できる環境を確保していくこ
とも重要となっています。
課
題
今後も、持続的に国内外からの観光客を増加させていくには、高齢者や障害者、外国人観
光客など、だれもが安心して滞在し、観光することができる環境を整備していく必要があり
ます。
さらに、東日本大震災を契機として、観光客が安心・安全に訪れることができる環境が重
視されていることから、災害時であっても、観光客の安心・安全を確保するための取り組み
も必要です。
10 年後のめざす姿
●観光客のだれもが、安心して快適に移動・滞在・観光することができる環境が整備されて
います。
●災害時に向けた備えが充実し、観光客のだれもが安心して台東区を訪れることができる環
境が整備されています。
53
【第2章】将来像の実現にむけて
主な取り組み
■快適に移動できる環境の整備
観光客の行動特性を踏まえて、多言語表記やピクトグラムを掲載した観光案内板
を再整備するなど、利便性を高めるための環境を整備します。
■快適に滞在できる環境の整備
高齢者や障害者など、台東区を訪れるだれもが、安心・安全かつ快適に滞在でき
るように、区内における交通機関などのバリアフリー化を推進します。
また、外国人観光客が宿泊施設に安心して滞在できるように、宿泊施設での多言
語化、ピクトグラムの活用を推進します。
■快適に観光するためのICT環境の整備
ICTの発達に伴い、スマートフォンなどの携帯情報端末の利用が進んでいるこ
とから、快適に観光するためのICT環境の整備に取り組みます。
■観光客の安心・安全を守るための環境の整備
災害時においても、災害、交通状況に係る情報に加え、避難経路や一時滞在施設
などの情報を観光客に提供できる環境を整備します。
施策の指標
計画策定時
(26 年度末)
目 標
(36 年度末)
台東区バリアフリー特定事業計画
に定める公共交通特定事業の進捗
率※ 2
45%
90%
(32 年度)
さわやかトイレ※ 3 整備数
累計 30 か所
累計 43 か所
指
標
名
※ 1 ユニバーサルツーリズム
すべての人が楽しめるよう創られた旅行で、バリアフリー対応施設を利用した旅行コースの設
定など、高齢や障害等の有無にかかわらず、だれもが気兼ねなく参加できます。
※ 2 公共交通特定事業の進捗率
「台東区バリアフリー特定事業計画」の中で、公共交通事業者(鉄道事業者、バス事業者、旅
客船事業者など)が取り組む特定事業(例:鉄道駅などにおけるエレベーターやホームドアの設
置、
案内サインの整備、
係員による高齢者や障害者等への接遇対応など)
の進捗を示したものです。
※ 3 さわやかトイレ
区が管理する公衆トイレ及び公園・児童遊園トイレにおいて、だれでも、どこでも、安心して、
利用できることを目的として整備されたトイレです。
54
2. まちの魅力の創出
❸おもてなし環境の整備
①来街者にやさしいまちづくり [14]
︻第2章︼将来像の実現にむけて
広域避難場所を示す
ピクトグラム
観光案内板
さわやかトイレ
55
【第2章】将来像の実現にむけて
施 策 名
②ふれあいとおもてなしの人づくり [15]
現
状
観光は、地域住民とのふれあいも重要な要素であり、区民一人ひとりがおもてなしの心を
持って観光客と接することは、魅力的な観光資源の一つになります。
また、地域が一体となり、おもてなしの心で、観光客をあたたかく迎えることは、台東区
のより一層のイメージアップにつながるとともに、リピーターの確保にもつながります。
区では、国内外からの観光客の満足度を高めるための取り組みとして、観光ボランティア
ガイドによる無料観光案内のほか、宿泊施設をはじめとする観光施設などの事業者や区民を
対象としたおもてなし講習会を実施しています。
近年では、国内外を問わず個人や小グループによる旅行客の来訪が増えており、観光客の
嗜好は多様化しています。
外国人観光客については、東南アジアからのビザ緩和に伴い、ムスリム人口の多い東南ア
ジアからの観光客が増加していることから、ムスリム観光客受け入れのための取り組みなど、
多様なニーズに応える受け入れ体制を整備することも重要となっています。
課
題
観光客のニーズが多様化していることから、ニーズに応えるきめ細かな受け入れ体制が求
められています。
また、外国人観光客については、ムスリム対応など、言語や宗教、文化などの違いを尊重
したおもてなしが求められています。
さらに、外国人観光客に対しても、日本でのマナーや習慣の違いに起因するトラブルを防
ぐため、日本のマナーや習慣を理解してもらう啓発活動に取り組む必要があります。
10 年後のめざす姿
●区民や観光関連事業者などのおもてなし力の向上が図られ、地域が一体となったおもてな
し意識あふれる観光地が形成されています。
観光ボランティアガイド
56
2. まちの魅力の創出
❸おもてなし環境の整備
②ふれあいとおもてなしの人づくり [15]
主な取り組み
︻第2章︼将来像の実現にむけて
■おもてなしの人づくり
観光客の快適性と利便性を向上させるため、観光事業者や区民のおもてなし意識
の向上を図ります。
また、外国人観光客が区内の店舗を不自由なく利用できるように、飲食店におけ
る外国語メニューの作成支援など、民間事業者における多言語表記の取り組みを支
援します。
■ボランティアを活用した観光案内
観光ボランティアガイドを育成し、ガイドの質・量の充実に努めるほか、観光ボ
ランティアガイドによる観光案内を通じて、台東区を訪れる観光客の満足度を高め
ます。
■外国人観光客に対するマナー啓発
台東区を訪れる外国人観光客が、快適に滞在できるように、日本でのマナーや習
慣についての啓発に取り組みます。
施策の指標
計画策定時
(26 年度末)
目 標
(36 年度末)
観光ボランティアガイド登録者数
(日本語、外国語合計)
240 人
増 加
おもてなし講習会・研修会参加者数
年 480 人
年 600 人
指
標
名
■観光ボランティアガイド登録者数の推移(日本語・外国語合計)
(人)
210
205
199
197
200
186
190
175
180
170
176
183
176
178
177
164
160
150
140
平成15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25(年度)
<資料>台東区調べ
57