地質リスク・エンジニア(GRE) 養成講座の開設にあたって;pdf

地質リスク・エンジニア(GRE)
養成講座の開設にあたって
特定非営利活動法人地質情報整備活用機構
一般社団法人全国地質調査業協会連合会(以下「全地連」という)では、平成 17 年
以降、技術委員会を中心に「地質リスク」という視点から地質調査の使命や役割を見直
し、地質調査の関わる領域を拡げる取り組みを進めてまいりました。その後、平成 21
年には、特定非営利活動法人地質情報整備活用機構(以下「地質活用機構」という)が
事務局となり「地質リスク学会」を創設しました。ここでは、産業界のみではなく、産
官学から参加された多様なメンバーにより活動を展開し、理論面の学術研究、技術発表
会による具体的な事例研究、海外における地質リスク問題の情報収集と紹介、地質リス
クを取り巻く制度的課題の検討、「地質リスクマネジメント入門」の発行など、着実に
成果を挙げてきております。
地質調査業としては、今後、これまでに得られた「地質リスク」に関する成果を実務
に展開し、地質調査の新しい領域を創造するとともに従来の地質調査を深化させること
が重要であり、また、責務であると考えます。そして、これは、単に地質調査業の利益
に適うだけはなく、地質リスクに起因する事業損失を地質技術力とマネジメント力の投
入により回避・予防・低減するものであり、社会的に見ても極めて公益性の高いものだ
と思います。
このためには、地質に関する高度な技術を持ち、かつ、マネジメント力を有する技術
者を相当数養成し、地方公共団体を含め全国展開を図ることが必要です。さらに、養成
にあたっては、契約制度を含む公共調達市場に関する知識と理解を学ぶ必要があります。
そこで、当地質活用機構では、地質リスク学会と全地連の支援を得て標記養成講座を開
設することとしました。
講座の詳細なプログラムは別紙の通りで、「地質リスク」に関する項目のほか、実務
に役立つ次のような内容が含まれます。
◆地質リスクマネジメントとは(概念と意義)
◆地質リスクマネジメントの投資効果とその計量化並びに評価手法
◆地質リスクを反映した地質調査業務の領域
・技術顧問(発注者との契約に基づく技術指導)
・CM方式への専門家としての参加
・地質リスク調査検討業務(プロポーザル方式による契約)
・地質調査計画策定業務(プロポーザル方式による契約)
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・地質調査業務受注後の調査計画の変更提案(契約書に基づく)
・地質リスクを意識した成果物の作成(通常業務)
◆公共調達市場の特性、業者選定方式、契約制度
◆地質リスクにおける発注者責任と受注者の果たすべき責任の範囲
◆地質リスクに関わる技術者に必要な資質と知識(技術者倫理、技術力、マネジメン
ト力、コミュニケーション力)
◆地質調査業の成り立ちと将来を見据えた新たな視点
◆参加者の経験に基づく演習
本講座は、当面、少人数を対象にゼミナール形式で開講しますが、今後、必要に応じ
養成方法を多様化することも検討してまいります。
また、講座の受講修了者を「地質リスク学会」から「GRE」として認定していただ
く予定にしておりますが、現時点で、資格とすることは考えておりません。
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地質リスク・エンジニア(GRE)養成講座
開催要領
主
催:特定非営利活動法人地質情報整備活用機構
協
力:一般社団法人全国地質調査業協会連合会
認定団体:地質リスク学会
開催日程:平成 27 年 6 月 24 日~26 日(3日間)
開催場所:飯田橋レインボービル
〒162-0826 東京都新宿区市谷船河原町 11 番地
参 加 費:30,000円(税込)
*本養成講座は、一般財団法人建設業振興基金の助成事業に認定される予定となっておりますので、参
加費は、テキストと会場費の実費のみを徴収させていただくこととします。
募集定員:20名
受講要件:以下2つの要件を備えた方
1.以下のいずれかに該当する方
・過去に開催された地質リスク学会主催「地質リスクマネジメント事例研究発表会」に
おいて既に発表された方
・平成 27 年度に開催される地質リスク学会主催「地質リスクマネジメント事例研究発
表会」*1で発表される方
(*1:平成27年度の地質リスクマネジメント事例研究発表会は、11月20日に開催されます。)
・「総合技術監理部門」の関連分野の技術士
・企業が推薦する中核的技術者もしくは中核技術者として期待する方
2.講座開始までに以下について事前の準備ができる方
①関係資料の事前学習を行える方
指定された関係資料(「地質リスクマネジメント入門」、「過去の事例研究発表会の
発表事例」等)を講座開催前までに読んでおくこと。
②講座で実施する演習課題について準備すること。
募集期間:平成 27 年 4 月 1 日~4 月 30 日(定員になり次第、募集を終了します。)
応募方法:別紙「受講申込書」に必要事項をご記入の上、ファックスでお申込下さい。
応募先・お問合せ先
特定非営利活動法人地質情報整備活用機構
〒101-0047 東京都千代田区内神田 1-5-13 内神田 TK ビル 3 階
TEL. 03-6689-5353
FAX: 03-3518-4901
e-mail:[email protected]
*お問合せは、できるだけ e-mail でお願いします。
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GRE養成講座プログラム(予定)
カリキュラム
講義内容
Ⅰ.地質リスクマネジメント概要(6/24)13:00~18:30
Ⅰ-1
(1) 地質リスクとは -その概念と意義-
地質リスクMとは
(2) マネジメントとは
(3) 地質リスクをマネジメントする -発注者と受注者の役割-
(4) 専門家の活用と GRE の認定
(5) 全地連における活動
(6) 地質リスク学会活動
Ⅰ―2
(1) 地質事象の把握における不確実性と地質リスク
地質リスクMの効果の計量
(2) 地質リスクマネジメント事例の類型化と特徴
Ⅰ-3
(1)地質調査業の成り立ちと将来を見据えた新たな視点
地質調査業における地質 (2)公共調達市場の特性、業者選定方式、契約方式
リスクの意義と活用
(3)地質リスクを反映した地質調査業務の領域と現行制度下での活用策
(4)地質リスクに関わる技術者に必要な資質と知識
懇親会
Ⅱ.技術顧問契約(6/25)9:00~17:00
Ⅱ-1
(1) 技術顧問の位置づけ
発注者への技術指導
(2) 顧問契約
(3) 業務内容
Ⅱ-2
(1) GBRとは
GBR
(2) ベースライン項目
(3) 海外における適用事例
(4) 国内への適用性
Ⅱ-3
(1) 共通事項
調査・設計・工事の
(2) 調査業務契約の支援のポイント
契約支援・監督支援
(3) 設計業務契約の支援のポイント
(4) )請負工事契約の支援のポイント
(5) 設計変更支援
(6) マネジメントの効果の計測
Ⅲ.事例演習(6/26) 9:00~16:00
Ⅲ-1
・受講者の個々の発表事例をもとに
演習(1)
・技術顧問契約図書の作成
・契約条件書、特記仕様書、報酬の考え方
顧問契約
(Ⅱ―1に対応)
Ⅲ-2
演習(2)
GBR 作成(Ⅱ―2に対
応)
Ⅲ-3
演習(3)
監督支援(Ⅱ―3に対応)
・発表事例を対象に
(1) GBR の作成
・ベースライン項目と基準設定
・調査、設計、工事の中から選択して
(1) リスク管理表の作成
(2) モニタリング報告書の作成
Ⅲ-4 総括討議
履修証明書授与
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■講師陣について
[地質リスク学会]
渡邊
法美
地質リスク学会
小笠原正継
〃
地質リスク学会
会長
副会長
委員(運営委員会・専門委員会)
[特別講師]
矢島
壯一
元(社)全国地質調査業協会連合会
専務理事
■履修証明書について
全課程の履修者には、履修証明書を授与します。また、履修者は、地質リスク学会が別途定める
GRE 認定制度へ申請できる資格者となります。
NPO 主催
GRE 養成講座履修者
→
←
地質リスク学会主催
GRE 認定申請・論文審査・認定書発行
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ホームページ
⇒「認定者名簿」掲載
FAX: 03-3518-4901
特定非営利活動法人地質情報整備活用機構
宛
地質リスク・エンジニア(GRE)養成講座
受講申込書
1.参加者情報
ふりがな
氏
名
所属機関名
役
職
メールアドレス
*受講要件の確認
該当するものに〇印を付けて下さい。(複数回答可)
1.第1回地質リスクマネジメント事例研究発表会(平成 22 年 9 月 24 日)で発表した。
2.第2回地質リスクマネジメント事例研究発表会(平成 23 年 10 月 21 日)で発表した。
3.第3回地質リスクマネジメント事例研究発表会(平成 24 年 10 月 19 日)で発表した。
4.第4回地質リスクマネジメント事例研究発表会(平成 25 年 11 月 22 日)で発表した。
5.第5回地質リスクマネジメント事例研究発表会(平成 26 年 10 月 31 日)で発表した。
6.平成27年度開催の地質リスクマネジメント事例研究発表会で発表予定。
7.「総合技術監理部門」の関連分野の技術士
8.企業が推薦する中核的技術者もしくは中核技術者として期待する方
2.申込ご担当者情報
所属機関名
〒
住
所
ご担当者名
電
話
<ご確認事項>
1.お申込みは、本用紙(必要事項ご記入の上)を主催者まで FAX して下さい。
2.お申込み受付後、参加者の方には参加費請求書と参加案内を送付いたします。
3.参加のキャンセルは、ご遠慮願います。
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参考資料
GRE養成講座とGRE認定制度について
―GRE:地質リスク・エンジニアー
1.地質リスクマネジメントの必要性
○地質リスク(地質に係る事業リスクとその不確実性)のマネジメント
○地質リスクの事後対応(緑)から予防保全(赤)へ。赤をマネジメントという。
○あらゆる悲観的リスクを抽出し、一つ一つ対応してリスクを下げながら事業段階を進める。
○高い技術力とマネジメント力(with と without の差を最大化する能力)を有する技術者の投入。
○投資効果の証明
構想
計画
設計
工事
運用
構想段階で発注者側に地
悲観的リスク
質専門家を配置
・リスクの洗い出し
ガイドライン
・リスク低減検討
(チェックリスト)
・リスクマネジメント計画
(プロセス設計)
計量化
データベース(成功・失敗)
プロセス管理
効果の確認
開示(合意形成)
リスクの引渡
勾配
基準
基準
基準
予見し難き条件(?)
によるリスク増大
楽観的リスク
2.地質リスクマネジメント専門家の重要性
○事業リスク(不確実性)の大きい領域は発注者責任。不確実性を小さくしてから業者に発注。
○高い技術力を有する技術者は業者側に多いが、これを発注者側で働かせるためには「ポスト」が必要。
○ポスト(立場)を技術顧問として用意する。
○技術顧問への投資効果は計量して公表すべき。
企画
計画
工事
設計
発注者の役割
受注者の
立場
発注者の立場
受注者の役割
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3.地質リスク学会の活動
○目的:マネジメント理論の研究
・地質リスクを「マネジメント」するための学術理論の研究
○事例研究発表会の開催
・事例研究の普及(地質技術産業界(産官学)へのPR)
・A(成功)、B(失敗)、C(リスク最小化)、D型(その他)のマネジメントタイプの事例収集
・マネジメントとは、地質技術を投入することによる地質リスクの予防・軽減・保全
・マネジメントの投資効果は、with と without の差
○学術研究の場の提供
・事例研究をもとにリスクマネジメントを学術的に研究する委員会の設置
4.GRE養成講座・GRE認定制度の実施体制
養成講座主催:NPO地質情報整備活用機構
認定制度主催:地質リスク学会
養成講座受講者要件:技術的に高い水準(地質リスクマネジメント事例研究発表会での発表経験者)
GREの特徴:高い地質技術力に加えてマネジメント力を具備すること
GRE認定者の役割:地域のキーパーソンとして地質リスクマネジメントを実施・普及する。
NPO 地質情報整備活用機構
地質技術産業界
GRE養成講座
GRE候補者(キーパーソン)
受 講
・講座開設・運営
業務受注
(要件)
・講師育成
(NPO、学会)
・テキスト作成
発注者
発注者
地質リスク学会
・地質リスク予防保全業務発注
・地質リスク予防保全業務発注
・講座の全国展開
(全国の研修機関と
事例研究発表会
・地質リスクマネジメントの実施
・地質リスクマネジメントの実施
・投資効果の説明
・投資効果の説明
連携)
データベース化
学術研究、ガイドライン発行
地質の技術顧問として
業務受注
履修証明書の発行
GRE認定制度
(認定申請資格)
・GRE養成講座修了者
に対する論文審査を実施
(合格者)
認定書の発行
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GRE認定者
GRME認定者
(キーパーソン)
(キーパーソン)
5.GRE活用の見通し
○(公共)施設の調査・計画・設計・施工、および防災・維持管理には高度な技術力とマネジメント力を有
する技術者が発注者の側にたって活動する必要があるが、その(最低限の)品質を証明するものが求めら
れる。
○あらゆる分野で「資格」が求められる中で「地質技術産業部門」がいち早く「認定制度」を打ち出せば発
注者にとって心強い。H26 年度から実施の「地質リスク調査検討業務」にも適用。
○CM.技術顧問といった発注者の体制強化策が進む中で「地質部門」の切り札になる。
○先ずGRE資格を発行し、GREの活動実績から「地質技術顧問」の「制度」作りを行う。
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