欧州経済指標コメント;pdf

EU Indicators
欧州経済指標コメント:2月英国消費者物価
発表日:2015年3月25日(水)
~良いデフレが進行中~
第一生命経済研究所 経済調査部
主席エコノミスト 田中 理
03-5221-4527
・ 24日に発表された2月の英国の消費者物価は前年比ゼロ%と前月(同+0.3%)から上昇率が鈍化し、
同統計が開始された以来で最も低い伸び率を記録した。内訳は、原油安を受けた自動車燃料(前月:
同▲16.2%→今月:同▲16.6%)、家庭用電力・ガス料金値上げの影響が一巡した住宅用燃料(同▲
2.0%→同▲2.4%)、大手スーパーの値引き合戦が続く食料品(同▲2.5%→同▲3.3%)が揃って下
落率が拡大したことに加え、コア物価(同+1.4%→同+1.2%)の伸び率が鈍化した。
・ コア物価の内訳では、サービス価格が全般に前月並みの上昇率を維持した一方で、家具・家財道具
(同+0.8%→同▲0.3%)が2006年11月以来の下落に転じたほか、教養・娯楽品(同+0.1%→同▲
0.8%)も、庭・ペット用品や書籍・文具を中心に、2012年5月以来の下落を記録した。住宅関連費用
の大幅な価格下落が目立ち、住宅市況軟化の影響に加え、サンプル要因による下振れの可能性もある。
・ 原油市況が現状程度で落ち着けば、消費者物価は向こう数ヶ月をゼロ近傍で推移した後、年後半には
緩やかに上昇率が加速することが見込まれる。ただ、年末時点でも物価目標(2%±1%)の下限に
満たない1%未満の低インフレが続く公算が大きく、BOEが利上げを急ぐ必要性は見当たらない。
・ 低インフレの継続もデフレマインドが広がる兆しは見られない。GfK消費者信頼感の「購買意欲」
の判断項目は、年明け以降、2007年以来となるプラス圏に浮上。財価格の下落を受けて消費を手控え
る様子は確認されず、エネルギーや食品価格下落による実質購買力の改善を好感している模様。
■英国:消費者物価(前年比)
■英国:コア消費者物価の要因分解(前年比)
(%)
衣料
住宅
家財道具
交通
教育
その他
コアCPI
(%)
6
4
消費者物価
除く間接税
5
コア消費者物価
3
4
2
3
2
1
1
0
0
10
11
12
13
14
-1
15
注:コア物価は食料・タバコ・アルコール・エネルギー除く
出所:英統計局
10
11
12
13
14
15
出所:英統計局
■英国の消費者物価(%)
消費者物価
コア消費者物価
食料品
アルコール
たばこ
エネルギー
住宅用燃料
自動車燃料
(前期比)
(前年比)
(前年比)
(前年比)
(前年比)
(前年比)
(前年比)
(前年比)
(前年比)
2014
2014
2015
1Q
2Q
3Q
4Q
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
0.1
0.7
0.0
0.1
0.2
-0.3
0.4
0.0
0.1
-0.3
-0.0
-0.9
0.3
1.7
1.7
1.5
0.9
1.9
1.6
1.5
1.2
1.3
1.0
0.5
0.3
0.0
1.6
1.9
1.7
1.3
2.0
1.8
1.9
1.5
1.5
1.2
1.3
1.4
1.2
1.8
-0.0
-0.9
-1.6
0.0
-0.4
-1.1
-1.4
-1.4
-1.7
-1.7
-2.5
-3.3
0.9
0.6
-0.5
0.4
1.5
-2.3
0.2
0.6
0.8
-1.0
1.3
-1.9
-1.2
7.3
7.1
8.1
7.9
7.5
8.1
8.0
8.1
8.5
7.6
7.7
7.3
7.6
1.0
1.1
0.3
-1.9
1.4
1.2
-0.1
-0.3
0.3
-0.2
-5.8
-8.4
-8.8
5.8
4.9
4.6
2.2
5.0
4.7
4.7
4.5
4.5
4.5
-2.1
-2.0
-2.4
-4.6
-3.5
-4.9
-7.1
-3.0
-2.9
-5.7
-6.0
-4.8
-5.9 -10.5 -16.2 -16.6
注:消費者物価の前期比は季節調整前。コア消費者物価は食料・アルコール・たばこ・エネルギーを除く。出所:英統計局
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
1