「都市・臨海・港湾域の統合グリーンイノベーション」 都市と海のつながりから環境を考える 第 4 回 シンポジウム 水と緑の再生と地球環境時代の都市ビジョン 中央大学理工学部人間総合理工学科 教授 石川 幹子 はじめに 研究背景 ヒートアイランド現象、集中豪雨などに対する、 科学的方法論にもとづく東京の都市計画に対 する新しいアプローチの必要性 研究成果 1. 地球シュミレーターを活用した変動予測 にもと づく、都市環境計画方法論の開発 2. 都市環境政策評価の枠組みの開発 3. 社会実装にもとづく、グリーンイノヴェーション 研究成果1:江戸から現代の熱風環境変化の分析 に基づく、都市環境計画方法論の開発 ①計画原単位としてのランドスケープ・ユニットの提示 ②3つの都市環境計画方法論の開発 ・マトリクス型、 ・ネットワーク型 ・立体型 ③政策評価の枠組みの開発 ④緑地の空間情報指標の開発 (研究対象地:東京都心、川崎臨海部、葛飾水元、 新国立競技場周辺) 新宿区立おとめ山公園 葛飾水元 葛飾にいじゅく みらい公園 神田川流域 東京都心 新国立競技場周辺 研究成果2:都市型集中豪雨対策としての緑地環境 計画の開発(神田川流域) 研究成果3:社会実装にもとづく、 グリーンイノヴェーション (新宿区おとめ山公園、葛飾にいじゅくみらい公園) 川崎臨海部 研究対象地 東京の都市計画の歴史的変遷 第一期:封建都市のストックの継承(1868-1887) 第二期:近代都市計画の導入(1888-1918) 第三期:帝都復興(関東大震災) 第四期:グレーター・東京(東京緑地計画) 第五期:戦災復興・拡大する都市の制御 緑地地域制度(グリーンベルト) 第六期:海と都市の関係の再構築 臨海副都心 第七期:身近な生活環境の重視(緑の基本計画) 第八期:地球環境問題と都市環境計画 気候変動に伴うヒートアイランド、集中豪雨 に対する計画論の不在(生物多様性) 1960年代 グリーンベルト 政策 1930年代 グレーター 東京計画 1925年 関東大震災からの 復興 現在 ヒートアイランド問題解決のため の新しい緑地環境計画 研究成果1:江戸から現代の熱風環境変化の分析に基づく、都市環境計画方法論の開発 ・東京都心 ・葛飾水元:気温を説明できる空間情報指標の獲得 地球シミュレータによる熱・風環境の評価 ランドスケープ構造の分析 空間情報指標の整備 気温の観測 SVM ・ 決定木 結果の照合 ○決定木とSVMの結果は概ね一致。 a 樹木体積 leaf 1⇒ B 自然地被面積 leaf 2⇒ A 樹木体積 -4.5 -1.5 -1.5 -0.5 -0.5 0.5 0.5 1.5 1.5 4.3 (m/s) -1.5 0 0 -1.0 1.0 2.0 2.0 3.0 3.0 5.1 ( ) 現代 江戸期 都市計画論への展開 (緑地の修復・保全・創造の指針図) 江戸期 leaf 3⇒ N 有意な指標なし b 自然地被面積 leaf 4⇒ leaf 2とleaf3の移行域。 leaf 5~ leaf 7⇒ 3判定が入り混じり、日射と気温 だけでは判別が困難。 ● 気温測定点 ・新国立競技場建て替え問題 現代 樹木の伐採と国立競技場の解体が進行しており、神宮外苑の環境との調和 については、十分な配慮が講じられているとはいえない状況となっている ・川崎臨海部 • 人工地盤を廃し、新規に樹木を追加し、渋谷川を再生することが熱環境緩 和に資すると考えられることから「神宮の森・渋谷川再生案」を提案する。 • 都市3次元放射モデルと樹冠解像樹木モデルを用いた非定常数値シミュ レーションを地球シミュレーターにより実施し、比較する。 地球シミュレータによる風と気温の分布 緑地整備の方向性 研究成果2:都市型集中豪雨対策としての緑地環境計画の開発 (神田川流域) 結果① 都市緑地の雨水浸透機能と内水氾濫抑制効果の評価(現況シナリオ) 緑被地データの作成 67.09mm~ 47.07~67.09mm 40.84~47.07mm 33.70~40.84mm 13.84~33.70mm ~13.84mm 浸透量の分布 都市型集水域の作成 内水氾濫による浸水域 結果② 緑地創出 シナリオの作成と効果検証 NIES林先生による内 水氾濫抑制効果のシ ミュレーション解析 現況シナリオからの浸透量の増加量 現況シナリオからの浸水しなくなった地域 赤色が伐採される樹木 研究成果3:社会実装にもとづく、グリーンイノヴェーション 植栽計画を作成し、グリーンイノヴェーションを社会実装した 新宿区立おとめ山公園 葛飾にいじゅくみらい公園
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