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平成27年
2月定例月議会
反対討論
平成27年3月23日
私は、議案第91号 平成27年度四日市市一般会計予算及び議案第120号
四日市市企業立地促進条例の一部改正について、反対の立場から討論を行いま
す。
まず、議案第120号の企業立地奨励金条例について、これまでの経過をたど
ってみますと、同条例は平成12年4月に制定施行され、平成13年、17年、
18年、19年、22年に一部改正を経て、本年3月末に効力を失うことから、
今議会に同条例の内容を改正し、平成32年3月末まで延長しようとする改正
案であります。
これまでの奨励金、つまり補助金交付総額は、54億円にも上ります。
地方税法に基づく本則課税分を納付後、2分の1、54億円を交付決定した
企業66社174事業に返還してきました。
その交付実績内訳をみると、大企業への交付額が52億円、中小企業へ1億
6000万円です。
このうち特定1企業へ 実に29億円が交付されています。
奨励金は補助金ですから、
「地方公共団体は公益上、必要がある場合に補助でき
る」と言う地方自治法第232条の2規定はもとより、条例、第1条「奨励措
置を講じることにより、本市の既存企業の新規設備投資、産業創出、立地促進
とともに就労の場を確保する」と言う目的が検証されなければならないことは
申すまでもありません。
しかし、当該奨励金交付については、監査からも「その効果についての検証マ
ニュアルの作成や市民への説明責任が必要」との指摘が行われてきました。
前述の最高の交付額企業は22億円の交付決定に対して新規雇用はゼロです。
補助金交付申請書に「当該事業の従業員数及び新規雇用の」記入があるが、
その検証はされていません。
当局は、新規雇用人数を交付要件としていないと回答していますが、何のため
に交付申請書に記載させているのか。また、就労状況や追跡調査も行なわれて
いません。
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これらの交付企業の事業が大きな税収効果、産業連関経済波及効果を生んでい
ると回答されていますが、波及効果の計算額は示しても、その具体的内容は
示されていません、また、ファイナンシャルリースの場合にもリース会社への
交付を行ってきました。
今回の条例改正は、これらの部分をそのまま維持し、交付期間を企業の投資回
収に合わせて5年から3年に短縮し、同時に2年、3年目の補助率を3分の2
に引き上げ交付総額を担保する内容となっています。
企業の立地・投資は、自治体の補助金で決定されるものではなく、製造業であ
れば、用地はもちろんですが、物流・交通アクセスや雇用の確保条件が決定
優先事項です。
市長は、同条例、奨励金は全国でトップクラスの内容だと自負されました。
しかし、市長の新年度予算提案説明における所信表明の中で
「地方ではアベノミクスの成果がまだ十分実感できないとの声が多く、市とし
て可能な地域経済対策をできる限り実行していく必要がある」と述べられまし
た。
市として可能な地域経済対策は何をなすべきなのか。
3月12日、津財務事務所発表の県内1-3月法人企業景気予測調査結果によ
れば、景況判断BSIは4期連続で「下降」し、大企業は増産が落ち着き、上
昇幅が縮小、中小企業は資材価格上昇に伴う費用の増加から「下降」が拡大し
たと報告しています。
また、三重労働局調査によれば昨年末の有効求人倍率は、全体で1.30倍だ
が正社員の有効求人倍率は、0.76倍と報告しています。
依然として、非正規労働の増大に歯止めがかかっていません。
こうした地域経済、雇用状況に自治体がどう向き合うのか、そこが問われてい
るのではないでしょうか。
「地方創生」という言葉か飛び交っていますが、今、求められているのは
地方自治体が本来の市税収入財源を確保し、福祉分野を中心とする政策へ軸足
を移し、拡充につなげること、地域経済の内発循環を形成することではないで
しょうか。
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平成27年予算案、歳出第7款 商工費において 当該奨励金交付額は、
7億9400万円計上されています。
そのうち新規交付内訳は、大企業6社 5億2700万円、中小企業3社
950万円です。
「特定産業への補助金交付・支援を続けることは不公平感を強めることになる」
と言いながら当該奨励金・補助金を、特定産業、特定企業に巨額を交付し、
さらに平成32年まで延長し、一方で、住宅リフォーム助成金をゼロにするこ
とは容認できないのであります。
また、補助金交付基準に、
「その終期の設定についてサンセットの設定及び3年
を一つの期間として設定し、廃止をも含めた見直しを行う」との規定について、
全員協議会の質疑に対し、
「当該奨励金補助金は別」との当局答弁を聞くにあっ
ては、過去15年間継続した当該補助金をさらに平成32年まで延長するもの
で、当該条例及び予算は、20年に渡る「聖域」で特例中の特例を創りたいの
か、と申し上げたい。
次に、歳出第1款 議会費中、海外視察旅費 320万円について触れておき
たい。
当該予算は、全国市議会議長会が企画・募集する海外視察に参加を予定する予
算であります。
私は、議員も含めて、海外の視察によって見聞、見識を高めることの必要性を
否定するものではありません。
しかし、同市議会議長会の企画は、この間の慣例となってきていることは否め
ません。また、全国の市議会からの参加申し込みは、平成26年度企画で、
15市、28名と少数です。応募が少なくて企画催行を中止したのもあります。
このような状況を受けて、平成28年度以降は企画自体が廃止される予定であ
ると聞き及んでいます。
予算額は320万円、されど320万円、
「議会・議員が身を切る改革」などと
言われるなか、議会が不要不急の支出をこそ止めることではないでしょうか、
と申し上げて、
議案第90号及び議案第120号の反対討論といたします。
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