「税金って取られるものなの？」 高校生用 I 税金って取られるものなの？ 税の字の説明です。今はお金で納めるので 税ってどうしてこんな字を書くのかな？ 禾（のぎ） 稲穂の実 税 「税金」となります。 兌（だ） 一部を抜き取る 穀物の一部を抜き取って 官に納めること 1 税金の歴史 ３世紀はじめ 弥生～飛鳥 魏志倭人伝の中の記載に邪馬台国の女王卑 ３世紀はじめ 弥呼がクニを統治し「租賦を収む」とあり税 卑弥呼がクニを統治し「 租賦を収む」 が納められた記載があります。 飛鳥時代 古代の集団であるクニは、大和朝廷のよう 701年大宝律令により租庸調という税制度が確立 租・・・田の面積に応じて稲を納める 庸・・・労力の提供（実際は布で納めることが多かった） 調・・・各地の特産物を納める な国家である国とはニュアンスが異なるた 2 め、あえて「クニ」と表現しています。 狩猟時代から稲作時代への変遷の中で、土 着型生活体系へ移行していきました。 集団生活の維持費としてスタートした税で すが、権力者が庶民から搾取する歴史が始ま ります。 -1- 高I 税金の歴史 平安時代（荘園の成立） 平安～鎌倉・室町 荘園制度 しょうえんせいど 平安時代（荘園の成立） ８～１６世紀の土地制度で，貴族・社寺（ヨ 年貢 公事 夫役 ーロッパでは諸侯・騎士・教会）の私有地で 鎌倉･室町時代（武家の始まり） 封建制「泣く子と地頭には勝てぬ」 ある荘園を基盤として土地・人民を支配する 税負担の多重化 農民は地主と役人からの二重の取立てに苦しめられる 年貢の軽減を求めて土一揆の発生 しくみ。▽日本の場合，荘園の領主を本家・ 3 領家といい，荘官に荘園を管理させ，年貢を 徴収させた。荘園には租税をおさめない不輸 の権と，役人（検田使）を入らせない不入の 権があったので，国家財政に大きな影響をあ たえた。藤原氏の摂関政治が行われた平安時 代に荘園は広がったが，鎌倉時代に入ると地 頭の荘園侵略が始まった。室町時代に守護大 名・戦国大名の領国支配が強まると，荘園制 度はくずれはじめ，豊臣秀吉の太閤検地によ って，完全に廃止された。 年貢・・・稲の納入 公事・・・糸、布、炭、野菜などの特産品の 納入 夫役（ぶやく） ・・・労働力の提供 鎌倉･室町時代（武家の始まり） 守護･地頭の台頭→「泣く子と地頭には勝て ぬ」 封建制が強く税負担の多重化、田租が中心と なる 地頭は鎌倉時代，源頼朝が各地の荘園や公領 においた職。▽御家人が任命され，土地の管 理，年貢の徴収，警察の仕事をした。 -2- 高I 税金の歴史 ・安土桃山時代（太閤検地） 戦国～江戸 豊臣秀吉が検地を実施 安土桃山時代（太閤検地） １５８２年から７年間にわたり全国の田畑の 豊臣秀吉が検地を実施 当時の税率二公一民（３分の２が年貢） 面積と収穫を綿密に調べて収量の計測単位は 江戸時代 米の石高に統一・当時の税率二公一民（３分 荘園制の崩壊・大名領国（藩）を単位とする封建体制 四公六民・五公五民 高い年貢率に対する百姓一揆の発生 の２が年貢） 4 税金の歴史 ・明治時代 明治～大正 地租改正・・・全国の土地の時価を定めて地 券を発行し、地価の３％を地租として現金で 明治 6年1873 地租改正 明治20年1887 所得税導入 高額所得者に限られ税収全体の０．８％ 酒税が税収の第一位 明治後期 税目の増加 登録税・営業税・麦酒税・通行税・相続税 の導入 (～1912) 大正時代 地価の３％を地租として現金で納めた 高額な地租に農民一揆が発生 直接税移行 所得税が税収の第一位 戦費調達のため新税が次々と導入 納めた ．．．． ※いやな 3 パーセントの地租改正（1873 年） ・大正時代 5 資産課税中心の税制から所得課税中心の税制 に戦費調達のため新税が次々と導入(清涼飲料 税、営業収益税など） ・昭和時代初期 税金の歴史 昭和初期 戦費調達のための増税が続く ・昭和１５年（１９４０年）源泉徴収制度創 昭和時代初期～戦費調達のための増税が続く 昭和15年1940 源泉徴収制度創設、所得税から法人税が分離 昭和17年1942 税務代理士法(税理士法の前身)制定 設、所得税から法人税が分離 昭和21年1946 日本国憲法公布 ３大義務（勤労・教育・納税） 昭和22年1947 「申告納税制度」導入 昭和25年1950 シャウプ勧告により 「直接税中心（所得の総合課税化）」 「累進税率課税（応能負担）」 「青色申告制度（正確な記帳に種々の特典）」 ・昭和２１年（１９４６年） 日本国憲法が 公布、勤労、教育にならぶ３大義務の一つと 6 して納税の義務が定められる ・昭和２２年（１９４７年） 納税者が自主 的に自分の税金を計算して納税する「申告納 税制度」が導入 ・昭和２５年（１９５０年）シャウプ勧告に より 「直接税中心（所得の総合課税化） 」 「累進税率課税（応能負担）」 「青色申告制度（正確な記帳に種々の特典） 」 -3- 高I ・明治２２年（１８８９年）衆議院議員選挙 選挙と税金 法 明治22年1889 直接国税（地租）を１５円以上納税した満２ 衆議院議員選挙法 直接国税（地租）を１５円以上納税した 満２５歳以上の男子に選挙権が与えられた 大正14年1925 ５歳以上の男子に選挙権が与えられた 普通選挙制度制定 財産・納税額・身分･教育・信仰や教養不問に！ ２５歳以上の男子に選挙権が与えられた 昭和20年1945 ・大正１４年（１９２５年）普通選挙制度制 衆議院議員選挙法改正 定 婦人参政権の実現・選挙権２０歳以上 7 財産・納税額・身分･教育・信仰や教養などに よって制限を設けず、２５歳以上の男子に選 挙権が与えられた ・昭和２０年（１９４５年）衆議院議員選挙 法改正 婦人参政権の実現・選挙権２０歳以上･被選挙 権２５歳以上 代表的な税金について簡単に説明して下さ い。時間をかけすぎないように注意。 歳入総額 95 兆 8,823 億円 所得税 14 兆 7,900 億円 消費税 15 兆 3,390 億円 法人税 10 兆 180 億円 公債金収入 41 兆 2,500 億円 -4- 高I 歳出総額 95 兆 8,823 億円 社会保障が年々増加していることや、国債返 済で国庫がひっぱくしていることなどを説 明。 歳入の多くが借り入れであることを生徒た ちに問いかけて、一緒に考えてみて下さい。 国債残高増加の要因 税収不足→内需拡大を促すための国債発行増 加 わずか 10 年程のあいだに倍近くにふくれ上が ってしまっている。 なぜ国債が増えたのか、みんなで考えてみ てください。 -5- 高I 国債を減らす案が何かないか、生徒たちに 考えさせてください。増税、支出の削減など が考えられます。 補足できることがあれば、補足してみて下 増税？減税？ さい。 増 税 消費の減少 税金の減収かも 減 税 消費の拡大による税収増 税収増と減税のバランス 15 脱税はその本人の問題ではなくすべての国 税の無駄遣いと脱税 民に迷惑がかかっていることを理解させる。 脱 税 税収不足 国債発行・増税 16 申告納税制度となって、自ら計算して納め 取られるから納めるへ ることができるようになり、過去の税金に対 庶民が権力者との 主従関係により税 税を取られる 取られる。 する悪いイメージと、現代の税の仕組みは違 うことを強調し説明する。 主権者である国民が、 国家の維持費として税 税を納める 納める。 17 -6- 高I 国民が選挙により選出した国会議員が、国 取られるから納めるへ 会で立法した租税法に基づいて、税金を納め 庶民が権力者との 主従関係により税 税を取られる 取られる。 るようになりました。 主権者である国民が、 国家の維持費として税 税を納める 納める。 17 質疑応答。 -7-
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