平成 27年3月25日 報 道 発 表 浜松市 市民部 文化財課 埋蔵文化財グループ ℡ 053-457-2466 狐塚古墳の発掘調査報告書の販売を開始し、企画展を開催します 2011 年に発掘調査を実施した市内最大の方墳、狐塚古墳(北区細江町)の整理作業が完了し、 きぬがさ形埴や鉄製のよろいなど、古墳時代(5世紀、約 1600 年前)の貴重な出土品の詳細が明 らかになりました。 きぬがさ形埴輪は、貴人に差し掛ける傘を象ったもので、幅 50cm、高さ 60cm。浜松市内では 初めての復元例です。精緻な製作技術には、近畿地方との強い関係がみられます。一方、鉄製の よろいは、長方板革綴短甲(ちょうほういたかわとじたんこう)と呼ばれる形式で、浜松市内で は唯一の出土例です。1960 年代頃に狐塚古墳から出土しましたが、砕片化しており、長らく詳細 な構造が不明でした。 調査成果をまとめるにあたり復元検討を行い、 全体の構造が判明しました。 倭王権と密接なつながりをもっていた豪族が手に入れた武装具の実態をうかがううえでも貴重な 事例です。 これら貴重な発掘調査成果をまとめた報告書を3月27日から一般向けに販売を開始します (一冊 1,000 円) 。また、狐塚古墳の調査成果を紹介する企画展示「狐塚古墳とその時代」も下記 のとおり、開催いたします。 記 調査報告書 書名 『狐塚古墳』 内容 A4 版、114 頁 販売価格 一冊 1,000 円 販売窓口 浜松市文化財課ほか 位置図 企画展示「狐塚古墳とその時代」 日 時 平成27年3月27日(金)∼ 5月29日(金) 午前8時30分∼午後5時 (平日のみ開館、ただし 3月28日(土)は開館) 会 場 引佐健康文化センター 2階 保存展示コーナー 観覧料 無 料 狐塚古墳 (現地見学不可) 引佐健康文化センター 浜松市埋蔵文化財調査事務所 報道発表 狐塚古墳について 平成27年3月25日 狐塚古墳について 古墳時代中期中葉(5世紀初頭頃)に築造 された一辺 22mの二段築成の方墳。方墳とし ては浜松市内最大の規模を誇る。斜面には葺 石がしかれ、墳丘の平坦面には埴輪列が巡っ ている。2011 年の発掘調査によって、その全 貌が明らかになった。 この古墳からは昭和 40 年代頃に埋葬施設 から短甲(鉄製のよろい)が採集されており、 副葬品の内容が判明していることでも貴重 な事例である。 調査報告書 書名 『狐塚古墳』 発行 平成 27 年(2015)3 月 20 日 内容 A4 版、114 頁 葺石・埴輪の詳細や鉄製よろいの構造分析など の調査成果をまとめたもの(カラー図版 4 頁、 モノクロ図版 30 頁を含む) 。 販売価格 一冊 1,000 円 販売窓口 浜松市文化財課ほか 2/4 報道発表 狐塚古墳について 平成27年3月25日 出土埴輪について 狐塚古墳からは円筒埴輪と形象埴輪が出土した。 円筒埴輪は、 樹立した状態が確認されており、 直径 28cm、高さ 42cm ほどの大きさであることが明らかになった。 形象埴輪には、家形埴輪、きぬがさ形埴輪、甲冑形埴輪、 盾形埴輪、靫(ゆき:矢入れ具)形埴輪の存在が明らかに なった。県内の5世紀の古墳から出土した埴輪の中では、 種類が豊富であること、形象埴輪の製作技法に近畿地方と の繋がりが読み取れることなどが注目できる。このうち、 きぬがさ形埴輪は、全体の形状が復元できた。きぬがさ形 埴輪の大きさは、幅 50cm、高さ 60cm。立ち飾りと呼ばれる 装飾部分に複雑な造形がみられる。きぬがさ(蓋)とは貴 人に指しかけた傘のこと。狐塚古墳に葬られた人物が有力 な豪族であったことを伝えている。 きぬがさ形埴輪模式図 狐塚古墳出土埴輪 3/4 報道発表 狐塚古墳について 平成27年3月25日 鉄製のよろい について 1960 年代頃に狐塚古墳の埋葬施設から採集された副葬品の一つ。旧細江町の収蔵庫に別に保管 されていた破片との接合関係が明らかになり、狐塚古墳の出土品であることが確実といえるよう になった。長らく、破片の状態で収蔵されていたが、今回の整理作業にあわせ、接合検討を行い、 全体構造が判明した。 よろいは長方板革綴短甲(ちょうほういたかわとじたんこう)と呼ばれる形式で、長方形に成 形された鉄板を革の紐で綴じ合わせてつくられている。想定できるよろいの高さは 43cm、幅は 42cm ほど。当時の倭王権から、政治的な関係を示す証として譲り受けたものと考えられる。狐塚 古墳の被葬者が武人であったことを伝えている。 狐塚古墳出土短甲復元模式図 狐塚古墳出土短甲 4/4
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