2 - 日本通関業連合会;pdf

No.130
発行所:一般社団法人 日本通関業連合会
東京都港区虎ノ門2-3-20 虎ノ門YHKビル8階
TEL: 03-3508-2535 FAX: 03-3508-7796
E-mail: [email protected]
URL: http://www.tsukangyo.or.jp/
編集兼発行人:加 藤 浄 孝
※本会報からの転載については、あらかじめご連絡下さい。
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mar. 2015
Japan Customs Brokers Association
平成26年度通関業セミナーの開催 講師:NHK解説委員 出川 展恒 氏
第5回全国女性通関士会議を開催
EPA原産地規則研修の開催
第21・22回通関士専門研修 講師の感想
いいこときかくコーナー
通関業会だより
EPA・FTAに興味をお持ちの通関業者の皆様へ
各通関業会定時総会の開催
特別掲載 最近の事後調査事績と今後の展望
各通関業会業務報告
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平成26年度通関業セミナーを開催
講師:NHK解説委員 出川 展恒 氏
平成27年1月22日(木)、日本通関業連合会は、東京通関業会との共催で「平成26年度通関業セミナー」
をホテルグランドアーク半蔵門で開催しました。
本年度の通関業セミナーには、NHK解説委員の
出川展恒氏を講師にお招きし、
「激動する中東情勢
を読む」と題して講演を頂きました。
当セミナーには、財務省関税局及び東京税関幹部
の皆さま、会員店社の皆様、物流事業者の関係者の
皆様など220名の方々にご参加いただきました。
冒頭、鈴木会長から「当連合会のセミナーは、国
際情勢や我が国の経済問題等諸々のことを会員の皆
様に提供する目的で開催しており、今回は6回目に
日のラジオ及び明朝のテレビ出演があるということ
なります。本日は多くの皆様が大変な関心をお持ち
です。本日は、「激動する中東情勢を読む」と題し
の中東問題について、第一人者であるNHK解説委
てお話を頂きます。皆様の参考になると確信してお
員 の 出 川 様 に 講 演 を お 願 い し ま し た。 出 川 様 は
ります。」との挨拶がありました。
NHKの解説委員というお立場で大変お忙しく、本
引き続き出川氏から講演がありました。
⃝過激派組織「イスラム国」について
【日本人人質事件について】
(注)編集人の責任で一部割愛させていただいています。
二人の日本人、後藤健二さんと湯川遙菜さんが過
激派組織「イスラム国」に人質に取られています。
このうち後藤健二さんはイラク戦争の現場で一緒に
取材した友人です。彼は戦争や紛争の現場で、常に
弱い立場の人々や子供たちの目線で、過酷な現状を
が、考えられる方法を全て試みてほしい、手を尽く
伝えていました。本当に胸が痛みます。心配です。
してほしいと願わずにはいられません。
二人が何とか無事解放される道がないか考えてお
【「イスラム国」とは】
りますが、一言で言うと非常に厳しい状況です。決
イスラム教は大きくスンニ派とシーア派に分かれ
して諦めず、二人を無事生還させるという強い意志
ますが、90%以上がスンニ派で、「イスラム国」と
を全ての関係者に持ち続けてもらいたいと思います。
いう組織は、スンニ派の過激派組織です。イスラム
残されている時間はわずかなのかも知れません
法を極めて極端に解釈し、欧米中心に作り上げた国
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持基盤であるシーア派を優遇し、スンニ派を排除す
る政治を行いました。スンニ派の住民たちは、マリ
キ政権に不満を募らせていきました。去年6月、「イ
スラム国」と名乗る前の「イラクとシリアのイスラ
ム国(ISISまたはISIL)」が、イラク北部にある第
2の都市モスルに攻め込んだ際、スンニ派の住民た
ちは、半ばこれらを受け入れる形となり、モスルは
あっという間に制圧されてしましました。実は、こ
の「イスラム国」には、旧フセイン政権時代の幹部
や軍人も含まれています。ですから戦闘能力もあり、
際秩序や国際法を真っ向から否定します。そしてイ
統治の方法を心得ている連中もいます。「疑似国家」
ラクとシリアの国境を無視して支配地域を広げ、イ
が生まれる原動力になったといえます。マリキ前首
スラム法に基づく国家の樹立を宣言しました。この
相が、スンニ派を排除し、「挙国一致」の国づくり
「イスラム国」は、異なる宗教、宗派の人々や自分
を進めなかったことが、国家崩壊の危機を招いたと
たちの言いなりにならない人々を大量に虐殺し、誘
言えます。
拐や略奪を繰り返し、現在、イラクとシリアの領土
もう一つの要素が、シリア内戦です。シリアの混
の3分の1程度を支配しています。
乱は、
「アラブの春」と呼ばれるアラブ諸国の政変
この「イスラム国」の特徴は、極めて豊富な資金
の中、2001年3月に始まり、その後、激しい内戦
を持っていること、そして、ITを駆使した広報戦略
となりました。今では、アサド政権、反政府勢力、
「イ
に長けていることです。組織の戦闘員の総数は3万
スラム国」の三つ巴の戦いとなり、20万人以上が犠
人を上回ると推定されています。イラク人とシリア
牲になり、終結の見通しが全く立っていません。
人が半分くらいで、そのほか80カ国以上から集まっ
イラク戦争とシリア内戦がもたらした混乱、「権
てきた外国人戦闘員です。最高指導者はイラク出身
力の空白」の拡大が「イスラム国」の急速な台頭を
のアブバクル・バクダディという人物です。もとも
招いたといえます。
と「イラクのアルカイダ」という過激派組織に属し
【「イスラム国」をどう封じ込めるか】
ていました。このバクダディ容疑者は、イスラム教
国際社会が取り組むべき課題は、まず第1に、軍
の預言者ムハンマドの後継者を意味するカリフを一
事作戦を強化すること。特に地上戦をどのように進
方的に名乗りました。
めるかです。第2に、外国人戦闘員や資金の流れを
【
「イスラム国」はなぜ急速に台頭したのか】
断つ「国際的な包囲網」を確立すること。第3に大
「イスラム国」はなぜ急に台頭したのでしょうか。
勢の難民や国内避難民の生命を守り、難民を受け入
一つは、2003年に始まったイラク戦争、及びその
れている周辺国を支えることが重要です。
後の国づくりの失敗であり、もう一つ、4年前から
アメリカのオバマ政権は去年8月、イラク北部で
続くシリアの内戦です。
「イスラム国」に対する空爆に踏み切りました。そ
イラクでは去年の夏まで2期8年間、マリキ氏が
して9月には、空爆をシリアにも拡大させました。
首相を務めていました。マリキ氏は、イラクが内戦
空爆作戦には、サウジアラビア、バーレーン、アラ
状態にあった1期目は、治安回復に力を尽くしたの
ブ首長国連邦、ヨルダンといったアラブ諸国も参加
ですが、ある程度成果が上がると独裁的になり、支
しています。ただし、現在、地上部隊を派遣してい
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る国は一つもありません。空爆は、「イスラム国」
の進撃を食い止める効果はあります。しかし、「イ
スラム国」を撃退することは、空爆だけではできま
せん。合わせて、地上作戦をどのように行うかが、
決め手になります。
そして地上作戦で鍵を握るのが、マリキ政権時代
に離反していたスンニ派の地元部族の協力です。
「イ
スラム国」の掃討作戦に、スンニ派部族をどこまで
参加させられるかです。
マリキ氏の後継の首相に就任したアバディ氏は、
マリキ氏と同じシーア派の宗教政党出身ですが、新
・濃縮度5%を超えるウランの製造をやめる。
しい国防相を、スンニ派から登用するなど、「挙国
・製 造済みの濃縮度20%のウランについては、そ
一致」の体制を作ろうとしているようです。政府と
れ以上濃縮できないように処理を加える。
軍を再編し、文字通り「挙国一致」で「イスラム国」
・ウラン濃縮用の遠心分離器の新たな設置をやめる。
の脅威と戦うことができるかどうか。イラクを分裂
・イラン西部のアラクの重水炉の建設を中止する。
の危機から救うことができるかどうかが、注目され
・ウ ラン濃縮施設へのIAEA(国際原子力機関)の
ます。
査察を強化する。
そしてイスラム国を弱体化させ壊滅に追い込むに
という内容になっています。
は、外国からの戦闘員が入らないようにすること。
イランはこれまで、原子力発電用の濃縮度3.5%
資金の流れを食い止めることが極めて重要です。支
及びがん治療用の濃縮度20%のウランを製造して
配地域の油田で採掘した石油を国際価格より安く
きました。濃縮度を3.5%から20%まで上げるのは
売って得られる収入が重要な資金源ですから、こう
技術的に相当なステップアップが必要ですが、一旦
した石油の密売を阻止する必要があります。国境管
20%まで濃縮技術が確立すると、そこから核兵器
理も含めて、人と資金の流れを断つ「国際的な包囲
に必要な90%を超える濃縮ウランを製造すること
網」を関係国が速やかに築くことが求められます。
は、比較的簡単にできるため、欧米側はイランに対
関係各国は、これまでの対立やしがらみを乗り越
し、濃縮度20%のウラン製造を停止するよう強く
え、一致協力して有効な対策を講じていくことが大
要求してきました。イランは、これに応じる見返り
切だと思います。
に、欧米側に対し、経済制裁の解除を求めました。
⃝イランの核開発問題について
【イラン核問題 初の合意】
イランの核開発問題の解決に向けたイランと欧米
欧米側はイランに対して、
・新たな制裁を加えない。
・貴金属、自動車、石油化学製品についての禁輸を
解除する。
6カ国(英・米・仏・ロシア・中国・ドイツ)との
と約束しました。極めて限定的な解除です。イラン
直接協議が続けられていましたが、2013年11月
側が強く求めていたイラン産原油の輸出や金融機関
24日、
「歴史的」とも言われる「第1段階の合意」
を対象とした制裁は解除されません。イラン側が相
に達しました。合意内容を簡単に説明しますと、イ
当譲歩した印象です。
ランは、
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【イランとアメリカの思惑】
イランによるウラン濃縮活動の規模の問題です。イ
膠着状態がずっと続いていた交渉が大きく前進
ランが強く主張しているのは、「核の平和利用の権
し、合意に至った最大の要因は、おととし6月のイ
利」です。イランは、NPT(核拡散防止条約)の
ラン大統領選挙で、穏健派のロウハニ大統領が当選
加盟国であり、IAEAの査察も受け入れているのだ
したことです。核問題の交渉チームが一新され、交
から、「核の平和利用の権利」がある。原子力発電
渉姿勢が前のアフマディネジャド政権とは全く比べ
やがんの治療に使うためのウラン濃縮活動は、NPT
ものにならないほど柔軟になりました。
加盟国の権利として認められるべきだ。遠心分離機
その背景には、経済制裁がイラン経済に大きな打
の数を大幅に増やすことを認めてほしいと主張して
撃を与えており、国民生活にも影響が出てきたから
います。ところが欧米側は遠心分離機は、すでに多
です。ロウハニ大統領は、制裁の解除を最優先の公
すぎるので、大幅に減らすよう要求しています。双
約に掲げ、その実現のため、核開発の透明性を高め、
方の主張は、全く逆の方向を向いています。
欧米との信頼関係を築く戦略を立て、最高指導者ハ
もう一つの対立点は、経済制裁です。イラン側は、
メネイ師の支持を取り付けました。
原油の輸出と金融に対する厳しい制裁を直ちに全面
こうして臨んだ交渉ですから、少なくとも制裁の
的に解除してほしいと求めています。これに対し、
緩和を勝ち取らなければ国民や最高指導者の支持も
欧米側は、イランが交渉に応じるようになったのは
失われてしまう。
そういうリスクを背負った交渉です。
経済制裁があったからで、制裁を全面的に解除する
一方、アメリカの目標は、イランが核兵器を持た
ことなどできない。今後何年もかけて、段階的に解
ないようにすることです。国連安保理決議は、イラ
除すると主張しています。
ンがウランの濃縮活動を行うこと自体を禁止してい
2つの主な対立点、遠心分離機の数と、経済制裁
ますが、オバマ大統領は低濃度のウラン濃縮には目
の解除をめぐる対立は、この1年あまり、ほとんど
をつぶり、核兵器の獲得につながらないようにする
平行線のままでした。今年6月末まで、期限を延長
ことに重点をおいているようです。オバマ大統領は
しても、合意に達する保証はありません。むしろ時
任期が残り2年となり、歴史的な功績を残したいと
間が経てば経つほど交渉は厳しくなると見られてい
考えています。一つは、キューバとの国交回復。も
ます。なぜかと言えば、アメリカ、イラン双方の国
う一つは、イランの核問題を平和的に解決すること
内政治によるものです。
です。もし実現すれば、オバマ大統領の「レガシー」
アメリカでは、先の中間選挙、11月に行われた
になるはずです。
議会選挙で野党・共和党が議会の上下両院ともに多
【最終合意はできるのか】
「第1段階の合意」をベースに、最終的な合意を
目指して交渉を重ねてきました。当初、最終合意の
期限は去年7月だったのですが、主要な問題で対立
が解けなかったため、去年11月24日まで期限が延
長されました。ところが合意の見通しが立たず、改
めて期限を延長しました。今年3月末までに「枠組
みの合意」に、6月30日までに「最終合意」に達
することになっています。
具体的な対立点は、大きく2つあります。一つは、
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数派になりました。共和党はイランに厳しい姿勢を
取り続けており、経済制裁の解除は、今後、非常に
難しくなったと言えます。むしろ議会の有力者は、
イランに対する制裁を強化し、圧力を強めるべきだ
と主張しており、仮に合意ができたとしても、議会
が実施にブレーキをかけることが予想されます。
一方、イラン議会も、保守強硬派が圧倒的多数を
占めており、交渉を妨害することが予想されます。
交渉をいつまで続けても、制裁解除の見通しが立た
なければ、国民の支持は失われていくでしょうし、
経済に計り知れない打撃を与えることになります。
最終的な決定権を持っている最高指導者ハメネイ師
日本はエネルギー需要の85%以上に相当する石油
の支持も得られなくなります。ロウハニ大統領に
と天然ガスを、ペルシャ湾岸諸国から、タンカーで
とって、核交渉は「時間との闘い」です。
ホルムズ海峡を通って輸入しています。もし、イス
【イスラエルの動向と今後の交渉の行方】
ラエルがイランの核施設を軍事攻撃すれば、イラン
イランの核問題を考える上で極めて重要なプレー
が報復攻撃するのは確実です。そうなると、ペルシャ
ヤーがいます。それはイスラエルです。1979年の
湾を舞台に、軍事衝突が連鎖反応のように拡大して
「イラン・イスラム革命」後、イスラエルとイラン
いく恐れがあります。日本経済にも極めて大きな打
は激しく敵対しています。イスラエルは、イランは、
撃となります。交渉の行方と同時に、イスラエルの
「核の平和利用」を隠れ蓑に、核兵器と弾道ミサイ
動向が大きな焦点です。
ルの開発を密かに進め、イスラエルを破壊しようと
イランの核問題は、中東の平和と安定がかかった
していると考えています。イスラエルのネタニヤフ
極めて重要な問題ですが、決して楽観を許さない状
首相は、外交交渉ではイランの核開発にブレーキが
況です。双方ともに、これまでの交渉のパターンを
かからないと判断した場合には、イランの核施設へ
大きく超えた、思い切った妥協をすることが求めら
の軍事攻撃も辞さないと繰り返し示唆しています。
れています。そうしなければ、今年3月までに「枠
武力行使の準備を、密かに着々と進めているようで
組み合意」に達し、6月末までに「最終合意」を達
す。もしも、交渉が決裂した場合、イスラエルが行
成するのは不可能だと思います。イラン核協議の行
動を起こす可能性が高まるのです。そして、ペルシャ
方は、「イスラム国」の動向と並び、今年、注目し
湾を舞台にした軍事衝突に発展すると、世界の政治・
て見ていかなければならないと考えています。
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第5回
全国女性通関士会議を開催
第5回全国女性通関士が、2月20日(金)に東京都港区のグランパシフィック LE DAIBAで開催さ
れました。
会議には、日本通関業連合会の鈴木会長をはじめ全国から57名の女性通関士が参加しました。
今回の会議は、昨年同様、分科会においてあらかじめ決められたテーマごとにグループに分かれて意見
交換を行い、その討議結果を全体会議で各グループの代表者が発表する形式で行われました。
分科会では、
ただき、女性通関士との交流を深めるなど大変意義
①仕事と育児や介護との両立
のある会議となりました。
②通関士してのスキルアップ
鈴木会長の挨拶、
各テーマの討議結果は次のとおり。
③申告官署の自由化等に伴う影響
④通関業及び通関士の認知度向上
❖鈴木会長の挨拶
の4テーマについて活発な意見交換が行われました。
日本通関業連合会会長
全体会議では、分科会での討議結果を各グループ
の鈴木でございます。本
の代表者が緊張しながらも要領よくしっかりと発表
日は大変お忙しいとこ
していました。
ろ、 全 国 各 地 か ら57名
また、通関業連合会が今年度の事業計画に「女性
の女性通関士の方々にお
通関士に対する支援事業」を新たに盛り込んだこと
集まりいただきました。
を受け、設置されたワーキンググループのメンバー
心から御礼を申し上げ
が今回初めて分科会の企画・運営を担当するととも
ます。
に全体会議では、今までの取組状況についての報告
私は約6年前までは東京通関業会の会長を10年
がありました。
間務めておりましたが、当時は東京税関のご支援を
全体会議後の懇談会には、財務省関税局の堀田業
いただき通関業に従事している女性も含めて、研修
務課長はじめ多くの業務課の幹部の皆様にご出席い
を年2回程度実施しました。
研修参加者は男性のほうが圧倒的に多いわけです
が、研修の結果をみますとベストファイブに必ず2
名から3名、女性が入っていました。
その方々を表彰し、いろいろなお話を聞かせてい
ただくと、この業界には本当に優秀な女性が多いこ
とを改めて感じました。
ここにいらっしゃる皆さんもそうですが、通関業
に従事している女性は、恐らく日本の社会で選ばれ
た優秀な才能・頭脳を持った方々だと思います。
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そういう方々が活躍していただけることが通関業
は、この業界の大きな損失になってくると思います
界の発展につながり、皆様が誇りを持てる職場にな
ので、定着力を高めることも重要と考えます。
るための一番大きな要素だと考え、東京通関業会で
「女性が働き続けられる」ことにとどまらず、「管
は女性通関士の会を立上げました。
理職になって活躍する」会社になることが会社の成
連合会会長に就任してからは、この全国規模の女
長につながると思います。
性通関士会議を立上げました。
さらに、皆さんが各通関業会の通関士部会等の中
ここ最近では、安部総理が「女性が輝く日本」の
で活躍するだけではなく、企業の経営者の一員とし
実現に大変な力を入れており、「輝く女性応援会議」
て活躍できるような時代が来てこそ、業会の発展に
でも大いに議論がされていることはご案内のとおり
もつながると考えております。
ですが、連合会はこの政策を先取りして「全国女性
そういうことも念頭に置きながら、優秀な女性通
通関士会議」を設置したということになるわけでご
関士の方々が一堂に集まり、お互いにいろいろな意
ざいます。
見交換をされて、一歩前に進んでいっていただきた
回数を重ねて、今回は5回目の会議となりますが、
いと心から願っております。
前回の会議からは分科会を設置し、ワークライフバ
また、そういう時代が来るように、連合会も支援
ランスにかかる議論に加え、業界が抱えている課題
していきたいと考えていますので、引き続きご研鑽
についても議論をしていただき、一段とこの会議が
されるとともに皆様方のチームワークのよい努力を
有意義なものになってきたと思っております。
お願いしたいと思います。
今回の全体会議では分科会の4つのテーマの討議
本日はこの後の懇親会の席に、財務省の堀田関税
結果を発表していただくとともに、昨年新たに連合
局業務課長ほか多くの方々が参加し、皆様方と親し
会に設けたプロジェクトである「女性通関士支援事
く懇談することになっております。
業」のワーキンググループの活動報告が行われると
このような懇親会では、男性は財務省の方々と名
いうことで、この会議がますます充実して来たなと
刺交換をするとすぐに退いてしまうのですが、女性
喜んでおります。
は熱心に意見交換をしております。
引き続きワーキンググループの委員の皆さんには
懇親会では、ぜひ親しくご懇談いただいて、「全
大いに議論を積み重ねていただいて、この業界全体
国に大勢の仲間がいるんだ。参加して良かった。こ
の地位向上等にご尽力いただきたいと思います。
れを機にもっともっと前へ向かって進んでいける。」
私はいつも思うのですが、業界にしろ、企業にし
という思いを持っていただける会になることを心か
ろ、まず人材を集める募集力が大切です。
ら願って、私の挨拶とします。
人を集める力がない産業や業界は、必ず衰退して
ありがとうございました。
しまいます。
その次に、その方々をいかに教育していくか。教
❖各テーマの討議結果
育というものは、各企業が考えなければいけません
〈テーマA 仕事と育児や介護との両立〉
が、業界団体としても事業の重点課題のひとつとし
A-1 司 会:前田 久子氏(内外日東)
て、教育の充実に努める必要があると考えます。
教育の次は、人材の定着力です。優秀な方々、つ
まり、コストをかけやっと育った人材が、残念なが
発表者:上島 ゆり氏(三井倉庫)
A-2 司 会:板坂みどり氏(東日本港運)
発表者:坂口 裕子氏(京浜内外フォワーディング)
ら、この業界に定着せず去って行ってしまう。これ
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ク」が重要。
・短期間でもよいので男性も育児休暇を取得して
ほしい。
〈テーマB 通関士としてのスキルアップ〉
B-1 司 会:高橋美枝子氏(内外日東)
発表者:原田亜希子氏(関光汽船)
B-2 司 会:山本絵理歌氏(KSAインターナショナル)
発表者:渡邉かほる氏(泉洋港運)
①通関士の研修の現状と課題
①女性通関士の職場環境について
・より実務に結び付く研修を希望する。
・長時間勤務や土日勤務が多い。
・研修のレベルが明確でない。
・長期休暇が取りにくい。
・講師の評価を口コミなどで閲覧できるようにし
・当日の業務量が把握しにくい。
・チームやペアでの情報共有や連携、業務の効率
化が必要である。
てほしい。
・自 費負担でよいので、(会社単位でなく)個人
で申込みできるようにしてほしい。
②ワークライフバランスの実現について
・地方での開催、イーラーニング対応を望む。
・家族や上司、会社の協力を得るための「良好な
・社内で勉強会をするのも、資料づくり等を通じ
人間関係」を築く必要がある。
・在宅勤務(在宅での輸出入申告を可能とする通
関業法の改正等)の可能性を検討すべき。
・
(有給休暇や生理休暇等が現実には取得しにく
いことから)「誕生日休暇」「記念日休暇」等の
設置を希望する。
て知識が身につく。後輩に教えることも自分の
勉強にもなる。
・年配の社員が「マイスター」として(講師にな
り)勉強会を開いているという事例がある。
・研修があることを知らない通関士もあり、研修
の周知徹底が大切である。
③育児や介護との両立について
②通関士のスキルアップの必要性
・業界としての保育園等を設置できないか。
・ベテランの通関士でも税関に指摘され、スキル
・育児や介護に関する
「情報入手のためのネッワー
アップの必要性を感じることがある。
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・通関士は通関士試験に合格してから講習等の受
②通関営業所の集約のメリットとデメリット
講義務がないが、教員免許と同じように資格の
・
(申告官署の自由化により可能になる)通関営
更新のために講習を義務付けたりすることも考
業所の集約については、専門的な通関士が集ま
えられるのではないか。
り、より適正な申告が可能になるというメリッ
③通関士のモチベーション向上策
・通関士は社内では誤謬の件数など「減点方式」
で評価されることが多い。
・表彰制度があればよいのではないか。
・専 門分野ごとの資格を設け、「マイスター」の
ように名刺に表示できればいい。
・日 豪EPA
(経済連携協定)に関する相談事例な
トがある。
・通関営業所を1ヵ所に集約すれば、1つの税関
官署に申告できるので見解のばらつきのない対
応が期待できる。
・通関士の数の削減や整理の対象となる懸念がある。
・通関営業所を集約する際に、転勤対応できる人
とできない人が出てくる。
どに回答する際、(対価として得られる)料金
③地方の通関業者への影響
が明確になればモチベーションが上がる。
・申告官署の自由化によって、都市部に(集中的
・給与面(への反映)のモチベーションアップ効
果は大きい。
に)申告されるようになると地方の通関業者は
検査対応とされるなど、業務が少なくなる可能
性がある。
〈テーマC 申告官署の自由化等の影響〉
C 司 会:梅崎真由美氏(近鉄エクスプレス)
発表者:山本理津子氏(互興運輸)
①遠隔地からの申告における適正申告の確保
・遠隔地への申告で貨物の内容点検になった場合、
で、影響は少ないのではないか。
④AEO通関業者のベネフィットの拡大
・申 告官署の自由化により、AEO通関業者の認
定取得への意欲は高まっており、実際に(取得
立会いは倉庫や運送会社のスタッフに依頼し、
を目指す企業が)増えている。
デジタルカメラなどで貨物そのものを確認する
⑤通関業法の関係法令改正の要望
といった可能性がある。ただし、検査立会いに
・専任通関士の設置義務を廃止してほしい。
おける陳述は通関業者しかできないのでどうい
・在宅で輸出入申告を行えるよう、通関業法の改
う形で行うかは難しい。
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・運送や倉庫への保税搬入の原則は変わらないの
正を望む。
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〈テーマD 通関業および通関士の認知度向上〉
D 司 会:木村 郁子氏(三井倉庫港運)
発表者:橋本紗代子氏(共同フレイターズ)
①通関業および通関士の認知度の現状
・通関業および通関士の認知度は以前に比べて向
上している。ただ、依然として社会的認知度は
低い。
・社内でのポジションについては、いまひとつで
あり、とくに通関士は営業に対し立場が弱い。
営業担当者の知識不足について指摘したいがで
きない。
アにアピールしてはどうか。
・通関士は明らかに不足しており、資格保有者を
・密輸撲滅キャンペーンを全国女性通関士会議と
増やしたいが通関士試験の合格率は低い。資格
併せて女性だけで実施することで、メディアに
を取ることのモチベーションが上がらない現状
取り上げてもらえるのではないか。
もある。しかし、専門職であるため、女子学生
などにはアピールできるのではないか。
②認知度向上策の提案
・通関士バッヂを作成し、
身に付けることでアピー
ルしてはどうか。
・通関士の仕事をドラマ化し、テレビ番組で取り
上げてもらってはどうか。
・女性通関士支援WGに広報部門をつくり、
メディ
・身 近なものをHSコードに置き換えることがで
きる「特技」を周囲にアピールしてはどうか。
・国際物流の貢献という観点で、貿易関係のアド
バイス等のコンサルティングを通じて荷主に通
関士の役割をアピールできるのではないか。
・通関士は弁護士等と違って独立できない。フリー
ランスで事業ができるようになれば、仕事として
の魅力ももう少しアピールできるのではないか。
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「EPA原産地規則に係る研修」の開催
我が国は、すでに14のEPA(経済連携協定)を締
結し、更に、現在、TPP、日EU・EPA等の交渉を行っ
ているところであり、今後、より一層のEPAの進展
が予想されます。一方、すでにご案内のとおり、本
年1月15日に発効した日豪EPAにおいては、原産
地手続きにおいて従来の第三者証明に加え、自己申
告制度が初めて導入されています。
これらの状況を踏まえ当連合会としては原産地規
則の専門家を育成するため、関税局業務課、東京税
関業務部総括原産地調査官(原産地センター)のご
協力をいただき、1月27日~29日の3日間、連合
今回の研修は、「韓国における原産地管理士に相
会の会議室において、各通関業会から選出された
当し、輸出入者からの原産地に係るあらゆる相談に
27名を受講者として「EPA原産地規則に係る研修」
的確に対応可能な原産地規則の専門家を育成する」
を実施しました。
との趣旨から、関税局業務課、東京税関業務部原産
地センターの皆様から、原産地規則に係る高度な内
容の講義をしていただきましたが、各受講者も原産
地規則に係る知識を貪欲に習得しようとする志のあ
る方ばかりであり、連日の講義及び質疑応答におい
ても意欲的に取り組まれていました。
各受講者の皆様にはより一層の研鑽を積んでいた
だき、通関士のみならず原産地規則の専門家として
ご活躍されることを期待しています。
初日及び2日目の研修では、各講師から、「EPA
交渉の現状」、「原産地基準」、「自己申告制度」等の
説明が行われるとともに原産品申告書の作成などの
実務も盛り込まれました。また、最終日には、受講
者を4つのグループに分け「事例研究」が行われ、
引き続き各グループの代表者による事例研究結果の
発表が行われました。
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研修終了後のアンケートにおいて、受講者の方か
EPA/FTA原産地規則入門コースを開講することと
ら次の意見が寄せられましたので一部のみですが紹
しております。
介します。
また、通関士専門研修でも、教材の準備もありま
すが、本年後半から新たな科目として取り組む予定
でおりますので、ご利用をお願いしたいと思います。
・各EPAそれぞれの規則や事例が具体的に説明
されてよかった。
・お客様から質問としていただいていたことす
べてを解決できた。
・自己申告書(原産品申告書)を作成したり事
例研究を行ったり、実践的な部分が多く、頭
最後になりますが、この紙面をお借りいたしまし
て、ご協力をいただきました、関税局業務課、東京
税関業務部総括原産地調査官の皆様に厚くお礼を申
し上げたいと思います。
によく入った。
・付加価値基準を用いる際の計算方法が具体的
で、とても分かり易かった。
・品目別規則の判断はやはり難しかった。一番
知りたい部分であったので参加してよかった。
・事例研究は、あらゆる要素が盛り込まれてお
り、非常に有益であった。
連合会としましては、EPAの進展に対応するため、
会員の皆様に対し、3月からイーラーニングによる
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(各班に分かれての事例研究の風景)
(研修参加者の集合写真)
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第21・22回通関士専門研修
(平成26年度前期5月~8月・後期10月~11月実施)
講師の感想
(一社)日本通関業連合会研修事務局
「通関士専門研修」は、通関士の皆様の専門知識・ノウハウのブラッシュアップ、新知識の取得、専門
家としての一層の意識向上等を目的として、毎年度各通関業会のご協力をいただき、前期と後期の2回実
施してまいりました。
平成26年度においても前期を5月から8月にかけ札幌、仙台、東京、成田、横浜、名古屋、大阪、神戸
及び小倉の9会場で実施し、後期についても10月から11月において前期9会場のうち仙台と小倉を除き、
博多を加えた8会場で実施しました。なお、本年度から、従来の7科目に加え「通関業務における消費税
の要諦」と「分類・プラスチック製品及びゴム製品等」を新規科目として追加し、研修の充実を図りました。
受講者数は前年度比12.7%増加し、計1,170名もの数多くの通関士の方々に受講していただきました
研修方式としましては、各科目において、事例研究、セミナー方式をより多く取り入れて研修を行うな
ど受講者の積極的な研修参加を図っており、その結果、講師と受講生の質疑応答、受講者同士の意見交換
が活発に行われました。
平成27年度におきましても、受講者等皆様のご意見・ご要望を踏まえて、新規科目の追加、研修需要
の調査検討を行うなど、講師とともに通関士専門研修を一層充実させてまいりたいと思います。
今般、通関士専門研修担当の10名の講師から、平成26年に実施しました研修についての感想を寄せて
いただきました。皆様のご参考となり、平成27年度もより多くの通関士の皆様が、本研修にご参加いた
だきますことを期待しております。
平成26年度の実施科目:関税評価の要諦、減免戻税・特恵関税の要諦、関税分類の要諦(農水産品、
化学品、プラスチック製品及びゴム製品、繊維製品)関税分類のための化
学の基礎、通関業務のための消費税の要諦、輸出貿易管理の要諦
減免戻税・特恵関税 消費税担当 吉田 福司
いただきました。見知らぬ通関士同士の議論ですか
ら、いろいろな考え方が出ます。結論の良し悪しは
「減免・特恵」の講座では、春季=成田及び小倉、
別として、それがグループ討議の狙いです。それな
秋季=名古屋及び大阪の各会場を担当しました。
りの成果があったものと思います。
今回も、グループ討議に重点を置きました。減免、
「消費税」の講座は、初めての試みです。春季=
特恵とも4事例ずつ用意しました。お示しした事例
東京及び小倉、秋季=名古屋及び大阪の各会場を担
の中には、普段仕事では遭遇しないような内容のも
当しました。
のもありましたが、各会場とも、熱心に取り組んで
「通関業務のための消費税の要諦」と題してテキ
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ストを作成し、これを教材としました。驚いたのは、
どEPA原産地規則の概要について説明するととも
各会場とも受講者からの質問が多かったことです。
に、ベトナム協定の原産地規則について説明いたし
講義が終わってから、数人で講師の控室まで押しか
ましたが、アンケートを見るとEPAに対する受講者
けて質問された会場もありました。私の知る範囲の
の関心が比較的高かったようでありますので、アン
ことは答えましたが、事後、国税に足を運び、確認
ケート結果も踏まえ、来期は今年1月15日に発効
の上答えたものも幾つかあります。如何に、通関士
したオーストラリア協定も含めた内容で話をしてい
の方が消費税の取扱いに関心を持っておられるのか
きたいと思います。
が分りました。お聞きするところ、外国貨物の船卸、
「減免戻税」につきましては、「事例」はテキスト
運送、保管、取扱い等の各種作業料について、輸出
に掲載されているものの説明のほか、こちらで用意
類似取引として免税になるのかどうか、荷主からい
した事例問題を受講者全員で検討・討議してもらい、
ろいろ質問されているようです。本研修に参加され
検討結果をグループ毎に発表してもらう時間を設け
た通関士の皆さんが、かなり勉強されていることを
たり、受講者からの事前の質問事項のうち検討課題
感じました。
として適当なものについては受講者全員に検討して
「消費税」の講座でも、グループ討議を実施しま
もらいました。
した。事例の作成に苦労しましたが、4事例用意し、
受講者全員での検討・討議、グループ毎の発表で
「減免・特恵」と同じ方式で討議して頂きました。
は、どの会場でも熱心に取り組んでいただきました
議論に戸惑ったグループもありましたが、各会場と
が、問題の事例に具体的な減免税等の条文を適用す
も、よく結論を導き出して頂きました。
ることに多少の難しさを感じられているように見受
この講座も、所期の目的を達することができたも
けられました。
のと思います。 最後に、どの会場でも、受講され
研修でも話したとおり、日々の具体的な事例の回
た通関士の皆さんは、終始熱心に講義を受けていた
答に当たって大切なことは、根拠となる関税定率法
だきました。これからも、通関士として大いに活躍
や関税暫定措置法(政令・省令・通達)の条文等を
されることを期待しています。
見つけ正確に読むことであり、条文等を読んで疑問
がある時はいろいろと誤解がある筈ですからその誤
減免戻税・特恵関税担当 神藤 邦治郎
解が解けるまで調べて対処していくことです。
通関士として日々の業務の忙しい日々の中で大変
「減免戻税・特恵関税」の前期は東京会場ほか6会
だとは思いますが、条文等を正確に読むことを日頃
場を、後期も東京会場ほか3会場を担当致しました。
から心掛け、減免戻税、特恵の業務に当たられるこ
前期、後期とも、テキスト「関税の減免戻税・特
とを期待しております。
恵関税の要諦」に沿って減免戻税・特恵関税の全般
について話をいたしましたが、理解を深めるうえで
参考になる「事例」に多くの時間をかけました。
関税評価担当 片山 喬次
「特恵関税」につきましては、特恵関税の原産地
平成26年度、前期は名古屋会場、後期は横浜会
規則のほか、経済連携協定(EPA)につきましても
場を担当させて頂きました。
時間をかけて話をいたしました。
講義用テキストは受講生の皆様に予め配付される
EPAでは、特恵原産地規則と比較しながら、特恵
と聞いておりますので、私の講義では、研修当日の
関税との相違点や各協定原産地規則の特徴的事項な
セミナー用検討課題を添付したレジュメもテキスト
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同様事前配布を事務局にお願いしました。レジュメ
に皆様と一緒に通関業務の問題について討議してい
の事前配布は、冒頭に講義の進め方として「配布済
きたいと考えています。私の担当会場はまだ決まっ
みテキストの内容に沿って、本研修の趣旨から関税
ていませんが、各地の通関士の方々と通関業務の諸
評価の基本的事項については出来るだけ簡単な説明
問題について意見交換をすることを楽しみにしてい
に止め」と掲げておりますので、受講生の皆様がこ
ます。
の意を解し予めテキストに眼を通して頂くことを期
待してということからです。
関税評価・消費税法担当 樋田 敬
研修でお話し致しましたとおり税関事後調査結果
からの修正申告の多くは関税評価がらみのもので
本年度から、
消費税法も担当することになりました。
す。この修正申告に伴って生じる輸入者の負担は、
神戸会場と横浜会場で「消費税法」を講義しまし
増差税額である関税のみならず、修正申告手続料、
たが、「輸出免税」と「保税地域から引取られる貨
延滞税、加算税等すべて輸入者の仕入コストに跳ね
物に課税」及び「仕入控除」を講義すれば足りると
返るもので、関税無税品についても仮払消費税とし
考えて臨んだが、研修生の質問は、国内での「課税
て経理処理される増差税額である消費税は別とし
仕入」「課税売上」に質問が集中した。
て、消費税に係る修正申告手続料、延滞税、加算税
次年度は、事例研究でこのケースで設例する予定
は同様に仕入コストに跳ね返るものです。
である。
通関業者としては、関税有税品はもとより関税無
なお、「消費税の仕入控除」について、理解して
税品であっても気を抜くことなく、課税価格(消費
いる研修生は30%程度で、荷主等へ説明も行って
税の課税標準)計算に必要な関税評価に係る資料を
いない様子であった。
輸入者に求め、或いはその資料が必要な理由を説明
名古屋、大阪会場では「関税評価」を担当したが、
出来る姿勢が保てるよう心掛けて頂きたいと言う事
ほとんどの受講生が通関士試験以来の「関税評価」
をここで再度申し述べさせて頂きます。受講生の皆
の勉強であり、事例研究も活発な意見交換がなされ
様におかれましては、関税評価知識のより一層の向
なかった。
上に励まれ、通関士として輸入者の負託に応えその
しかし、事例研究は「他の通関士の考え方が大い
責務を果たされますよう期待するところです。
に参考となった。」とのアンケート結果に多数あり、
事例研究を数題増やし、事例研究を中心として講義
関税評価・消費税担当 河月 義朗
を行う予定である。
通関士に望むことは、積極的に営業に同道して関
平成26年度の通関士専門研修(関税評価編、 消
税評価を荷主に説明して、算入・加算すべき費用は
費税編)は、前・後期をあわせて仙台、 東京、成田、
何か理解させ、これを営業に伝えるように指導を望
横浜、名古屋、大阪、博多を担当しました。この研
みます。
修の参加者は研究熱心な通関士の方々が多く、研修
また、事後調査にも立会、取引の実態を把握して
を通じて貴重な情報交換ができるのも私の大きな楽
加算漏れを防止するように指導を望みます。(荷主
しみです。研修の中心となる事例研究では、何処の
は、前回事後調査で加算漏れを指摘されても、貨物
会場でも活発な意見が飛び交い、皆様の協力でとて
が異なると同じ加算漏れを繰り返しており、社内体
も充実した研修ができたと喜んでいます。
制も含めて指導が必要である。)
平成27年度も引き続き、
「事例検討方式」を中心
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関税分類・農水産品担当 早野 弘道
び通関業務従業者の資質・能力の向上及び通関士専
門研修の更なる内容の充実に努めなければならない
平成26年度通関士専門研修(農水産品)に於いて、
と提言している。連合会の研修講師としてこの提言
前期は成田、横浜及び名古屋、後期は、横浜及び名
を真摯に受け止め、私が担当する繊維の分類研修は
古屋の各会場を担当させていただきました。安倍総
前期、後期とも分類の基本である部注、類注の説明
理の主要政策の一つである「女性の活躍推進」の影
に重点を置いた研修を実施してきた。
響のせいか、各会場とも女性の参加者が多かったよ
「これからの通関士は、世界に通用する分類能力
うな気がします。
を身に付けなければならない。」と力説してきた。
研修については、商品分類の国際的統一を図るた
日豪EPAが発効され原産地証明の自己申告制度が導
めに作成されたHS条約の成立までの経緯、品目分
入されると、対外的に通用する分類能力が必要不可
類の基本となる関税率表の解釈に関する通則、実行
欠であるからである。
関税率表適用上の注や備考における注意点、農水産
しかし、限られた時間内に部注・類注及び繊維に
物の分類において周知しておくべき通達内容の解説
関する商品説明を行うには限度があり、更に受講生
及び具体的な物品事例を用いての所属決定のポイン
の要望である個別分類事例のグループ討議を導入す
トなどをお話いたしました。また、食品分類では、
ると増々時間が足らなくなる。
「砂糖」と「しょ糖」の用語がよく用いられますが、
これまで前期・後期と同じカリキュラムで行って
これらの違い、関税率表における「砂糖を加えたも
きたが、前期は繊維及びその一次製品(繊維、糸、
の」には、砂糖のみを加えたもの以外のものも含ま
織物)、後期は繊維製品(衣類、その他の製品)と
れること、また、デキストリンのDE値が低いものは、
2回に分けて実施するのもよいのではないかと思っ
ぶどう糖と混合された場合、甘味料として取り扱わ
ている。
ることがあることなどを詳しく解説いたしました。
最後の演習問題の時間は、研修性をグループに分
け、具体的な個別品目について所属の決定を検討し
ていただき、代表者に意見を述べてもらい、講師を
関税分類・化学工業産品
関税分類・プラスチック製品及びゴム等
関税分類のための化学の基礎担当
佐藤 宗衛
交えてディスカッションを行いました。この意見交
今年度は前期・後期を通じ、東京(成田を含む)、
換は、
研修生同士の活発な意見を披露する場となり、
横浜(仙台地区を含む)、名古屋、大阪、神戸、門司・
講師も研修生も有効な時間を過ごせたものと思って
長崎(福岡)の各通関業会において開催された「化
います。
学の基礎」、「化学工業産品の関税分類」及び「プラ
今後とも、通関士及び通関業会の皆様に貢献でき
スチック・ゴム製品の関税分類」(新講座として、
るように努力する所存ですが、研修生の皆様におか
今年度の前期から開始)の3講座を担当させて頂き
れましても時代の変革に対応できるよう日々研鑽さ
ました。
れ、
適正通関に努められることを期待しております。
説明は、昨年同様、研修教材に沿って作成したパ
ワーポイントにより主要ポイントを説明し、視覚を
関税分類・繊維担当 的場 省介
通じて理解が深まるように努めました。
受講者の皆様は、現在、品目全般の通関・関税分
連合会が実施した「通関業及び通関士の今後のあ
類を担当されている方、化学工業産品の分類をされ
り方に関する研究会」(報告書)において通関士及
ている方、今後、化学品関連物品の分類の担当を予
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定されている方など、関税分類の経験が異なってい
輸出貿易管理担当 岡 正弘
るように思われました。今回も事前に各地区での受
講者の皆様から説明項目、ご質問等のアンケートを
安全保障輸出管理の重要性を認識していない輸出
頂きましたので、それらのご要望にも可能な限り配
者がいることから、通関業者は適正な輸出管理を行
慮しつつ、また、ご質問についても講義の中で、で
う上で対応に苦慮することがあります。
きるだけ説明するように努め、必要に応じ講義終了
今年度の研修では、安全保障輸出管理の仕組みに
後も説明致しました。さらに、研修の最後の方では、
ついて説明するだけでなく、輸出者に課せられた自
学習したことの復習を兼ね、また、実務への利用等
主管理の義務と責任について説明し、輸出者をサ
の観点から演習問題等でグループでの討議を実施し
ポートする立場にある通関士の対応などについて説
ました。受講者の間で活発に分類が討議され、導か
明を行いました。また、輸出管理の理解を深めるた
れた結論を発表して頂きました。この方式は受講者
めの事例研究(グループ討議)を実施して好評を頂
の方にも参加して頂けることや普段接することが少
きました。
ない受講者同士が一緒に討議できると言う点でも大
世界の情勢は、過激派組織「IS(イスラミックス
変有意義かと思います。ただ、限られた時間ですの
テート)」による地域紛争やテロなどの暴挙が世界
で、講義とグループミーティングとの時間配分に更
に衝撃を与えており、また、核兵器、化学兵器など
なる工夫が必要と思っております。受講者の皆様に
の大量破壊兵器の拡散が危惧されている現状から、
は、今後ともさらに積極的なグループ討議への参加
今後とも安全保障輸出管理の重要性が高まるととも
をお願い致します。
に、輸出管理の厳格な運用が求められるものと思わ
今年度は、かねてから要望が強かった「プラスチッ
れます。
ク・ゴム製品等の関税分類」の新講座にも多数参加
これからも、受講者のご意見を踏まえて、研修内
して頂きました。3講座を受講された方は、各講座
容の充実に努めて、安全保障貿易管理の実効性の向
を上手く関連させて化学に対する基礎知識並びにそ
上に努めたいと考えています。
れに基づいた実務への関税分類の理解・応用を深め
て頂けたらと思っております。各地区で受講された
方々には、長時間、熱心に受講して頂き、また多く
輸出貿易管理担当 福沢 政雄
の質問とともにセミナーでの活発なご討議を頂き、
輸出管理の研修は、
「安全保障輸出管理」を中心に
ありがとうございました。
説明させていただきましたが、ここでは、注意して
今後も講師の一人として受講者の皆様に少しでも
いただきたい2点についてご説明したいと思います。
良く理解して頂けるよう、できるだけイラスト等を
1 輸出規制法令は頻繁に改正されるので、最新の
取り入れ、平易に、かつ専門的な用語の使用を極力
法令に基づき確認していただきたい
避けながら説明するように努め、最終的には少しで
外為法では「我が国又は国際社会の平和及び安全
も実務のお役にたてるよう一層頑張りたいと思って
の維持を期し、…我が国経済の健全な発展に寄与す
おります。
ることを目的とする。(第1条)」と規定し、この目
事務局の方、今後受講される予定の皆様、これか
的のための輸出管理を安全保障輸出管理と言ってい
らもよろしくお願い致します。
ます。このため、ウクライナにおける軍事衝突やテ
ロ、北朝鮮の動向等により輸出規制を変更したり、
大量破壊兵器の開発企業が外国ユーザーリストへ掲
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載されたり、また、科学技術の進歩に伴う新規品目
が社内監査や審査過程において発見されたものであ
が新たに規制対象となったり、社会の変化に対応し
り、事故に故意や外為法の法益侵害が無く、輸出者
て頻繁に改正されています。多くは、条約の改正、
が自らその事実を経済産業省へ申告した場合がこれ
国際間の合意に基づき行いますが、日本独自の政策
に当たります。この趣旨は、輸出者の自主的な違反
で行う場合もあります。こうしたことから改正情報
申告については寛大な措置を講じることにより、法
に注意を払い、常に最新の法令により輸出規制に該
令遵守の適正な運用に向けた自助努力を促すことだ
当・非該当を確認していただきたいと思います。
と言われています。このため、予め公表され手続き
2 事故が発生した場合の対応について
に従い報告書の提出のみで、刑事処分・行政処分・
外為法上の無許可輸出等があった場合、輸出者に
プレスリリースが無く済んでいるケースがあるよう
対してその違反原因・法益侵害の程度等に応じて刑
です。事故は無いに越したことはありませんが、も
事処分や行政処分があり、通常経済産業省からプレ
し発生した場合には、経済産業省の安全保障貿易
スリリースされます。しかし、最近経済産業省は、
ホームページの「事後審査(外為法違反について)」
無許可輸出等が発生した場合であっても一定の条件
に基づき手続き行うよう輸出者(荷主)にアドバイ
下で処分の軽減措置を講じています。具体的にはた
スなどをしていただきたいと思います。
とえば、無許可輸出があった場合であっても、それ
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いいこときかく
コーナー
Sailing along with a Following Wind
この度、女性通関士支援WGは
①
「第5回全国女性通関士会議・分科会」では司会進行を務め
②
「全体会議」では『女性通関士支援ワーキンググループ中間報告』
を行い
さらに会議翌日には
③
「女性通関士支援WG企画のセミナー」を
開催し、盛況のうちに終了いたしました!!!
「第5回全国女性通関士会議」が平成27年2月20日、東京都港区のホテル グランパシフィック LE
DAIVAで開催され、女性通関士支援ワーキンググループ(WG)メンバーを含め全国から女性通関士が
出席しました。全国女性通関士会議は前回から分科会方式をとりいれていましたが、今回は東西WGの
コアメンバーが分科会の司会進行を務め、「仕事と育児や介護との両立」「通関士としてのスキルアップ」
「申告官署の自由化等に伴う影響」「通関業および通関士の認知度向上」の4つのテーマについて討議し
ました。続いて行われた全体会議には連合会の鈴木宏会長も出席し、4つのテーマごとに代表者が討議
内容を発表しました。また、翌21日には、WGが企画・運営を担当した初めての「女性通関士支援に関
するセミナー」が開催され、全国女性通関士会議の出席者ほか東京近郊だけでなく遠方からもセミナー
の聴講に訪れるなど、90人が参加する大盛況のセミナーとなりました。
第5回全国女性通関士会議
(平成27年2月20日)
午後一番、コアメンバー集合!!
普段なかなか気軽に会える距離で
はないのでWGコアメンバー同士は
当日までの進行相談を主にメールを
通して行っていました。そのため本番当日は、早め
(左手前から時計回りに 板坂氏、前田氏、梅崎氏、木村氏、山
本氏、高橋氏のコアメンバー6名)
に集合し最終の進行確認を行いました。
写真は、和気あいあいとした雰囲気の中にも時折
緊張の表情も垣間見られたWGコアメンバー6名です。
午 後3時15分 定刻通り
会議スタート!!!
分科会の開催に先立ち、連
合会の加藤浄孝常務から趣旨
説明がありました。
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〈加藤常務御挨拶要旨〉
連合会の鈴木会長が、
「女性の活躍なくして
業界の発展はありえない」と平成23年2月に
第1回全国女性通関士会議を開催し、今回で
5回目となる。連合会では今年度(平成26年度)
の事業計画として、女性通関士支援にかかる
事業を新たに立ち上げ、キャリアアップやワー
(会場入り口前方からの一枚)
クライフバランスの実現、通関業及び通関士
の認知度向上に取り組むため、東西にWGを設
置し、活動してもらっている。全体会議では
その中間報告も行われる。今回は4つのテー
マについて分科会で討議していただくが、WG
のメンバーから、分科会の企画・運営を行い
たいとの要望があり、連合会としてもこれを
快く了承した。分科会の各グループの司会進
行はWGのコアメンバーが担当するので、初め
て参加する人も臆することなく積極的に発言
してほしい。
(会場後方からの一枚)
後論点整理ごとに意見を出し合い、最後にまとめる
という進行要領で無事に終了することができました。
後日、進行を担当したコアメンバーに①進行を担
当することになっての率直な気持ち②分科会が始
まって進行上戸惑ったことや工夫したこと心がけた
ことなど③進行を終えてみての感想を質問しました
のでご紹介いたします。
グループA-1 前田 久子氏(内外日東(株))
①昔から会議の議事進行というのは自分の中では
最も不得手なものという意識が強く、準備不足
分科会進行~
事前に参加希望テーマを募り人数の多かったA
「仕事と育児や介護との両立」とB「通関士として
のスキルアップ」はA-1.A-2、B-1.B-2と
しC「申告官署の自由化等に伴う影響」、D「通関
業および通関士の認知度向上」と合せて6テーブル
に分かれての進行となりました。
そしてグループ内では自己紹介に始まり、全体会
議での発表者、書記担当者の役割分担の決定、その
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もあって、緊張しておりました。
②参加者の意識の共有を図るべく、テーマにそっ
た各人の思いや、当日得たい情報などを自己紹
介の中で語っていただきました。また、議事録
担当と発表者は同一人にしたほうが作業上よろ
しいとの提案を受け入れていただき、 人選も
すんなり決まったことは参加者の意識の高さを
物語ることと思います。
進行中発言の少なかった方々にもっと話を振れ
ばよかったと後悔しております。
③各企業の中で通関部門の占める位置や、通関士
という資格保持者の立場の違いにより各人の持
つ悩みや問題が違っているということを改めて
認識することができました。
また立場は違っても、
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自分の立ち位置からのコミュニケートを発信
し、良好な人間関係が最も重要なファクターで
③進行してみると、分科会メンバーの問題意識や
向上心の高さを窺い知ることが出来、自分自身
あることがわかりました。
最後に拙い進行役に我慢して付き合ってくだ
さったA-1の皆さんに感謝いたします。 も勉強になりました。メンバー皆さんのおかげ
で、時間が不足する程の意見が出され、とても
進行し易かったです。
A-2 板坂 みどり氏(東日本港運(株))
B-2 山本 絵理歌氏(
(株)
KSAインターナショナル)
①自分も通ってきた道ですが、時代も変わり今の
①同じ通関士ではあるが異なる環境において勤め
ている者同士が、初対面で意見を出し合えるの
現状を知るいいチャンスだと思いました。反面、
初めてお会いする方ばかりの中で、書記と全体
会での発表者がすんなり決まるか不安がありま
した。
②初めの自己紹介で、グループの皆さんにこの
テーマを選んだ理由を発表してもらいました。
それぞれ抱えている思いを先に把握することが
できて進行しやすかったと思います。
また、1つ1つの議題について積極的に発言し
やすいようにまず自分の考えを発表し、意見が
後に続くように心がけました。参加者の年齢が
若かったせいか、介護の話をすることが出来な
かったのが残念でした。
③同じ業種でありながら、地域や社風、家庭や家
族構成など環境はさまざまで出席した人の数だ
け課題があることがわかりました。
もっと仕事がしたい、もっと家事も子どもとも
向き合いたい、どちらも自分の思う完璧には遠
く、ジレンマを抱えています。やりたい気持ち
とできない現実の中でそれぞれが出来る限り、
サポートしてくださる人たちとのコミュニケー
ションを大切にしながら出来る時には、精一杯
頑張っていることを改めて知りました。問題を
共有することが出来て、参加してくださった方
との距離も縮まりとても、有意義な分科会でし
た。
B-1 高橋 美枝子氏(内外日東(株))
①テーマB「通関士としてのスキルアップ」を担
当致しました。分科会の進行は昨年に続いて2
回目で、一般的な会議と同様、準備が7割だと
心得ておりましたので、事前に論点整理を良く
確認し、自分なりの進行表を作成致しました。
②通関士研修については、現状実施している通関
士専門研修の開催要領や内容を、通関士のスキ
ルアップの必要性とモチベーション向上策につ
いては、これまでの自分自身の仕事を振り返る
作業を行うとともに、「通関業及び通関士の今
後のあり方に関する研究会」の報告書を確認す
るなどし、分科会に臨みました。
か心配であった。
②発表者・書記の担当者が決まらず戸惑った。
思ったよりも時間が足りず、話半ばで進行を進
めざるを得ない状況になり申し訳なく感じた。
最初に自身の意見・考えを述べることで、他の
メンバーが話しやすくなったと思う。
③始まる前の心配をよそに、皆さんの意見交換が
活発に行えたことは大変よかったと感じている。
自身では思いつかない意見や他社の制度など、
日頃の業務においては知り得ない情報を交換出
来よい会になったと思う。また、意見交換する
事で人脈を広げるよい機会であった。
C 梅崎 真由美氏(
(株)近鉄エクスプレス)
①「申告官署の自由化の影響」がテ-マでしたの
で、参加者がどのような思いでこのテ-マに臨
まれているか想像がつかず、どうすれば皆さん
から沢山の意見がでてくるのか悩み、先ずは制
度の理解の温度差をなくすために、事前に申告
官署の自由化のイメ-ジの具体例を作成した。
②女性通関士というより通関業者にかかるテ-マ
であったため、すぐには活発な討議にならない
と考え、最初に参加者全員に、このテ-マを選
んだ理由を聞いた上で、討議を進めていった。
③書記、発表担当ともに快く引き受けて頂いたこ
とで、その後の進行がとても楽になった。終盤
になって、活発に意見がでてきたため、最後の
纏めでは時間が足りなくなって、発表者には申
し訳なかった。
最初の心配をよそに、活発な意見交換ができた
こと、そして参加者が通関士としてのみならず、
時には経営者の立場にたって、このテ-マにつ
いて考え、意見を述べてくださった事は、それ
だけでも十分に成果があったと思います。
D 木村 郁子氏(三井倉庫港運(株)
)
① 突然当然のことのように「進行担当」となっ
ていたので驚きと戸惑いを感じました。昨年の
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会議を知らなかったのでどのような雰囲気にな
るのかも分からないことが不安材料の一つでし
た。なるようにしかならないと開き直って当日
を迎えました。
②討議結果で結論が出るような内容ではないため
チームのメンバーが自分の思うこと、感じてい
ることを話してもらえるような問いかけが出来
ればと思っていました。
③想像していたよりメンバーの皆さんがご自分の
思っていること、感じていることを話してくだ
さったこと、書記・発表者の選任もスムーズに
引き受けてくださって皆さんの前向きな姿勢に
驚きました。10名の皆様のご協力があってそ
れなりに良い討議が出来たと感じています。い
い経験をさせていただいたと思います。ありが
とうございました。
告知方法、アンケートの実施方法などもすべて自分
たちで話し合って決めたものです。
当日は、公益財団法人21
世紀職業財団コンサルタント
の石川邦子氏が「自分のキャ
リアを考えるためのヒント」
をテーマに講演しました。そ
して話の中心は、組織の中でキャリアを積み重ねる
上で、何が大切かを考えるもので、今までの経験を
振り返り、自分の中の「宝物」に気づき、これから
のキャリアを展望へつなげていくという内容でし
た。石川氏は「キャリアはたまたまの偶然から形成
全体会議での中間報告
される(プランドハプンスタンス)」
、「チャンスは
分科会が終わり、続いて行わ
準備のある人の所にやってくる!」という事を強調
れた全体会議では、4つのテー
していました。
マごとに代表者が討議内容を発
まとめとして
表しました。その後WGのリー
・自分を育て、磨くのは自分自身 ダー高橋 美枝子氏による「女
・他人と過去は変えられないけど自分と未来は変
性通関士支援ワーキンググループ中間報告」と翌日
のセミナーの案内も行われました。
えられる
・経験を肯定的に捉え、自分を過小評価しない
「大切なのはcha, cha, cha」
「女性通関士支援に関するセミナー」開催
それは チャンス・チャレンジ・チェンジ だと
会議の翌日、会場を近隣の「TIME24」(東京都
する3つのキーワードを参加者へ贈り セミナーは
江東区)に移し、女性通関士支援に関するセミナー
無事、幕を閉じました。
を開催しました。同セミナーは女性通関士支援WG
当日の参加者は全国女性通関士会議の出席者のほ
が企画・運営を担当し、開催日時や会場、テーマ、
か、東京・横浜など近郊だけでなく、遠くは函館か
(公財)21世紀職業財団 講師 石川 邦子氏
(会場の様子)
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らセミナーに参加した女性通関士もいるなど、セミ
た」 を 合 せ る と95%と 高
ナーのテーマに対する関心の高さがうかがえました。
く、参加者からは「自分を
同セミナーは、参加者がペアまたは複数で互いの
見つめ直す良いきっかけに
体験や考えに耳を傾け、話し合うという「参加型」
なった」「周囲に恵まれて
の方法がとりいれられており、会場には活気があふ
いるのも自分の力だという
れていました。なお、セミナー終了後のアンケート
事を言われ、自信がつきま
の総合的満足度は「大変良かった」「まぁまぁ良かっ
した」などの感想が寄せられました。
26年度のWGの活動を終えて
女性通関士支援WGでは「女性通関士の意識の向上に向けたサポート」「女性通関
士のネットワーク化」及び「日本通関業連合会への提案」を活動テーマとして取り組
み具体的な支援策を検討してきました。
「女性通関士支援WG中間報告」に記載の通り、具体策が実行され、或は連合会へ
の提案というかたちで、一定の成果は見えつつありますが、時間をかけて検討すべき
課題も残されていることや、これまでの活動だけでは抽出しきれなかった新たな課題
が出現することも考えられます。これからも 引き続き話し合いを重ね、次回につな
げていきたいと考えております。
今後ともご支援いただけますようよろしくお願いいたします。
女性通関士支援WGメンバー一同
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「女性通関士支援ワーキンググループ」
中 間 報 告
(一社)
日本通関業連合会 女性通関士支援ワーキンググループ
平成27年2月
〈女性通関士支援WG中間報告〉
総論
西日本の地域にそれぞれワーキンググループ(WG)
を設置し、具体策の検討に着手した。
女性通関士支援WGでは、「女性通関士の意識の
第二次安倍晋三政権で平成26年6月24日に閣議
向上に向けたサポート」「女性通関士のネットワー
決定された、アベノミクスの成長戦略「日本再興戦
ク化」及び「日本通関業連合会への提案」を活動テー
略改定版」では、女性の更なる活躍促進が重点戦略
マとして取り組んでおり、これまでに平成27年2
として掲げられた。従業員規模が301人以上の企業
月20日に予定されている「第5回全国女性通関士
に対し、女性の登用についての行動計画の公表を義
会議」の分科会及び翌日の「女性通関士の意識の向
務付けることを盛り込んだ「女性の職業生活におけ
上に資するセミナー」の企画・運営を行うことが決
る活躍の推進に関する法律案」は、衆議院の解散・
定している。
総選挙により審議未了により廃案となったが、次期
また、これまでの議論の過程においては、一部委
通常国会に再提出されるとみられている。
員から連合会への提案も活動に盛り込んではどうか
帝国データバンクが平成26年8月に発表した「女
という提起がなされた。具体的には、女性通関士の
性登用に対する企業の意識調査」によると、「運輸・
地区ごとのネットワーク化や通関士専門研修のあり
倉庫」は女性役員の比率が1.9%、女性管理職の比
方について提案を行うべく検討を続けている。
率が3.8%と調査業種の中で最低で、他業種と比べ
取り組みの遅れが目立つ。景気の回復により、産業
第1 ワーキンググループ立ち上げの趣旨
全体として人材確保難となっており、将来的に物流
日本通関業連合会が平成25年度に実施した「女
業界ではこれまで以上に深刻な人材不足が懸念され
性通関士の労働環境・キャリア意識等に関するアン
る中、通関業者においても企業の成長には女性の更
ケート調査」の結果では、女性通関士には誇りとや
なる活躍およびキャリアアップが欠かせない状況と
りがいを持って職務に取り組む姿勢が強く感じら
なっている。
れ、現所属会社への帰属意識も強く、戦力としての
日本通関業連合会では、業界及び各通関業者の重
期待値も大きいとの考察を得た。一方で、勤務時間
要な戦力である女性通関士の活動を支援するため、
について「長い」「やや長い」という回答が60%あ
「全国女性通関士会議」を平成22年度から年に1
り、残業も「多い」「やや多い」合わせて53%あっ
度開催している。平成25年12月には「女性通関士
た。長時間勤務が家庭との両立のネックとなってい
の労働環境・キャリア意識等に関するアンケート調
る事情がうかがえる。
査」を実施し、課題の抽出を行った。平成26年度
通関手続きを巡っては、平成29年10月に予定さ
の事業計画に新規事業として「女性通関士に対する
れている輸出入・港湾関連情報システム(NACCS)
支援策の検討」が盛り込まれたことを受け、東日本、
の更改に合わせて、通関手続きの原則電子化が予定
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されており、申告官署の自由化や通関業の営業区域
面でも情報交換が行いたいというニーズがあるが、
制限の廃止など通関業及び通関士を取り巻く環境が
女性通関士同士が交流できる環境が十分に整ってい
大きく変化している。
ない地区もある。女性通関士(女性の通関業務従業
また、平成27年1月15日に発効した日豪EPA(経
者が加わる場合も)による組織や活動は各地区で状
済連携協定)では、これまでの輸出国発給機関によ
況は異なり、企業によっては、他の企業の女性通関
る原産地証明制度(第三者証明制度)に加え、輸出
士との交流がほとんどないケースもみられる。平成
入者等が自ら原産地の申告を行う「自己申告制度」
25年10月から、通関係書類のPDF等による電磁的
が導入されることとなった。自己申告制度では、「原
記録による提出が可能なったことで、税関等での通
産地基準」に基づく判定や原産地に関する申告書類
関士同士の交流機会はより少なくなっている。
の作成では、品目分類等の高度な知識を要するため、
輸出入者が同制度を利用するにあたって、通関業者
第3 女性通関士の意識の向上に向けたサポート
や通関士による利用者支援が期待されている。
3-1 セミナーの企画・運営
女性通関士がキャリアアップに不安を抱えている
こうした中、日本通関業連合会では平成26年度
状況を鑑み、ワーキンググループでは平成26年度
の新規事業「女性通関士に対する支援策の検討」の
は女性通関士の意識の向上に資するセミナーを企画
一環として、「女性通関士支援ワーキンググループ」
した。できるだけ多くの女性通関士が参加できるこ
(以下、ワーキンググループという)を発足させ、
とから、平成27年2月20日に開催予定の「第5回
具体的な支援策を検討していくこととしている。
全国女性通関士会議」の翌日に開催することとし、
同会議の会場及び宿泊施設近隣の会場を確保した。
第2 女性通関士の現状
なお、女性の活躍が進んでいる他業種の事例に対す
2-1 女性通関士の労働環境とキャリア意識
る関心も高いことから、同業種にこだわらずキャリ
女性通関士の中には残業が多く、家庭と仕事との
アを主に専門とする講師に依頼した。
両立に悩んだり、不安を抱えているケースがみられ
る。管理職への登用については、積極的に管理職を
3-2 ワークショップ型分科会の企画・運営
希望する者もあれば、希望しない者もあり、管理職
セミナーの企画にあたって、ワークショップのよ
を希望しない理由としては、物流業は拘束時間が長
うな参加型の研修を希望する声が多かった。そこで、
く、ワークライフバランスをとりにくいこと、また、
「第5回全国女性通関士会議」でワークショップ型
身近にロールモデルがいないこと等が挙げられる。
の分科会を提案し、
「仕事と育児や介護との両立」
「通
なお、女性が社外の会議や研修に出にくかったり、
関士としてのスキルアップ」「申告官署の自由化等
「通関士として働くには一般職しか選択肢がない」
に伴う影響」「通関業及び通関士の認知度向上」の
という企業もあった。
4つのテーマを設定した。参加者は希望するテーマ
を選んで分科会に参加できる。なお、分科会のリー
2-2 女性通関士のネットワークの課題
ダーについてはワーキンググループの東西コアメン
通関業及び通関士においては、税関対応や分類に
バーが務めることとする。
関する見解などが地区により異なるという「地区特
有の課題」がある。女性通関士からは、仕事と家庭
の両立といった女性特有の悩みだけでなく、実務の
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第4 女性通関士のネットワーク化
お、密輸撲滅キャンペーンの実施を知らない、ある
4-1 地区ごとの女性通関士のネットワーク化
いは参加したことのない女性通関士もおり、女性通
女性通関士の地区ごとのネットワーク化に対する
関士によるキャンペーンの実施も案として挙がって
ニーズは強いが、東京通関業会の大井通関協議会女
いる。
性連絡会のように、組織や活動の位置付けが明確な
ケースは少ない。女性通関士による活動や組織の立
5-2 通関士専門研修のあり方
ち上げについては、地区の事情に合った自主的なも
通関士専門研修については現在、企業単位の申込
のが望ましいが、女性通関士の交流機会がなく、女
みで平日の開催となっているが、平日に業務を抜け
性通関士の数の把握ができないという課題もある。
られないケースもあり、企業の費用負担での研修に
このため、日本通関業連合会及び通関業会の支援を
申込みしにくいという声も聞かれる。このため、通
仰ぎ、ネットワーク化を目的とした女性通関士名簿
関士専門研修の土日の開催と個人での申込みが可能
の作成を検討していく。
になるよう提言することとした。また、通関士専門
研修のレベルや受講対象者がより明確化されること
4-2 ITを活用したネットワーク化
やより実務に近い研修内容が希望されている。遠方
日本通関業連合会ホームページ上での女性通関士
からの参加が難しいため、研修内容のDVD化を望
専用サイトの開設も検討項目として挙げられ、平成
む意見もあった。
26年12月に「いいこときかく」のバナーを設定し
た。今後、女性通関士同士の交流や情報発信等への
第6 活動予定
活用可能性を議論していく。また、ワーキンググルー
今後の活動としては、来年2月まで現在のワーキ
プメンバーのネットワーク化の必要性も指摘されて
ンググループで活動を継続し、女性通関士の支援に
いる。ワーキンググループでは、全国からメンバー
かかる具体策をさらに掘り下げて検討していく。そ
が一ヵ所に集まる時間や費用の節減を念頭に、イン
のなかでは、在宅勤務の可能性も含め、通関業を取
ターネットを使ったテレビ会議、電話会議の有効性
り巻く環境変化について女性通関士の視点から業務
にも注目している。
品質の向上や通関業のさらなる認知度向上について
幅広く議論していく。
第5 連合会および通関業会への提案
5-1 密輸撲滅キャンペーンのグッズ
検討実績
ワーキンググループでは女性通関士の地区ごとの
第1回東西統合WGミーティング
(平成26年8月28日)
ネットワーク化に関する支援を日本通関業連合会及
第1回西日本WGミーティング(平成26年10月7日)
び通関業会に提案するとともに、各地区で実施され
第1回東日本WGミーティング(平成26年10月21日)
ている密輸撲滅キャンペーンについてもグッズの刷
第2回東西統合WGミーティング
(平成26年11月27日)
新を提案すべく検討を続けている。グッズの案は複
第2回東日本WGミーティング(平成26年12月4日)
数出され、通関業及び通関士の仕事をアピールする
第2回西日本WGミーティング
(平成26年12月16日)
文言をグッズに記載することなどが提起された。な
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ワーキンググループメンバー名簿
所属業会
東京
氏 名
前田 久子
内外日東(株)
鈴木みのり
旭ロジスティクス(株)
吉見 幸代
東洋水産(株)
板坂みどり
東日本港運(株)
佐藤美千代
東
横浜
名古屋
函館
大阪
神戸
門司
長崎
事務局
(株)ティー・ティー・シー
浅野美樹子
日本通運(株)
丸山恵美子
ナカムラエアーエクスプレス(株)
髙橋美枝子
内外日東(株) 阿部 真紀
(株)ダイトーコーポレーション
橋本紗代子
(株)共同フレイターズ
間渕 恵美
(株)ヤマタネ 合田 敏子
(株)近鉄エクスプレス
土屋 ゆり
三井倉庫(株)
伊藤 未来
中部海運(株)
今井 美樹
(株)函館国際貿易センター
梅崎真由美
(株)近鉄エクスプレス
山本絵里歌
(株)KSAインターナショナル
出口 ふみ
日鉄住金物流(株)
武山 三枝
日本通運(株)
上山 晶子
西
所属企業名
(株)阪急阪神エクスプレス
塚元 晴恵
福井貨物自動車(株)
木村 郁子
三井倉庫港運(株)
難波 邦子
澁澤倉庫(株)
田中 千尋
(株)日新 内田 優子
備後通運(株)
濱口 育代
日本トランスシティ(株)
磯部 幸代
日本通運(株)
原田亜希子
関光汽船(株)
江東 直子
長崎港湾運輸(株)
池田貴久美
東京貿易運輸(株)
石井 麻里
(株)カーゴジャパン
徳光 和子
(一社)日本通関業連合会
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通関業会
だより
東 京 の 由 来
今から147年前の慶応4年(明治元年)7月17
「東の京」という名称、すっかり馴染んでいますが、
日(1868年9月)に「江戸ヲ称シテ東京ト為スノ
雅な京都に行ってみたくなりました。
詔書」において江戸幕府の町奉行支配地域を管轄す
そういえば、大阪に赴任していた当時とまどった
る東京府が設置されると書かれたことにより、「東
エスカレータの片側空ける列。
「左側空け」は関西で、
京」という名称が用いられることとなりました。京
関東は、「右側空け」と逆になっていました。これは、
都に対する「東の京」という意味が一般的解釈と言
なにか由来があるのでしょうか。
われています。
(東京通関業会)
3月は「桃の節句」として「ひな祭り」があり、
マスコミでも各地の雛飾りが取り上げられ報道され
ています。ひな祭りは、平安時代の京都で平安貴族
の子女の雅雛「遊びごと」として行われていた記録
が現存しているようです。
雛人形の飾り方について、一般的には、向かって
左側に「男雛」
、右側に「女雛」と配置されている
のが「現代式」といわれ、これとは逆に向かって右
側に「男雛」、左側に「女雛」と配置されるのが「古
代式」と言われ、京都・畿内や西日本中心に旧来の
配置を続けているそうです。
ここまでは、「なるほど狭い日本でもひな人形の
飾り方が違うんだ。
」と感心していたところ、身近
な職場の中でこんな声がありました。「うちは、ひ
な人形を飾るとき、向かって右が男雛、左が女雛で
す」と。 ご主人の出身が京都ということで、お嬢
さんが生まれてから「雅式」で飾っているそうです。
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お待たせしました。平成27年3月開講!
EPA・FTAに興味をお持ちの通関業者の皆様へ
日本通関業連合会イーラーニング第 2弾
お申込み
受付中!
「EPA/FTA原産地規則」入門コース
EPAのより一層の進展に伴い、「EPA原産
地規則」に係る知識を習得し、そして、その
知識を活用して輸入者等事業者を支援するこ
とは、通関業者及び通関士にとって当然の責
務であるといっても過言ではないでしょう。
本コースでは、EPA特恵税率を適用する
ための基本的な要件について、やさしく説明
しています。
特典
イーラーニングに則した教本がついてきますので、受講終了後も学習できます
学習内容 …… 確認問題付き
始まったよ~
1.原産地規則の意義
5.手続的規定
2.原産地規則の構成
6.書類の保存
3.品目別規則
7.事後確認手続
4.積送基準
8.EPA税率の対象品目等
受 講 料 2,500円/人(税別)
学習時間の目安 120分
受講期間 1ヶ月間
申込方法 日本通関業連合会のホームページにアクセスして、詳細をご確認のうえ、
申込書をダウンロードしてメールでお申込みください。☞「日本通関業連合会」で検索
イーラーニングシステムの特徴
●パソコンをはじめ、スマートフォン、携帯電話(一部不可)でも利用可能
●音声により耳からの学習も可能
●土日祝日を含め1日24時間、1ヶ月間は何度でも受講可能
お問い合わせは 一般社団法人 日本通関業連合会 《担当 篠原》
e-mail:[email protected]
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各通関業会定時総会の開催
東京通関業会 平成27年度『定時総会・会員懇談会』を開催
平成27年2月19日(木)午後4時15分から、グ
ランドプリンスホテル高輪において「東京通関業会
第5号議案 平 成27年度 収支予算(案)に関
する件
第68回定時総会」が開催されました。
冒頭、事務局から総会の成立〔総店社数:288社、
総会に引き続き、表彰状贈呈式並びに通関業務永
出席店社数:114社、代理権授与店社数:133社、
年勤続者表彰式を執り行い、昨年秋黄綬褒章を授与
合計247店社〕の報告を行い、続いて曽根会長を議
された1名、税関記念日に感謝状を授与された4名
長に選出し、以下の5議案について審議され、いず
の方々並びに長年にわたり業会の発展に寄与された
れも原案どおり可決承認されました。
27名の方々に対し、曽根会長から表彰状及び記念
品を贈呈し、その功績を称えました。
第1号議案 平成26年度 事業報告に関する件
表彰式の終了後、恒例の会員懇談会が行われ、青
第2号議案 平成26年度 収支決算に関する件
木東京税関長をはじめ、輸出入・港湾関連情報処理
第3号議案 平 成26年度 余剰金処分(案)に
センター(株) 宮坂社長ほか多数のご来賓にご出席
関する件
第4号議案 平 成27年度 事業計画(案)に関
をいただき、和やかに会員との懇談が進められ、盛
会のうちに終了しました。
する件
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第68回定時総会・表彰状贈呈並びに通関業務永年勤続者表彰式、
会員懇談会(27. 2. 19)スナップ
東京通関業会
曽根会長からご挨拶
第68回定時総会
表彰状贈呈並びに通関
業務永年勤続者表彰式
会長から表彰状と記念品の授与
来賓代表して
青木税関長ご挨拶
謝辞
会 員 懇 談 会
伊藤副会表から
乾杯の発声
廣瀬副会表から
中締め
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通関士専門研修 関税評価コース
特別掲載 最近の事後調査事績と今後の展望
(一社)
日本通関業連合会 講師 河月義朗
1.はじめに
昨年5月号以来約1年ぶりですが、これまでに「関税評価と事後調査」のシリー
ズ連載では各年度の事後調査事績をテーマとして取り上げていましたので、今号
の誌面をお借りして、昨年11月に公表された平成25事務年度の事後調査の結果と
過去の調査事績の推移から、これからの事後調査の展望と通関士として今後事後
調査にどのように関わっていくべきかをテーマに特別掲載させていただきます。
2.事後調査の目的
税関の施策の一つに「適正かつ公平な関税等の徴収」があります。この具体策
として実施されている事後調査は、輸入貨物の通関後に税関職員が輸入者の事務
所等に臨場して、輸入者、通関業者、輸入の委託者、その他の関係者に質問し、
輸入貨物にかかる契約書や会計帳票等を検査し、輸入貨物についての輸入申告が
関税法等の関係法令の規定に従って適正に行われているか否かを確認するもので
す。
事後調査は、適正な申告を行っている納税者との課税の公平を図るため調査に
より判明した不適正申告についてはこれを是正し、関係者に関税評価等の法知識
や適正な申告手続きについて指導し、関税に関する申告秩序の維持と課税の確保
を図ることを目的に実施されており、納税者の代理人として通関業務を代行する
※
の傾向に注視し、
通関士は、通関業務の専門家としてこの調査で判明する「非違」
調査で発覚する不適正申告を未然に防ぐ方策や法令に順守した適正申告を実施す
るための工夫が必要です。
※「非違」とは、事後調査において調査した輸入(納税)申告において、関税法、
関税定率法その他の法令の規定に従っていないことをいいます。
3.事後調査と財政事犯調査
事後調査は、1966年(昭和41年)にそれまでの輸入貨物の納税方式であった賦課
課税方式を申告納税方式に改めたことに伴い、その2年後の1968年(昭和43年)に
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約80名の体制で全国の税関に事後調査部門が設置されて調査が開始されました。そ
の後、過少申告加算税制度の導入、除斥期間の延長、書類の保存義務といった関税
法の整備が進められ、また、調査担当職員の増員、情報の電子化、国税との人事交
流等調査能力の向上が図られていく中、調査で発覚する非違も年々増加し、特に法
令の解釈誤りや関税評価知識の欠如に起因するものとは別に、故意に関税等を免れ
るといった悪質な不適正申告事案も後を絶たないという状況がありました。
税関には「税の公平」と「納税者に対する指導」を目的とする事後調査のほかに
関税ほ脱事犯(関税法第110条違反)等を調査する財政事犯調査があります。この財
政事犯調査は、不正な手段により故意に関税を免れる等の反社会的な犯罪行為を行っ
た者に対し、その刑事責任を追及するもので、一般に審理(シンリ)と呼ばれる各
税関の調査部検察部門が調査を担当しています。
事後調査は、関税法第105条に規定されている税関職員の質問検査権に基づいて
行われており、第105条第1項第6号において「輸入された貨物について、その輸
入者、その輸入に係る通関業務を取り扱った通関業者、当該輸入の委託者、不当廉
売された貨物の国内における販売を行った者その他の関係者に質問し、当該貨物若
しくは当該貨物についての帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若
しくは提出を求めることができる。
」と事後調査職員の質問検査権を規定していま
す。また、同条第2項では「第6号の規定により輸出者等又は輸入者等に対して物
件の提出を求めた場合において必要があるときは、その求めに応じて当該輸出者等
又は当該輸入者等から提出された物件を留め置くことができる。
」と調査の過程で
税関職員が提出を受けた物件を税関が占有することの権限を規定しています。また、
同条第4項ではこれらの権限について、
「第1項及び第2項の規定による質問又は
検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
」と規定し、
事後調査における税関職員の権限に関する規定は純然たる行政手続きとしての質問
検査権であって、犯罪捜査のために認められたものではないことを明確にしていま
す。しかし、関税法第114条の2第10号では「第105条第1項の規定による税関職員
の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの陳述をし、又はその職務の執行を拒み、
妨げ、若しくは忌避した者」及び同第10号の2に「第105条第6号の規定による物
件の提示又は提出の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載
若しくは記録をした帳簿書類その他の物件を提示し、若しくは提出した者」につい
ては、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する旨の罰則が規定されているこ
とから、この規定は間接的強制規定であるといえます。
一方、財政事犯調査においては捜索・差押等の強制調査が必要とされることから、
関税法第119条第1項において「税関職員は、犯則事件を調査するため必要がある
と認めるときは、犯則嫌疑者若しくは参考人に対して出頭を求め、これらの者に
対して質問し、これらの者が所持する物件若しくは犯則嫌疑者が置き去った物件
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を検査し、又はこれらの者が任意に提出した物件若しくは犯則嫌疑者が置き去っ
た物件を領置することができる。」と犯則調査のための質問・検査や置去領置の権
限を規定し、また、第121条第1項において「税関職員は、犯則事件を調査するた
め必要があるときは、その所属官署の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判
所の裁判官があらかじめ発する許可状により、臨検、捜索又は差押をすることが
できる。」と刑事手続きと同様に令状主義による直接的強制規定となっており、こ
のため税関は、税務調査としての事後調査部門と財政事犯を調査する検察部門と
を組織的に分離し、仮に事後調査を端緒としてその調査を犯則調査に移行する場
合には、嫌疑者に対しその旨を宣言し、調査の指揮命令系統を別にして、行政調
査としての事後調査と犯則調査となる財政事犯調査とを明確に区分しています。
2005年(平成17年)に導入された重加算税制度は、事後調査と財政事犯調査に一
つの大きな転換をもたらすこととなりました。つまり、この制度が導入される前は、
告発事件に至らない比較的軽微な関税ほ脱事犯は、国の経済上の利益や納税者の便
宜から「通告処分」によって処理されていました。この通告処分は、不履行となっ
た場合には刑事訴追に移行することから「処分の履行」が前提であり、また、
「犯
則の心証」を立証できない事案は処分できないという問題があったのですが、この
重加算税制度の導入によって、関税ほ脱の犯意の立証が困難な場合であっても、故
意の立証を必要とせず、隠ぺい又は仮装という客観的な事実が明らかであれば重加
算税を課すことができることとなり、この制度の導入に伴って申告納税方式が適用
される貨物については通告処分の対象から除外されることとなり、社会的に影響が
大きく、情状が悪質でほ脱額が高額な事犯に対して、関税法第136条の2※の規定に
より直告発されることとなりました。
※ 関税法第136条の2
「税関職員は、申告納税方式が適用される貨物に係る関税に関する犯則事件の
調査により犯則があると思料するときは、直ちに検察官に告発しなければなら
ない。」
4.関税評価協定と関税定率法基本通達4-1の2(3)の規定
関税評価協定第17条は、
「この協定のいかなる規定も、関税評価のために行われ
た陳述若しくは申告又は提出された文書が真実を述べたものであるかないか又は
正確なものであるかないかについて検討する関税当局の権利を制限し、又はこの
権利について疑義を差し挟むものと解してはならない。
」と規定しています。
また、技術委員会による採択文書勧告的意見10.1では、
「輸入貨物は、協定の下で、
実際の事実に基づいて評価され、事実につき虚偽の情報を含んだいかなる文書も、
協定の趣旨に反する。」と税関が関税評価に関する不正文書の使用を認めず、また、
課税価格決定の後に文書の不正が判明した場合の無効性について各加盟国の国内
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法で規定すべきことを採択したものです。
さらに、附属書Ⅲパラ6においても、
「関税当局が協定の規定を適用するに当た
り、関税評価のために行なわれた陳述若しくは申告又は提出された文書が真実を
述べたものであるかないか又は正確なものであるかないかについて検討すること
の必要性が第17条の規定により認められていること。また、輸入貨物の課税価額
の決定に関連して、申告された又は文書により提出された貨物の価額の構成要素
が十分かつ正確なものであるかないかについての関税当局による確認を目的とす
る検討が同条の規定により認められていること。加盟国は、当該検討を行なうに
当たり、自国の法令及び手続に従い、輸入者に十分な協力を求める権利を有する
こと。を規定しています。
これらの指針から、平成23年3月31日(財関第411号)に関税定率法基本通達41の2に規定する「課税価格の決定の原則により課税価格を決定することができな
い輸入貨物」について、
「輸入取引によらない輸入貨物(4-1の2(1)
)
」及び「輸
入取引において、関税定率法第4条第2項第1号から第4号までのいずれかの号に
掲げる事情のある輸入貨物(4-1の2(2)
)
」に加えて、
「課税価格への疑義が解
明されない貨物」として『例えば、輸入貨物の課税価格を計算する場合において、
当該計算の基礎となる額その他の事項を証明するものとして提出された書類が真実
なものであるか又は正確なものであるかについて疑義がある貨物で、輸入者による
補足説明及び追加書類の提出によっても当該疑義が解明されないものや、補足説明
及び追加書類の提出がされなかった貨物で法第4条第1項に規定する「現実に支払
われた又は支払われるべき価格」等を確認できないものが、これに該当する。なお、
課税価格への疑義が解明されない貨物に該当するとして法第4条第1項の規定によ
り課税価格の計算ができないと判断した場合には、当該判断及びその理由を輸入者
に対して説明するものとする(4-1の2(3)
)
。
』との規定が新たに規定されるこ
ととなりました。
我が国では、「関税法」
、
「関税定率法」
、
「関税暫定措置法」の三法に、課税要件、
納税義務者、税率など関税に関する重要事項が規定されていますが、関税に関す
る調査権限や罰則及び重加算税等に関しての規定は関税法にあり、課税価格の決
定方法等の関税評価に関する規定は、関税定率法にあります。輸入貨物の課税価
格の決定方法を規定する関税定率法第4条から第4条の9の規定は、原則として
その規定の順序に従って優先的に適用され、輸入貨物の評価においてはまず第4
条第1項に規定する「原則的な課税価格の決定方法」が検討されます。この原則
的な課税価格の決定方法は輸入貨物につき輸入取引(輸入国への輸出のための販
売)がされたときによる買手による売手のための支払の総額(現実支払価格)に
その含まれていない限度における運賃等の加算要素の額を加えた額であり、一般
的にこの「現実支払価格」は取引(売買)価格であり仕入書価格となります。し
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かし、仮に輸入申告の際に税関に提出された仕入書等の価格が産業における通常
の基準や相場価格と大きく乖離するといった場合には、当然税関はそのような仕
入書価格に疑義を抱き、輸入者等により提出された仕入書が真実なものか又は正
確なものかについて何らかの補足説明や売買契約書等の追加書類の提出を要求す
ることとなります。その結果、税関の疑義が解明されないものや、補足説明及び
追加書類の提出がなかった場合には「現実支払価格等が確認できない。
」として、
第4条第1項の規定を適用せず、第4条の2から第4条の4の規定により輸入貨
物の課税価格を計算することとなる場合も考えられます。
5.重加算税の賦課
前述の関税法の重加算税に関する規定は、
「過少申告加算税」が課される場合で、
輸入者が課税価格等の基礎となる事実について隠ぺい又は仮装行為を行い、それ
に基づいて申告をしていたときは過少申告加算税に代え、過少申告加算税の額の
計算の基礎となるべき税額の35%に相当する金額の重加算税を課すこととしてお
り、また、「無申告加算税」が課される場合で、輸入者が隠ぺい又は仮装行為を行っ
て輸入(納税)申告をしていなかったときは、無申告加算税の額の計算の基礎と
なるべき税額に係る無申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額の40%に相当
する金額の重加算税が課されるものです(関税法第12条の2、第12条の3、第12
条の4)。この重加算税が課される「事実を隠ぺい又は仮装に該当する場合」とは、
具体的に、
① 仕入書など輸入貨物の課税価格を明らかにする書類の破棄又は改ざんがな
された場合。
(例:輸入取引に係る契約書、往復文書等の原始書類、運賃明細書、保険料明
細書等の通関書類のほか、総勘定元帳、損益計算書等の決算関係書類等)
② 特恵税率を適用するため、原産地証明書を偽造した場合、虚偽の申請に基
づき原産地証明書の交付を受けた場合。
③ 関税割当品目に該当する貨物を他の輸入貨物に紛れ込ませるなど、輸入の
許可を受けないで貨物を輸入しょうとする場合
④ 事後調査の際の具体的事実について税関職員の質問に対し虚偽の答弁を
行っているなど、その一連の事実関係から判断して、輸入申告時における隠
ぺい又は仮装が確認できる場合。
等をいいます(関税法基本通達12の4-1)
。この重加算税の賦課については、日
常の通関業務とはあまり関係のないものと考えておられる通関士が多いと思いま
すが、重加算税の賦課の要件は故意の立証を必要とせず、隠ぺい又は仮装という
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客観的な事実が明らかであれば可能となることから、前記①から④のような状況
が推認されれば重加算税が賦課されることとなり、事後調査で判明する非違につ
いても重加算税の賦課は今後増加していくものと考えられます。
6.事後調査の内容
国民の健康と安全を脅かす輸入禁止や規制のある物品を水際で厳しく取締り、
国内への流入を阻止することは必要不可欠ですが、
「税」については、輸入貨物が
国内に流入した後でも、事後調査で取引関係書類を事後に確認すれば、適正な課
税価格や税額の確定が可能となります。このため、輸入者による当初申告は一応「正
しいもの」として水際での審査、検査を必要最小限にとどめ、仮に通関時に納税
された税額が過少であったとしても、本来納税すべきであった不足税額の徴収や、
延滞税、
過少申告加算税等の付帯税を賦課することで十分対処することができます。
事後調査の基本的対象者は「輸入者(納税義務者)
」であり、
「輸入の委託者(実
質的輸入者)」や「通関業者、保管者、運送業者、転得者、仲介者、銀行、その他
の関係者」も補完的対象者となます。税関はこれらの関係者に対しては、
「質問」
により、また、通関書類・船積関係書類・契約書類・決済書類等の会計帳票等の
関係書類や電子データー等(通関関係書類等の保存は「5年間」となっていますが、
輸入台帳については「7年間」保存しなければならず、これは輸入許可の日の翌
日から起算することとなります。
)については「確認」することで調査を実施します。
税関の具体的な調査の内容は、輸入貨物の価格・数量・納付税額・取引条件といっ
た「課税標準に関する事項」を、また、品名・品質・税番・税率等の「税表分類
に関する事項」等を調査します。また、修更正を行うことのできる除斥期間が5
年のため税関はこの5年の間に輸入された貨物の調査を実施することとなります
(犯罪調査の場合の消滅時効は7年であり、また、より効率的な調査を実施する
ため原則3年前後を目途に調査が実施されています。
)
。税関が調査で確認する主
な書類としては、
① 通関関係種類:輸入/輸出申告書、インボイス、原産地証明書
② 船積関係書類:B/L、アライバルノーティス
③ 契約書類:売買契約書、ライセンス契約書、業務委託契約書、役務契約書
④ 決済書類:L/C、海外送金依頼書
⑤ 会計帳票:総勘定元帳、補助簿、入出金・振替伝票、証票
⑥ その他:稟議書、往復文書、業務用パソコン
等があり、この調査の過程で非違に関する事実の解明が困難な場合や確認を必要とする
場合には補完調査として、輸入貨物の販売先や取引銀行等に対する「反面調査」も実
施されます。
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7.最近の事後調査事績と過去の事後調査事績の比較分析
事後調査における主な非違の態様には次のようなものがあります。
▶ 貨物代金関係(関税定率法第4条第1項の現実支払価格に関する非違)
▶ 運賃関係(関税定率法第4条第1項第1号に関する非違)
▶ 手数料関係(関税定率法第4条第1項第2号イに関する非違)
▶ 無償物品、役務関係(関税定率法第4条第1項第3号に関する非違)
▶ 特許権等の使用料関係(関税定率法第4条第1項第4号に関する非違)
▶ 携帯品課税関係(関税定率法第4条の6に関する非違)
▶ 郵便物課税関係(現実支払価格に関する非違)
▶ 税番適用誤り(分類誤りによる適用税率に関する非違)
▶ 仕入書価格の記載誤りや適用レートの誤り(その他の非違)
これまでの事後調査は、①貨物代金関係 ②加算要素関係(運賃関係、手数料
関係、無償物品及び役務関係、特許権等の使用料関係)に係る非違が大半で推移
していましたが、最近の調査では金額的に「貨物代金関係」の非違が大きく占め
る傾向にあります。
(1)
立入者数、非違率、不足申告額、追徴税額の推移と分析
平成14年度からの10年間の事後調査事績と直近の平成24・25事務年度との事績
で「立入者数(非違者数)、非違率、不足申告額、追徴税額」と「追徴税額の内訳
及び加算税の賦課」の推移を分析してみます。
《立入者数(非違者数)、非違率、不足申告額、追徴税額の推移(図1)
》
年 度
立入者数(非違者数)
非違率
不足申告額
追徴税額
14年
5,011者(2,845者)
  56.8%
985億円
78.2億円
15年
5,088者(3,092者)
  60.8%
962億円
76.0億円
16年
5,223者(3,337者)
  63.9%
1,161億円
108.4億円
17年
5,401者(3,640者)
  67.4%
1,615億円
107.5億円
18年
5,548者(3,836者)
  69.1%
1,553億円
110.9億円
19年
5,865者(4,099者)
  69.9%
1,616億円
112.4億円
20年
6,080者(4,188者)
  68.9%
1,983億円
129.6億円
21年
6,204者(4,356者)
  70.2%
1,980億円
145.2億円
22年
6,031者(4,226者)
  70.1%
1,933億円
135.7億円
23年
6,098者(4,290者)
  70.4%
2,468億円
155.7億円
平均
5,654.9者(3,790.9者)
67.03%
1,625.6億円
115.96億円
24年
4,960者(3402者)
68.6%
1,776億円
298.9億円
25年
3,614者(2427者)
71.3%
902億円
84.2億円
※ 平成24・25事務年度の不足申告額は、課税価格の過大申告分を除く。
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《追徴税額の内訳及び加算税の賦課の推移(図2)
》
年 度
関税額
(A)
消費税額
(B)
追徴税額
(A+B)
加算税額
重加算税額
14年
  24.1億円
  54.1億円
   78.2億円
―
―
15年
  23.1億円
  52.8億円
   75.9億円
―
―
16年
  43.8億円
  64.5億円
  108.3億円
―
―
17年
  21.6億円
  85.8億円
  107.4億円
―
―
18年
  27.0億円
  83.9億円
  110.9億円
―
―
19年
  25.1億円
  87.3億円
  112.4億円
―
―
20年
  21.1億円
108.5億円
  129.6億円
―
―
21年
  36.4億円
108.7億円
  145.1億円
10.6億円
  0.2億円
22年
  32.3億円
103.4億円
  135.7億円
  8.2億円
  1.2億円
23年
  26.3億円
129.4億円
  155.7億円
  6.4億円
  0.4億円
平均
28.08億円
87.84億円
115.92億円
  8.4億円
  0.6億円
24年
205.9億円
  92.9億円
298.9億円
51.6億円
46.1億円
25年
  35.7億円
  48.5億円
  84.2億円
  5.9億円
  1.4億円
※ 追徴税額は、関税及び消費税額の合計額である。
平成14年度以後の事後調査事績の推移を分析すれば、追徴税額は平成16事務年
度に100億円を超え、平成24事務年度に200億円を超えています。平成26年4月か
らの消費税増税の影響はこれからの事後調査事績に反映されてくるものと考えら
れますが、平成24・25事務年度の追徴税額等に大きな変化が見られます。また、
明らかに平成25事務年度の調査事績は非違率及び関税の追徴額を除いて過去10年
間の平均値を大きく下回っており、特に立入者数と非違判明者数の減少と不足申
告額が平成14年度以降では過去最低額となり、また、追徴税額においてもその平
成14・15年度の水準にまで落ち込んでいます(追徴税額の減少については、関税
額の追徴は過去10年の平均値である28.1億円を上回っており、減少の原因は消費税
額の減少によるものです。
)
。
この平成25事務年度の業績の減少については過去の調査における非違上位5品
目の推移表を分析すれば、その理由がわかります。
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(2)
過去の申告漏れ上位5品目の推移と分析
《過去の申告漏れ上位5品目の推移(図3)
》
年 度
14年
1位
電気機器
2位
3位
4位
5位
電気機器
調製食料品
機 械 類
機 械 類
電気機器
織物衣類
織物衣類
機 械 類
編物衣類
編物衣類
飲 料 等
履 物
15年
16年
織物衣類
編物衣類
17年
電気機器
機
18年
19年
電気機器
電気機器
機
機
20年
電気機器
機
21年
22年
電気機器
電気機器
23年
光学機器等
電気機器
調製食料品 機 械
光学機器等 機 械
医療用品 機 械
機 械 類 織物衣
24年
肉 類
電気機器
機
25年
肉 類
電気機器
履
械
械
類
類
織物衣類
織物衣類
光学機器等
編物衣類
編物衣類
木 材 等
械
械
類
類
織物衣類
鉱 石
編物衣類
光学機器等
械
物
類
鉱物性燃料 有機化学品
編物衣類 織物衣類
類
類
織物衣類
電気機器
調製食料品
有機化学品
類
編物衣類
有機化学品
類
類
医療用品
機 械 類
織物衣類
織物衣類
図3の品目別の推移では、平成24年度の「肉類」と「医療用品」
、また平成25事
務年度では「肉類」と「履物」に注目されます。平成14年度から10年間の過去の
事後調査非違の上位5品目は、電気機器(85類)
・機械類(84類)
・織物衣類(62類)
・
編物衣類(61類)が主流であり、これらの品目は、日本の貿易の特徴である逆委
託加工貿易により輸入される貨物の主要な品目であり、これらの物品の輸入では、
輸入貨物の生産及び輸入取引に関連して買手により無償で又は値引きをして直接
又は間接に提供された物品又は役務の費用、具体的には輸入貨物の生産に使用す
る材料・部分品・機械・工具・鋳型といった関税定率法第4条第1項第3号イか
らニに掲げられるものの費用が申告漏れとなっていることによるものです。
しかし、平成24・25年度の肉類・医療用品・履物の非違は、①豚肉の差額関税
に関する非違 ②ロイヤルティに関する非違 ③特恵関税に関する非違 であり、
特に「豚肉の差額関税」に関する非違が注目されます。
実行関税率表の第2類は、
「肉及び食用のくず肉」が分類され、類注の規定は、
「こ
の類には第2101項から第2108項の物品で、食用に適しないものを含まない。
」
、
「く
ず肉には、別段の定めがあるものを除くほか、臓器を含む。
」とされており、現在、
米国とのTPP交渉で話題となっている「牛肉・豚肉」もこの類に分類されます。平
成24・25事務年度の事後調査の上位5品目で1位となった肉類は差額関税の対象と
なる冷凍豚肉に係る高価申告事案であり、平成24年度の不足納付税額は、135億8,771
万円で内国消費税額を含む同年度の追徴額298億9,468万円の約半分(45.45%)を占
めています。また、同年度における不足申告額及び追徴税額並びに重加算税額が過
去最高額となったのもこれらの非違事案によるものとなっています(それまでの追
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徴税額の最高額は平成23事務年度の155億7,907万円、重加算税額の最高額は平成22
事務年度の1億2,980万円です。
)
。
しかし、豚肉に関する非違が上位品目に顔を出すこととなるのは平成24事務年
度からであり、それまでの豚肉の順位は80位代と事後調査で占める非違の割合と
してはかなり低く、23年度以前は豚肉の差額関税制度に係る事案がその性格から
事後調査事案としてではなく、財政事犯の対象として取り組まれていたことを示
しています。
《平成25事務年度上位5品目の過去の順位の推移(財務省発表資料から)
》
事務年度
品目
平成25事務年度
(55.7%)
肉類
電気機器
1位
2位
(18.3%) (12.2%)
履物類
機械類
織物衣類
3位
(9.6%)
4位
(8.4%)
5位
(7.2%)
平成24事務年度
1位
2位
14位
3位
5位
平成23事務年度
83位
4位
12位
3位
6位
平成22事務年度
85位
1位
10位
3位
4位
平成21事務年度
85位
1位
8位
3位
5位
(3)
豚肉の差額関税制度
① 差額関税制度の経緯
豚肉の差額関税制度は、1971年10月に「畜産物の価格安定に関する法律(畜
産法)」が改訂され、それまで制限されていた豚肉の輸入が自由化されたことに
伴って「国内養豚農家を保護する」ために導入された制度であり、輸入豚肉の
価格(輸入申告価格+関税)について農水省が定める基準価格を下回らないよ
う関税を徴収することで、国内に流通する豚肉の価格を一定の水準に調整し、
需要者と国内生産者の受給バランスを図る制度です。
しかし、市場の豚肉相場価格とは関係なくバラ肉等の「一般消費者向けの低
価格の豚肉」には輸入の際に高率となる差額関税(基準輸入価格-輸入価格の
従量税)が課せられ、ヒレ・ロース等の「高級豚肉や高価格の豚肉」には低率
の関税(4.3%の従価税)が課せられることから、結果的には一般消費者等に対
しては不利な税制であるともいえ、現在、日本に輸入されている大半の豚肉が、
ヒレ肉やロースといった高価格帯のものもベリー等の加工原料肉の低価格帯の
ものも輸入時の関税負担が最小となる分岐点価格に近い価格で輸入され、高率
関税となる差額関税を適用した輸入実績がほとんどないという実態から、差額
関税制度は形骸化した機能しない税制であり、改正すべきであるとの意見も多
くあります。
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② コンビネーション価格
豚肉の安価な部位と高価な部位を組み合わせて加重平均した価格で取引価格
を決定し輸入することをコンビネーション輸入といい、このコンビネーション
による一本価格での輸入申告を税関が認めていることで、節税方法として安い
豚肉に高い豚肉を組み合わせて輸入価格をできるだけ基準価格に近づけて輸入
するコンビネーション輸入を俗に「表ポーク」と称しています。しかし、この
コンビネーション輸入には多くの問題があり、例えば、次のような事例でコン
ビネーション輸入の場合と個別の部位毎の価格で輸入する場合との違いを検証
してみます。
イ コンビネーション価格で輸入する場合
高価格部位肉(724/kg)と低価格部位肉(324/kg)の組み合わせ
輸入数量:各部位12,000kg(合計:24,000kg)
平均単価:524円/kg(CIF)
課税価格=524円×24,000kg=12,576,000円(CIF)
納付関税額=12,576,000円×※4.3%=540,768円⇒540,700円
消費税課税価格=12,576,000円+540,700円=13,116,700円
⇒13,116,000円
納付消費税額=13,116,000円×6.3%=826,308円⇒826,300円
地方消費税額=826,300円×17/63=222,969円⇒222,900円
納付税額:1,589,900円…A
⎧
関税額 540,700円
⎜
⎨
消費税額 826,300円
⎜
地方消費税額 222,900円
⎩
※この4.3%の適用は、差額関税を適用した場合と同額となります。
「(546.53円-524円)
×24,000kg=540,720円」
ロ 各部位別に輸入する場合
○高価格部位肉(724/kg)
課税価格=724円×12,000kg=8,688,000円(CIF)
関税額=8,688,000×4.3%=373,584円⇒373,500円
消費税課税価格=8,688,000円+373,500円=9,061,500円⇒9,061,000円
消費税額=9,061,000円×6.3%=570,843円
地方消費税額=570,800円×17/63=154,025円⇒154,000円
○低価格部位肉(324/kg)
課税価格=324円×12,000kg=3,888,000円(CIF)
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関税額=(546.53円-324円)
×12,000kg=2,670,360円
⇒2,670,300円
消費税課税価格=3,888,000円+2,670,300円=6,558,300円
⇒6,558,000円
消費税額=6,558,000円×6.3%=413,154円
地方消費税額=413,100円×17/63=111,471円⇒111,400円
○納付税額
納付関税額=373,584円+2,670,360円=3,043,944円⇒3,043,900円
納付消費税額=570,843円+413,154円=983,997円⇒983,900円
納付地方消費税額=154,000円+111,400円=265,400円
納付税額:4,293,200円…B
⎧
関税額 3,043,900円
⎜
⎨
消費税額 983,900円
⎜
地方消費税額 265,400円
⎩
○AとBとの納付税額の差
納付税額の差額:B-A=2,703,300円
⎧
関税額差額 2,503,200円
⎜
⎨
消費税額差額 157,600円
⎜
地方消費税額差額 42,500円
⎩
イのように高級部位と原料用の部位を組み合わせたコンビネーション価格で
輸入する場合の買手による売手に対する現実支払価格は各部位別に輸入する場
合と同額ですが、コンビネーション輸入の場合の税負担額は、2,703,300円(112.64/
kg)も安くなります。しかし、このコンビネーション輸入の成立にはハムやソー
セージの原料として必要のないヒレやロースといった余計な高級肉を輸入しな
ければならず、その分輸入コストが上昇し、輸入者は高級部位を安く、低価格
の肉の価格を高くして販売することで少しでも利益をあげていかなければなら
ず、その結果、こうした外国産品が国産品と競合して、国内の養豚業者の高価
格帯の市場を脅かし、また、ハムやソーセージ等の加工品の価格が高くなって
一般消費者を苦しめるという現象が起こります。つまり、本来、国内の養豚業
者を保護するための差額関税制度が逆に国内の養豚業者を苦しめるという皮肉
な結果となってしまうのです。
また、このコンビネーション輸入は高級部位肉と安価な原料肉をセットにし
て売買契約を結ぶものであり、実際には各部位毎の取引価格が別途に取り決め
られ、本邦での輸入通関のためだけに加重平均した一本価格で仕入書を作成す
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るといった場合には適用できません。しかし、どちらの場合においても、買手
による売手に対する現実支払価格は同額であるため、特に罪悪感もなく安易に
各部位別の取引形態のものをコンビネーション取引に仮装する手法で輸入する
ケースも多くあります。当然、このような場合には事後調査において問題となり、
結果的に高額の追徴税額を求められることとなります。
③ 裏ポーク輸入
裏ポーク輸入とは、②のようにコンビネーションを組まずバラ肉やもも肉等
の安価な原料肉の価格を故意に高くして(高価申告)差額関税を免れるという
犯罪行為です。このような差額関税制度を悪用した反社会的な犯罪行為に対し
ては「一罰百戒」としての刑事責任を厳しく追及する税関の厳正な調査が必要
となり、毎年財務省が公表する「関税及び内国消費税脱税事件に係る犯則調査
結果」では、豚肉の差額関税制度を悪用して価格を高価に偽って申告し高額の
関税を不正に免れた関税法違反事件の告発が後を絶ちません。平成25年11月7
日に財務省の発表による「豚肉の差額関税制度を悪用した更正及び告発事案」
は以下のとおりです。
○事後調査によるもの
更正年月
仕 出 地
追徴税額
平成24年12月
平成25年5月
平成25年6月
カナダ、米国
カナダ、米国
デンマーク、米国、カナダ、チリ、
スペイン、ハンガリー
デンマーク、米国、カナダ、チリ、
スペイン、ハンガリー
約8千万円
約4億6千万円
約135億9千万円
平成25年6月
約41億1千万円
○犯則調査によるもの
告発年月
平成23年10・11月
平成24年5月
平成24年5月
平成25年2・3月
仕 出 地
デンマーク
米国、カナダ、デンマーク
米国、カナダ、チリ
カナダ、フランス
ほ脱関税額
約4千万円
約136億3千万円
約21億1千万円
約6億9千万円
この更正の追徴額や告発事案の関税ほ脱額は事実関係の立証が可能となった
申告に係るものであり、実際に免れた関税額はこれらの額をはるかに超える額
となります。
通常、輸入貨物の関税を意図的に軽減するには輸入貨物の価格を低くする、
いわゆる「アンダーバリュー」という手法が用いられますが、前述の裏ポーク
のように差額関税の対象となる低価格帯の豚肉については、仕入書の価格を分
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岐点価格帯付近にまで高価に操作(524円/kgに高価申告)することによって関
税負担を最小にするため、過払金の還流方法や実額送金のための裏口座が必要
となり、犯則調査の解明には告発に至るまで多くの困難性が伴い、検察部門に
よるこのような犯罪調査の解明には長期にわたる調査担当職員の地道な努力が
必要とされます。
例えば、悪質な関税ほ脱事犯にあっては、マンションの一室に輸入会社を設
置し、借名等で複数の銀行口座を開設して海外への送金や輸入後の貨物の流通
経路を複雑に操作するといった方法で税関の調査を困難にし、仮に、事犯の全
貌がほぼ解明されたとしても、主体となる法人の解散や実行行為者の逃亡等に
よって事犯を告発することができなくなるといった場合もあるのです。
(4)
冷凍豚バラ肉の高価申告事例(裏ポークの事例)
例えば、外国産「FROZEN PORK BELLY(冷凍豚バラ肉)
」について、1コン
テナ(24,000kg)を輸入するとして、実際の取引(売買)価格が324円/kg(CIF)
のものの仕入書価格を分岐点価格である524円/kg(CIF)と操作し、価格を200円/
kg高価に偽って申告した場合は次のようになります。
① 実際の取引価格(324円/kg)で申告した場合(差額関税適用)
課税価格=324円×24,000kg=7,776,000円(CIF)…イ
納付関税額=(546.53円-324円)
×24,000kg=5,340,720円
⇒5,340,700円
消費税課税価格=7,776,000円+5,340,700円=13,116,700円
⇒13,116,000円
納付消費税額=13,116,000円×6.3%=826,308円⇒826,300円
地方消費税額=826,300円×17/63=222,969円⇒222,900円
納付税額:6,389,900円…A
⎧
関税額 5,340,700円
⎜
⎨
消費税額 826,300円
⎜
地方消費税額 222,900円
⎩
② 仕入書価格を分岐点価格524円/kg(CIF)と操作した場合(従価税適用)
(200円/kg高価申告した場合)
課税価格=524円×24,000kg=12,576,000円(CIF)…ロ
納付関税額=12,576,000円×4.3%=540,768円⇒540,700円
(この場合、「(546.53円-524円)×24,000kg=540,720円」となり差額関税適用
の場合と同額となる。
)
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消費税課税価格=12,576,000円+540,700円=13,116,700円
⇒13,116,000円
納付消費税額=13,116,000円×6.3%=826,308円⇒826,300円
地方消費税額=826,300円×17/63=222,969円⇒222,900円
納付税額:1,589,900円…B
⎧
関税額540,700円
⎜
⎨
消費税額826,300円
⎜
地方消費税額222,900円
⎩
③ 不足申告価格及び不足納付税額
不足申告価格:△4,800,000円(ロ-イ)高価申告のためマイナス
不足納付税額:4,800,000円…(A-B)
⎧
不足関税額 4,800,000円
⎜
⎨
不足消費税額 0円
⎜
不足地方消費税額 0円
⎩
つまり、冷凍豚バラ肉1コンテナ(24,000kg)を輸入するに当たり、実際の取引
価格324円/kg(CIF)のものをkg当たり200円高価申告した場合には、関税不足納
付額は4,800,000円となりますが、消費税及び地方消費税の不足納付額は発生しない
こととなります(差額関税が適用されない通常の輸入貨物であれば、税率の高い
消費税の不足税額が関税の不足税額をかなり上回ります。
)
。
新聞等で報じられている差額関税制度を悪用した豚肉の関税ほ脱事犯では、差
額関税の対象となるハム、ソーセージ等の加工用に使用される安価な部位肉の輸
入に際して、関税ほ脱の目的で意図的に価格を高価に操作して不正な申告を行っ
ており、例示のように1申告における関税の不足納付額は高額なものとなります。
つまり、豚肉の差額関税制度を悪用した輸入申告に対する事後調査では、①高額
な不足関税額が発生 ②高価申告のため不足申告額はマイナス ③消費税等の不
足税額は通常よりも僅少 ③調査に要するマンパワーと調査期間は大きく増加 となり、平成24・25事務年度の豚肉に対する事後調査の強化は平成24年度までの
過去10年間の調査事績とはその結果の数値からも大きく異なることとなったこと
が理解できます。
8.まとめ
平成24年4月4日財関第335号において、関税局長から各税関長に「豚肉の輸入
申告に係る審査・検査の充実等について」の文書が通達され、
「輸入申告に際し、
異なる部位について分岐点価格に近い同一の単価を記載しているもの」について、
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差額関税制度を適切に運用し、適正な通関を確保するとして豚肉の輸入申告に係
る審査・検査は従来の契約書の写し等の提出や再販売先及び販売価格の聴取に加
え、輸出国における仕入書価格を裏付ける資料や部位ごとの単価設定の妥当性を
客観的に証明する資料の提出を求め、輸入申告に係る貨物の検査に際し、部位の
識別、重量に着目した深度ある検査の周知徹底を図り、農林水産省等の関係機関
との協力や海外税関との情報交換により、豚肉の輸入申告に係る審査・検査の充
実と強化が周知されました。平成24・25事務年度の豚肉に対する事後調査は、平
成23年の財関第411号における基本通達4-1の2(3)の新設とこの周知を背景
として行われており、平成24年度以降の立入者数や非違判明者数の減少は、豚肉
の調査が長期間にわたり、かつ、困難性が伴うことからして当然の帰結であり、
平成24年度の追徴税額ではそれまでの常識をはるかに超える298.9億円と過去10年
間の平均追徴額115.9億円を大幅に超えるものとなり(特に関税の追徴額にあって
は205.9億円と平均値28.1億円の約7.3倍)、また、平成25事務年度において立入者数
等がさらに減少していることについても、平成25事務年度内に着手し、事績発表
の時点ではまだその調査を終了していない者に係るものが数値化されていないと
すれば実際の同年度における事後調査の評価は公表された数値と異なったものと
なります。
通関業法第2条(定義)は、「通関業務」として「他人の依頼によってする通関
手続に関する税関官署の調査につき、税関官署に対してする主張又は陳述の代行」
を規定しています。また、通関業法第15条(更生に関する意見の聴取)では、
「通
関業者が他人の依頼に応じて税関官署にした納税の申告について、増額更正すべ
き場合において、関税率表の所属又は課税価格の差違その他関税関係法令の適用
上の解釈の相違に起因するものであるときは、税関長は、通関業者に対し、当該
相違に対し意見を述べる機会を与えなければならない。」旨が規定されています。
事後調査についても、原則として通関士が通関業務に従事する通関業者が代行し
た納税申告についての調査に立会い、必要に応じ、関税率表の分類、課税価格の
決定、特恵税率の適用等の法令の適用上の解釈について、輸入者に助言し、又は
税関に対して意見を述べることができるものであり、輸入者が要請するときは、
他の通関業者が代行した納税申告についても、輸入者に助言することは差し支え
ないものと考えられています。これは、税関長による増額の更正が、納税申告者
にとって不利益な処分となることから、専門的知識に基づき代理申告した通関業
者に対し、「更正に関する意見の聴取」の機会を与えたものであり、この通関士の
事後調査への立会は、通関士の資質の向上策の一つとして、平成11年1月から実
施されていますが、実際に通関士が事後調査に立会い、通関業者の権利として税
関長に意見を述べるといった実態はほとんどみられません。
これは数日にわたる事後調査に通関士が時間を割けないことや税関長の更正に
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ついては法律の適用や解釈に係る問題を十分に審査検討した結果であるためと考
えられますが、例えば、課税価格の計算の基礎となる輸入取引や売手及び買手の
認定、代理人の役務に対する手数料の加算の要否、特許権等の使用の対価(ロイ
ヤルティ)に係る販売の条件であるか否かの認定、特殊関係による取引価格への
影響の有無の認定や関税定率法第4条の2から第4条の4の規定を適用する際の
具体的な課税価格の算出方法については税関と通関業者の間でもっと意見の交換
が行われてもよいのではないでしょうか。
本誌1月号に昨年の通関士試験に合格された通信添削研修の受講生の皆さんの
感想が掲載されていましたが、合格された皆様の努力やご苦労には頭が下がる思
いです。しかし、先輩通関士の皆様は通関士となった後の知識の向上策はどのよ
うに工夫されているのでしょうか。通関業連合会では関税評価や品目分類等につ
いて事例討議による通関士専門研修を各地で実施していますが、全国の通関士の
数からみると受講者の数はごく一部に過ぎません。企業側としては「限られた職
員から研修に人員を割くことが難しい。」との理由もあるのでしょうが、参加され
た通関士の方々の感想が「受講して大変よかった。今後の業務に活かしたい。
」と
いう意見が多く寄せられており、是非、通関士の方々が自己研鑽に努められる環
境の整備をお願いするとともに、より多くの通関士が積極的にこれらの研修を活
用し、受講して頂きたいと思っています。
私見ですが、将来の事後調査は、優秀な通関士を有するAEO事業者等が関係す
る輸入申告等にあっては、税関と通関業者の相互信頼によって簡素な調査方法と
して、例えば、除斥期間(5年)をフルに活用した調査間隔の延長、調査日数の
短縮、内部監査等による申し出の簡易処理といった方法が検討され、一方、仮に
調査に困難性が伴うとしても豚肉の調査に限らず真に必要とされる悪意の者や重
大な非違が見込まれる未接触輸入者等に対してはより多くのマンパワーを投入し、
これまでにない新たな切り口と十分な準備調査による絞り込んだ厳格な調査が全
国規模で重点的に実施される方向となるのではないでしょうか。
現在、平成29年度の次期NACCSの稼働に連携した電子化・ペーパーレス化への
通関業務の取組みが進められており、税関の事後調査手法についてもそれに対応
した、より機械的かつ効率的な手法に変わっていくものと推測されます。通関手
続を代理・代行する通関士は、EPA・TPPの進展等ますます複雑化する通関業務
を適正に行うための原則は、法令の正しい解釈と運用であり、顧客である大半の
店社が善良な納税者であることを念頭におけば、信頼される通関士として関税評
価や品目分類等の専門知識の向上に努め、適正申告による事後調査非違の減少、
依頼者(顧客)に対する適正な通関手続きの指導等日々の通関業務に追われるの
ではなく税関と納税者の中間で通関士の果たすべき役割は今後ますます期待され
るものとなるのではないでしょうか。
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《参考:差額関税制度》
1.取引価格が分岐点価格(524円/kg)以上の豚肉については、関税額は、4.3%の従
価税が適用されます。
2.取引価格が524円~64.53円/kgの豚肉の関税額は、基準輸入価格(546.53円/kg)と
の差額関税(関税額=基準輸入価格546.53円-輸入価格)が適用されます。
(※従価税換算税率は、4.3%~746.94%となります。
)
3.輸入価格が64.53円以下の豚肉の関税額は、482円/kgの従量税が適用されます。
(※従価税換算税率は、746.94%~∞となります。
)
以上
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各通関業会業務報告
東 京
31日 大井通関協議会
12月1日 日豪経済連携協定に係る業務説明会
横
(本関地区)
2日 日豪経済連携協定に係る業務説明会
(成田地区)
8日 日豪経済連携協定に係る業務説明会
(本関地区) 10日 二水会・役員会
〃 廣瀬副会長黄綬褒章受章等祝賀会
12日 密輸撲滅キャンペーン(芝浦通関協議
会)
16日 日豪経済連携協定に係る業務説明会
(新潟地区)
18日 本関通関協議会
1月7日 三業会役員賀詞交換会(ホテルグラン
パシフィック LE DAIBA)
15日 平成26年度下期通関従業者研修成績
優秀者表彰式
浜
12月4日 横浜通関業会理事会
5日 通関士部会委員会
8日 バーゼル法等説明会
9日 本関地区通関協議会
16日 大黒地区通関協議会
〃 宇都宮地区通関協議会
17日 日豪経済連携協定に係る業務説明会
〃 本牧地区通関協議会
〃 千葉地区通関協議会
〃 鶴見地区通関協議会
18日 宮城地区通関協議会
19日 川崎地区通関協議会
〃 山下地区通関協議会
22日 横須賀地区通関協議会
24日 航空貨物分会会員協議会
20日 本関通関協議会
1月14日 本関地区通関協議会
21日 原産地規則説明会(本関地区)
20日 大黒地区通関協議会
〃 通関業会研修委員会
〃 第43回通関士実務研修会講師との打
〃 日豪経済連携協定発効後の業務説明会
(本関地区)
22日 通関業セミナー(連合会と共催) 27日 総務委員会
21日 宇都宮地区通関協議会
29日 平成26年度会計監査
〃 本牧地区通関協議会
〃 千葉地区通関協議会
〃 鶴見地区通関協議会
22日 宮城地区通関協議会
〃 原産地規則説明会(成田)
30日 日豪経済連携協定発効後の業務説明会
(本関地区)
合せ会議
〃 羽田通関協議会
〃 川崎地区通関協議会
〃 成田通関協議会
〃 第342回横浜通関業会理事会
〃 東航通関協議会
〃 第275回三木会
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23日 山下地区通関協議会
26日 通関士部会委員会
1月15日 大阪通関業会理事会
28日 航空貨物分会会員協議会
〃 通関営業所責任者研修
30日 通関業会特別研修委員会
〃 賀詞交換会
との連絡会
神
戸
22日 通関士部会役員会
〃 通関士部会役員と大阪税関業務担当官
との連絡会議
12月5日 神戸通関士部会 通関連絡協議会合同
連絡会議(神戸メリケンパークオリエ
27日 日豪EPAに関する勉強会(第2回)
ンタルホテル)
名古屋
8日 平成26年第2回通関従業者研修成績
優秀者表彰式
9日 摩耶地区通関連絡協議会(港友会)役
員との意見交換会
11日 第12回海上輸出入通関・海上物流等
WG(東京)
1月8日 通関士部会 総務・システム委員会
15日 第13回海上輸出入通関・海上物流等
WG(川崎)
12月2日 四日市支部品目分類研修
〃 四日市支部通関士部会懇談会
3日 理事会・一水会(理事・監事)
9日 本関通関事務研究会
11日 通関士部会幹事会
16日 清水支部通関士部会支部定例会
〃 清水支部沼津地区通関懇話会
17日 稲永地区通関懇談会
〃 空港通関事務研究会・意見交換会
との意見交換会
〃 清水支部浜松地区通関懇話会
21日 通関士部会 定例役員会
22日 平成26年度通関業セミナー(東京)
20日 PI地区通関連絡協議会(港島会)役員
22日~23日 平成27年 通関士教養研修
大
阪
22日 清水支部焼津地区通関担当者連絡会
25日 清水支部興津地区通関担当者連絡会
12月4日~6日
通関士部会特別研修(台湾視察研修)
9日 日豪EPAに関する説明会(京滋地区・
舞鶴地区)
〃 加工再輸入減税(暫8)の取扱いに係
る説明会
16日 「女性通関士支援WG」
(第2回)西日
本WG
18日 第6回システム委員会
〃 四日市支部通関士部会、通関事務研究
会
1月5日 清水支部平成27年新年名刺交換会
13日 本関通関事務研究会
15日 一木会・研修委員会・通関士部会幹事
11日 通関士部会和歌山地区協議会
〃 清水支部通関事務研究会
18日 西部通関事務研究会
会
20日 清水支部通関士部会支部定例会
〃 清水支部沼津地区懇話会
〃 四日市支部通関業事務研修
21日 稲永地区通関懇談会
〃 空港通関事務研究会
〃 清水支部浜松地区通関懇話会
〃 通関士部会役員会
〃 通関士部会役員と大阪税関業務担当官
22日 西部通関事務研究会
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22日 清水支部通関事務研究会
26日 清水支部興津地区通関担当者連絡会
27日~29日 原産地規則研修
27日 四日市支部通関士部会、通関事務研究
会
扱いに関するガイドライン」
29日 第22回「下関地区会議」
・通関非違、評価、危険度ラック等に
29日 四日市支部役員会、二木会
ついて説明
30日 本関地区会議開催
門
司
12月5日 経済産業省説明会「安全保障管理」(於
博多税関支署)
8日 苅田税関出張所及び苅田地区会員との
・最近における税関行政について
業務部管理課長
・収納事務の留意点について
業務部収納課長
意見交換
長
10日 関税局によるEPA説明会 博多税関支
署及び門司税関本関
11日 税関幹部と業会役員との連絡会(本関
地区)
12月2日 八代地区通関事務連絡協議会
8日 佐世保地区通関事務連絡協議会
9日 熊本・熊空・三角地区通関事務連絡協
17日 会員周知文書の発出「年末年始期間中
崎
議会
における輸出入通関等の取扱いについ
て」
〃 EPA原産地規則等に係る研修の案内
10日 通関非違事例の案内
〃 水俣地区通関事務連絡協議会
18日 第139回通関士部会福岡支部全体会議
・福岡検疫所食品監視課 厚生労働省
12日 日豪EPA説明会(熊本市)
15日 通関業務講習会(長崎地区)
16日 〃 (三池地区)
HPの見方等
・税関からの周知、指示事項、非違状況
1月9日 第5回全国女性会議事前打合せ 女性
通関士2名 事務局
15日 次期NACCS海上合同WG 〃 会員周知「不備のあるオーストラリア
協定原産品申告書の取扱」
19日 福岡地区連絡会
21日 大分地区連絡会議
「税関行政について意見交換」
27日 第140回博多地区全体会議
・勉強会 カニの輸入手続きのポイント
・非違事例の紹介等、原本提出の取扱、
識別コード以外の入力等
について説明。
〃 会員周知「特定個人情報の適切な取り
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(通関業務講習会)
「税関行政について意見交換」
17日 日豪EPA関連情報(発効日)の案内
24日 長崎地区通関事務連絡協議会
〃 志布志地区通関事務連絡協議会
25日 平成26年度通関士試験結果・概要の
案内
1月6日 原産地規則に係る資料の案内
13日 自己申告制度に係る通関業務料金等の
案内
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14日 平成27年度通関士試験・通信添削研
修受講の案内
16日 日豪EPA発効に伴う原産地証明書の提
出の案内
28日 特定個人情報保護の適正な取扱いの案
内
函
館
1月28日 通関業務連絡会(札幌)
〃 通関業務連絡会(小樽)
〃 通関業務連絡会(千歳)
29日 通関業務連絡会(苫小牧)
〃 通関業務連絡会(八戸)
〃 通関業務連絡会(室蘭)
30日 通関業務連絡会(釧路)
〃 通関業務連絡会(秋田)
12月1日~2日
沖
新任通関士及び通関業務従業者講習会
(函館)
10日 日豪EPAに係る説明会(税関主催:札
幌)
縄
12月1日 那覇港保全対策協議会
3日 EPA説明会
19日 日豪EPA説明会(主催:沖縄地区税関)
24日 通関業務連絡会(苫小牧)
〃 通関業務連絡会(室蘭)
25日 通関業務連絡会(函館)
〃 通関業務連絡会(小樽)
〃 通関業務連絡会(釧路)
16日 通関士部会
〃 通関業務連絡会(千歳)
21日 平成26年度第4回通関連絡会(沖縄
26日 通関業務連絡会(札幌)
〃 通関業務連絡会(八戸) 〃 通関業務連絡会(秋田)
27日 通関業務連絡会(函館)
1月13日 安全保障貿易管理説明会(主催:沖縄
総合事務局)
15日 那覇港利用促進協議会(主催:那覇港
管理組合)
地区税関)
26日 財務省関税局審議官と当会三役との意
見交換会
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発行所:一般社団法人 日本通関業連合会
東京都港区虎ノ門2-3-20 虎ノ門YHKビル8階
TEL: 03-3508-2535 FAX: 03-3508-7796
E-mail: [email protected]
URL: http://www.tsukangyo.or.jp/
編集兼発行人:加 藤 浄 孝
※本会報からの転載については、あらかじめご連絡下さい。
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mar. 2015
Japan Customs Brokers Association
平成26年度通関業セミナーの開催 講師:NHK解説委員 出川 展恒 氏
第5回全国女性通関士会議を開催
EPA原産地規則研修の開催
第21・22回通関士専門研修 講師の感想
いいこときかくコーナー
通関業会だより
EPA・FTAに興味をお持ちの通関業者の皆様へ
各通関業会定時総会の開催
特別掲載 最近の事後調査事績と今後の展望
各通関業会業務報告
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