ムーディーズのグローバル短期格付 Moody`s Global Short

CREDIT POLICY
MARCH 20, 2015
CROSS-SECTOR
RATING
METHODOLOGY
ムーディーズのグローバル短期格付
Moody’s Global Short-Term Ratings
はじめに
目次:
1
はじめに
事業会社、金融機関、ソブリン、米国
外のサブ・ソブリンに付与される短期
2
格付
米国の地方自治体の短期格付
5
付録Ⅰ:短期格付システムの起源
6
付録 II
9
付録Ⅲ
10
付録 IV
11
コンタクト:
東京
03.5408.4210
本稿は、グローバル・スケールの短期格付に基づく、ムーディーズの短期格付の
アプローチの要約である。本稿は、ムーディーズの格付手法“Moody's Global
Short-Term Ratings" (Moody's Investors Service, October 2012) (ムーディーズ・ジャパ
ン版「ムーディーズのグローバル・スケール短期格付」(2012 年 12 月)を代替す
るものである。今回、内容を拡大して新たに本稿を発行したのはムーディーズの
従来の格付慣行の透明性を高めるためであり、従って本稿の発表に伴って格付
の変更が行われることはなく、従来の格付慣行が変更されることはない。
ムーディーズの短期格付は、コマーシャル・ペーパー(CP)を含む短期金融債務
が、期日に返済される可能性と、支払が行われなかった際の損失の規模を、相
対的に表すムーディーズの意見である。本稿では短期格付を決定する要因に
ついての追加的な指針を提示し、格付の長期的パフォーマンス評価に用いるデ
フォルトと格付遷移に係わる指標について説明を加えた。短期格付は通常、発
行体に対し付与されるものであるが、短期プログラムまたは個々の短期債務証
券に付与されることもある。格付対象債務の当初償還期限は 13 ヶ月以内である。
ムーディーズが格付を付与する短期債務の発行体は、事業会社、政府、金融機
関、中央政府(ソブリン)、地方政府(サブ・ソブリン)である。証券化ビークルの短
期格付に用いられる格付手法については、ムーディーズの格付手法“Moody's
Approach to Rating Asset-Backed Commercial Paper” (Moody's Investors Service,
March 2015) (ムーディーズ SF ジャパン版「アセット・バック・コマーシャル・ペー
パーに対するムーディーズの格付アプローチ」(2015 年 3 月)を参照されたい。
ムーディーズは、グローバル・スケールの短期格付に基づいて、短期格付を付
与する。短期格付は、格付対象発行体の相対的な短期債務返済能力を示すも
のである。
This rating methodology is based on Moody’s Investors
»
P-1 短期債務の返済能力が極めて高い発行体(または信用補完提供者)に
対する格付
»
P-2 短期債務の返済能力が高い発行体(または信用補完提供者)に対する
格付
»
P-3 短期債務の返済能力が許容しうる程度である発行体(または信用補完
提供者)に対する格付
»
NP 「プライム」のどの格付範疇にも属さない発行体(または信用補完提供
者)に対する格付
Service’s rating methodology titled “Moody’s Global
Short-Term Ratings, (March 16, 2015).” The rating
approach described in the Moody’s Investors Service
report was adopted on March 20, 2015.
ムーディーズ SF ジャパン株式会社は、金融商品取引法
の下で金融庁に登録された信用格付業者であるが、
NRSRO(米国 SEC の登録を受けた格付機関)ではない。
従って、ムーディーズ SF ジャパン株式会社の信用格付
は、日本で登録された信用格付業者の信用格付である
が、NRSRO の信用格付ではない。
ムーディーズ SF ジャパン株式会社
CREDIT POLICY
短期格付は明示的なデフォルト率を想定して付与されるものではないが、プライムに格付され
た発行体が短期債務でデフォルトに陥る可能性は極めて低いと予想される。実際、短期債務
の過去のデフォルト率は非常に低く、P-1 からP-3 へと格付スケールが下がるに従ってごく漸
進的に上昇し、NPの債務者に至ってデフォルト率がより有意に上昇する 1。
事業会社、金融機関、ソブリン、米国外のサブ・ソブリンに付与される短期格付
長期格付と短期格付のドライバーとなる信用特性は共通
短期格付を付与された発行体の大半は、長期信用格付も付与されている。一般に、長期格
付が高い発行体ほど短期債務のデフォルトリスクも小さい。この関係は、長期的に長期債務が
デフォルトに陥る可能性が低いと判断する根拠となる発行体の信用特性は、短期的に短期債
務がデフォルトに陥る可能性が低いと判断する根拠となる発行体の信用特性と同じであるとい
う比較的単純な理由で説明できる。高位の長期格付を付与された発行体は、突然かつ予想
外のデフォルトや支払い不能に陥る可能性を低下させる潤沢な流動性、堅固な営業基盤、十
分な資本バッファーといった特徴を含む、強固な信用プロファイルを有している。
プライムに格付される事業会社や銀行以外の金融機関の発行体は通常、契約に基づく信用
枠や流動資産の形で十分な流動性を維持しており、短期および長期の債券市場へのアクセ
スが閉ざされても、最低 1 年は耐えられると期待される。子会社の長期格付や短期格付に、
ほぼ確実と見込まれる迅速な親会社のサポートを織り込む場合があり、親会社の格付が子会
社の格付の主要なあるいは唯一の決定要因となることもある。親会社との間で保証契約では
ない支援契約が結ばれている重要な子会社はこのケースに該当しうる。そのようなケースでは、
当該子会社の流動性を評価するに当たって、親会社が持つ流動性ソースを考慮することもあ
る。
銀行の短期格付を判定する分析は、長期格付と短期格付の決定に第三者によるサポートの
可能性を考慮する必要があるため、それだけ複雑になる。プライムに格付される銀行も、一般
に、流動資産、無担保銀行間市場へのアクセス、中央銀行からの資金調達に使用できる十分
な量の適格担保などの形で流動性を維持している。銀行に付与される長期格付および短期
格付は、親会社、政府、中央銀行、その他のソースからのサポートが期待される場合、それら
を考慮する。プライムに格付される銀行は通常、銀行以外の発行体と同様、短期および長期
の債券市場へのアクセスが閉ざされても最低 1 年は耐えられる十分な流動性を保有している
と期待される。しかし、単独での流動性プロファイルがプライム格付に相当しない銀行であっ
ても、現在サポートを受けていたり、破綻や支払い不能を防ぐために必要となるサポートを将
来受けられることがほぼ確実に予想できる場合、プライムの格付が付与される場合がある。た
だし、継続的に外部サポートに大きく依存している銀行は、通常、Prime-1 の格付には相当し
ないとみなされる。
プライムに格付されるソブリン主体も、通常、流動性や国際資本市場へのアクセスに制約がな
く、プライムに格付される地方政府発行体および非営利発行体も契約に基づく信用枠や流動
資産の形で十分な流動性を維持する。
そのため、発行体に付与する短期格付を決定する主要な要因となるのは当該発行体の長期
的なデフォルトリスクである。その結果、発行体の短期格付は、通常、表 1 に示すマッピング
に従って、長期格付から導出される 2。また長期格付の決定に用いられる格付手法(重要な
要因として流動性分析が含まれる)は、短期格付にも直接適用される。これらの格付手法はム
本件は信用格付付与の公表では
ありません。文中にて言及されて
いる信用格付については、
ムーディーズのウェブサイト
(www.moodys.com)の発行体の
ページの Ratings タブで、最新の
格付付与に関する情報および
格付推移をご参照ください。
2
MARCH 20, 2015
1
コホート・ベースで 365 日のデフォルト率の上昇を示した付録Ⅱを参照されたい。Prime-1 がわずか 6 ベーシス・ポイント、
Prime-2 が 12 ベーシス・ポイント、Prime-3 が 53 ベーシス・ポイントに対して、Not Prime は 168 ベーシス・ポイントとなっ
ている。
2
A2 が Prime-2 にマッピングされなくなった点を除いて、表 1 の対応関係は元の 2010 年 6 月のレポートの対応表と変わ
っていない。現在、Prime-2 にマッピングする A2 の発行体は存在しないので、マッピング表の変更は既存の格付に影響
せず、格付慣行も変更されない。
ムーディーズ SF ジャパン クロス・セクター格付手法:ムーディーズのグローバル・スケール短期格付
CREDIT POLICY
ーディーズのウェブサイト上に公開されており、 “Index of Rating Methodologies” のリンクを通
じて入手できる。
表1
グローバル・スケールの長期格付と短期格付の標準的マッピング
Short Term
長期格付
短期格付
Rating
Long Term Rating
Aaa
Aa1
Aa2
Prime-1
Aa3
A1
A2
A3
Prime-2
Baa1
Baa2
Prime-3
Baa3
Ba1, Ba2, Ba3
B1, B2, B3
Not Prime
Caa1, Caa2, Caa3
Ca, C
注: 表 1 のマッピングでは特定の長期格付から導出される短期格付に一部重複がみられるが、A3 から Baa2 の長期格付の発行体は P-2
に、Baa3 の長期格付の発行体は P-3 にマッピングされるケースがほとんどである。また、長期格付の見通しと混同される恐れがあるこ
とから、短期格付に別途、格付見通しを付与することはない。特に、複数の長期格付に一つの短期格付を対応させることで、スケール
上の一部で重複があることなどを考慮してそのようにしている。
長期格付から短期格付へのマッピングにおける実務慣行
表 1 のマッピングが示すように、プライムに格付される債務者は、グローバル・スケールの長期
格付では投資適格等級でなければならない。マッピングは長期債務と短期債務の信用リスク
の密接な関連性を反映して意図的にやや機械的なものなっている。前述の通り、他の条件が
ほぼ同じであれば、長期格付が低くなれば、長期債務のデフォルトリスクが高くなるだけでなく、
短期債務のデフォルトリスクも高くなるとみなされる。
表 1 のマッピングでは長期格付から導出される短期格付に一部重複があるが、長期格付が
A3 から Baa2 の発行体はほぼ常に P-2 にマッピングされる。
稀に標準的なマッピング関係から外れるケースがある。それは、長期格付に通常よりも高い格
付遷移リスクがあり、かつ / または短期的なデフォルトリスクに影響を与える代替流動性準備
の面で強みまたは弱みが見受けられるなどのムーディーズの見方を反映する場合などに多い。
Prime-1 に格付されるコマーシャル・ペーパーは極めて高い返済確率を想定しており、このレ
ベルにある銀行以外の発行体(あるいは中央銀行に直接アクセスできない銀行)は極めて強
固な流動性を維持していると期待される。そのような流動性には、通常、最低でも、コマーシャ
ル・ペーパーの予想最大発行残高を含む短期債務総額に相当する、契約による銀行信用枠
などの代替流動性準備が含まれる。それらのバックアップ流動性ファシリティは、コマーシャ
ル・ペーパーを発行する市場において当日渡しの資金の調達が可能で、また借り手の財務
状況に係わる重大な変更条項に関連する調達制限が付されていないものでなければならな
い。相当額の現金に近い短期投資が長期にわたり安定的なレべルで維持されている場合、
流動性分析でその一部をプラスに評価する場合がある。信頼性の高い流動性を保有してい
ない場合、通常、格付が A2 以上であっても銀行以外の発行体の場合は、コマーシャル・ペ
ーパーに対しては Prime-1 の格付を取得できない。保守的な流動性対策が採られていない
場合、長期格付だけでなく、短期格付も低く評価されることがある。
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MARCH 20, 2015
ムーディーズ SF ジャパン クロス・セクター格付手法:ムーディーズのグローバル・スケール短期格付
CREDIT POLICY
発行体が A3/P-1 に格付けされる例は極めて少ない。あるとすれば、発行体の長期格付が
(蓋然性はあるが確実ではないイベントによって)短い期間内に引き上げられることがほぼ確
実に予想される場合のみである。従って、そのような状況では、A3/Prime-1 の格付はごく短期
間しか維持されない傾向がある。また、同様に稀なケースとして、短期的には格付がより高い
関係会社や政府のサポートがほぼ確実であるが、長期的にはそれほど予測可能でない場合
も、P-1 の短期格付が A3 の長期格付と短期間両立する場合がある。
通常のマッピング関係が成立しないケースには、付与された特定の短期格付が、発行体の短
期債務および長期債務に係わるデフォルトリスクに重大な乖離を生み出す外部保証、信用補
完などの要因の影響を受ける場合がある。たとえば、親会社が子会社発行体の短期債務を
保証する場合など、子会社の短期格付が自身の長期格付ではなく親会社の長期格付にマッ
ピングされる例がこれに当たる。
最後に、発行体が現時点で長期格付やそれに代わるものを取得していない場合がある。その
ような場合は非公表の推定される長期発行体格付から短期格付を導出する。
Prime から Not Prime への格付遷移リスクは、長期格付の投機的等級への格付遷移リ
スクを反映する
表 1 のマッピングは、長期格付から予想される短期格付のデフォルトリスクだけでなく、債務
者の長期格付の投資適格等級から投機的等級への遷移リスクも反映する。言い換えると、発
行体の短期格付がPrimeからNot Primeに低下する遷移リスクは、債務者の長期格付が投資
適格等級から投機的等級に低下する遷移リスクと直接結びついている。グローバル短期格付
システムが初めて開発された時には、P-1 の格付が付与された発行体あるいは証券は、最低
3 年間、P-2 の格付は最低 2 年間、P-3 の格付は最低 1 年間、 Not Prime に遷移しないと想
定されていた 3。
ここで重要な点は、表 1 のマッピングは一対一の関係ではないので、個別発行体の格付が
Prime から Not Prime に遷移するリスクは、当該発行体の長期格付によって決まることである。
たとえば、Aa1 の格付を有する P-1 の発行体が Not Prime に遷移するリスクは、A2 の格付を
有する P-1 の発行体が Not Prime に遷移するリスクよりも大幅に低い。同様に、P-1 の発行体
の Not Prime への平均遷移率は、P-1 の格付の発行体の長期格付分布によって決まる。
過去における短期格付の Prime から Not Prime への遷移率を示した付録Ⅲのデータは、P-1
の格付の発行体が 3 年の間に Not Prime に引き下げられる確率は平均 1.9%であることを示
している。一方、P-2 の格付の発行体が 3 年間で Not Prime に遷移する確率は平均 8.8%で
あり、P-3 の格付の発行体が同期間に Not Prime に遷移する確率は 26.2%だった。プライム・
スケール全体を通じてデフォルト率が極めて低い率にとどまるのとは対照的に、Not Prime へ
の遷移リスクはプライムの格付スケールを下がるに従って急激に上昇する。
過去における長期格付の投資適格等級から投機的等級への遷移率を示した付録Ⅳのデー
タは、付録Ⅲで示した過去における Prime から Not Prime への短期格付の遷移率に対応す
る。たとえば、過去における P-1 の格付の 3 年間の Not Prime への遷移率は 1.9%で、A2 の
格付の 3 年間の投機的等級への遷移率 3.7%や、A3 格付の同期間の遷移率 5%より顕著に
低い。P-1 の Not Prime への遷移率は A2 および A3 の投機的等級への遷移率よりも低い。P1 の格付の発行体の長期格付は、その多くが A2 または A3 より高いことが理由である。たとえ
ば、2011 年 12 月時点で、P-1 の格付の発行体の約 37%が Aa3 以上、A1 は P-1 格付の発
行体の 25%、A2 は 35%だった。
これに対し、P-3 にマッピングされるのは、通常、Baa3 の格付の発行体のみなので、過去にお
ける Baa3 の投機的等級への平均遷移率は P-3 の Not Prime への平均遷移率に極めて近い。
3
4
MARCH 20, 2015
付録Ⅰに Thomas McGuire が 1990 年に短期格付の誕生、その意味、短期格付と遷移リスクとの密接な関係について行
ったスピーチを再録した。
ムーディーズ SF ジャパン クロス・セクター格付手法:ムーディーズのグローバル・スケール短期格付
CREDIT POLICY
たとえば、P-3 の 3 年間の Not Prime への平均遷移率は 26.2%で、Baa3 の投機的等級への
3 年間の平均遷移率は 24.4%だった。一般的に、個々の短期格付の Prime から Not Prime
への遷移リスクは、その発行体の長期格付の投機的等級への遷移リスクで決まる。
表 1 の標準的マッピングは、過去の短期債務に係わる格付遷移リスクが発行体のタイプによ
って異なったとしても、全てのタイプの発行体に適用される。たとえば、付録Ⅲの過去の遷移
データは、金融機関に付与された短期格付 P-1 と P-2 の Not Prime への遷移率が、非金融
一般会社よりも僅かながら高かったことを示している。同様に、付録Ⅳでは、A2 から Baa2 まで
の長期格付の場合、金融機関の投機的等級への遷移率が非金融一般会社よりも高かったこ
とを示している。金融機関、とりわけ銀行は、他のタイプの格付が同程度の発行体に比べて、
本来的に不安定化ショックの影響を受けやすい。そのため、長期格付が A3 の銀行に P-1 の
格付を付与することはほとんどない。その銀行の格付見通しがネガティブか安定的な場合は
特にそうである。他方、ムーディーズは、全ての銀行が本来的に格付遷移リスクを抱えている
にも関わらず、A2 の格付の銀行に P-1 格付を付与するのをためらわない。銀行は通常、中央
銀行からの外部流動性の供給を期待できることがその理由である。
米国の地方自治体の短期格付
米国の地方自治体の短期格付は通常、信用状または流動性ファシリティを裏付けとする非課
税 CP プログラムに付与される。そのため、地方自治体の短期格付は、当該地方自治体の長
期格付ではなく、信用補完提供者の長期格付にマッピングされるのが一般的である。
また、ムーディーズは、ここで述べた短期格付スケールとは別の 2 つの米国地方自治体向け
の短期格付スケールを用いて米国地方自治体を格付している。1 つ目は、MIG(Municipal
Investment Grade)格付で、満期 3 年以下の地方自治体債務に適用される。限定的ではある
が長期発行体格付にマッピングされる場合もあり、債務の満期時に失効する。MIG 格付の説
明と格付手法については、ムーディーズの格付手法"US Bond Anticipation Notes" (Moody’s
Investors Service, April 2014)を参照されたい。
2 つ目は、米国地方自治体の短期変動金利要求払い債(VRDO)の格付で、VMIG(Variable
Municipal Investment Grade)と呼ばれる 2 つの要素から構成される格付システムを用いる。第
1 の要素は、約定通りの元利返済に関連するリスクの評価を表わす。第 2 の要素は、償還請
求時に購入価額相当を回収できる能力(「要求特性」)に関するリスクの評価を表わす。VMIG
格付は発行体の長期格付にマッピングされるが、図表 1 のマッピングとは異なる。VMIG 格付
と格付手法については、ムーディーズの格付手法"Variable Rate Instruments Supported by ThirdParty Liquidity Providers" (Moody’s Investors Service, March 2015) を参照されたい。この他、銀行
借入枠ではなく発行体自身の流動性を裏付けとするコマーシャル・ペーパーや債券にも短期
格付が付与される。ムーディーズの格付手法“Rating Methodology for Municipal Bonds and
Commercial Paper Supported by a Borrower’s Self-Liquidity” (Moody’s Investors Service, January 2012)
を参照されたい。
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MARCH 20, 2015
ムーディーズ SF ジャパン クロス・セクター格付手法:ムーディーズのグローバル・スケール短期格付
CREDIT POLICY
付録Ⅰ:短期格付システムの起源
ムーディーズの「プライム」短期格付システムの機能と実績
1990 年 9 月 13 日、ニューヨーク市ピエールホテルで開催されたゴールドマン・サックス・セミナー
におけるムーディーズ・インベスターズ・サービス、エグゼクティブ・バイスプレジデント、Thomas I
McGuire のスピーチ
本日、私は、この場にお集まりの皆様に最もお役に立つスピーチをしたいと考え、2 つの関連
するテーマに沿ってお話をすることにしました。
1 つ目のテーマは、ムーディーズのプライム格付の各カテゴリーが意味するものは何かです。
といっても、公表されている定義ではなく(正直なところ公表されている定義は限られた情報し
か伝えていません)、そのような定義の背後にある格付システムの運用上の考え方について
説明させていただきます。それを説明することで、ムーディーズの格付とはどんなものか、ムー
ディーズはそれをどのように使って投資家の皆様のお役に立とうとしているかを最も良く理解
いただけると信じます。その説明の中で、ムーディーズがシステムを運用するにあたって自ら
設定したエラーテスト、すなわちいくつかのパフォーマンス目標についても触れます。ご想像
の通り、この社内目標は、それらを達成することで当社のプライム・システムに対する短期市場
の投資家の皆様の信頼を維持できると判断して、考え出されたものです。
次に、ムーディーズは過去、これらの内部的なパフォーマンス目標をどの程度達成してきたか
について少しお話をします。将来が過去と似たものになるかどうかは誰も断言できませんが、
ムーディーズの短期格付の実績の趨勢線は、現在の市場環境において皆様が投資戦略を
再評価する上で何らかの形でお役に立つでしょう。
プライム格付システムを開発した人たちは、ファンダメンタルズに基づく信用分析には制約が
あることを十分承知していました。彼らは、それを理解した上、その制約の中で信用格付に対
する短期投資家の要請に応えようとしました。
ムーディーズがコマーシャル・ペーパーの格付に関わるようになったのはつい 1971 年のこと
です。ムーディーズは、その格付の歴史のほとんどの期間、もっぱら債券格付のみに従事し
てきました。ムーディーズは、今も昔も、主に発行体の内部キャッシュ生成能力に注目して債
券格付を行ってきました。ムーディーズは、様々なレベルのストレスを課したシナリオを想定し、
発行体のキャッシュフロー生成が債務の元利返済をどれだけ上回るかを推計します。他の条
件が等しい場合、内部キャッシュフローで確定された金融費用を賄う発行体の安全余裕度が
高ければ、それだけ債券の格付が高くなります。
コマーシャル・ペーパーの分析は、ムーディーズにそれまでなかった課題を課すことになりま
した。コマーシャル・ペーパーの満期は極めて短いため、ストレスを受けた発行体のほとんど
が、内部的に生成されたキャッシュフローでコマーシャル・ペーパーの満期の元利金返済を
行うことができなくなります。その意味で、彼らは古典的な意味での債券の安全余裕度を有し
ていません。財務逼迫に陥ったそれらの発行体は、資金を供給してもよいという新たな貸し手
を探して、満期が到来したコマーシャル・ペーパーの元利返済を行わなければなりません。
それは、発行体をプライムの範疇から外す決定、コマーシャル・ペーパーの通常の投資家に
とって不適格な発行体に指定する決定こそが、このシステムのかなめ石ともいうべき最も重要
な格付決定となることを意味しました。言い換えると、その発行体を Not Prime に格付する時
点がこのシステムの事実上のカギになります。CP 投資家への返済を確保するために、財務が
悪化した発行体が、存続可能な銀行与信先として、バックアップライン提供者(通常は銀行)
を見つけられる間に、その決定を行う必要があります。そのような格付アクション(発行体を
Not Prime に落とす決定)は、コマーシャル・ペーパー格付業務でも正にアートとも呼ぶべき
部分になるとムーディーズは考えています。
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ムーディーズ SF ジャパン クロス・セクター格付手法:ムーディーズのグローバル・スケール短期格付
CREDIT POLICY
その他の格付、Prime-1、 Prime-2、 Prime-3 は、一義的には、Not Prime と判定されるまでの
時間的距離の指標と解釈することができます。その考え方は、投資家が買った特定の格付レ
ベル(たとえば、Prime-1)の証券が、満期までに 1 格付カテゴリーを超えて低下しないように
することです。そのため、発行体のプライム格付を取り下げざるを得ないほど財務状況が悪化
するまでどのくらい時間がかかるかを突き詰めて分析します。発行体の状況が悪化し始めた
場合に、当該証券が現在の格付カテゴリーで持ち堪える時間を与えるため、業界と発行体の
固有の安全余裕度を設定・調整します。状況の悪化に長く時間がかかり、それが緩やかで可
視的であればあるほど、格付は高くなります。
この説明で、システムの運営に用いるエラーテストの内容が皆様に示唆されると思います。
システムの絶対的ルールの一つとして、購入時にプライムと格付された発行体から購入された
コマーシャルペーパー・ノートに関しては常に連銀支払いの小切手が用意されていなければ
いけません。それは一つには、プライム格付のノートに限定して運用する資金運用担当者を
信用問題で決して失職させないためです。それこそがムーディーズの事業の唯一最重要の
運営目的だからです。当初プライムに格付されていたノートがデフォルトを起こすとしたら、プ
ライム格付のシステムは既に破綻しており、直接、その分析の任に当たった社員はムーディー
ズの全社員の生活を脅かしていることに他なりません。
2 番目のエラーテストは、Prime-1、2 あるいは 3 という格付レベルのそれぞれの等級が正しく
付与されているかどうかを判定するもので、格付システム自体の中での変化の速度を測るもの
です。ムーディーズは、投資家が購入したノートが1格付等級を超えて引き下げられる事態が
起こらないよう、格付カテゴリーの許容度を設定しようとします。言い換えると、当初格付が
Prime-1 の投資家が購入したノートが P-2 よりも下の格付カテゴリーに引き下げられることはあ
ってはならないと考えます。また、当初格付が Prime-2 のノートを買った投資家のノートが、そ
れを購入した投資家のポートフォリオに留まっている間に Not Prime に引き下げられることが
あってもなりません。
万一、そのような大幅な格付変更があったら、格付の責任者達は自身のアクションの説明を
求められます。まず、当初の格付が間違っていたと推定して議論を開始します。そしてもっと
早くに実際のリスクレベルを認識できなかった理由を示すようアナリストに求めます。そこでは
余り厳しい態度をとらないよう注意します。なぜなら、ムーディーズが最も望まないことは、周り
の批判を恐れる余り、アナリストが自分では間違っていると考えている格付をそのままにしてお
くことだからです。ムーディーズは、間違いを起こし、その結果、ノート保有者にリスクがある場
合には、ためらうことなく、それを今後の購入者に警告したいと思っています。前にも述べまし
たように、我々が何にも増して大事と考えるのは、ムーディーズがプライムと格付したノートで
投資家が決してデフォルトに遭わないようにすることなのです。
ムーディーズはどの程度目標を達成してきたか
ムーディーズは、コマーシャル・ペーパーの格付を開始して以来、3,196 の発行体にプライム
格付を付与してきました。現在、米国の CP 市場で資金調達を行っているノートについて、発
行額ベースで約 98%、発行体ベースで 95%に格付を付与しています。ご存じと思いますが、
最近の政府発表数字によると、米国の CP 市場は 1972 年の 350 億ドルから約 5,500 億ドル
へと着実に規模が拡大しています。
その間、13 の発行体の 11 億ドル以上に上るコマーシャル・ペーパーがデフォルトに陥りまし
た。米国市場と海外市場の両方で CP に損失が発生しました。
デフォルトに陥った発行体は、Manville、 Integrated Resources、 Wang Labs、 Wang Credit、
Colorado Ute、 Lomas Financial、 Equitable Lomas Leasing、 DFC New Zealand Ltd、 Drexel
Burnham Lambert、 Mortgage and Realty Trust、 Codec、Washington Bancorp、Stottler です。
プライム格付の発行体に運用を限定していた投資家は、これらの全部ではなくとも、ほとんど
のデフォルトを免れました。ムーディーズがコマーシャル・ペーパーの格付を開始してから 19
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ムーディーズ SF ジャパン クロス・セクター格付手法:ムーディーズのグローバル・スケール短期格付
CREDIT POLICY
年の間に、売り出し時にプライムに格付されていた 3 つの格付発行体が総額 872 億ドルのコ
マーシャル・ペーパーでデフォルトに陥りました。
それらの発行体は Manville、Colorado Ute、Equitable Lomas Leasing です。この 3 件のデフォ
ルトは、ムーディーズの最初のエラーテストをパスしませんでした。個別にみていきます。
Manville のデフォルトは 1982 年 8 月 26 日に発生しました。発行体のデフォルト時の格付は
プライムで、1,320 万ドルのノートの返済が滞りました。元本と未払金利の返済は 1988 年に始
まり、1991 年 6 月までには完済される予定です。
次は Colorado Ute のケースでした。同社は、米国西部にある小規模な発電事業協同組合で
した。同組合は 1989 年 3 月 15 日に REA(農村電化事業団)のローンでデフォルトを起こした
後、1989 年 8 月 17 日に 1,900 万ドルのコマーシャル・ペーパーでデフォルトを起こしました。
コマーシャル・ペーパーの金利は会社更生を申請した 1990 年 3 月 30 日まで継続的に支払
われました。ノートホールダーが被った最終損失額はまだ確定していません。
最後は、1989 年 9 月 12 日に 5,300 万ドルのコマーシャル・ペーパーでデフォルトを起こした
Equitable Lomas Leasing です。同社はノートの金利を支払い続け、1990 年 4 月 30 日までに
元利金が全て返済され、投資家に損失は発生しませんでした。
次に第 2 のエラーテストに移ります。これは付与したプライム格付に付与された数字記号の精
度を測るものです。どれくらいの頻度で、ノートの当初格付を 2 等級引き下げざるを得なかっ
たでしょうか。出来る限り正確な判定に努めた結果、この 8 年間で、そのようなケースが最大で
100 件発生していることが分かりました。
この棒グラフは、360 日の間に格付が 1 格付水準を超えて(たとえば Prime-1 から Prime-3 に)
引き下げられた回数を示しています。それらのケースのほとんどは、RJR ナビスコのような、資
本基盤が突然悪化した時のような、格付が急激に低下する状況で発生しました。
これまでご説明してきたように、そのような1等級を飛び越える格付変更は、各年初に有効で
あった格付数の 1%に達しません。また、これらの数はアウターリミットである点も強調しておき
たいと思います。短期投資家が 360 日満期のノートを購入することは普通ありません。
プライム格付システムは、投資家に購入決定に資する正確かつ安定的な枠組みを提供してき
たというのがムーディーズの結論です。質の高いプライム格付に運用を限定してきた投資家
がこれまでに被った損失は極めて小さかったことが正確さの証明となります。リスク変化を反映
する格付の変更は緩やかかつ慎重に行われてきたことが安定性を裏付けています。
1989 年と 1990 年にみられたデフォルトの増加傾向が今後も継続するかどうかは正直、我々
にも分かりません。デフォルトの増加をもたらした原因の一つは、投資家の利回り追求姿勢と
利回りを達成するためのリスク選好の高まりです。その流れは反転したように思われます。
とはいえ、地平には他にも暗雲が垂れ込めています。経済全般をみても企業セクターをみて
もレバレッジが高まっており、米国はどうやらリセッション入りしつつあるようにみえます。銀行
セクターは過剰資金供給、資産の質、政治批判をかわすために損失を機関投資家に負担さ
せようとする規制当局の姿勢などの問題に苦しんでいます。銀行自体の信用の質という面で
も、バックアップ契約に基づく義務履行意欲の面でも、銀行セクターはこれまで以上に困難を
抱えています。
これらの要因はすべて要警戒です。ムーディーズはその点を認識しており、それらの要因を
吸収するため、プライム格付に織り込む許容度の調整を行っていきます。とはいえ、今後、当
社がどのようなパフォーマンスを示すか予測する手だてはありません。皆さんに言明できること
は一つ、我々は誰が我々の生活を支えているかを明確に理解しているということです。今後も、
質の高いプライム・ノートしか購入しない投資家の皆さんが信用リスクに係わる問題に巻き込
まれることが絶対に無いように最善を尽くして参ります。
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MARCH 20, 2015
ムーディーズ SF ジャパン クロス・セクター格付手法:ムーディーズのグローバル・スケール短期格付
CREDIT POLICY
付録 II
短期格付のデフォルト率*
(1983-2011 年 格付取り下げの調整済み)
1年
企業全体
非金融一般企業
金融機関
2年
企業全体
非金融一般企業
金融機関
P-1
0.057%
0.029%
0.093%
P-1
0.126%
0.066%
0.205%
P-2
0.118%
0.082%
0.275%
P-2
0.334%
0.229%
0.780%
P-3
0.528%
0.510%
0.593%
P-3
1.112%
1.145%
1.003%
NP
1.682%
1.535%
1.999%
NP
3.352%
3.015%
4.078%
3年
企業全体
非金融一般企業
金融機関
P-1
0.227%
0.128%
0.358%
P-2
0.582%
0.421%
1.267%
P-3
1.507%
1.529%
1.435%
NP
4.795%
4.389%
5.669%
* デフォルトを起こしたが、デフォルト時に短期債務は存在しなかった可能性がある発行体を含む。
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MARCH 20, 2015
ムーディーズ SF ジャパン クロス・セクター格付手法:ムーディーズのグローバル・スケール短期格付
CREDIT POLICY
付録Ⅲ
短期格付の NP への遷移率
(1983-2011 年、格付取り下げの調整済み)
1年
企業全体
非金融一般企業
金融機関
P-1
0.35%
0.34%
0.36%
P-2
2.76%
2.32%
P-3
16.02%
3年
2年
企業全体
非金融一般企業
金融機関
P-1
1.01%
0.99%
1.04%
4.61%
P-2
5.99%
5.28%
9.00%
15.97%
16.18%
P-3
22.49%
23.03%
20.54%
企業全体
非金融一般企業
金融機関
P-1
1.89%
1.87%
1.92%
P-2
8.79%
8.18%
11.39%
P-3
26.23%
26.97%
23.57%
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MARCH 20, 2015
ムーディーズ SF ジャパン クロス・セクター格付手法:ムーディーズのグローバル・スケール短期格付
CREDIT POLICY
付録 IV
長期格付の投資的各等級から投機的等級への遷移率
(1983-2011 年、格付取り下げの調整済み)
1年
企業全体
非金融一般企業
金融機関
2年
企業全体
Aaa
0.00%
0.00%
0.00%
Aaa
0.02%
0.00%
0.03%
0.05%
Aa1
0.18%
0.23%
0.15%
Aa1
0.07%
0.11%
非金融一般企業
金融機関
Aa2
0.09%
0.07%
0.11%
Aa2
0.46%
0.40%
0.50%
Aa3
0.14%
0.20%
0.10%
Aa3
0.49%
0.54%
0.46%
A1
0.65%
0.73%
0.56%
A1
1.53%
1.35%
1.73%
A2
0.74%
0.66%
0.87%
A2
2.10%
1.86%
2.52%
1.75%
A3
3.08%
2.37%
4.47%
3.24%
Baa1
5.47%
5.17%
6.36%
8.46%
8.09%
9.73%
18.99%
19.38%
17.58%
A3
1.26%
Baa1
2.37%
1.01%
2.08%
Baa2
4.22%
3.80%
5.66%
Baa2
Baa3
11.51%
11.53%
11.42%
Baa3
3年
企業全体
非金融一般企業
金融機関
Aaa
0.02%
0.00%
0.04%
Aa1
0.43%
0.28%
0.52%
Aa2
0.97%
1.02%
0.93%
Aa3
0.91%
0.70%
1.06%
A1
2.51%
2.00%
3.11%
A2
3.73%
3.28%
4.54%
A3
5.01%
4.13%
6.71%
Baa1
8.14%
8.06%
8.36%
Baa2
12.41%
12.22%
13.03%
Baa3
24.37%
25.07%
21.83%
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MARCH 20, 2015
ムーディーズ SF ジャパン クロス・セクター格付手法:ムーディーズのグローバル・スケール短期格付
CREDIT POLICY
ムーディーズ SF ジャパン株式会社
〒105-6220
東京都港区愛宕 2 丁目 5-1
愛宕グリーンヒルズ MORI タワー 20F
Report Number:
著者
Kenneth Emery
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179817 (English)
プロダクション・アソシエイト
高瀬 美紀
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著作権表示(C)2015 年 Moody' s Corporation、Moody's Investors Service, Inc.、Moody’s Analytics, Inc. 並びに(又は)これらの者のライセンサー及び関連会社(以下、総称して「ムーディーズ」といい
ます)。無断複写・転載を禁じます。
Moody's Investors Service, Inc.及び信用格付を行う関連会社(以下「MIS」といいます)により付与される信用格付は、事業体、与信契約、債務又は債務類似証券の相対的な将来の信用リス
クについての、ムーディーズの現時点での意見です。ムーディーズが発行する信用格付及び調査刊行物(以下「ムーディーズの刊行物」といいます)は、事業体、与信契約、債務又は債務
類似証券の相対的な将来の信用リスクについてのムーディーズの現時点での意見を含むことがあります。ムーディーズは、信用リスクを、事業体が契約上・財務上の義務を期日に履行で
きないリスク及びデフォルト事由が発生した場合に見込まれるあらゆる種類の財産的損失と定義しています。信用格付は、流動性リスク、市場価値リスク、価格変動性及びその他のリスク
について言及するものではありません。信用格付及びムーディーズの刊行物に含まれているムーディーズの意見は、現在又は過去の事実を示すものではありません。ムーディーズの刊行
物はまた、定量的モデルに基づく信用リスクの評価及び Moody’s Analytics, Inc.が公表する関連意見又は解説を含むことがあります。信用格付及びムーディーズの刊行物は、投資又は財
務に関する助言を構成又は提供するものではありません。信用格付及びムーディーズの刊行物は特定の証券の購入、売却又は保有を推奨するものではありません。信用格付及びムー
ディーズの刊行物はいずれも、特定の投資家にとっての投資の適切性について論評するものではありません。ムーディーズは、投資家が、相当の注意をもって、購入、保有又は売却を検
討する各証券について投資家自身で研究・評価するという期待及び理解の下で、信用格付を付与し、ムーディーズの刊行物を発行します。
ムーディーズの信用格付及びムーディーズの刊行物は、個人投資家の利用を意図しておらず、個人投資家が何らかの投資判断を行う際にムーディーズの信用格付及びムーディーズの刊
行物を考慮することは、慎重を欠く行為です。もし、疑問がある場合には、ご自身のフィナンシャル・アドバイザーその他の専門家にご相談することを推奨します。
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はできません。
ここに記載する情報は、すべてムーディーズが正確かつ信頼しうると考える情報源から入手したものです。しかし、人的及び機械的誤りが存在する可能性並びにその他の事情により、ムー
ディーズはこれらの情報をいかなる種類の保証も付すことなく「現状有姿」で提供しています。ムーディーズは、信用格付を付与する際に用いる情報が十分な品質を有し、またその情報源が
ムーディーズにとって信頼できると考えられるものであること(独立した第三者がこの情報源に該当する場合もあります)を確保するため、すべての必要な措置を講じています。しかし、ムー
ディーズは監査を行う者ではなく、格付の過程で又はムーディーズの刊行物の作成に際して受領した情報の正確性及び有効性について常に独自に確認することはできません。
法律が許容する範囲において、ムーディーズ及びその取締役、役職員、従業員、代理人、代表者、ライセンサー及びサプライヤーは、いかなる者又は法人に対しても、ここに記載する情報
又は当該情報の使用若しくは使用が不可能であることに起因又は関連するあらゆる間接的、特別、二次的又は付随的な損失又は損害に対して、ムーディーズ又はその取締役、役職員、
従業員、代理人、代表者、ライセンサー又はサプライヤーのいずれかが事前に当該損失又は損害((a)現在若しくは将来の利益の喪失、又は(b)関連する金融商品が、ムーディーズが付与
する特定の信用格付の対象ではない場合に生じるあらゆる損失若しくは損害を含むがこれに限定されない)の可能性について助言を受けていた場合においても、責任を負いません。
法律が許容する範囲において、ムーディーズ及びその取締役、役職員、従業員、代理人、代表者、ライセンサー及びサプライヤーは、ここに記載する情報又は当該情報の使用若しくは使用
が不可能であることに起因又は関連していかなる者又は法人に生じたいかなる直接的又は補償的損失又は損害に対しても、それらがムーディーズ又はその取締役、役職員、従業員、代理
人、代表者、ライセンサー若しくはサプライヤーのうちいずれかの側の過失によるもの(但し、詐欺、故意による違反行為、又は、疑義を避けるために付言すると法により排除し得ない、その
他の種類の責任を除く)、あるいはそれらの者の支配力の範囲内外における偶発事象によるものである場合を含め、責任を負いません。
ここに記載される情報の一部を構成する格付、財務報告分析、予測及びその他の見解(もしあれば)は意見の表明であり、またそのようなものとしてのみ解釈されるべきものであり、これに
よって事実を表明し、又は証券の購入、売却若しくは保有を推奨するものではありません。ここに記載する情報の各利用者は、購入、保有又は売却を検討する各証券について、自ら研究・
評価しなければなりません。
ムーディーズは、いかなる形式又は方法によっても、これらの格付若しくはその他の意見又は情報の正確性、適時性、完全性、商品性及び特定の目的への適合性について、(明示的、黙
示的を問わず)いかなる保証も行っていません。
Moody's Corporation (以下「MCO」といいます)が全額出資する信用格付会社である Moody's Investors Service, Inc.は、同社が格付を行っている負債証券(社債、地方債、債券、手形及び CP を
含みます)及び優先株式の発行者の大部分が、Moody's Investors Service, Inc.が行う評価・格付サービスに対して、格付の付与に先立ち、1500 ドルから約 250 万ドルの手数料を Moody's
Investors Service, Inc.に支払うことに同意していることを、ここに開示します。また、MCO 及び MIS は、MIS の格付及び格付過程の独立性を確保するための方針と手続を整備しています。MCO
の取締役と格付対象会社との間、及び、MIS から格付を付与され、かつ MCO の株式の 5%以上を保有していることを SEC に公式に報告している会社間に存在し得る特定の利害関係に関す
る情報は、ムーディーズのウェブサイト www.moodys.com 上に"Investor Relations-Corporate Governance-Director and Shareholder Affiliation Policy"という表題で毎年、掲載されます。
オーストラリアについてのみ:この文書のオーストラリアでの発行は、ムーディーズの関連会社である Moody's Investors Service Pty Limited ABN 61 003 399 657(オーストラリア金融サービス認可
番号 336969)及び(又は)Moody's Analytics Australia Pty Ltd ABN 94 105 136 972(オーストラリア金融サービス認可番号 383569)(該当する者)のオーストラリア金融サービス認可に基づき行わ
れます。この文書は 2001 年会社法 761G 条の定める意味における「ホールセール顧客」のみへの提供を意図したものです。オーストラリア国内からこの文書に継続的にアクセスした場合、
貴殿は、ムーディーズに対して、貴殿が「ホールセール顧客」であるか又は「ホールセール顧客」の代表者としてこの文書にアクセスしていること、及び、貴殿又は貴殿が代表する法人が、直
接又は間接に、この文書又はその内容を 2001 年会社法 761G 条の定める意味における「リテール顧客」に配布しないことを表明したことになります。ムーディーズの信用格付は、発行者の
債務の信用力についての意見であり、発行者のエクイティ証券又はリテール顧客が取得可能なその他の形式の証券について意見を述べるものではありません。リテール顧客が、ムーディ
ーズの信用格付に基づいて投資判断をするのは危険です。もし、疑問がある場合には、ご自身のフィナンシャル・アドバイザーその他の専門家に相談することを推奨します。
日本についてのみ:ムーディーズ・ジャパン株式会社(以下、「MJKK」といいます。)は、ムーディーズ・グループ・ジャパン合同会社(MCO の完全子会社である Moody’s Overseas Holdings Inc.の
完全子会社)の完全子会社である信用格付会社です。また、ムーディーズ SF ジャパン株式会社(以下、「MSFJ」といいます。)は、MJKK の完全子会社である信用格付会社です。MSFJ は、全
米で認知された統計的格付機関(以下、「NRSRO」といいます。)ではありません。したがって、MSFJ の信用格付は、NRSRO ではない者により付与された「NRSRO ではない信用格付」であり、
それゆえ、MSFJ の信用格付の対象となる債務は、米国法の下で一定の取扱を受けるための要件を満たしていません。MJKK 及び MSFJ は日本の金融庁に登録された信用格付業者であり、
登録番号はそれぞれ金融庁長官(格付)第 2 号及び第 3 号です。
MJKK 又は MSFJ(のうち該当する方)は、同社が格付を行っている負債証券(社債、地方債、債券、手形及び CP を含みます。)及び優先株式の発行者の大部分が、MJKK 又は MSFJ(のうち該
当する方)が行う評価・格付サービスに対して、格付の付与に先立ち、20 万円から約 3 億 5,000 万円の手数料を MJKK 又は MSFJ(のうち該当する方)に支払うことに同意していることを、ここ
に開示します。
MJKK 及び MSFJ は、日本の規制上の要請を満たすための方針と手続も整備しています。
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MARCH 20, 2015
ムーディーズ SF ジャパン クロス・セクター格付手法:ムーディーズのグローバル・スケール短期格付