東海経済レポート（2015 年 3 月）

2015 年 3 月 17 日
東海経済レポート（2015 年 3 月）
～景気は緩やかな回復が続く～
経済調査室（名古屋）
1．足元の経済情勢
 生産は、1 月に前月比+2.5%と 3 ヵ月連続で増加。業種別では、生産用機械
と輸送機械が全体を牽引。
 設備投資については、その先行指標とされる金属工作機械の国内受注額が、
1 月に前年比+12.3%と 18 ヵ月連続でプラス。
 輸出額（円ベース）は、1 月に前月比▲0.7%と 2 ヵ月振りに減少。
 雇用関連では、1 月の愛知県の有効求人倍率が 1.55 倍と、2 ヵ月連続で上
昇・改善。他県も同様の傾向。
 個人消費では、1 月の百貨店・スーパー・コンビニエンスストアの小売主
要 3 業態の販売が前年比+3.2%と 9 ヵ月連続でプラス。1 月の新車販売台数
は前年比▲20.4%と、大幅マイナス転化。
 住宅着工は、1 月に年率換算で 7.2 万戸と、下げ止まりの兆し。
2．当面の注目点・リスク要因
 足元までの月次指標は、東海経済が緩やかなペースながら成長を続けてい
ることを示唆。
 ただ、海外の動向に目を転じると、米国の金融緩和「出口戦略」開始がも
たらす影響、デフレ懸念を強める欧州と構造調整の只中にある中国の先行
き、資源価格下落とそれを背景としたロシアなど資源国を中心とした新興
国経済の悪化などに、留意が必要な状況である。

東海経済にとっての当面の注目点は、①業績改善の大きい企業・産業を起
点として域内全体の賃金・給与等の上昇率が高まり、また、国内設備投資
が拡大することなどを通じて、好影響が地域内へ広く波及していくかどう
か、②資源国経済・金融市場の変調が地域経済へ悪影響を及ぼすことはな
いか、などと考える。
1
2015 年 3 月 17 日
生産① 1 月の鉱工業生産指数は前月比
+2.5%と 3 ヵ月連続で増加。
生産② 業種別では、生産用機械と輸送機
械が全体を牽引。
（2010年=100）
125
（前月比寄与度、%）
12
その他
電子部品・デバイス
生産用機械工業
輸送機械
東海
東海
120
全国
115
8
110
105
4
100
95
90
0
85
80
-4
75
70
-8
65
08
09
10
11
12
13
14
13/01 13/04 13/07 13/10 14/01 14/04 14/07 14/10 15/01
（年/月）
15 （年）
（注）1. 季節調整値。
2. 東海は愛知、岐阜、三重の3県。
（資料）中部経済産業局「管内鉱工業の動向」等より
三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成
（注）1. 季節調整値。
2. 東海は愛知、岐阜、三重の3県。
（資料）中部経済産業局「管内鉱工業の動向」等より
三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成
設備投資 10-12 月期の資本金 10 億円以上金属工作機械受注（国内）設備投資の
の大企業の設備投資（除くソフトウェア）は、先行指標とされる金属工作機械の国内受注
前年比+0.3%と、プラスへ転じた。
額は、1 月に前年比+12.3%と 18 ヵ月連続で
プラス。
（億円）
（前年比、%）
（前年比、%）
350
50
250
受注額（東海）
40
前年比（東海、右目盛）
300
30
200
前年比（全国、右目盛）
20
10
250
150
200
100
150
50
100
0
0
-10
-20
非製造業（東海）
製造業（東海）
-30
50
全産業（全国）
-40
-50
全産業（東海）
0
-50
04
07
10
-100
07
13 （年、四半期）
（注）1. 東海は愛知、岐阜、静岡、三重の4県。
2. 資本金10億円以上の企業を対象。
（資料）東海財務局「四半期別法人企業統計調査」より
三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成
08
09
10
11
12
13
14
15
（年）
（注）1. 東海は中部経済産業局管内の主要8社。
2. 受注額は当室による季節調整値。
（資料）中部経済産業局「金属工作機械受注状況」等より
三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成
輸出 1 月の輸出額（円ベース）は、前月比雇用 1 月の愛知県の有効求人倍率は 1.55
▲0.7%と 2 ヵ月振りに減少。
倍と、2 ヵ月連続で上昇・改善。他県も同様
の傾向。
（2008/1=100）
140
（倍）
輸出全体
アジア（除く中国）
米国
130
120
2.2
中国
中東
EU
愛知県
2.0
岐阜県
1.8
三重県
110
100
90
1.6
静岡県
1.4
全国
80
1.2
70
1.0
60
0.8
50
0.6
40
0.4
30
08
09
10
11
12
13
14
0.2
15 （年）
08
（注） 1. 当室による季節調整値。
2. 愛知、岐阜、三重、静岡、長野の5県。
（資料）名古屋税関「管内貿易概況」より
三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
09
10
11
12
13
14
15
（注）1. 有効求人倍率=有効求人数÷有効求職者数。
2. 季節調整値。
（資料）厚生労働省「一般職業紹介状況」より
三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成
2
（年）
2015 年 3 月 17 日
個人消費 1 月の小売主要 3 業態の販売は、住宅投資 1 月の住宅着工戸数は年率換算
前年比+3.2%と 9 ヵ月連続でプラス。
で 7.2 万戸と、下げ止まりつつある。
16%
（年率、万戸）
11
コンビニ
10
スーパー
12%
9
百貨店
8
合計
7
8%
6
5
4%
4
3
0%
-4%
持家
戸建て
1
貸家
誤差等
マンション
0
12
13
14
15
11
（年）
12
13
14
15
（年）
（注）愛知、岐阜、三重の3県。季節調整値は当室試算。
（資料）国土交通省「建築着工統計」より
三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
（注）1. 愛知、岐阜、三重、富山、石川の5県。
2. 当室による季節調整値。
3. 2014年4月からは、消費増税分の3%が上乗せ。
（資料）中部経済産業局「管内大型小売店販売概況」より
三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
景気ウォッチャー調査 2 月の景気現状判
断 DI は 50.6 と、3 ヵ月連続で上昇。
60
2
倒産件数 2 月の企業倒産件数は 82 件と、
前年比 ▲ 19.6% の減少。負債総額は同
+102.0%と 2 ヵ月連続で増加。
（DI）
1,600
（億円）
（件数）
220
負債総額
55
1,400
件数＜右目盛＞
50
1,200
200
180
45
1,000
40
160
35
800
30
600
140
25
120
400
20
東海
15
全国
100
200
0
10
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
（資料）内閣府「景気ウォッチャー調査」より
三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
08
09
10
11
12
13
14
15
円相場・株価為替相場は、米国雇用の強
さ等を材料に、ドルが上昇。株式は、円安と
企業業績の改善期待の高まり等を背景に、一
時 19,000 円台まで上昇し、2000 年 4 月以来
の高値を更新。
（ドル/バレル）
130
（円/ドル）
（円）
140
125
ドル円相場
130
120
日経平均株価＜右目盛＞
120
115
110
110
100
105
90
100
80
95
70
90
60
85
50
80
40
75
30
07
08
09
10
11
12
（年）
（注）愛知、岐阜、三重、静岡、長野の5県。
（資料）東京商工リサーチ「倒産月報」より
三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
原油価格米国の石油掘削装置（リグ）の稼
動数の減少等を受けて WTI 先物は一時 1 バレ
ル 50 ドル強まで反発したが、その後米原油在
庫増加等から供給過剰懸念が再燃し、40 ドル
台前半まで下落。
150
80
07
（年）
13
14
07
15 （年）
（注）原油価格はWTI先物。
（資料）Bloombergより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
08
09
10
11
12
13
14
20,000
19,000
18,000
17,000
16,000
15,000
14,000
13,000
12,000
11,000
10,000
9,000
8,000
7,000
15 （年）
（資料）Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成
3
2015 年 3 月 17 日
（H27.3.17 冨田
潤
[email protected]）
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