進化計算を用いた電磁機器の三次元形状最適化

1. 背景と目的
2. 非適合ボクセルFEM
3. 数値実験
4. 結論
1
背景
 電磁機器の設計
所定の性能や制約を満たしたうえで、
機器を設計をすることが求められる。

電磁機器の設計を補助ないし自動化するためには、
「最適化手法」を活用することが有効である。


電磁機器の最適設計では、2次元モデルを対
象とした報告が多い。
特に、三次元モデルを用いたパラメータ最適化
はほとんど報告されていない。
2
背景

三次元モデルのパラメータ最適化が
行われない主な理由…


三次元の有限要素解析に要する計算負荷が高い。
パラメータ最適化の場合、形状の変化に合わせて
メッシュを再生成しなければならない。
三次元形状のメッシュ生成は非常に計算負荷が高い。
 最適化アルゴリズムに「遺伝的アルゴリズム(GA)」等を
用いる場合、形状が大きく変化するので、メッシュを微修
正する方法の適用は困難。

3
背景

本報告では、
「非適合ボクセル有限要素法(FEM)」
を用いた、三次元形状最適化手法を提案する。
非適合ボクセルFEMを用いることで、三次元
形状のメッシュ生成にかかる計算負荷を低減

提案法を用いて、三次元モデルのインダクタ形状
を最適化した結果を報告する。
4
1. 背景と目的
2. 非適合ボクセルFEM
3. 数値実験
4. 結論
5
○ボクセルFEM

メッシュ生成にかかる計算負荷を低減するために、
ボクセルFEMを用いることが考えられる。
利点
一度格子状のメッシュを生成した後は、各要素に物性値を
与えるだけで済み、計算負荷が低い。
 欠点
ステップ上の形状境界しか表現できず、解析精度が低い。

6
○非適合ボクセルFEM

解析精度を改善するには、形状境界に位置する要素を
等分し、小ボクセルを生成すればよい。(1)
 形状境界が小ボクセルで表現される。
これにより、解析精度が改善する。
 三次元形状に拡張し、形状境界に位置
する要素を8等分し、小ボクセルを生成。
(1): S. Odawara, Y. Gao, K. Muramatsu, T. Okitsu, D. Matsuhashi,
"Magnetic Field Analysis Using Voxel Modeling With Nonconforming Technique",
IEEE Transactions on Magnetics, Vol. 47, No. 5, (2011).
7
1. 背景と目的
2. 実数値遺伝的アルゴリズム
3. 数値実験
4. 結論
8
最適化モデル

非適合ボクセルFEMを用いて図1に示すインダクタの
パラメータ最適化を行う。

設計変数: r , h1 , h2 ,w の4パラメータ

目的:インダクタンス値LT=0.1[mH]を最小の鉄芯体積で実現
する形状を求めること。目的関数Fを次式で与える。

L  LT 2
F k
LT 2
V

VT
L[mH]:インダクタンス V[mm3]:鉄芯体積
k:重み VT[mm3]:規格化定数
(Fを最小化するように最適化を行う)
y
z
Iron core
unit: (mm)
100
100
w
4
3
h2
Coil,
1(A), 50turn
h1
2
r 34
x
w 100
r 3 4 w 100
図1 インダクタモデル
x
9
最適化モデル

基本ボクセル:
[0, 20mm]の立方体領域を1辺が0.5mmのボクセルで分割。
それ以外の領域は空気領域とし、5mmのボクセルで分割。
(20mmの境界上で、両メッシュに非適合接続を適用)

5mmで分割。
合計7,936要素が存在
小ボクセルへの分割:
形状境界にあるボクセルを分割する。
分割する回数は3回に設定。
⇒ 最小で0.0625mmのボクセルが生成される。
y
z
100
w
4
3
Iron core
unit: (mm)
100
h2
20mmの立方領域を0.5mmで分割
Coil,
1(A), 50turn 合計64,000要素が存在
h1
2
r 34
x
w 100
r 3 4 w 100
図1 インダクタモデル
x
10
最適化アルゴリズム

実数値遺伝的アルゴリズム(Real-coded Genetic Algorithm:
RCGA )を用いて最適化を行う。

交叉手法には、REXstarを、世代交代法にはJGGを用いる。
REXstarの処理手順
1: 初期個体群を生成する。
2: 個体群からn+1個の個体をランダムに選択し,親個体群とする。
3: 親個体群の鏡映個体を生成し,大域降下方向を推定する。
4: 親個体群に交叉を適用し,nc個の子個体を生成する。
5: 評価が上位のn +1個の子個体を選び,親と入れ替える。
6: 終了条件を満たしていれば終了し,そうでなければ2に戻る

最適化計算は、100世代まで行った。
y
z
Iron core
unit: (mm)
100
100
w
4
3
h2
Coil,
1(A), 50turn
h1
2
r 34
x
w 100
r 3 4 w 100
図1 インダクタモデル
x
11
最適化結果

各世代での目的関数値、インダクタンス値、鉄芯体積の変化を
図2、図3に示す。

インダクタンス値0.101mH、体積133.1mm3となる形状を得た。
⇒ほぼ目標値のインダクタンス値を実現
図2 目的関数値の変化
図3 インダクタンス、鉄芯体積の変化
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1. 背景と目的
2. 実数値遺伝的アルゴリズム
3. 数値実験
4. 結論
13
結論

電磁機器の三次元形状パラメータ最適化

三次元のメッシュ生成には高い計算負荷を要す
るため、三次元の最適化は困難である。

三次元のメッシュ生成にかかる計算負荷を軽減するため、
非適合ボクセルFEMを用いて三次元形状の最適化を行った。

非適合ボクセルFEMを用いてインダクタモデルの三次元形
状最適化を行えた。
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