研究活動上の不正行為について 平成27年3月20日 国立大学法人熊本大学 公立大学法人大阪市立大学 【要約】 平成 25 年 5 月 28 日付文書により、国立大学法人熊本大学に対して、現在、 熊本大学大学院生命科学研究部(基礎系)生体機能薬理学に所属し、元大阪市立 大学大学院医学研究科分子病態薬理学所属の光山勝慶教授(以下「光山教授」と いう。 )の研究室に対して、9 論文について研究上の不正の疑いがあるとの申立 書(以下「申立書」という。)が提出された。また、同じ内容の申立書が文部科 学省に対しても提出された。 このため、熊本大学をとりまとめ機関とし、申し立てられた論文 9 報について 大阪市立大学と合同で調査を行った。 加えて、光山教授の研究グループが投稿した論文 272 報を確認したところ、1 報の論文において新たな疑義が生じ、調査の結果、研究活動上の不正行為があっ たと認められたので以下のとおり公表する。 1.調査等を行った論文数:281 報(通報分 9 報、光山教授の研究グループが 関わった論文 272 報) 2.研究活動の不正があると認定された論文数:9 報(捏造 3 報、 捏造・改ざん 6 報) 3.不正行為への関与の度合い:不正と認定された 9 報の論文について、光山 氏とそれぞれの筆頭著者7名が不正行為に直接関与していた。共著者に ついては直接関与することは無かった。 1.研究上の不正行為を行ったと申し立てられた研究グループ 現在、熊本大学大学院生命科学研究部(基礎系)生体機能薬理学に所属し、元 大阪市立大学大学院医学研究科分子病態薬理学所属の光山勝慶教授(58 歳、男 性)の研究室。 2.調査等を行った論文数 281報 ① 申立人からの申立書3.「不正の内容及び不正とする科学的合理的理由に ついて」に基づき、熊本大学、大阪市立大学において執筆された平成 10 年 (1998 年)~平成 24 年(2012 年)発表の論文計 9 報(熊本大学において執筆 された論文 2 報、大阪市立大学において執筆された論文 7 報) ② 上記9報以外に、今回不正疑義が申し立てられてはいないが、念のため確 認・調査を行った光山教授の研究グループがこれまで執筆した論文 272 報 (熊本大学において執筆された論文 126 報、大阪市立大学において執筆さ れた論文 146 報) 3.調査の概要 【熊本大学】 熊本大学においては「申立書」を受けて、平成 25 年 7 月 3 日「第 1 回研究活 動不正行為防止対策委員会」が開催され、熊本大学における研究活動の不正行為 の防止対策等に関する規則第 11 条第 6 項に基づき調査専門委員会が設置される とともに、研究活動不正行為防止対策委員の中から、外部委員 2 名を含む 5 名 の委員が選出され、本調査が開始された。 平成 25 年 7 月 25 日より平成 26 年 6 月 26 日までに計 8 回の調査専門委員会 で関係者に対する事情聴取等を行い、平成 26 年 6 月 26 日開催の第 8 回調査専 門委員会において、 「生命科学研究部における研究論文不正疑惑に関する調査専 門委員会報告書」を策定した。 その後「申立書」にて指摘された論文(9 報)以外に、光山勝慶教授が熊本大 学に着任後、光山教授の研究グループが執筆した論文 126 報を確認したところ、 1報の論文において新たな疑義が明らかになり、平成 27 年 2 月 2 日開催の平成 26 年度第2回研究活動不正行為防止対策委員会での審議の結果、調査対象とし た。 平成 27 年 2 月 19 日に第 9 回調査専門委員会が開催され、新たな疑義につい て関係者に対する事情聴取を行い、平成 27 年 3 月 9 日開催の平成 26 年度第3 回研究活動不正行為防止対策委員会において、研究活動の不正行為に関する最 終的な審議を行い、報告書をとりまとめた。 2 研究活動不正行為防止対策委員会は、平成 25 年 7 月 3 日(水)~平成 27 年 3 月 9 日(月)までに計 4 回開催され、大阪市立大学との合同調査や熊本大学調査 専門委員会の調査の実施方法、調査結果等についての審議を行った。 調査専門委員会は、平成 25 年 7 月 25 日(木)~平成 27 年 2 月 19 日(木) までに計 9 回開催され、関係者に対する事情聴取等を行った。 【大阪市立大学】 熊本大学からの依頼により合同調査を実施することとなり、平成 25 年 8 月 26 日(月)に、第 1 回大阪市立大学研究行動基準委員会を開催し、申立内容を調査 するため、大阪市立大学研究行動基準委員会規程第 9 条第 3 項に基づき、調査 委員会を設置した。 平成 25 年 9 月 25 日より平成 26 年 6 月 11 日までに計 10 回の調査委員会で関 係者に対する事情聴取等を行い、平成 26 年 6 月 11 日開催の第 10 回調査委員会 において、 「医学研究科分子病態薬理学における研究論文の不正行為疑惑に関す る調査委員会報告書」を策定した。 その後、 「申立書」にて指摘された論文(9 報)以外に、光山勝慶教授が大阪 市立大学に在籍中に、光山教授の研究グループが執筆した論文 146 報を確認し たところ、特に新たな疑義は明らかにならなかったため、平成 27 年 3 月 9 日開 催の第 7 回研究行動基準委員会でその結果を報告するとともに、研究活動の不 正行為に関する最終的な審議を行い、了承した。 研究行動基準委員会は、平成 25 年 8 月 26 日(月)から平成 27 年 3 月 9 日 (月)までに計 7 回開催され、熊本大学との合同調査や大阪市立大学調査委員 会の調査の実施方法等についての審議を行った。 調査委員会は、平成 25 年 9 月 25 日(水)から平成 26 年 6 月 11 日(水)ま でに計 10 回開催され、関係者に対する事情聴取等を行った。 両大学は平成 25 年 8 月 26 日から平成 27 年 3 月 4 日までの間に、いずれかの 大学で計 6 回直接協議すると共に、随時、電話、メールで協議を行った上で、平 成 27 年 3 月 9 日にそれぞれの委員会において研究活動の不正行為に関する最終 的な審議を行い、不正行為の有無について認定した。 3 4.調査方法等 【熊本大学】 まず本調査にあたり、該当論文をジャーナル HP よりダウンロードした。ジャ ーナル HP よりダウンロードした論文の pdf ファイルより、画像流用の疑われる 2つの図について画像ファイルを作製した。 画像が暗くて解析しにくい場合は、画像の最大入力値を小さく、あるいは最小 入力値を大きくすることにより、画像を鮮明にした。 2枚の画像の同一性判定 作成した画像ファイルについてダブルトーン表示を行った後、背景を消去し た。処理を行った複数の画像をレイヤー効果により重ね合わせた。下のレイヤー と上のレイヤーのパーツが完全に一致していれば、同一の画像が得られる。 必要があれば、拡大、縮小、縦横比の変更、回転などの操作を行った。 解析例 4 【大阪市立大学】 本調査にあたり、該当論文をジャーナル HP よりダウンロードした論文の pdf ファイルより、画像流用の疑われる2つの図について画像ファイルを作製した。 解析例 画像のシャープネスを上げて特徴を強調し拡大した画像を分析した。下に示 すように ERK の画像と p38 の画像の 4 か所の部分について特徴的な黒いスポッ ト、また白い染みが共通にみられることから、両者は同一の画像に由来すると 判定した。 シャープネスのみあげる その後、両大学の調査専門委員会において、調査対象者及び関係者への事情 聴取の実施、生データ等の有無の確認を行った上で、不正行為があったかどう かを判断した。 5 5.弁明の機会等の付与 今回の申立書で申し立てられた研究上の不正疑義を認定するにあたっては、 「ガイドライン」や両大学の規則に基づき、調査対象者に対して、平成 26 年 11 月 27 日から平成 26 年 12 月 10 日まで弁明の機会を付与した上で調査報告書を 作成し、両大学の委員会で審議の上、認定を行った。 また、調査の過程において、事情聴取の内容に疑義が生じた場合には、再度当 該人から事情を聴くなどした。 事情聴取後は、事情聴取の結果について、聴取者に議事録を確認するなどした が、一部の聴取者からは返答がなかったため、メールで回答するよう要請すると ともに、再度文書を送付するなどし、確認を行った。 更には、弁明の機会の付与の他に、調査対象者からの申し出に基づき、追加資 料の提出や追加説明を受けた。 新たに明らかになった疑義についても、平成 27 年 2 月 19 日に実施した第9 回調査専門委員会における発言内容を被聴取者に送付し、被聴取者から提出の あった追加説明等を平成 27 年 3 月 9 日開催の平成 26 年度第3回研究活動不正 行為防止対策委員会において審議した上で、認定を行った。 6.不正行為の定義 ガイドラインにより、本報告書においても不正行為を、捏造、改ざん、盗用の 3種類に定義した。 1)【捏造】 存在しないデータ、研究結果等を作成すること 2)【改ざん】 研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって 得られた結果等を真正でないものに加工すること 3)【盗用】 他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は 用語を、当該研究者の了解もしくは適切な表示なく流用すること 7.不正行為か否かの認定 ガイドラインにより、被申立人からの説明、調査によって得られた、物的・科 学的証拠等を総合的に判断し、不正行為か否かを認定した。この際、被申立人の 研究体制、又はデータチェックのなされ方など様々な点から故意性を判断して 認定した。 6 8.調査結果 疑義のある 10 報の論文について分析した結果、捏造による不正が行われた と判断した論文3報(#1,#6,#8)、捏造・改ざんによる不正が行われ たと判断した論文6報(#3,#4,#5,#7,#9、#10)、捏造の疑いが あるが、光山教授の関与はないと判定した論文1報(#2)を認定した。 表1 該当論文、及び不正行為の箇所数、不正行為の種類 論文 不正行為に関与した 番号 著者名等 筆頭著者:山本英一郎 #1 責任著者:光山勝慶 #2 共著者:光山勝慶 筆頭著者:和氣亮太郎 #3 責任著者:光山勝慶 筆頭著者:吉田華央留 #4 責任著者:光山勝慶 筆頭著者:泉家康宏 #5 責任著者:光山勝慶 筆頭著者:河野仁美 #6 責任著者:光山勝慶 筆頭著者:泉康雄 #7 責任著者:光山勝慶 筆頭著者:矢野昌彦 #8 責任著者:光山勝慶 論文タイトル名 Calcium Channel Blockers, More than Diuretics, Enhance Vascular Protective Effects of Angiotensin Receptor Blockers in Salt-Loaded Hypertensive Rats Advanced Glycation End Products Activate a Chymase-Dependent Angiotensin II–Generating Pathway in Diabetic Complications 発表雑誌名 巻、 号 出 ページ 不正行為の有無 版 と数等 年 4 PLoS ONE 7(6) e39162 (捏造) 2012 1 か所の捏造 の疑いがある Circulation 113 1353-1360 2006 が、光山教授 の関与はなし 1 Beneficial Effect of Candesartan on Rat Diastolic Heart Failure J Pharmacol 98 372 – 379 (捏造 2005 Sci ・改ざん) Excess Aldosterone under Normal Salt Diet Induces Cardiac Hypertrophy and Infiltration via Oxidative Stress Apoptosis Signal-Regulating Kinase 1 Plays a Pivotal Role in Angiotensin II–Induced Cardiac Hypertrophy and Remodeling Differential Contribution of Three Mitogen-Activated Protein Kinases to PDGF-BB-Induced Mesangial Cell Proliferation and Gene Expression Important Role of Angiotensin II–Mediated c-Jun NH2-Terminal Kinase Activation in Cardiac Hypertrophy in Hypertensive Rats Differential Activation of Cardiac c-Jun Amino-Terminal Kinase and Extracellular SignalRegulated Kinase in Angiotensin II–Mediated Hypertension 1 Hypertens 28 Res (5) 447–455 (捏造 2005 ・改ざん) 1 Circ Res. 93 874-883 (捏造 2003 ・改ざん) 1 J Am Soc 14 584–592 2003 (捏造) Nephrol 4 Hypertensio 36 511-516 (捏造 2000 n ・改ざん) 1 Circ Res. 83 752-760 (捏造) 1998 7 筆頭著者:泉康雄 #9 責任著者:光山勝慶 Cardiac Mitogen-Activated Protein Kinase Activities Are Chronically Increased in StrokeProne Hypertensive Rats 1 Hypertensio 31 50-56 (捏造 1998 n. ・改ざん) 追加調査で判明した新たな疑義 論文 番号 不正行為に関与した 著者名等 筆頭著者:山本英一郎 #10 責任著者:光山勝慶 論文タイトル名 発表雑誌名 巻、 号 Novel mechanism and role of angiotensin II-induced vascular endothelial injury in hypertensive diastolic heart failure Arterioscle rosis, Thrombosis, and Vascular Biology 出 不正行為の有無 ページ 版 と数等 年 3 (捏造 27 2569-2575 2007 ・改ざん1、 捏造2) 9.不正行為への関与、及び不正行為が発生した背景等 ○光山勝慶(熊本大学大学院生命科学研究部生体機能薬理学教授)論文番号#1、 #3~#10の責任著者、#2の共著者 #10の論文において、不正行為に直接関与していた。また、#2、及び #10を除く論文において、不正行為には直接関与してはいないが、光山教授や 他の筆頭著者等に対する事情聴取の結果から、責任著者、研究主宰者として当然 行うべきチェックや指導を適切に行っていなかったと考えられる。このため、結 果として、筆頭著者による不適切な論文作成に繋がったものと判断される。 ○その他筆頭著者(#1、#3~#10) 山本英一郎(現熊本大学附属病院循環器内科助教) 論文番号#1;熊本大学附属病院循環器内科助教 論文番号#10;当時、熊本大学大学院医学教育部大学院生 和氣亮太郎(現民間病院勤務) 論文番号#3;当時、大阪市立大学大学院医学研究科大学院生 吉田華央留(現所属なし) 論文番号#4;当時、大阪市立大学大学院医学研究科大学院生 泉家 康宏(現熊本大学大学院生命科学研究部循環器内科学助教) 論文番号#5;当時、大阪市立大学大学院医学研究科大学院生 河野 仁美(現民間病院勤務) 論文番号#6;当時、大阪市立大学大学院医学研究科大学院生 8 泉 康雄(現大阪市立大学大学院医学研究科分子病態薬理学准教授) 論文番号#7;当時、大阪市立大学大学院医学研究科大学院生 論文番号#9;当時、大阪市立大学大学院医学研究科大学院生 矢野 昌彦(現民間企業勤務) 論文番号#8;当時、大阪市立大学大学院医学研究科研究員 上記筆頭著者については、筆頭著者としての論文作成における基本的な注意 義務が著しく欠けており、結果として捏造等にあたる事実を発生させたことか ら、不正行為に直接関与していた。 捏造等にあたる事実を発生させたことについて、生データが存在しない、又は 生データが存在するにも関わらず、他の画像を流用したことについて合理的な 説明が無いなど、過失であると主張するには十分な反証がなされなかった。 必ずしも積極的に研究活動不正を意図したものではないとしても、安易な論 文作成を行ったことに対して、重大な責任があると判断する。 なお、共著者については、全て今回の研究活動不正に直接関与した事実はなか った。 10.不正行為が認定された各論文について 科学的に適正な方法と手続きに則って行った研究活動によって得られた研究 成果が存在しないなど、本来提示すべき客観的で検証可能なデータ・資料を提示 することが出来ない場合には、取り下げ等を行うことが妥当である。 11.当該分野の学術の進展への影響・社会的影響 不正行為が認められた論文の被引用数は 1〜121(Thomson Reuters 社 Web of Science)となっており、うち 1 報が 100 を超えている。特にこの 1 報(#5)につ いては、当該分野の学術の進展への影響は大きいと思われる。 12.公的研究費との関連について 不正と認定された論文と公的研究費との関連については、今後慎重に調査を 行う。 9 13.再発防止対策 【熊本大学】 熊本大学では、教職員向けのマニュアルを配布し、毎年2回開催される科研費 の執行や公募の説明会において、公的研究費の不正使用防止及び研究活動の不 正防止に係る説明を実施する等教員の倫理向上に努めてきた。さらに、平成 23 年 3 月に研究活動不正行為に関する申立を受け、学内研究者へのガイドライン の周知、教育、指導の徹底を図ってきた。しかしながら、今回、新たに研究活動 不正行為に関する申立があったことは、誠に遺憾であり、前回の再発防止の取り 組みが活かされなかったことは十分反省すべきである。 そこで、平成 25 年 6 月 17 日の第3回教育研究評議会において、研究者倫理 のより一層の徹底を図るため、研究活動不正行為防止対策委員会を中心に公正 な研究活動の確保に努めること、各部局内において注意喚起するなど、再発の防 止と引き続き適正な研究活動の徹底を図る旨の周知を行った。 研究者倫理のための具体的な取り組みとして、研究担当理事自ら各部局の教 授会に出向いて、 「研究活動の不正行為へのガイドラインについて」の概要、研 究者としての基本的な姿勢と不正防止の取り組み、過去の不正行為の事例等に ついてパワーポイントを使って講演会を実施し、研究活動の不正防止、及び教室 における適切な指導を行うことを要請した。 (9月6日:自然科学系教授会、9 月25日:医学教育部教授会、10月23日:薬学部教授会、12月25日:保 健学科会議で講演会を実施し、360名が参加した。)以後も継続して実施して いく予定である。学生向けの教育としては、学士課程(学部)教育においては、 平成 23 年度より新入学生への初年次導入科目(教養教育科目)として、必修科 目「ベーシック」の講義テキスト「レポート作成の基本」において、研究者倫理 を取り扱っており、その中で「コピー&ペーストは禁じ手、引用にはルールがあ る。必ず出典を明らかにしなければならない。」と指導しているが、さらなる周 知徹底を図りたい。大学院課程については、医学教育部の博士課程及び修士課程 において e-ラーニングを活用した、 「研究者倫理」に関する教育プログラムが必 修科目として今年度から実施している。今後、全学的な実施に向け取り組んでい く予定である。また、平成 27 年度新たに「大学院教養教育プログラム」におい て、『Research Ethics(研究倫理)』を開講予定である。 折しも、 「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」が平 成 26 年 8 月 26 日に改正された。これを受け、本学においても全学的な体制の 見直しと早急な対応を行っているが、その一環として、剽窃ソフトを 10 月に導 入した。また、希望する全学の教員等に対し、e ラーニングによる研究者行動規 範教育教材である Collaborative Institutional Training Initiative Japan (CITI Japan)の 基本コースを受講出来るよう整備した。 10 さらに、4月から新ガイドラインに対応した体制を構築し、教員、大学院生を 始め研究に携わる全構成員に対して、CITI Japan の受講を必須にするなど、研究 倫理や公正な研究費の使用等に関する研修プログラムを整備し、不正防止に努 める。 【大阪市立大学】 1 全学を挙げての対策 「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」 (平成 26 年 8 月 26 日付文部科学大臣決定)に沿って、以下のとおり研究不正防止計画を平成 26 年度内に策定する。 (1)部局ごとに研究倫理教育責任者を設置する。 (2)研究倫理教育を定期的に実施する。 研究に携わる教員(研究者)には CITI Japan の e-learning の指定するプ ログラムを受講させる(後述のとおり、医学研究科では平成 25 年 11 月より 既に導入済み)など、部局ごとに研究倫理教育を実施する。 (3)内部通報(告発)窓口(平成 25 年 4 月設置)の周知をこれまで以上に徹 底するとともに、告発者の保護に努める。 (4)研究不正を行った場合原則氏名公表を行うなど、教職員の懲戒に関する規 程・規則等を見直し、処分の厳格化を図る。 2 特に医学研究科における対策 医学研究科としては、以下のシステムを早急に導入あるいは検討を行った。 (1)研究倫理に対する教育と認証システムとして文部科学省「大学間連携共同 教育推進事業」により作成された研究者の行動規範に関する e-learning シス テム標準教材(CITI Japan プロジェクト)の受講を大阪市立大学医学研究科に おいて義務づけた(平成 25 年 11 月 1 日より実施)。受講対象者は本務教員お よび大学院生(博士課程、修士課程)で、受講項目は「1.責任ある研究行為: 基盤編」である。 (2)実験ノートおよびデータの長期保存など、データ管理システムの構築と導 入を早急に検討する。この目的のために、平成 26 年 1 月 21 日、医学研究科 において、研究データ管理検討委員会を設置し、検討を開始した。現在、文部 科学省等より出された「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(草案)」 などに基づいて再検討し、具体案について平成 26 年度中を目途に提案する予 定である。 また、医学研究科における論文作成・実験実施に際する手順を掲げ、周知徹 底するものとする。 ① 論文作成にあたっては、事前に、共著者すべての同意を書面で得るととも 11 に、原稿についてのコメントを得ることで、画像の間違いなどをチェックす ること。 ② 実験の進行、発表に関して、できるだけ多くの機会を利用し、客観的な批 判を得るように努めること。 ③ 論文作成に当たっては、Nature 誌にあるような実験画像に関する規程 (Image integrity)を標準として、参考にすること。 (例) 「異なる時期、異なる場所で得られた画像は一つの画像として合成して はならない。もし、画像を対比させて並べる必要がある場合は、画像の間に明 確に境界線を引き、図の説明文に記述しなければならない。」等 12 国立大学法人熊本大学研究活動不正行為防止対策委員会 委員 委員(熊本大学における研究活動の不正行為の防止対策等に関する規則第 6 条第 1 項) 任期等 職名 氏 名 研究・社会連携担当理事 ・副学長 人事・労務担当理事 ・副学長 原田 信志 (委員長) 両角 光男 熊本大学における研究活動の不正行 為の防止対策等に関する規則第6条 第1項第1号委員 〃 熊本大学における研究活動の不正行 文学部長 小松 裕 為の防止対策等に関する規則第6条 第1項第2号(イ)委員 教育学部長 登田 龍彦 〃 熊本大学における研究活動の不正行 理学部長 髙宮 正之 為の防止対策等に関する規則第6条 第1項第2号(ロ)委員 工学部長 村山 伸樹 〃 熊本大学における研究活動の不正行 医学部長・医学教育部長・ 大学院生命科学研究部長 竹屋 薬学部長・薬学教育部長 大塚 元裕 為の防止対策等に関する規則第6条 第1項第2号(ハ)委員 雅巳 〃 熊本大学における研究活動の不正行 発生医学研究所長 中尾 光善 為の防止対策等に関する規則第6条 第1項第2号(ニ)委員 13 パルスパワー科学研究所長 秋山 秀典 〃 熊本大学における研究活動の不正行 法学部長 山崎 広道 為の防止対策等に関する規則第6条 第1項第3号委員(任期:H27.3.31 まで) 大学院法曹養成研究科長 平田 元 〃 熊本大学における研究活動の不正行 弁護士(学外者) 坂本 秀德 為の防止対策等に関する規則第6条 第1項第3号委員(任期:H27.4.30 まで) 学校法人銀杏学園 熊本保健 科学大学 保健科学部医学検 査学科 教授(学外者) 熊本大学における研究活動の不正行 野崎 周英 為の防止対策等に関する規則第6条 第1項第4号委員(任期:H27.3.31 まで) 14 熊本大学調査専門委員会 委員 設置年月日 平成 25 年 7 月 25 日 調査対象 平成 25 年 7 月 25 日付 研究上の不正に係る申立内容 委員(熊本大学における研究活動の不正行為の防止対策等に関する規則第 6 条第 1 項) 任期等 職名 氏 名 研究・社会連携担当理事 ・副学長 原田 信志 (委員長) 熊本大学における研究活動の不正行 為の防止対策等に関する規則第6条 第1項第1号委員 熊本大学における研究活動の不正行 医学部長・医学教育部長・ 大学院生命科学研究部長 竹屋 薬学部長・薬学教育部長 大塚 元裕 為の防止対策等に関する規則第6条 第1項第2号(ハ)委員 雅巳 〃 熊本大学における研究活動の不正行 弁護士(学外者) 坂本 秀德 為の防止対策等に関する規則第6条 第1項第3号委員(任期:H27.4.30 まで) 学校法人銀杏学園 熊本保健 科学大学 保健科学部医学検 査学科 教授(学外者) 熊本大学における研究活動の不正行 野崎 周英 為の防止対策等に関する規則第6条 第1項第4号委員(任期:H27.3.31 まで) 15 公立大学法人大阪市立大学研究行動基準委員会 委員 委員(公立大学法人大阪市立大学研究行動基準委員会規程第 4 条第 1 項) 職名 氏 研究・地域貢献・国際交流 担当理事・副学長 宮野 道雄 (委員長) 医学研究科長 荒川 哲男 (副委員長) 経済学研究科長 森 任期等 名 公立大学法人大阪市立大学研究行動 基準委員会規程第4条第1項第4号 委員 公立大学法人大阪市立大学研究行動 基準委員会規程第4条第1項第1号 委員 誠 〃 法学研究科長 守矢 健一 〃 工学研究科長 日野 康雄 〃 公立大学法人大阪市立大学研究行動 大学運営本部事務部長 藤井 敏光 基準委員会規程第4条第1項第2号 委員 公立大学法人大阪市立大学研究行動 京都府立医科大学・副学長 (学外者) 伏木 神戸大学大学院・ 経営学研究科長(学外者) 國部 克彦 〃 大阪府立大学大学院・ 工学研究科名誉教授 (学外者) 辻川 吉春 〃 信次 基準委員会規程第4条第1項第3号 委員 16 大阪市立大学調査委員会 委員 設置年月日 平成 25 年 9 月 25 日 調査対象 平成 25 年 9 月 25 日付 研究上の不正に係る申立内容 委員(公立大学法人大阪市立大学研究行動基準委員会規程第 9 条第 4 項) 任期等 職名 氏 名 医学研究科長 医学研究科・ 免疫制御学教授 医学研究科・ 遺伝子制御学教授 京都府立医科大学・副学長 (学外者) 荒川 哲男 (委員長) 中嶋 弘一 森田 隆 公立大学法人大阪市立大学研究行動 基準委員会規程第4条第1項第1号 委員 公立大学法人大阪市立大学研究行動 基準委員会規程第9条第4項委員 〃 公立大学法人大阪市立大学研究行動 伏木 信次 基準委員会規程第4条第1項第3号 委員 17
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