「公会堂の構造体耐久性調査」の結果について 1 調査内容 竣工後 80 年以上が経過した歴史的建築物である名古屋市公会堂(昭和 5 年竣工)を、今後も長く市民に親しまれる施設として維持・保全していく ため、以下の項目について、調査・検討を行いました。 (1)外観目視調査、鉄筋の腐食調査、コンクリートの中性化調査を踏まえた 構造体耐久性(今後期待できる建物の使用期間)の評価 (2)建物の長寿命化に向けた改修方針の検討 2 調査時期 平成 26 年度 3 調査結果 (1)構造体の耐久性(今後期待できる建物の使用期間) 外観目視、鉄筋の腐食、コンクリートの中性化状況から「20 年程度 以上」と判定されました。 (参考) ・構造体内部の鉄筋の腐食について コンクリート内部の鉄筋の錆び・腐食が進行すると、鉄筋が膨張する ことによりコンクリートが割れるなど、構造体の耐久性の低下に対する 直接の原因となります。 ・コンクリートの中性化について コンクリートのアルカリ性は内部の鉄筋が錆びるのを防いでいます。 時間の経過とともにコンクリートの表面から徐々にアルカリ性が失わ れ、鉄筋の位置まで中性化が進行すると、一般的には鉄筋が錆びる原 因となるといわれ、構造体の耐久性の低下につながります。 (2)改修方針 ①建物内部の壁、柱等 ・公会堂は築 80 年以上の建物であるため、コンクリートの中性化の進 行及び軽微な鉄筋腐食が一部に見られるものの、建物全体的には直ち に劣化対策が必要な状況ではない。ただし、窓廻り等、漏水及びひび 割れ等が見られる部分については、鉄筋腐食が進行していると思われ るため、早急に当該劣化を除去するとともに、今後の劣化進行を抑制 することが望ましい。 ・公会堂を維持・保全していくためには、建物の築年数を考慮すると、 今後もコンクリートの中性化及び鉄筋腐食の状況を確認し、必要があ れば超長寿命化に向けた改修の検討を行うことが望ましい。 ②建物の外壁、屋根等 ・コンクリート中性化及び鉄筋腐食ともに進行は見られない。 ・部分的にタイル等仕上材のひび割れ、浮き及び欠損が確認され、仕上 材の剥落及び外部からの雨水の浸入による躯体の劣化進行の恐れが あるため、ひび割れ・欠損部の撤去新設、浮き部の補修を行うことが 望ましい。 ・屋上防水について、防水押さえコンクリートの亀裂が確認され、外部 からの雨水の浸入による躯体の劣化進行の恐れがあるため、防水のや り替え(全面)が望ましい。 4 今後の予定 27 年度 設計(上記検討を踏まえる) 28 年度~30 年度 改修工事
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