奈良市もてなしのまちづくり推進行動計画見直しのターゲット(案) 1.外国人観光客をターゲットにしたもてなし 3.女性をターゲットにしたもてなし ①外国人観光客数の増加 ①女性の就業形態による旅行頻度 2013年、年間訪日外国人数がはじめて1000万人を超えた。また、 資料4 女性の旅行頻度を就業形態別にみると、フルタイム(正社員)で働く女性 奈良市においても、2年連続で外国人観光客の数は増えており、平成24年 の旅行頻度が国内、海外ともに最も高い。フルタイムで働く女性の80.3% が93千人増、平成25年が168千人増である。これはアベノミクスによ が過去3年のうちに2回以上国内旅行に行っていると回答している。また、 る円安や、ビザ無しで日本に訪れることが可能になった国が増えたことが理 フルタイムで働く女性の68.8%が、家庭や友人の中で旅行の決定権を持 由だと考えられるi。 っていると回答している(平成26年時点)。さらに、女性の就業率は年々 ②2020年東京オリンピック開催決定 上昇しており、平成23年度時点で63%と過去最高を記録しているviii。こ 過去のオリンピック開催国のケースを見てみると、オリンピック開催決定 後は長期的に旅行者が増加する傾向がある ii。さらに、IOC総会での滝川 クリステル氏のプレゼンテーションにより、日本のおもてなしに対する外国 のことから、女性の旅行者数は今後増えていくと予想できる。 ②高い情報発信能力 消費に関する情報の受発信は男性よりも女性の方が多く、その内容につい 人の期待度は高まっている。 ては良かったサービスや商品に関するものが最も多い(平成22年時点)ix。 ③近隣都市(大阪、京都)と比べ少ない奈良県の外国人観光客 このことから、女性が良いイメージを持つことで、その評価は広がり易いと 外国人観光客の地方別訪問率は大阪府24.5%、京都府17.3%であ iii 考える。 るのに対し、奈良県は3.7%しかない(平成23年時点) 。大阪、京都 以上のことから、今後増えていくと予想される女性旅行者をターゲットに とそれほど離れていないことから、訪問率の要因を調べ、今後の取り組みに 奈良市のサービスの良さを感じてもらえれば、奈良市のもてなしに対するイ より、誘客数が増加する可能性が高い。 メージアップとなり、観光客が増えることが見込まれる。 以上のことから、今後も増加の予測がある外国人観光客をターゲットとし て、誘客を促進し、長く滞在してもらうために、奈良市の魅力を世界に発信 4.若者をターゲットにしたもてなし する。 ①旅行関心度は海外より国内 2.シニア世代(60歳以上)をターゲットにしたもてなし 挙げている人が12.6%。海外旅行を挙げている人が3.9%であった。 ①増加しているシニア世代の人口 また、奮発してお金を使いたいものとして、国内旅行を挙げている人が20. 若者(19歳~33歳)が奮発してお金を使ったこととして、国内旅行を 日本の高齢化率(65歳以上)は25.1%であり(平成25年時点)、 3%。海外旅行を挙げている人が11.5%であった(平成24年時点)x。 総人口に占める割合も高くなるとともにiv、高齢者人口も増え続けるv。 これらのことから、若者の国内旅行に対する関心は海外旅行よりも高いこと ②高い旅行頻度 が分かる。 シニア世代の旅行頻度は高く、年に1回以上旅行をするシニア世代の割合 は80%を超えている。 (平成25年時点)vi。また、奈良市を訪れる観光客 vii ②奈良市の高リピーター率 奈良市はリピート客が多い観光地であり、奈良市に訪れる日本人観光客の の41%がシニア世代である(平成26年時点) 。この背景として、シニ 約半数が10回以上のリピート客である(平成26年時点)xi。このことか ア世代は比較的時間に余裕があり、夫婦間で旅行に出かける人が多いとも考 ら、若者の観光客数を増やせば、長く奈良市のことを愛してくれる「奈良フ えられる。 ァン」を増やす可能性が高い。 以上のことから、シニア世代の旅行頻度がより高まるであろうこの機会に、 シニア世代をターゲットとして、観光客の増加を図る。 以上のことから、若者をターゲットにすることで、来訪者および奈良ファ ンの増加を図る。 5.子育て世代をターゲットとしたもてなし ①理想と現実のギャップ 家族旅行が好きだという女性は多い。子どもがいる女性の94.3%が家 族旅行について「好き」と答えている。しかし、子どもの誕生をきっかけに 家族旅行に行く回数は減っており、68.8%の人が「子どもが生まれてか ら家族旅行に行く機会が無くなった、減ってしまった」と答えているxii。こ のことから、子連れでも訪れやすいようなもてなしを行えば、家族連れの旅 行者が増える可能性がある。 ②もてなしに対する高い要望 子連れの旅行者は子どもへの安心・安全や、スタッフの気遣いに対する関 心が高い。宿泊施設について充実していてほしいと思う点では、子どもに安 心・安全な部屋・設備(58.9%)やスタッフの気遣い(55.6%)を 挙げる人が多いxiii。このことから、子連れ旅行者のもてなしに対するニーズ は高いことが分かる。 以上のことから、子連れでも安心して旅行できるようなもてなしの施策を 講じ、旅行に行きたくても行けない子育て世代を奈良市に呼び込む。 6.障がい者をターゲットにしたもてなし ①障害者手帳所持者数の増加 全国の障害者手帳所持者数は増加している。平成18年時点で身体障害者 手帳を持っている人は3,576千人だが、平成23年時点では3,864 千人にまで増えている。特に65歳以上の増加が顕著であり、増加率は12 0.1%であるxiv。 ②観光バリアフリーという考え方 奈良市は、「奈良市バリアフリー基本構想」、「奈良市地域福祉計画」等に 沿って、誰もが暮らしやすい生活環境づくりに取り組んでいるxv。特にバリ アフリー基本構想では観光バリアフリーの一環として来訪者に対するもて なしについて謳われていることから、協働してもてなしを進めることができ る。 以上のことから、障がい者も奈良市の観光を楽しめるような空間作りが必 要である。 <参考: 「奈良市バリアフリー基本構想」 (平成26年3月)> i 奈良市観光経済部観光戦略課「平成24年奈良市観光入込客数について」 (平成25年 2pp.) <http://www.city.nara.lg.jp/www/contents/1357780045917/files/k25100702.pdf> 奈良市観光経済部観光戦略課「平成25年奈良市観光入込客数について」(平成26年 p.1,pp.3-5.) <http://www.city.nara.lg.jp/www/contents/1347582712483/files/h25irekomi.pdf> ii みずほ総合研究所「2020東京オリンピックの経済効果~五輪開催を触媒に成長戦略の推進を~」 (平成 25年 pp.7-8.) <http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/urgency/report130927.pdf> iii 日本旅行業協会「訪日外客の地方別訪問率」 <http://www.jata-net.or.jp/data/inbound/04.html> iv 内閣府「平成26年版高齢社会白書」 (平成26年 p.2.) < http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2014/gaiyou/pdf/1s1s.pdf > v 総務省統計局「高齢者の人口」 <http://www.stat.go.jp/data/topics/topi541.htm> vi ㈱JTB総合研究所「団塊世代のライフスタイルと今後の旅行消費に関する調査」 (平成25年 p.8.) <http://www.tourism.jp/wp/wp-content/uploads/2013/03/research_130326_babyboomers2.pdf> vii 奈良市観光経済部観光戦略課『奈良市観光戦略基礎調査 報告書』 (平成24年 p.7.) viii ㈱JTB総合研究所「女性の時間の使い方と旅行に関する調査」 (平成26年 p.11,p.13.) <http://www.tourism.jp/wp/wp-content/uploads/2014/05/research_140529_woman-travel.pdf> ix ㈱第一生命経済研究所「消費に関する情報伝達(クチコミ)調査」 (平成22年 p.3,p.5.) <http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/news/news1002b.pdf> x ㈱JTB総合研究所「若者の生活と旅行意識調査」 (平成24年 p.4.) <http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/news/news1002b.pdf> xi 奈良市観光経済部観光戦略課『奈良市観光戦略基礎調査 報告書 概要版』 (平成24年 p.1.) xii ㈱星野リゾート、ニフティ㈱「主婦たちの家族旅行に対するホンネ!を調査。パパママをサポートしてく れるこんな旅ならもっとしてみたい。 」(平成25年 p.1) < http://hoshinoresort.com/images/2013/08/20130823_shufmo.pdf> xiii 前掲書(p.3) xiv 厚生労働省「平成23年生活度しづらさなどに関する調査」 (平成25年 p.1~3) ) < http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/seikatsu_chousa_b_h23.pdf> xv その他「奈良市福祉のまちづくりのための建築物等の環境整備要綱」や、県が定める「奈良県住みよい福 祉のまちづくり条例」、国が定める「高齢者、障がい者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」等がある。
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