わさびスイーツ開発とモニターツアーを通じた魅力の発見

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わさびスイーツ開発とモニターツアーを通じた魅力の発見
企画提案者:一般社団法人奥多摩観光協会、青梅商工会議所
委託事業者:株式会社JTBコーポレートセールス
実施区市町村
対象地域
奥多摩町
奥多摩町
また、観光の空白地帯である冬の観光需要の有無の調査を実施した。スイーツ、冬季ツアー共に、奥多摩来訪へ
現状・課題
の最大要素とする新しいコンテンツとして一定の魅力があるといえる。
奥多摩町のワサビは、栽培が始まってから約400年の 奥多摩わさびの知名度(%)
歴史があり、将軍家にも献上されたといわれる貴重な地
域資源である。
山からの湧水や沢水はミネラルが豊富で、
年間を通じて水温も一定のため、ワサビ栽培に最適であ
り、奥多摩町のワサビは、細長く辛味が鋭いのが特徴で
ある。
一方で、奥多摩への来訪者は、豊かな自然にリフレッシュ
や癒しを求めるシニア層や山ガールが増えているが、奥
多摩のグルメや土産品のイメージが薄いのが実情である。
そこで、本事業では奥多摩町の「東京のワサビ=奥多
摩ワサビ」を地域ブランドとして「食の特産品」を開
発し、また、ワサビをテーマにしたモニターツアーを
企画・開催して観光客の誘致を図る。
課題
林業の衰退により、夏の首都圏顧客の観光に特化してきた奥多摩町は、マクロ環境による脅威である少子高齢化、
実施内容
❶ 地域の観光資源の魅力調査
若年層の旅行離れ、旅行の低価格化(LCC=安く遠くへ)等への競争力の強化が必要である。そのため、本事
※「わさびチーズタルト」
※「わさびチーズスティックケーキ」
業で商品化して店舗販売した際に、観光客を待つのではなく、攻めのPRを加味した観光資源としての周知・理
❷ 奥多摩町のワサビを利用したスイーツ等の開発
解促進を図る有効な情報発信が必要である。
❸ 着地型旅行商品の企画案策定「女子旅in奥多摩」
また、継続性を持たせるためには、今後、奥多摩町を牽引していくリーダーの存在が不可欠であり、実行委員会
❹ 各種イベントを活用したスイーツ等のサンプリン
メンバーを中心に組織化し、牽引推進者を設定し、定期的な情報交換が必要である。その際に、事務局が蓄積し
グ調査の実施
たスイーツのレシピや膨大なデータ(ツールブック)を、奥多摩町の武器として有効活用が可能なツールとして
活用していく。
今後の展開
❶ 有効な情報発信と販売チャネルの設定
奥多摩周辺地域のみの販売=来訪し、食べ、お土産として購入して欲しい。低予算、小ロット、少ない対応人数
で、負荷を最小限に抑えた展開を狙う。
「いまだけ」期間限定、
「ここだけ」場所限定、「あなただけ」特別感を
うまく醸成していく。
❷ ツールブックの活用
事業実施期間中にツールブック化することにより、事務局閉鎖後の委員会に今までの概要、スイーツのレシピ、
成果
蓄積したデータ等を引き継ぎ、次の牽引者が、運営体制を構築し、奥多摩町の息の長い取り組みに移行できる素
材とする。
本事業は、計4回の委員会の実施、計4回のアンケート調査、計1回のモニターツアーを通じ、歴史はあるが、
知名度が低いワサビを使用した新しいスイーツを作り、奥多摩ワサビのブランド化、認知度向上、来訪促進の訴
求法を協議してきた。奥多摩観光における最大の顧客である、首都圏近郊の日帰り客を狙い、アンケートとモニ
ターツアーを実施し、奥多摩にふさわしいスイーツの開発を図った。
本事業は、商品開発行程のステップ1(現状分析)からステップ3(販売促進、広報・広告)までの中でステッ
プ2(商品開発)までを実施した。平成26年4月からは、引き続き菓子メーカーである東洋米菓と奥多摩観光
協会を中心として、定期的な協議会を開催し、平成26年6月に商品化を実現した。
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実証を終えて
○ 低予算、小ロット、少ないスタッフでの「ワサビ」という地域の資源を有効に使った特産品開発・販売の成功例
であり、他地域の特産品開発の事業に応用が可能である。
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