12 「空、水面、まち」から粋に愉しむ両国 ∼花開く江戸文化・地域探索の旅∼ 現状・課題 企画提案者:一般社団法人墨田区観光協会 委託事業者:株式会社ジイケイ設計 実施区市町村 対象地域 墨田区 両国 ❷ 地域の気質・もてなしが最大限の地域個性である 橋の上から手を振る人、まちを往来する関取など、地域の気質こそが着飾りのない最大の魅力資源であることが確認できた。 開業以来、高い集客力を誇る東京スカイツリーへの来訪客に、独自の歴史や伝統工芸、食、相撲など、粋な江戸文化が ❸ 過去と現在とを対照することで、地域への関心が広がる 息づく両国地域もあわせて楽しんでもらうため、スカイツリーと両国を結ぶ隅田川や内部河川を活用した着地型旅行商品 何気ない現在の風景に江戸の風景を重ねることで、心象風景として広がりを感じることができることが明らかとなった。 の企画造成を行った。これにより新たな旅行者誘致の実現を図るとともに、 この地域における来訪者の回遊性向上を図る。 ❹ 多様な公共交通機関の活用と有機的な連携によって地域回遊の拡大と活性化が図れる 水辺ライン、鉄道系、回遊バス等の有機的なネットワークにより、区内の回遊の拡大への展開を図り、同一のテー マ性による広域連携への展開としての活用にも期待がかかる。 ❺ 都市内河川の水際線の活用は、水辺の往来と賑わいづくりがカギである 内部河川独自の沿川での風景や川沿いの観櫻体験、さらには日常の暮らしとの設定が随所に見ることができるこ とは、別の視点からの新しいまち巡り・回遊の愉しみとなる。 課題 ❶ さらなる地域商店の巻き込み 実施内容 商店や施設の営業時間の見直し、 土日営業の検討が必要である。歴史案内や休憩所等、 地域商店のまち歩きへの協力が必要である。 ❷ 代替交通、交通の柔軟性 ❶ 着地型旅行商品企画案作成のための事業可能性分析 第3回ツアーでは、 強風のため舟運観光が中止となった。代替交通として 「区内バスルート」 「東京水辺ライン」 の活用が考えられる。 両国地域とスカイツリー周辺地域とを、隅田川や内部河川を活用した舟運により繋ぐことで創出される観光地と ❸ 外国人観光客への配慮 しての可能性について、調査分析を実施した。 参加者募集、当日の誘導等は、専門のスタッフが必要である。舟運観光時のサングラス着用、宗教上の食事制限、 ❷ 着地型旅行商品の企画・開発及びモデルツアーの実施 ゆとりのあるスケジュールとすることなどの配慮が必要である。 • スカイツリーセクション モデルツアーの出発地では、東京スカイツリーから旅路を確認し、また、江戸から現代に引き継がれた隅田 川や内部河川を確認した。すみだまち処では両国地域周辺の産業や工芸の鑑賞等を行った。 • 舟運セクション 今後の展開 ❶ 江戸のプロモーションに学ぶ∼江戸のたびの意味と再生∼ 成田詣や大山詣へ向かう江戸の旅人の想いを共有し、水辺から旅へと向かうワクワク感を演出。潮汐条件の 鎮魂への想いを活力に賑わいにつなげていく江戸の庶民の生き方、成田詣や両国の川開きの花火といった、舟運 厳しい内部河川での運行が可能なように設計された船の使用を想定した。 活用の効果的なプロモーション手法を現代に再生する。 • 両国まち歩きセクション ❷ 小さなおもてなしを重ねる、つなげる 北斎が描いた下町両国の暮らしぶりや江戸庶民の旅の愉しみを想起させる、粋に愉しめるまち歩きを演出した。 下町の暮らしぶりに根付く、人情あふれるおもてなし、四季を活かしたおもてなし、ひと手間加えたおもてなし コースは、既存の両国まち歩きルートやまち歩き博覧会ルートと絡めて、ターゲットごとにルートを設定した。 といった、粋に愉しむしかけの積み重ねで旅の情緒を育む。 また地域商店街等と連携することで、次年度以降の事業継続に向けた効率的な企画運営への導入とする。 ❸ 地域のオリジナルの物語、体験を活用する 教科書では学べず、地域でしか学べない小話や裏話、地域側から見た意外な史実は、見えないまちの記憶を呼び 覚ます。 「ここでしか∼」を活用し、旅に特別感を与える。 ❹ モビリティの活用と事業者連携により、舟運観光の可能性を広げる 観光事業者、舟運事業者、旅館事業者との連携により、東京スカイツリーを中心とした下町舟運観光の周知、情 報発信、代替交通の自由実を図り、内部河川の舟運観光の活性化を図る。 成果 ❶ 地域に語り継がれてきた「物語」が地域の新たな魅力商品のネタとなる 地域に伝わっている「物語」を伝え、地域イメージを膨らませてもらうことが、地域における江戸の名残を伝える効果的な 手法であることが明らかになるとともに、 「物語」にテーマを重ねることで、新しい地域の魅力商品となることが確認できた。 26 実証を終えて ○ 内部河川を活用した舟運と歴史、伝統工芸、食等の組み合わせは魅力的な観光資源となることが実証された。 ○「空、水面、まち」という多面的・立体的な観光資源活用の発想は、他の地域でも参考となる。 27
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