『A2-B-C』上映会資料 さよなら原発!佐賀連絡会(文責 杉野) 最初に

『A2-B-C』上映会資料 さよなら原発!佐賀連絡会(文責 杉野) さよなら原発・佐賀連絡所ブログ http://byenukes-saga.blog.so-net.ne.jp/ ★ 最初に登場する山下俊一氏 (長崎大学副学長) ・甲状腺がんの専門家としてチェルノブイリ原発事故の健康被害を調査し、白血病をはじめとしてたくさんの健康被害
があったにもかかわらず、「小児甲状腺がん増加以外の健康被害は確認できなかった」というチェルノブイリ事故調査
報告書をまとめた(日本臨床内科医会会誌 第 23 巻第 5 号 2009 年 3 月)。 ・福島原発事故の時、「安定ヨウ素剤の服用は必要ない」と主張、政府は服用を指示しなかった。 ・年100ミリシーベルトまでの被曝を許容する考え、子供がストレスをためないように1時間10マイクロシーベルトまでは外
で積極的に遊ばせようと主張。「放射能の害はニコニコ笑っている人のところには来ない」と発言(2011年3月21日に
福島市で開催された「放射線と私たちの健康との関係」講演会他)。 ・福島県放射線リスク管理アドバイザーに就任。『福島県民健康管理調査検討委員会』前座長、現在発生している子供
たちの甲状腺がんは原発事故が原因ではない、という考え。 ★ 子どもが下げているガラスバッジ(個人線量計) 本来は、放射線管理区域で働く作業者用(子供用はない)。放射線が前方からだけ来ることが前提、放射線が全方
位からくる場合、体が遮蔽することになるので、3割ほど低く表示される(2013 年 3 月原子力学会誌、平山英夫他
「放射線防護に用いられる線量概念」)。子どもは外遊びや体育の時間にはガラスバッジを身に着けていないので、
累積線量はさらに低く表示されることになる。 ★『原発事故と甲状腺がん』(菅谷昭著 2013年5月刊、幻冬舎)を以下に要約。 著者は現長野県松本市長、甲状腺外科の医師。1996年から2001年までベラルーシに滞在して甲状腺がんの外科
治療を行った。 ○ 汚染状況についてのチェルノブイリ基準 ① 30キロ圏内と年推定被曝量5ミリシーベルト以上は居住禁止。 ② 年1ミリ~5ミリシーベルトは移住の権利がある汚染地域 ③ 年 0.5 ミリ~1ミリシーベルトは放射線高度監視の汚染地域 …福島県では、年20ミリシーベルト以下に下がった地域は帰還が促されている。 ○ 国際放射線防護委員会(ICRP)は、一般人の年間許容被ばく線量を外部被曝と内部被曝を合わせて年間1ミリシ
ーベルト以内と決めている。20ミリシーベルトは大人でさえ日常生活を送るのは危険。細胞分裂が激しい子どもは、
大人より3~4倍も放射線の影響を受ける。 放射性物質を体内に取り込むことによって内部被曝をすると細胞内の小器官や遺伝子が傷つけられて病的状態が
誘発されやすくなるので、取り込んだ放射性物質の量が少なくても健康被害は生じるものと推定される。 (福島県は子どもの内部被曝を把握できる尿検査を行わなかった) ○ チェルノブイリでは、なぜ甲状腺がんが多発したのか。当時のソビエトが事故情報を一切知らせず、子供たちは屋
外でメーデーのパレードの練習を続け、ミルクの制限は事故の12日後からで、ヨウ素剤も配布されなかったためと思
われる。 ベラルーシの西となりのポーランドは、1000万人の子どもにヨウ素剤を服用させ、汚染ミルクの飲用を禁止、4歳以
下の子どもには粉ミルクを配布して、子供の甲状腺がんの回避策を取った。 福島では安定ヨウ素剤70万人分が用意されていたが、政府は「甲状腺がんの局所被曝線量が国際基準値の50ミ
リシーベルト以下だから大丈夫だ」として服用を指示しなかった。 原子力安全委員会は、2012年2月、原発から50キロ圏内の全戸に安定ヨウ素剤を配布するように提言。 松本市は、ホットスポットになる可能性を考慮し、安定ヨウ素剤を40歳未満の市民11万人分用意した。 ○ 福島の健康調査の問題点 甲状腺検査では甲状腺がんの検査だけを行い、血液検査を行わないので機能異常や免疫学的変化を把握でき
ない。 白血病が増大するリスクを考えて一般検診に『白血球分画等』(好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球の比
率を調べる)が追加されているが、白血球の減少数の割合と被曝線量との関係が発表されない。 厚労省が3年に1回、全国の病院に患者の傷病や受診状況を聞き取る『患者調査』で福島全域を除外したため、被
災地の状況をチェックできない。 今福島で何が起こっているのか、を見えない(隠されている)状況にされている。 ○明かされつつある放射線の人体への影響 ・報告された動植物の異常(2013年3月飯舘村放射能エコロジー研究会フォーラム) イネの遺伝子に異変。小型の蝶、ヤマトシジミに成長遅延。ニホンザルの白血球数の減少等。 ・ベラルーシゴメリ医科大学学長ユーリ・バンダジェフスキー教授、多数の病理解剖、臨床的な調査、動物実験からセ
シウム 137 を体内の取り込むと全身の筋肉に沈着するが、「臓器を徐々に破壊していくこと。臓器によって蓄積濃度
が変わること。特定の臓器に高い蓄積濃度がみられること」を見出した(詳細は、『放射性セシウムが人体に与える
医学的生物学的影響』ユーリ・バンダジェフスキー 合同出版 2011 年)。 セシウム 137 の大半が胎盤に蓄積して、その結果、胎児の発育不全を招いている。 また、セシウム 137 による内部被曝線量が高くなるほど免疫機能が低下する。 ベラルーシでは事故後、突然死や慢性心疾患で亡くなる人が増加。セシウム 137 が心筋細胞の広い範囲の委縮や
壊死を引き起こしていた(セシウム心筋症)。 ゴメリ州の低線量汚染地域に住む子どもの半数以上に、心電図検査で異常がみられる。セシウム 137 の体内濃度が
高くなるほど、心電図に異常がみられる頻度が高くなる。 ○ 内部被曝の時代を生き抜くために ・まず、食品検査は細かく行う。測定できる仕組みを作る。そのかわり、政府は生産者の生活を確実に保証する。 ・免疫力や抵抗力を落とさないように、規則正しい生活をする。ビタミン、ミネラル、栄養バランスを考慮する。 ・セシウム 137 などの放射性物質を体内に蓄積しないようにすること。体外に排出する食べ物としての食物繊維やペ
チクンを適切にとること。 ○ 原発事故は放射線災害である。 復興予算は 5 年間で 25 兆円、大半が生活再建、帰還支援。いわば住民の流出を抑え、定住者を増やそうという政策。
除染の目標値は年 20 ミリシーベルト。「この数値は乳幼児や小学生の基準としては認めることができない」と原発推
進派の小佐古東大大学院教授が内閣官房参与を辞任して抗議するほどの数値。除染費用の一部を使って、子ども
と妊婦は福島から移住を。 ★チェルノブイリ原発事故の健康被害について(参考図書) ・『調査報告チェルノブイリ被害の全貌』アレクセイ・ヤブコロフ 岩波書店 2013 年 ・『チェルノブイリの長い影』オリベ・ホリッシナ 新泉社 2006 年 ・『チェルノブイリ事故から 25 年』ウクライナ政府報告書第 3 章 2011 年 http://blogs.shiminkagaku.org/shiminkagaku/2013/04/34-1.html