100Gbps 高速光通信用「25Gbps 光通信用 DFB レーザー」

(半導体 No.1506)
2015 年 3 月 19 日
三菱電機株式会社
光通信機器の低消費電力化・高性能化・設計簡素化に貢献
100Gbps 高速光通信用「25Gbps 光通信用 DFB レーザー」を開発
三菱電機株式会社は、伝送速度 100Gbps※1 の高速光通信で使用される送信用光源デバイスとし
て、広い温度範囲で動作する「25Gbps 光通信用 DFB レーザー※2 」を開発しました。今回の開
発により、25Gbps 光通信用レーザーを 4 つ搭載する 100Gbps 高速光通信機器の低消費電力化・
高性能化・設計簡素化に貢献します。
この開発成果は、
「Optical Fiber Communication Conference and Exposition 2015」
(2015 年
3 月 22~26 日、於:米国・ロサンゼルス)にて発表する予定です。
※1 Gbps(Giga-bits per seconds):1 秒間に 10 億個のデジタル符号を伝送できる通信レートの単位
※2 DFB(Distributed Feed-Back)レーザー:分布帰還型レーザー。レーザー内部に回折格子を備え、
特定の波長で光信号を取り出す構造
電流
電流狭窄層
発光層
DFB レーザー部分
パッシブ光導波路部分
電極
光出力
インジウム・リン基板
図 1 25Gbps 光通信用 DFB レーザーの概略図
開発の特長
1.高温動作時でも高光出力を実現し、光通信機器の低消費電力化・高性能化に貢献
・高速応答特性を損なうことなく、発光層に効率良く電流注入できる低容量電流狭窄層を開発
・従来製品※3 に比べ、発光層への電流注入効率を約 12%改善し、高温時(+85℃)でも
10mW 以上の高い光出力を実現
・高温動作可能によりデバイスの冷却が不要となり、光通信機器の低消費電力化に貢献
・合波時に生じる光損失を補うことができる高光出力の実現により、異なる 4 波長の 25Gbps
DFB レーザー光を合波する 100Gbps 光通信用集積型 TOSA※4 の高性能化に寄与
※3 10Gbps 光通信用 DFB レーザー ML768K42T
※4 Transmitter Optical Sub Assembly:送信用小型光デバイス
2.広い動作温度範囲で高品質な変調波形を実現し、光通信機器の設計簡素化に貢献
・低容量電流狭窄層の開発と DFB レーザー部分の従来製品※3 比 75%縮小により、広い動作温
度範囲(-20℃~+85℃)で業界トップレベルの高品質な変調波形(マスクマージン※5 :20%
以上)を実現
・レーザー駆動回路設計の調整が容易となり、光通信機器の設計簡素化に貢献
※5 変調波形の品質を表す指標。値が大きいほど品質が優れる
今後の展開
光通信機器の高密度実装化・低消費電力化に対応するため、動作温度範囲のさらなる拡大と、
電流から光への変換効率の向上を図ります。
報道関係からの
お問い合わせ先
〒100-8310 東京都千代田区丸の内二丁目 7 番 3 号 TEL 03-3218-2359
三菱電機株式会社 広報部
1
FAX 03-3218-2431
開発の背景
個人や企業が取り扱う通信データ量の増大やクラウドコンピューティングの普及を背景に、ト
ラフィックが集中するデータセンターでは、現在主流の伝送速度 40Gbps から 100Gbps への高速
化が求められています。一方、データセンターでは多数の通信機器が設置されるため、機器の小
型化・低消費電力化が課題となっています。
当社は今回、広い温度範囲で動作する「25Gbps 光通信用 DFB レーザー※2 」を開発しました。
これにより、100Gbps 高速光通信機器の低消費電力化・高性能化・設計簡素化に貢献します。
開発成果の補足
1.高温動作時でも高い光出力を実現
25Gbps 動作に必要な高速応答特性を得るには、発光層に電流を流れやすくするための電流
狭窄層に、不純物を混ぜて電気抵抗を高くした半絶縁性の半導体を用いることが有効です。
しかし、半絶縁性の半導体を用いた場合、特に高温時に発光層への電流注入効率が低下し、
高い光出力が得られないという課題がありました。今回、構造の工夫により、半絶縁性の半
導体を用いても、発光層に効率よく電流注入できる電流狭窄層を開発しました。これにより、
電流注入効率を当社従来製品※3 比で約 12%向上し、+85℃の高温時においても 10mW 以上
の光出力を実現しました(図 2)。高温での動作が可能になったことでデバイスの冷却が不要
となり、光通信機器の低消費電力化に貢献します。また、合波時に生じる光損失を補うこと
ができる高光出力の実現により、
異なる 4 波長の 25Gbps DFB レーザー光を合波する 100Gbps
光通信用集積型 TOSA の高性能化に寄与します。
-20℃
光出力 (mW)
25
25℃
20
60℃
15
75℃
85℃
10
5
0
0
20
40
60
80
電流 (mA)
図 2 電流-光出力特性
2.広い動作温度範囲で高品質な変調波形を実現
低容量電流狭窄層の開発と DFB レーザー部分の従来製品※3 比 75%縮小により、半導体レー
ザーの高速応答特性を改善しました。これにより、広い動作温度範囲(-20℃~+85℃)で
マスクマージン※5 が 20%以上となり、業界トップレベルの高品質な変調波形を実現しました
(図 3)。この結果、レーザー駆動回路設計の調整が容易となり、光通信機器の設計簡素化に
貢献します。
マスク
光信号の強度
ON レベル
OFF レベル
時間
–20°C
マスクマージン=24%
25°C
85°C
マスクマージン=34%
マスクマージン=24%
図 3 変調波形
2
マスクマージン
開発担当
三菱電機株式会社 高周波光デバイス製作所
〒664-8641 兵庫県伊丹市瑞原四丁目 1 番地
お客様からのお問い合わせ先
三菱電機株式会社 半導体・デバイス第二事業部 高周波光デバイス営業第二部
〒100-8310 東京都千代田区丸の内二丁目 7 番 3 号
TEL 03-3218-4880 FAX 03-3218-4862
URL http://www.MitsubishiElectric.co.jp/semiconductors/
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