なぜ、 なぜ、今、この DVD なのか? なのか? 【イメージ・サテライト 中橋真紀人】 DVD「やれば、できるさ!」製作の意図は 6・26 集会の「熱気」を伝えようと考えたからである。僅か 1 ヶ月程の取組みで全国か ら 3 千人が結集した勢いの背景には、今回の問題での「怒り」と長い年月に渡る「思い」がある。発言に立った人々、特に当事者の 決意が、参加者の心を揺さぶった。しかし、その共感と「熱気」は、言葉(口伝えや活字)だけでは、うまく伝わらない、というの が私の判断であった。 (私も、障害者映画祭の取組み準備で、集会当日は台湾にいた…帰国した後、収録映像を見て、強烈な感動を覚 え『これを伝えるには、どうしたら良いか?』と考え込んだ) 開催の約 2 週間前、藤井さんとの別件での打合わせの際に、偶然に 6・26 を聞いたので『その集会の全体を、ともかく映像に記録 しておきましょう!』と提案、合意を得た。その背景には、かつて闘った「自立支援法」訴訟の最後に、国との「和解」が成立した際 の“セレモニー”で首相が謝罪したというトピックスがありながら、その時の写真も映像も残っていないらしい…という話を聞いた時の「悔し さ」があった。 (運動の当初から、適宜、記録を撮っていれば、貴重な素材が残った筈。そして、国の「裏切り」を後日に鋭く批判で きる「材料」になったかも知れないという“後悔” ) 6・26 の意義は大きく、 「歴史の転換点」を予感させるものが感じられた。3千人は凄い人数だけれど、その人たちが地元に帰って 伝えても、 「熱気」 「感動」をうまく伝えるのは難しい…。このエネルギー&パッションをストレートに伝えるには、映像という手段が最適!と、こ の分野にいる人間として考えた。 全体像も見えぬのに、ともかく「集会記録」を撮ることにして、撮影を中村和彦さんに頼んだ。彼とは『アイ・コンタクト』の自主上映を 引き受けてからの付き合いで、現在、電動車椅子サッカーという知られざる世界をカメラで追う作業を共同で進めている。その彼に、無理矢 理、 「1 日出向いて撮影しておいて」と要請。彼は、独りカメラ機材を抱えて「日比谷野音」に出かけ、多田きょうされん事務局長のサポ ートを得て、会場を駆け巡った。 (普通、こうした記録を収録する際は、数名のスタッフで、2 台以上のカメラを回すのだが…!?) そんな時期に、藤井さんの「トリエステ訪問」の話を聞いたのである。2012 年の映画「人生、ここにあり!」の上映活動で多くを学ん だイタリア訪問の機会を狙っていた人間としては、見逃すことのできないチャンス!すぐに同行をお願いして準備に。 (資金枯渇ゆえに、費用 の調達も大変)この訪問では、大熊一夫氏のご尽力により、現地の最高責任者のメッツィーナ精神保健局長との面談が確定していたので、 そのインタビュー収録を目論んだ。訪問施設の内部は撮影 NG だが、事前の調整で、藤井氏の質問に答える形での「局長収録」は特別に OK となった!(帰国後、現地のコーディネーターのご協力により、現地スタッフのデイケアの記録映像を入手することもできた)丸 2 日間の見学 取材の最初と最後に、メッツィーナ氏のレクチャーを受け、様々な医療や福祉の施設を訪問、丁寧な解説 を受けた。最後の訪問先となった郊外のデイケア・レクリエーション施設では、当事者メンバーの楽器演奏の “歓迎”を受け、 「この様子は撮影 OK」との言葉に大喜びで収録した次第。 帰国してから、 「11・13 院内集会Ⅱ」も取材しようとの提案。会議の終了後に、関係者のイ ンタビューも実現。そして 12 月 4 日の JDF10 周年記念全国フォーラムのゲストとして迎えたマリア・レイエス 国連・障害者権利委員会委員長の単独インタビューも藤井さんの手配で収録成立! それからは中村さんの苦闘が始まった。集会記録の映像と幾人かのインタビューで、40 分の分かり 易い映像を作ってほしい、という要請に応えるべく、連日連夜の作業が…。 (普通、こうした映像 作品を制作する場合、全体の企画を練りながら数十時間以上の取材(素材)を重ねて、これを編 集していくのだ!)しかも「勉強会などで使い易く 40 分にまとめる」という枠組みも。 鑑賞側からは“2 つの集会の記録と幾つかのインタビューを繋いだもの”としか見えないかもしれな いが…。テーマの難しさ、材料の少なさ、編集にかける時間的制約など、厳しい条件ばかりの中で、 製作サイドの苦闘が続いた。 (完成も遅れてしまった)この時に、6・26 集会の発言も克明に収録した JD ブックレット「病棟から出て地域で 暮らしたい」が発刊された事も作業に大きく役立った(この編集・発行に尽力されたチームにも感謝!) この DVD を作ろうという「無謀な計画」に協力してくれたメンバーに深く感謝する次第。撮影&ディレクター の中村さん、 「映像技術協力」ということでグラフ作成や字幕修正など全般にアドバイスしてくれた古賀陽一氏 ( 「こんばんは」 「9nine」の名編集者) 、ナレーションが必要になり、急遽の要請を快く引き受けてくれた長谷 川葉月さん(彼女は、演劇「ふるさとをください」の作業所長役を演じ、和歌山公演を私が実現させた縁) 、 ナレーション収録の録音スタジオ確保に尽力してくれた映広スタジオの新井英夫氏(ろうあ連盟 60 周年記念映画「ゆ ずり葉」のプロデューサーで、撮影から仕上げまでの影の立役者。私が作品アドバイザーを務めた時の縁) 。イタリア 語の映像の翻訳に多忙な中で協力してくれた和歌山の森本宣彦氏(彼はイタリアで料理修業を終えて帰郷、 「麦 の郷」作業所のお菓子づくりのアドバイザー)などなど。 また、6・26 集会の最後に登場して会場を盛り上げた「ハルシオン」の歌も、DVD に大きく貢献してくれた。 「イタリアの仲間と歩いてゆけ ばいい」(作詞・作曲:塚本正治氏)という素敵な歌は本 DVD の為に生まれた曲のように聞こえるだろう! 加えて、映画「人生、ここにあり!」の配給元の新日本映画社にも深く感謝!(この映画の原題が「やれば、できるさ!」なので ある) そして、 「無謀な企画」を支援してくださった JD 事務局、資料集めなど全般に渡り協力頂いた「考える会」の長谷川利夫先生、増 田一世さん、氏家憲章氏には、面倒な質問に幾度も丁寧に答えて頂いたことなど、深く感謝申し上げる。 この DVD が活用され、全国一斉に上映イベントが開催されることは、 “反撃の狼煙”であり世論へのアピールとなることを信じて…!!
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