「世界における低品位炭の開発・利用状況と 我が国への輸入可能性調査」

平成26年度JOGMEC石炭開発部調査事業成果報告会
海外炭開発高度化等調査
②
「世界における低品位炭の開発・利用状況と
我が国への輸入可能性調査」
平成27年3月11日
目次
(1)世界の低品位炭の賦存状況、炭質、埋蔵量
(2)インドネシア・米国・ロシア・中国及び我が国への輸入可能性がある国にお
ける低品位炭及び一般炭の生産・国内消費・輸出状況
(3)米国PRB(Powder River Basin)炭サプライヤー、インドネシア低品位炭サプライ
ヤーの概要
(4)海外の主要低品位炭消費国(上位10ヶ国)での電力用・一般燃料用及び改
質等その他利用としての低品位炭の使用状況
(5)低品位炭の自然発火対策及び低品位炭利用のメリット、ディメリット
(6)低品位炭の改質技術の現状と動向
(7)我が国での低品位炭又は改質した低品位炭の使用状況と今後の利用・輸
入可能性及び課題
1
目次
(1)世界の低品位炭の賦存状況、炭質、埋蔵量
2
低品位炭の定義
主要国・地域における石炭の炭種区分
(kcal/kg) 8,000
7,000
6,000
4,000
5,000
3,000
インド(dmf) Bituminous Sub-bituminous
Lignite
瀝青C 亜瀝青D 亜瀝青E
褐炭F1
褐炭F2
日本(daf)
米国・カナダ(mmf)
Other bituminous
Anthracite
Sub-bituminous A Sub-bituminous B Sub-bituminous C
High volatile bituminous
ISO(maf)
Medium rank (Bituminous), High rank (Anthracite)
Low rank C (Sub-bituminous)
EU(maf)
Bituminous
Sub-bituminous
ドイツ(maf)
Dull brown coal
(MJ/kg)
32
30
Lignite
Sub-bituminous coal
Hard steam coal
Low rank C (Lignite)
Lignite
石炭
中国・ロシア(maf)
インドネシア(adb)
Lignite B
Low rank B (Lignite)
Bright brown coal
Bituminous coal
ポーランド(maf)Coking coal, Anthracite
Lignite A
28
25 24
20
16 15
 インドネシアはMedium rankとLow rankの石炭、つまり気乾
ベース6,100 kcal/kg未満を低品位炭とみなす
出典:品質規格より作成
石炭分析の表示基準
水分
固定炭素
 ISO・EU・ポーランド・中国・豪州は含水無灰ベース24
MJ/kg(約5,732 kcal/kg)以下
 米国・カナダは含水無鉱物質ベース26.7 MJ/kg(6,389
kcal/kg)以下
Low rank
Medium rank
 発熱量が石炭区分の目安となるが、分析での設定条件に
よって、発熱量は大きく変わってくる
Lignite
褐炭
High rank
 石炭は一般的に発熱量の高いものから順に無煙炭、瀝青
炭、亜瀝青炭、褐炭に分類されるが、これらの区分は国に
よって異なる。
揮発分
灰分
無水ベース(dry basis, db)
 今回の調査では、各国の基準において亜瀝青炭、褐炭に
属するものを低品位炭として定義、炭種区分を行うこととし
た。また、無煙炭、瀝青炭を高品位炭と定義した。
 輸出入データでは、貿易統計でのその他の石炭と褐炭を
低品位炭、無煙炭、瀝青炭を高品位炭とした。
無水無灰ベース(dry, ash free basis, daf)
無水無鉱物質ベース(dry, mineral matter free basis, dmf)
含水無灰ベース(moisture, ash free basis, maf)
 本調査における低品位炭とは、石炭の炭化度が比較的低
い石炭を指し、灰分、硫黄分が高い、品質の低い石炭を指
すものでない。
含水無鉱物質ベース(moisture, mineral matter free basis, mmf)
気乾ベース(air drird basis, adb)
到着ベース(as received basis, ar)
鉱物質
出典:品質規格より作成
3
低品位炭の賦存状況、炭質、埋蔵量
 WEC(世界エネルギー会議)が世界各国の石炭埋蔵量を
定期的にとりまとめてる。2013年のWEC会議で報告。
世界の石炭確認可採埋蔵量の上位国(10億トン以上)
 世界の石炭確認可採埋蔵量は8,915億トン。亜瀝青炭・
褐炭4,883億トン(54.8%)
単位:百万トン
国名
亜瀝青炭・褐炭
瀝青炭・無煙炭
合計
1
米国
128,794
108,501
237,295
2
ロシア
107,922
49,088
157,010
3
中国
52,300
62,200
114,500
4
ドイツ
40,500
48
40,548
5
豪州
39,300
37,100
76,400
6
インドネシア
28,017
7
ウクライナ
18,522
15,351
33,873
8
セルビア
13,410
1
13,411
9
カザフスタン
12,100
21,500
33,600
10
トルコ
8,380
322
8,702
11
ブラジル
6,630
12
インド
4,500
56,100
60,600
13
カナダ
3,108
3,474
6,582
14
ギリシャ
3,020
15
ボスニア・ヘルツェゴビナ
2,369
484
2,853
16
ブルガリア
2,364
2
2,366
17
パキスタン
2,070
18
ウズベキスタン
1,853
47
1,900
19
ハンガリー
1,647
13
20
モンゴル
1,350
21
ポーランド
1,287
22
タイ
1,239
その他
7,650
43,620
51,270
世界計
488,332
403,199
891,531
出典:WEC World Energy Resources 2013 Survey
 低品位炭埋蔵量上位10ヶ国4,493億トンと世界計の92%。
地域的にみれば、米国、ロシア、アジア、欧州、豪州と
様々な場所に広く分布。地政学的にも有利。
28,017
 いくつかの国で新たな情報を入手。(WECは信憑性に乏
しい国もある)
 炭質は高水分、低発熱量
6,630
本調査により入手した資源量・埋蔵量
3,020
低品位炭
高品位炭
合計
単位:百万トン
備考
ロシア
100,800
92,900
中国
543,212
616,556
ドイツ
40,400
25
1,660
豪州
44,164
62,095
1,170
2,520
インドネシア
7,741
1,154
8,895 埋蔵量
4,178
5,465
トルコ
13,442
512
13,954 埋蔵量
インド
43,216
125,909
169,125 資源量
2,070
1,239
ギリシャ
2,978
ポーランド
1,519
19,131
フィリピン
301
23
出典:各種資料
193,700 技術的可採埋蔵量
1,159,778 既発見資源量
42,900 埋蔵量
105,259 可採資源量
2,978 埋蔵量
20,650 埋蔵量
324 可採埋蔵量
4
目次
(2)インドネシア・米国・ロシア・中国及び我が国への輸入可能性がある国にお
ける低品位炭及び一般炭の生産・国内消費・輸出状況
5
インドネシア(資源量、生産量、消費量)
品位別の発熱量の定義
低発熱量
中発熱量
高発熱量
超高発熱量
ADB(Air Dry Base)
<5,100kcal/kg
5,100kcal/kg~6,100kcal/kg
6,100kcal/kg~7,100kcal/kg
>7,100kcal/kg
GAR(Gross As Received)
<4,700kcal/kg
4,700kcal/kg~5,700kcal/kg
5,700kcal/kg~6,600kcal/kg
>6,600kcal/kg
品位別の資源量
品位別埋蔵量
品位別石炭生産量
2%
(百万トン)
2011
2012
8
34
251
223
94
129
353
386
8%
(単位:百万トン)
低発熱量
中発熱量
高発熱量
超高発熱量
計
25%
30,570
78,454
9,558
1,943
120,525
65%
低発熱量
中発熱量
高発熱量
計
2013
37
243
141
421
出典:エネルギー鉱物資源省
低発熱量
中発熱量
高発熱量
超高発熱量
産業別石炭消費量
出典:Indonesia Coal Book 2014/2015
品位別、地域別資源量
カリマンタン
低発熱量
中発熱量
高発熱量
超高発熱量
計
5,170.69
48,540.62
8,608.77
1,916.77
64,236.85
出典:Indonesia Coal Book 2014/2015
スマトラ
25,392.66
29,584.42
921.78
0.69
55,899.55
スラウエシ
1.98
216.44
14.68
0.00
233.10
パプア
0.91
93.70
9.41
25.53
129.55
(単位:百万トン)
ジャワ
計
3.21
0.90 30,570.35
3.48 15.73 78,454.39
0.00
3.07
9,557.71
0.00
0.00
1,942.99
6.69 19.70 120,525.44
マルク
PLN
IPP
PLN関連
セメント、肥料、パル
プ、繊維など
冶金
計
(単位:百万トン)
2012
2013
37.18
40.01
15.95
16.85
1.56
1.38
2010
45.10
9.10
1.30
2011
37.00
8.97
1.49
9.15
12.35
12.23
13.09
0.31
64.96
0.34
60.15
0.34
67.26
0.74
72.07
出典:エネルギー鉱物資源省
6
インドネシア(輸出量)
国別石炭輸出量の実績
160,000
140,000
中国
 総輸出量は年々増加、また、低品位炭の占める割
合も伸びている。2013年低品位炭2億5,000万トン
輸出。全体の6割に達している。
インド
120,000
300,000
250,000
韓国
100,000
台湾
マレーシア
フィリピン
80,000
タイ
200,000
千トン
(千トン)
低品位炭輸出
日本
150,000
100,000
香港
60,000
スペイン
50,000
イタリア
40,000
米国
オランダ
20,000
その他
0
0
2002
2003
2004
2005
2007
2008
2009
2010
2011
インド
韓国
日本
台湾
タイ
フィリピン
香港
マレーシア
スペイン
パキスタン
米国
ベトナム
イタリア
ニュージーランド
その他
2012
2013
出典:インドネシア貿易統計
2011
2012
2013
2014
2015
高品位炭輸出
出典:統計中央局(インドネシア年鑑2014年)
(1,000トン)
450,000
400,000
2006
中国
石炭品位別輸出実績
高品位炭
低品位炭
350,000
300,000
250,000
200,000
150,000
100,000
50,000
0
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
出典:インドネシア貿易統計
出典:インドネシア貿易統計
7
インドネシア(生産量、消費量、輸出量将来見通し)
生産、輸出、国内消費に関する将来見通し
 政府の発表予想では石炭生産管
理を考慮、前年実績の1%増にと
どめている。
 2013年は生産量4億2,500万トン、
輸出量3億4,900万トン、国内消
費量は7,200万トンであったが、
2019年は生産量4億4,200万トン、
国内消費が1億4,000万トンに増
加輸出量3億200万トンに減少。
 国内消費量は1億4,000万トンま
で増加する。
出典:エネルギー鉱物資源省
 インドネシアでは2009年に新鉱物石炭法が施行されて以来、自国の鉱物資源に対す
る様々な保護政策が打ち出されている。(資源ナショナリズム)
 国家収入の最適化、価格基準の導入。DMO(国内供給義務)、ICPR(石炭価格統
制)
 鉱物資源付加価値の義務化(石炭についても石炭の発熱量による輸出制限が検討さ
れている。)
 輸出税、輸出規制
8
米国(分布状況、埋蔵量)
 褐炭、亜瀝青炭の主要な産出地域
はMontana州、Wyoming州、North
Dakota州、Mississippi州、Texas州
 アパラチア、中部イリノイ地域は
ほとんどが瀝青炭を中心とする高
品位炭である。
北部大平原地域
北部ロッキー山脈・大平原炭田
イリノイ炭田
コロラド台地炭田
アパラチア炭田
メキシコ湾岸炭田
東部地域
大平洋地域
ロッキー山脈地域
湾岸地域
 埋蔵量は米国全体で4,395億トン
(2011年資料)
 高品位炭(無煙炭+瀝青炭:55%)
は2,401億トン、低品位炭(亜瀝青
炭+褐炭:45%)は1,994億トン。
出典:EIA(Energy Information Administration)
埋蔵量(4,395億トン)
6.8, 2%
38.8, 9%
低品位炭の地域別品位
Montana
233.3, 53%
160.6, 36%
単位:10億トン
無煙炭
瀝青炭
亜瀝青炭
褐炭
North Dakota Mississippi
Texas
水 分 (%)
25.8
23
27.6
28.2
29.5
揮 発 分 (%)
27.7
29.7
34.1
29.4
30.3
固定炭素 (%)
41.5
40.6
28.8
25.6
25.2
灰 分 (%)
5
6.7
9.5
16.8
15
硫 黄 分 (%)
0.8
0.2
0.8
0.9
1.2
4,679
4,808
4,038
3,676
3,598
発熱量
(kcal/kg)
出典:EIA Annual Energy Review(2011)
Wyoming
出典:EIA(Energy Information Administration)
9
米国(生産量、消費量、輸出入量)
 2013年の石炭生産量は約8億9,300万トン。一般炭はこの内8億トン。
年々減少している。
四半期別石炭生産量
1,200,000
 2013年の炭種別では無煙炭194万トン、瀝青炭4億2,745万トン、亜瀝青
炭3億9,398万トン、褐炭7,006万トンであった。褐炭、亜瀝青炭で52%を
占める。
1,000,000
800,000
600,000
400,000
200,000
0
2008
2009
第一四半期
2010
2011
第二四半期
第二四半期
2012
2013
第二四半期
出典:EIA Website
 亜瀝青炭の9割以上にあたる約3億8,000万トンがPowder River Basinで生
産されている。褐炭は北部のNorth Dakota州、南部のTexas州の2州で、
全国褐炭生産量の9割に相当する約6,500万トンを生産している。消費
トップは石炭火力発電所、次にその他産業、コークスと続く。
 2008年には電力に9億4,400万トンの石炭が使用されたが、2013年は7億
7,900万トンに減少、政府政策に伴う石炭火力発電所への規制強化、
シェールガスの台頭により石炭からガスへの燃料転化が加速している。
 石炭輸出は国内消費の減少、海外での需要の増加に伴い増加傾向にあ
る。石炭輸入量は2006年までは増加したが、その後は減少している。
 米国の貿易統計によれば、2013年の石炭輸出実績は総計で1億100万ト
ンであり、このうち低品位炭(亜瀝青炭・褐炭)は620万トンと輸出全
体の6%に過ぎない。
石炭輸出入量
出典:EIA Annual Coal Report(2013)
石炭消費量
1,200,000
(千トン)
1,000,000
800,000
600,000
400,000
200,000
0
2008
電力
出典:EIA Annual Coal Report(2013)
2009
2010
コークス
2011
その他産業
2012
2013
出典:EIA Website
10
米国(生産量、消費量、輸出量将来見通し)
石炭生産予測
 東部では減少し、中部、西部では増加し、
全体では増加傾向になる。
 低品位炭は西部のPowder River、North
Dakotaを中心に生産され、今後も4億トン
程度の出炭量を維持
 石炭消費量予測は全体的に多少の上下は
あるが大きな変化はない。
 石炭輸出入予測では輸入は減少し、輸出
は増加する。
出典:EIA(Energy Information Administration)
石炭消費予測
(100万トン)
1,000
800
600
400
200
0
2011
2012
2013
2014
電力
コークス
2015
2020
2025
2030
その他産業
出典:EIA(Energy Information Administration)
160
輸入
輸出
石炭輸出入予測
140
(100万トン)
116
114
120
105
103
100
97
100
134
124
80
 西部の炭鉱会社は国内消費の低迷によ
り、アジア地域への輸出意欲は高いが、
輸送インフラの構築が一つの課題
 鉄道や積出港の建設が米国石炭輸出増
加の鍵となる。
60
40
20
10
7
8
2012
2013
8
5
2
1
1
2015
2020
2025
2030
0
2011
2014
出典:EIA(Energy Information Administration)
11
ロシア(分布状況、埋蔵量)
 石炭は大きくAnthracite、Hard Coal、Brown Coal、、に分けられている。
炭種別石炭埋蔵量
炭 種
確認埋蔵量
(A+B+C1)
(単位:10億トン)
推定埋蔵
量
合 計
(C2)
低品位炭
100.8
45.6
146.4
高品位炭
92.9
33.9
126.7
合 計
193.7
79.5
273.1
出典:Ministry of Natural Resources and Environment of the Russian Federation
 今回の調査ではBrown Coalに属するものを低品位炭とした。Brown Coalは発熱量
含水無灰ベースで24 MJ/kg(5,732 kcal/kg)なので亜瀝青炭はおおむねBrown
Coalに含まれると思われる。
 A、B、C1をProved/Measured(確認)、C2をProbable/Indicated(推定)
 低品位炭の確認埋蔵量は1,008億トン、WEC報告値である1,079億トンより71億ト
ン少ない。一方、高品位炭の確認埋蔵量は929億トンとWEC報告値(491億ト
ン)より438億トン多くなっている。
 低品位炭埋蔵量が特に多い炭田はKansk-Achinsk Basin、Irkutsky Basin、Lensky
Basinであり、その他Kuznetsky Basin、Podmoskovny Basin、Uzhno-Uralsky Basin、
Zabaykalsky Deposits、Amur Oblast Deposits、Sakhalin Deposits
出典:各資料より作成
12
ロシア(生産量、消費量)
炭種別生産量
2000
257.9
196.9
111.9
85
61
石炭生産量総計
一般炭
高品位炭
低品位炭
原料炭
2005
299.9
230
155.3
74.7
69.9
2009
300.8
239.7
170.6
69.1
61.1
(単位:100万トン)
2010
323
257.9
182.2
75.7
65.1
2011
336.7
268.7
193.3
75.4
68
2012
354.8
277.6
201.8
75.8
77.2
2013
352
269.7
196.8
72.9
82.3
出典:Ministry of Energy
主要石炭生産企業の生産量
企業名
SUEK
2012年生産量
(100万トン)
Brown
Hard Coal
計
Coal
60.2
37.3
97.4
2013年生産量
(100万トン)
Brown
Hard Coal
計
Coal
62.2
34.3
96.5
Kuzbassrazrezugol
Mechel
EVRAZ
45.4
24.2
11
-
45.4
24.2
11
45.1
25.2
13.7
-
45.1
25.2
13.7
Severstal Resource
7.6
148.4
37.3
7.6
185.7
7.8
154
34.3
7.8
188.3
計
出典:Ministry of Energy
英 国
日 本
韓 国
ウクライナ
ポーランド
中 国
トルコ
オランダ
ドイツ
フィンランド
その他
計
2008
12,720
9,242
6,562
13,372
4,063
309
10,118
4,781
2,562
6,200
28,127
98,057
2009
16,087
8,395
5,520
8,010
6,527
9,554
7,953
7,576
1,755
6,106
28,262
105,745
 ロシア大手5社の石炭生産量の約半分を生産。低品位炭を
生産しているのはSUEKのみ。
 国内で生産された低品位炭はほとんどが国内で発電、産業
ボイラなどに使用される。(国内全体では2億5,000万トン
程度)
 ロシアは2013年1億4,000万トンの石炭を輸出、中国、英国、
韓国、日本、ウクライナ。中国は純輸入国に転じた2009年
から急増。2,000万トン以上を輸出。
 2011年低品位炭全輸出量は200万トンあまりに止まってお
り、上位3ヶ国の韓国、中国、日本で全体の8割を超える。
 輸入は高品位炭2,500万トン、主にカザフスタン(200万ト
ン原料炭)
国別輸出量
2005
12,843
9,622
3,258
7,823
2,111
1,092
6,777
2,886
1,766
4,957
27,058
80,194
 ロシアの石炭生産量は2000年以降、経済の復調に伴い増加。
2013年の全石炭生産量は3億5,200万トン、うち低品位炭は
7,290万トン。低品位炭の生産量はここ数年ほぼ横ばい、全
石炭生産量の約2割、一般炭生産量の約4分の1を占めてい
る。
2010
11,821
10,260
7,816
13,301
7,761
10,825
10,895
8,170
4,179
2,892
29,344
117,264
出典:Customs Committee of Russia、*IEA Coal Information 2014
(単位:1,000トン)
2011
2012*
2013e*
14,018
16,300
21,912
11,113
12,483
12,435
10,512
12,964
15,348
10,393
10,289
12,167
8,504
5,989
6,059
8,073
21,827
26,581
8,017
9,436
9,040
5,343
5,980
2,294
4,025
8,204
9,786
3,057
2,558
3,619
27,392
24,239
22,349
110,448
130,269
141,590
低品位炭の国別輸出量
韓 国
中 国
日 本
ハンガリー
スロバキア
ウクライナ
トルコ
その他
計
2005
106
100
503
286
221
230
66
1,275
2,786
2006
88
39
543
399
112
308
73
453
2,016
2007
86
17
121
422
90
167
724
324
1,950
2008
26
65
402
206
85
32
598
160
1,574
(単位:1,000トン)
2009
20
342
831
200
51
0
357
148
1,949
注)数値はHS コード 270119(亜瀝青炭)と270210(褐炭)の和
出典:Customs Committee of Russia
2010
422
634
431
72
19
96
16
140
1,830
2011
622
745
293
86
38
90
4
143
2,021
13
ロシア(生産量将来見通し)
石炭生産見通し
(単位:100万トン)
地域・炭種
ロシア合計
うち 原料炭
地域別
Donetsk basin
Ural basin
2010
323
73
2013
352
80
2020
392 - 425
105 - 112
2025
400 -440
108 - 115
2030
410 - 460
112 - 120
4.7
2.2
4.4
2.2
5
1
4-6
0
3-6
0
Pechora basin
13.6
13.9
13 - 19
17 - 21
21 - 24
Kuznetsky Basin
185
208
214 - 206
205 - 215
198 - 207
East Siberia
92.3
92.3
101.1 -106.6
108 - 110
116.6-122.6
Far East
31.4
33.2
57.9 –78.4
66 - 88
75.4-100.4
出典:Long-term program of coal industry development in Russia, 2014
 2020年から2030年にかけて、現在の約3億5,000万トンの生産量を5,000万~1億トン増産
 現在の主力生産地域であるKuznetsky Basinの生産規模を維持しつつ、East Siberia、Far
Eastの生産を大幅に増加させる
 現在進んでいる開発計画をみると、ほとんどが高品位炭開発の計画であり、低品位炭を
含む開発は、Sakhalin州の石炭鉱床開発計画(Hard Coal+Brown Coal計1,000万トン計画。
スケジュールは未定)のみである。
 今後のロシアの低品位炭生産については、おおむね現状の年産7,000万~7,500万トン程
度を維持すると予想される。
14
中国(資源量)
中国石炭炭種分類
ガス脂肪炭
脂肪炭
 2006年のデータでは不粘結炭、長炎炭が多い
Y=25.0mm
 地域的には内モンゴル、新疆で35%程度を占め
る。
85
1/3焦炭
中国低品位炭資源量(2006年末)
焦炭
粘
結
指
数
G
65
炭 種
ガス炭
不粘結炭
弱粘結炭
長炎炭
褐 炭
合 計
50
痩炭
1/2中粘結炭
1/2中粘炭
35
30
0
無
煙
炭
二
号
弱粘結炭
長炎炭
低品位炭
5
地 域
不粘結炭
貧炭
1,919.75
191.71
1,764.98
1,555.68
5,432.12
16.55%
1.65%
15.22%
13.41%
46.80%
20.0
28.0
揮発分 Vdaf %
(全石炭資源量は1兆1,600億トン)
低品位炭既発見
低品位炭総資源 中国石炭総資源
資源量
量に占める割合 量に占める割合
(億トン)
24 発熱量
内モンゴル
2,807.08
Qgr maf MJ/kg
新 彊
1,087.90
褐炭一号
陝西省
543.54
30
山西省
291.17
褐炭二号
その他
702.43
0
合 計
5,432.12
出典:国家安全生産監督管理総局
37.0
透光率
PM %
50
無
煙
炭
三
号
3.5 6.5 10.0
中国石炭総資源量
に占める割合
地域別の低品位炭資源量(2006年末)
貧痩炭
0 2.0 3.0 0
低品位炭既発見資
源量
(億トン)
出典:国家安全生産監督管理総局
20
水素含有量
Hdaf %
無
煙
炭
一
号
 2014年10月に国土資源部が発表した「中国砿
産資源報告2014」によると、中国における
2013年時点の既発見石炭資源量は1兆4,842億
9,000万トンである
51.70%
20.00%
10.00%
5.40%
12.90%
100.00%
24.20%
9.40%
4.70%
2.50%
6.10%
46.80%
(全石炭資源量は1兆1,600億トン)
15
中国(生産量、消費量)
低品位炭生産量
220,000
50%
46%
45%
200,000
44%
42%
183,044
174,871
180,000
9,780
10,162
11,331
160,000
(万トン)
32%
9,098
40%
35%
142,568
140,000
45%
179,451
48,026
78,631
78,144
30%
120,000
97,185
100,000
25%
57,375
7,480
20%
80,000
81,533
35,724
58,451
60,000
57,101
15%
 中国の低品位炭生産量が大幅に増加したのは2009年以降である。
この時期、石炭産業への投資や、関連産業の石炭利用が大幅に
増加した。2009年に9.7億トンであった低品位炭生産量は、
2013年には17.9億トンに増加し、全国石炭生産量に占める割合
は31.9%から43.9%に上昇した。
 消費総量は2009年の9.7億トンから2013年には18.9億トンと倍近
くに増加している。
 中国において低品位炭を利用する分野は主に電力、冶金、建材、
及び化工である。
44,185
40,000
10%
27,416
20,000
26,565
31,909
33,981
36,182
34,043
2009
2010
2011
2012
2013
0
5%
0%
褐炭
不粘結炭
長炎炭
弱粘結炭
中国総生産量に占める割合(%)
出典::国家安全生産監督管理総局
 長炎炭の消費量が最も多く、2013年には全体の43%に相当する
8.2億トンを消費している。
 褐炭は主に火力発電の燃料、石炭化工の原料と燃料、及びセメ
ント製造の燃料として利用されている。
 褐炭は主に内モンゴルと東北地域で全国褐炭消費の7割以上を
占めている。
産業別低品位炭消費量
炭種別低品炭消費量
(単位:万トン)
産 業
電 力
2009
2010
2011
2012
2013
76,527 117,882 142,584 153,653 150,772
建 材
化 工
5,216
5,864
7,677
8,555
8,871
11,458
9,802
10,893
9,634
10,678
冶 金
3,747
5,929
10,062
7,750
7,610
その他
5,830
8,508
10,547
10,897
10,644
合 計
97,185 148,551 183,523 192,995 189,338
出典:汾渭能源
炭 種
2009
2010
2011
褐 炭
26,565 33,892 37,960
不粘結炭
27,416 44,185 81,533
長炎炭
35,724 61,376 52,698
弱粘結炭
7,480
9,098 11,331
合 計
97,185 148,551 183,523
出典:汾渭能源
(単位:万トン)
2012
2013
41,602 40,033
58,451 57,101
83,162 82,041
9,780 10,162
192,995 189,338
16
中国(輸出入量)
低品位炭輸入実績
(単位:万トン)
2010
1,983
4,001
5,984
褐 炭
その他
合 計
2011
3,980
4,672
8,652
2012
5,421
4,530
9,951
2013
5,994
3,897
9,891
出典:中国税関総署
国別褐炭輸入実績
インドネシア
フィリピン
モンゴル
ロシア
ラオス
その他
合 計
2010
1,702
236
7
0
3
33
1980
(単位:万トン)
2011
3,634
243
14
10
9
16
3,926
2012
5,061
263
40
1
11
2
5,378
2013
5,768
185
16
6
5
1
5,981
 2010年以来、中国の低品位炭の輸入量は増加。2013年
は9,891万トンを輸入。
 インドネシアからは褐炭を5,768万トン、褐炭以外の低
品位炭を2,637万トン、合計8,405万トン輸入。輸入低品
位炭の85%。
 2013年の上位5地域はいずれも東南沿海地域であり、広
東省は2,345万トン、福建省は1,300万トン、江蘇省は
824万トン、上海市は673万トン、広西市は418万トンの
褐炭を輸入している。
 中国の低品位炭輸出としては、褐炭のみ若干の輸出実
績があるが、2013年においても4万1,700トンにすぎない
出典:中国税関総署
地域別褐炭輸入推移
褐炭以外の低品位炭の輸入量
インドネシア
ロシア
豪 州
フィリピン
モンゴル
マレーシア
アメリカ
カナダ
その他
合 計
2010
3,247
80
340
54
4
5
86
30
155
4,001
2011
4,141
0
266
0
0
0
0
16
34
4,458
(単位:万トン)
2012
3,146
617
459
0
54
9
53
23
171
4,530
2013
2,637
778
293
91
47
21
16
11
1
3,894
出典::中国税関総署
褐炭輸出量
2009
0
出典:中国税関総署
2010
0.27
(単位:万トン)
2011
0.72
2012
1.39
2013
4.17
地 域
広 東
福 建
江 蘇
上 海
広 西
浙 江
山 東
北 京
山 西
内蒙古
雲 南
江 西
天 津
河 北
黒竜江
海 南
2010
11,448,779
2,227,991
2,059,320
84,761
8,483
1,510,406
1,085,250
97,694
782,202
68,439
27,248
63
388,864
(単位:トン)
2011
2012
2013
19,742,404 23,177,499 23,448,230
7,115,062 10,847,603 12,998,414
3,112,479 7,736,678 8,238,812
646,471 2,394,757 6,726,772
2,478,893 3,451,866 4,184,761
1,905,476 1,726,023 1,179,054
1,396,563
575,278
443,962
1,337,471 2,004,598
609,547
381,969
161,163
40,000
138,237
401,329
164,739
138,057
114,298
50,206
133,341
62,043
66,561
134,680
121,935
166,561
354
615,896
444,888
39
39
14,556
1,076,693
611,795
0.001
出典:中国煤炭資源網
17
中国(生産量将来見通し)
 中国は大気汚染に代表される環境問題に直面しており、2020年において非化石エネルギーの割合を一次
エネルギーの15%とし、天然ガスは10%以上、石炭は62%として、石炭消費を42億トンに抑えると示され
ている。
 2015年1月1日から無煙炭と原料炭は3%、瀝青炭は6%、その他の石炭は5%の輸入税が課せられる。一方、
10%であった輸出税は3%に低減される。中国政府が輸入奨励から輸入規制に方針を転換したことになる。
ただ、ASEAN(東南アジア諸国連合)と中国は自由貿易協定を締結しているためこの規定から除外され
ており、インドネシアはこの規定の影響を受けないが、豪州は影響を受けている。
 ただ、経済成長が減速している現状では、企業はより安いエネルギーである石炭を求めるはずであり、
それも価格の高い国内炭よりは安い海外炭を選択する可能性が高い。中国経済は多少減速しているとは
いえ引き続き経済成長を続けており、エネルギー需要も引続き増加すると思われる。
 中国石炭工業発展第12次五ヶ年計画には、鉄道、水運等に国が注力して整備すると明確化されており、
北方地域の主要港湾の石炭取扱能力は増強される。
 低品位炭の輸入量は国内の低品位炭供給能力と輸入炭価格次第と考えられる。汾渭能源の予測によると、
2020年の低品位炭純輸入量は、2014年の約9,000万トンから1.3億トンに増加する。
中国北方港湾に新規能力増加計画
事 業
建設会社
設計能力
(100万トン)
操業開始
中国低品位炭の輸入量の予測
(単位:万トン)
曹妃甸華電
中国華電集団公司
50
2015年
曹妃甸華能
中国華能集団公司
50
2015年
曹妃甸蒙冀
内モンゴルと河北港口集団有限公司
50
2016年
曹妃甸北京鉄道局
北京鉄道局
50
2016年
黄驊港総合港区
河北港口集団有限公司
50~100
2015年
中電投錦州石炭埠頭一期
中国電力投資集団公司
35
2015年
葫芦島緌中港石炭埠頭
大連港集団
50
2015年
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
9,029
9,468
9,439
9,960
11,114
11,714
12,996
出典:汾渭能源
出典:汾渭能源
18
フィリピン
 総可採埋蔵量は3億2,400万トン、内訳は褐
炭は1億1,900万トン(37%)、亜瀝青炭1億
8,200万トン(56%)、瀝青炭は2,300万トン
(7%)。
フィリピンでの品質別石炭可採埋蔵量
総計:3億2,400万トン
亜瀝青炭可採埋蔵量
1億8,200万トン
褐炭可採埋蔵量
1億1,900万トン
 2013年の生産量は784万トン、輸入量、1、
440万トン、輸出量は340万トン、国内消費
は1,890万トン
瀝青炭可採埋蔵量
2,300万トン
 2018年の石炭需要を2,550万トンと予測
 フィリピンは日本に近い距離に位置してお
り、地理的に有利である。
石炭生産量、消費量、輸出量、輸入量
石炭生産重要予測
20,000
18,922
18,000
30,000
16,948
(実績)
16,000
14,000
千トン
22,515
21,284
12,064
11,895
10,966
9,667
10,000
10,036
10,062
9,072
7,510
7,344
7,729
7,027
6,656
6,000
8,109
7,611
7,337
18,922
20,000
10,879
10,215
8,513
7,035
20,103
(千トン)
12,235
25,517
23,981
13,312
12,000
8,000
(予想)
25,000
14,415
14,234
7,842
16,978
15,000
12,235 12,064
13,312
14,234
10,000
5,176
4,000
2,726
3,163
2,030
3,737
4,148
3,977
2,588
2,000
2,262
799
2,736
3,137
3,401
1,237
5,000
0
2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
0
2003
出典:DOE
2004
2005
2006
生産量
2007
輸入量
2008
2009
2010
消費量
輸出量
2011
2012
2013
出典::中国税関総署
19
目次
(3)米国PRB炭サプライヤー、インドネシア低品位炭サプライヤーの概要
20
PRB(Powder River Basin)炭サプライヤー
Powder River Basinの位置及び供給先
Powder River Basin
 PRB石炭の埋蔵量は確定埋蔵量だけで1,000億
トンと言われておりそのほとんどは亜瀝青炭
である。
 年間4億トン弱の石炭が生産されている。
 PRBの石炭生産量は米国全体の40%を占めてお
り、ほとんどが電力用に使用され、米国の中
部、東部を中心に供給されている。
供給先
 電力用に使用されている石炭の50%はPRBの石
炭である。
Powder River Basinで稼動している炭鉱
出典:US Coal Reserves Map
Powder River Basinの炭鉱位置
Montana
Powder River Basin
Montana州地域
Wyoming
Gilletteh北部地域
Sheridan
Buffalo
Gillette
出典:US Coal Reserves Map
Gillette南部地域
炭鉱名
Absaloca Mine
Montana 州 Rosebud Mine
地域
Spring Creek
Decker Mine
Bucskin Mine
Rawhite Mine
Gillette 北 Dry Fork Mine
部地域
Fort Union Mine
Clovis Point Mine
Eagle Butte
Caballo
Belle Ayr Mine
Cordero Rojo Mine
Gillette 南 Coal Creek Mine
部地域
Jacobs Ranch Mine
Black Thunder Mine
North Antelope Rochelle Mine
Antelope Mine
出典:EIA
親会社
Westmoreland Coal Company
Westmoreland Coal Company
Cloud Peak Energy
Amber Energy
Kiewit Mining Group
Peabody
Western Fuels Association.
Evergreen Energy
Wyodak Mine
Alpha Natural Resources
Peabody
Alpha Natural Resources
Cloud Peak Energy
Arch Coal
Arch Coal
Arch Coal
Peabody
Cloud Peak Energy
No
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
21
PRB炭サプライヤー
Peabody Energy
Cloud Peak Energy Arch Coal
Cloud 全体生産量
Peak PRB生産量
Energy PRB生産コスト
Powder River Basin
8,600万トン
8,600万トン
10US$
Illinois Basin
Colorado Plateau Basin
全体生産量
Peabody
Energy PRB生産量
PRB生産コスト
出典:Peabody Annual Report 2013
2.5億トン
1.3億トン
12US$
出典:Cloud Peak Energy Investor Presentation
Arch Coal
Alpha Natural Resources
ウエストバージニア
ワイオミング
ペンシルバニア
モンタナ
ワイオミング
コロラド
イリノイ
バージニア
ケンタッキー
鉄
ウエストバージニア
ケンタッキー
出典:Arch Coal 2013 Annual Report
全体生産量
Arch Coal PRB生産量
PRB生産コスト
1.3億トン
1.1億トン
12US$
バージニア
出典Alpha Natural Resources Website
Alpha
全体生産量
Natural PRB生産量
Resources PRB生産コスト
8,700万トン
3,500万トン
9US$
22
North Antelope Rochelle炭鉱
 2013年の出炭量は1億トン、炭鉱開発からこれまでの出炭量の総計は
16億トンを超え、現在の埋蔵量は22億トン
 North Antelopeは1983年に開鉱し、Rochelle炭鉱は1985年に開鉱、1999
年に二つの炭鉱が統合され、North Antelope Rochelle炭鉱が設立された。
 3台のドラッグラインと5台のトラック&ショベルによって剥土される。
 石炭の発熱量は4,888 kcal/kg、全水分は27.2~28%、灰分は4.5~4.7%、
硫黄分は0.21~0.24%である。
Gateway Pacific
Terminal(4,800万トン)
Wyoming州の炭鉱
出典:Arch Coal 2013 Annual Report
出典:出典:Cloud Peak Energy 2013 Annual Report
23
インドネシア サプライヤー
 PT. Pesona Khatulistiwa Nusantara (PKN)
 PT. Delma Mining Corporation
 PT. Bhakti Energi Persada (BEP)
Tanjung Pasir Anchorage
BEP
Tanjung Batu
Anchorage
Lubuk Tutung
Block Binai
Kelubir
Tanah Kuning
Tanah
Kuning
Anchorage
Tanjung Bara
Sangatta
Mangkupadi
Sekayan
Mangkupadi
BEP
埋蔵量
生産量
5.6億トン
開発中
PKN
埋蔵量
生産量
1.2億トン
400万トン
Delma
埋蔵量
生産量
4.7億トン
開発中
 PT. MEC
 PT. Berau Coal
Lati
Sambarata A&B
Sambarata B1
Punan
Tanjung Redeb
Curimbamg
埋蔵量
生産量
MEC
Binungan
Parapatan
15億トン
開発中
Binungan 7
バージ輸送
Binungan 8
Binungan 9,10
Wara
Binungan 1-6
Berau 埋蔵量
Coal 生産量
Tutupan
4.8億トン
2,400万トン
Samarinda
Balikpapan
 PT. Kideco Jaya Agung
Banjarmasin
 PT. Adaro
Samarinda
東Kalimantan
Kideco Jaya Agung炭鉱
Balikpapan
Balangan鉱区
Adang湾
石炭積出港(Tanah Merah Coal terminal)
石炭運搬道路
Adaro
埋蔵量
生産量
9億トン
5,200万トン
Paringin
Kideco 埋蔵量
Jaya
生産量
Agung
6.5億トン
3,400万トン
24
インドネシア サプライヤー(PT.Adaro)
石炭資源量
 PT.Adaroはインドネシアで最大の亜瀝
青炭の生産及び輸出企業。2013年は
5,200万トンの生産
(単位:1,000トン)
鉱 区
Tutupan
North Paringin
South Paringin
Wara 1
Wara 2
計
確 定
368
28
埋蔵量
推 定
169
5
272
59
331
668
233
901
計
資源量
予 想
予 想
928
887
138
130
64
37
437
352
237
65
1,804
1,471
確 定
893
104
16
573
72
1,658
537
33
計
2,708
372
117
1,362
374
4,933
 確定埋蔵量約7億トン。低灰分、低硫
黄分
出典:Adaro Annual Report 2013
 国内、インド、日本、中国等へ輸出
石炭生産量
(100万トン)
60
52.3
40
34.4
60
30
22.5
50
20
40
百万トン
10
鉱区別石炭品質
47.7 47.2
50
10.9
8.6 9.4
30
20
1
13.6
15.5
1992
0
5.5
1.4 2.4
1994
1996
1998
2012
40.6
項 目 鉱区名 Paringin Tutupan
全 水 分 ar
(%)
39.47
41.38
固有水分 adb
(%)
18.19
16.42
灰 分 adb
(%)
2.91
2.1
揮 発 分 adb
(%)
45.1
48.49
固定炭素 adb
(%)
39.29
40.15
全 硫 黄 adb
(%)
0.18
0.11
発 熱 量 adb
(kcal/kg)
5,486
5,766
42.2
26.7
20.8
鉱区別出炭量
17.7 (単位100万トン)
10
0
24.3
36.1
38.5
2000
2012
38.62
0.94
7.63
47.19
Tutupan
Paringin
Wara
計
2002
2013
38.65
5.74
7.87
52.26
2004
出典:Indonesia Coal Book 2014/2015
2006
2008
2010
2012
国内販売、輸出状況石炭生産量
2013
出典:Indonesia Coal Book 2014/2015
Tutupan
Wara
銘柄別石炭生産量
60
銘柄別出炭量
50
(単位100万トン)
40
40
30
E5000
E4700
E4000
計
20
10
0
2012
30
37.71
20
9.70
1047.41
2013
34.09
8.43
9.64
52.16
E5000
2013
E4700
E4000
Tutupan
Paringin
Wara
計
出典:Indonesia Coal Book 2014/2015
2012
Tutupan
米国
3%
その他
5%
韓国
7%
鉱区別出炭量
(単位100万トン)
0
2012
フィリピン
4%
銘柄別石炭生産量
50
百万トン
百万トン
60
Paringin
Wara
31.93
23.14
2.86
60.53
34.4
0.21
4,959
2012
38.62
0.94
7.63
47.19
2013
38.65
5.74
7.87
52.26
インドネシア
20%
マレーシア
7%
インド
16%
香港
7%
スペイン
8%
中国
10%
日本
13%
2013
Paringin
Wara
出典:Indonesia Coal Book 2014/2015
25
目次
(4)海外の主要低品位炭消費国(上位10ヶ国)での電力用・一般燃料用及び改
質等その他利用としての低品位炭の使用状況
26
海外の主要低品位炭消費国(10ヶ国)
炭種別の石炭消費上位国
ウクライナ インドネシア ギリシャ
1%
1%
1%
台湾
カザフスタン
1%
その他
1% トルコ
8%
1% 豪州
韓国
2%
2%
南アフリカ
ポーラ
ンド 日本 2%
2%
2% ロシア
3%
ドイツ
3%
中国
49%
インド
10%
米国
11%
中国
米国
インド
ドイツ
ロシア
日本
南アフリカ
ポーランド
韓国
豪州
トルコ
カザフスタン
ウクライナ
台湾
インドネシア
ギリシャ
その他
世界計
原料炭
602,637
19,443
79,475
12,576
53,436
53,838
3,698
12,637
32,054
4,072
6,988
11,283
31,377
6,554
60,847
990,915
一般炭
3,277,955
752,929
667,089
45,909
108,510
141,749
183,290
66,088
94,349
54,679
23,820
71,126
44,488
61,483
62,506
301
388,324
6,044,595
褐炭
70,510
44,679
182,537
72,850
65,751
62,579
62,990
5,092
53,084
220,080
840,152
単位:千トン
計
3,880,592
842,882
791,243
241,022
234,796
195,587
186,988
144,476
126,403
121,330
93,798
87,501
75,865
68,037
62,506
53,385
669,251
7,875,662
 主要低品位炭消費国としては、褐
炭の消費量が多い、ドイツ、ロシ
ア、米国、ポーランド、トルコ、
豪州、ギリシャ、インド
 中国では褐炭を含めた低品位炭の
使用が18億トンとの報告がある。
 インドネシアについては、国内で
使用される石炭は亜瀝青炭がほと
んどである。
褐炭、低品位炭消費上位10ヶ国
出典:I出典:IEA Coal Information 2014
出典:IEA Coal Information 2014
27
海外の主要低品位炭消費国(上位10位)
Helmstedt Area
ハンブルク
Ibbenbueren
Lusatian Area
ポーランド埋蔵量
生産量
消費量
水分
灰分 硫黄分
輸出入
Konin-Adamov
Gubin
Ruhr
ベルリン
Belchatow
ライプチヒ
ドレスデン
エッセン
ワルシャワ
Bogatynia
15億トン
6,500万トン
6,500万トン
53%
9%
0.7%
ほぼゼロ
ケルン
Rhineland Area
韓国
カトビッチェ
Central German Area
フランクフルト
Young Heoung発電所
Legnica
Saar
Taean電所
Lublin
ソウル
Youngdong発電所
Upper Silesian
ミュンヘン
Boryong発電所
Dangin発電所
Donghae発電所
褐炭
ドイツ
石炭
埋蔵量
生産量
消費量
水分
灰分 硫黄分
輸出入
404億トン
1億8,200万トン
1億8,200万トン
51%
11%
1.1%
少量
豪州
資源量
生産量
消費量
水分
灰分 硫黄分
輸出入
褐炭
1,250億トン
6,200万トン
6,200万トン
48-70%
4%以下
1%以下
無し
石炭
Hadong発電所
Samchompo発電所
Jammu & Kashmir州(褐炭)
Rajasthan州(褐炭)
Darama
⑨
⑬
エルビスタン
ソマ
カラビナール
M akum炭田等
⑪
⑭
第三紀
②
⑤
⑥
⑩
④ ③
①
⑧
⑦
⑫
Elassona
Kolkata
Mumbai
⑮
ゴ ン ドワ ナ 系
炭田
Western Macedonian Field
アフシン炭田
釜山
Delhi
Gujarat州(褐炭)
ゾングルダグ
Honam発電所
Che nnai
第三紀
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
⑬
⑭
Raniganj
Raj mahal
Jharia
E ast & West B ok ar o
N orth & South K ar anpur a
Singr auli
T alcher
Ib V alley
K or ba- M and/R aigarh
Sohagpur
Sonhat- Bishr ampur
W ardha V alley
K amptee
Pench- K anhan- T awa V alley- Pathakher a
⑮ G odav ari V alley
Neyveli褐炭田等
Tamil Nadu州(褐炭)
トルコ
埋蔵量
生産量
消費量
水分
灰分 硫黄分
輸出入
134億トン
6,400万トン
6,400万トン
50-55%
20-30
1.5%
無し
Megalopolis
ギリシャ 埋蔵量
生産量
消費量
水分
灰分 硫黄分
輸出入
30億トン
5,400万トン
5,400万トン
40%-49%
10-15%
0.4%-1.0%
ほぼゼロ
インド
埋蔵量
生産量
消費量
水分
灰分 硫黄分
輸出入
432億トン
4,400万トン
1億6,000万トン
50%-56%
0.9%-1.3%
0.9%-1.3%
ほぼゼロ
28
海外の主要低品位炭消費国(インド)
インドの主要港湾位置
 生産量、6億1,000万トン、輸入量、1億7,000万トン、消費量、7億7,000万ト
ン
 輸入量のうち低品位炭の輸入量は1億2,560万トン、インド石炭輸入の7割以
上が低品位炭。輸入先はインドネシアからが8割。
 インドには55港があり、Gujarat州が全体の45%を占める。最も多い輸入港
はMundra港1,800万トン。隣接して石炭火力発電所建設。
低品位炭の港湾別輸入量
20,000
18,381
18,000
16,000
(1,000トン)
14,000
12,075
12,000
10,000
8,660
8,113
8,000
7,162
6,245
6,000
6,076 5,673 5,532 5,298 5,270
4,572
4,455 4,064
4,000
3,526 3,465 3,413
2,555 2,544
2,203
2,000
2,865
1,744 1,545
Gujarat
Andhra Pradesh
22,615
Odisha
13,411
Tamil Nadu
4,989
インドネシア
13,626
5,447
Karnataka
5,532
Marmagoa
Pipavav (Victor)
Alibag
Kakinada
Karaikal
Kolkata (Haldia)
Navlakhi
Magdalla
Mumbai
Visakhapatnam
Bedi
Chennai
Gangavaram
Dhamra (Chandbali)
Ennore
Tuticorin
Paradip
Sez Mundra
Kandla
モザンビーク
Tata Power Mundra発電所
その他
その他 2,183
2%
南アフリカ
19,431
15%
2,544
6,267
米国
ニュージーランド
ニュージーランド
0 0%
9,780
664
Maharashtra
豪州
南アフリカ
モザンビーク
171 0%
米国 1,006
1%
19,045
West Bengal
Dahej
低品位の国別輸入割合
53,157
New Mangalore
州別石炭輸入量
Krishnapatnam
Mundra
出典:資料により作成
その他(32港)
163
0
豪州
4,113
3%
低品位炭
196
高品位炭
2013年低品位炭輸入量
1億2,559.8万トン
インドネシア
98,694
79%
700
Goa
4,020
163
その他
2,865
(単位:1,000トン)
423
0
出典:インド貿易統計
10,000
出典:インド貿易統計
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
(1,000トン)
出典:インド貿易統計
出典:現地調査
800MW×5基、USC
29
海外の主要低品位炭消費国(インド)
発熱量と灰分の関係
80.0
Imported
その他
70.0
India
Ash, wt%
60.0
50.0
Indonesia
40.0
30.0
Australia
20.0
South
Africa
10.0
0.0
0
2000
4000
6000
8000
 インドネシアから低灰分、高水分、総発熱量が4,000~
5,600 kcal/kgの亜瀝青炭が輸入されている。
 国内炭の高い灰分を緩和し、また、国内炭供給量の不足
分を補うために使用されている。
 「12次5ヵ年計画」では、石炭生産は増加するものの、需
要の伸びに追いつかず、そのギャップは大きくなると見
込まれており、その結果、低品位炭の輸入量は今後も増
加
 褐炭については、今後の電力需要の伸びとそれに伴う燃
料増に比例して褐炭需要は伸びる予想。
GCV, kcal/kg
出典:資料により作成
石炭需給見通し
発熱量と水分の関係
1200
50.0
1000
その他
Imported
30.0
India
Indonesia
20.0
Australia
10.0
South Africa
0.0
800
百万トン
Moisture , wt%
40.0
600
400
200
0
0
2000
出典:資料により作成
4000
6000
GCV, Kcal/kg
8000
2012/13実績 2013/14実績 2014/15予想 2015/16予想 2016/17予想
石炭生産
出典:12次5カ年計画
需要
輸入
30
海外の主要低品位炭消費国(韓国)
 インドネシア、米国、ロシアから低価格、低カロリーを積極的に輸
入、高価格、高カロリー炭との混炭を積極的に行っている。
石炭使用内訳
産業別石炭消費量
100.00
百万トン
80.00
 その結果、低品位炭の混炭比率は毎年上昇、2006年の韓国で使用さ
れる石炭の平均カロリーは5,930 kcal/kgから、2010年では5,559
kcal/kgに下がってきている。
60.00
40.00
20.00
低品位炭輸入量
0.00
1990
電力
2000
2005
高炉
2010
2011
石炭加工品等
産業
2012
出典:IEA Coal Information 2014
石炭輸入量
(千トン)
140,000
原料炭
一般炭
126,268
126,509
92,723
95,468
28,160
31,545
31,041
2010
2012
2013e
118,591
120,000
100,000
76,758
80,000
90,431
64,895
60,000
56,131
45,320
40,000
17,131
20,000
0
9,006
8,125
1985
23,729
19,831
12,442
11,287
2,680
17,151
1990
1995
出典:IEA Coal Information 2014
19,575
20,627
2000
2005
中国
4,324
4%
ベトナム
1,195 コロンビア,
1%
324, 0%
米国
6,082
5%
出典:インドネシア、米国、ロシア貿易統計から作成
その他
291
0%
カナダ
12,884
10%
豪州
50,451
40%
ロシア
14,251
11%
インドネシア
36,707
29%
出典:IEA Coal Information 2014
出典:IEA Coal Information 2014
2013年石炭輸入量
1億2,651万トン
出典:EC2010にてKOSEP発表
31
目次
(5)低品位炭の自然発火対策及び低品位炭利用のメリット、ディメリット
32
自然発火対策

•
•
•
•
•

•
•
•
貯炭時の対策
散水(自然発火防止剤の活用、日本メーカー。)
温度測定(定期的に貯炭の石炭の温度を測る。2m程度の測定棒。)
パイルの移動(パイル内に蓄積された熱を放出させる)
ブルドーザで填圧を行い、踏み固める。空気の侵入を抑える。シート掛け。
短期間で使い切る。(受入基地は長期の貯炭が必要な場合が多い。)
船舶での対策
各バルクのガス(CO、CH4、温度の測定)1日3回
バルクの密閉強化、酸素濃度5%以下の排ガスのバルクへの送風
石炭の改質
各国での自然発火対策
インド
インドネシア
・特別な自然発火対
策は取らない。
・通常の散水、ブル
ドーザーによる填
圧、温度モニタリン
グによる監視などで
ある。
・散水と填圧である。
散水は適時放水しブ
ルドーザーによる填
圧は常時行ってい
る。
・貯炭場の温度測定
を行っている箇所は
少ない。
・石炭を優先的に使
用し、長期貯炭の禁
止
広州港
防城港
・ 貯炭期間を短くす ・ 貯炭温度観測等
る。最大3ヶ月以内。 は実施していな
・ 天候に左右されや い。
すいため雨天後は注
意している。
・ 貯炭温度観測等は
実施していない。
中国
黄埔発電所
沙角A発電所
・ 貯炭期間の短縮 ・ 実施していない。
・ 通常、貯炭期間
は1ヶ月以内。
・ 貯炭温度観測等
は実施していない。
珠海発電所
・ インドネシア炭を使用した当初は
自然発火した。
・ 船倉で自然発火をしたことがあ
り、散水して消火。
・ 石炭の積替え、填圧
・ 貯炭期間の短縮。10日~20日。
・ 最大貯炭日数は1.5ヶ月。
・ 秋、冬に多い傾向がある。
・ 貯炭場の貯炭温度は測っていな
い。
出典:現地調査
33
低品位炭利用のメリット
【一般的メリット】
低品位炭の
利用
メリット
低品位炭の特性、要因
メリット、デメリット
埋蔵量が豊富である(可採年数が長い)
長期安定供給が可能
生産国の地理的偏在性が少ない
供給源の分散化
露天掘りで生産コストが低い
石炭購入価格が安い
高揮発分、低灰融点
燃焼性が良く、ガス化利用に適している
ボイラ能力低下によるCO2排出量の増大
高水分、低灰融点
高水分輸送による輸送効率の低下
デメリット
自然発火しやすい
細孔容量が大きく、酸素官能基が多い
石炭輸送、貯炭の安全性が低下
乾燥、改質、ブリケット処理が必要
エネルギー消費が大きくなり、設備費が高くなる
インドネシアの炭種別のカロリー単価(2014年4月)
【低品位炭の価格的メリット】
0.01400
瀝青炭A
瀝青炭B
亜瀝青炭A
亜瀝青炭B
褐炭A
褐炭B
出典:現地調査
発熱量
全水分
全硫黄
(kcal/kg,Gar) (%)、Gar (%)、Gar
6,700
12
0.6
6,200
14.5
0.6
5,400
22.5
0.4
5,000
26
0.1
4,400
32
0.3
4,200
35
0.2
灰分
(%)、Gar
5
5.5
5
1.2
4.2
3.9
価格
米ドル/トン
80.64
72.78
59.43
55.91
45.02
41.16
0.01200
米ドル/1,000kcal
インドネシアの炭種別石炭基準価格HPB(2014年4月)
0.01000
0.00800
0.00600
0.00400
0.00200
0.00000
出典:現地調査
34
インドネシア、米国等における低品炭の生産コスト・輸出価格
Tanjung Enim炭鉱(PTBA)での生産コスト
生産コスト 43US$
その他
19%
購入費
7%
 インドネシアでの輸出価格はHBA2014年12
月64US$。低品位炭は高品位炭の5割から7
割の値段へ下がる。
予備品
1%
管理費
10%
重機レンタル料
6%
 インドネシアでの低品位炭の生産コストは
PTBA・Tanjung Enim炭鉱の場合、33US$
鉄道運賃
23%
採掘費
17%
電気代
1%
燃料費 賃金
8%
1%
出典:PTBA HP
ロイヤルティ
7%
2010年~14年石炭指標価格(HBA)
(US$/t)
140.00
130.00
120.00
110.00
 米国での低品位炭の生産コストはPowder
Riverにおいて12~13US$程度。販売価格は、
Powder Riverがもっとも安く20US$を下回
る。
100.00
90.00
米国の石炭価格の変化(2008年~2014年)
80.00
70.00
(US$/t)
60.00
160.00
Dec '14
Sep '14
Jun '14
Mar '14
Dec '13
Sep '13
Jun '13
Mar '13
Dec '12
Sep '12
Jun '12
Mar '12
Dec '11
Sep '11
Jun '11
Mar '11
Dec '10
50.00
140.00
出典:インドネシア鉱物石炭総局HP
Central Appalachia
Northern Appalachia
Powder River Basin
Uinta Basin
Illinois Basin
120.00
2014年12月のカロリー別の石炭基準価格(HPB)
カロリー
水 分
硫黄分
灰 分
(kcal/kg)
6,700
6,200
5,700
5,400
5,000
4,400
4,200
(%)
12
14.5
17.5
22.5
26
32
35
(%)
0.6
0.6
1.63
0.4
0.1
0.25
0.18
(%)
5
5.5
4.8
5
1.2
4.15
3.9
出典:インドネシア鉱物石炭総局HP
6,700Kca
価 格
l/kg
(US$/トン) の割合
79.4
100%
71.7
90%
60.3
76%
58.6
74%
55.1
69%
44.4
56%
40.6
51%
100.00
80.00
60.00
40.00
20.00
0.00
Jun '08 Dec '08 Jun '09 Dec '09 Jun '10 Dec '10 Jun '11 Dec '11 Jun '12 Dec '12 Jun '13 Dec '13 Jun '14 Dec '14
出典:EIA
35
中国・インド等における低品位炭利用のメリット
【中国におけるメリット】
 インドネシア低品位炭は低灰分、低硫黄分のため、高品位炭との混炭を行うことが可能で
あり、さらには国内の高灰分、低硫黄分の石炭を相対的に下げることができる。
 輸入炭は主に沿岸部の広東省、福建省、江蘇省、上海などで使用されているが、これらの
地域は中国の山西省、陝西省などの西部の産炭地から離れているため、インドネシアから
の海上輸送費が上乗せされても国内炭に対して十分価格的に対応できる。
【インドにおけるメリット】
 インドの石炭は灰分が多いため、インドの国内炭とインドネシアから輸入した石炭を混炭
することによって相対的に灰分を減らすことができる。
 インド政府は灰分が多い国内炭の輸送規制を実施していることに加え、国内炭輸送インフ
ラ自体の整備の遅れなどから産炭地から安定した石炭供給が滞ることが懸念されるが、海
外炭は安定供給可能。(価格的には国内炭が安い状況にあるものの、多少高価格ではあっ
てもインドネシア炭を輸入するメリットは大きい。)
 インドネシアは石炭輸出国である豪州の東海岸と比較すると、インドネシアのKPC
(Kaltim Prima Coal)炭鉱のTanjung Bara港からインドGujarat州Mundra港までの距離は約
3,800km、豪州Newcastle港から同じくGujarat州Mundra港までの距離は約6,400kmであり、
インドネシアからインドまでの距離は豪州からの距離の約半分となり、海上輸送費が比較
的安く抑えられるメリットもある。
36
目次
(6)低品位炭の改質技術の現状と動向
37
低品位炭の改質・利用技術の現状と動向
排出
バグ・フィル
ター
サイクロン
乾燥工程
(水分と石炭の分離)
熱風回収
フラッシュ
チューブ
石炭
高温空気
成型機
ダブル
ロール型
低品位炭熱水改質技術 (HWT、JCF)
ブリケット製品
乾燥・改質
低品位炭改質技術(UBC)
乾燥、改質
低品位炭
改質炭
輸送
石炭
投入口
ファン
低品位炭改質技術
(BCB:Binderless Coal Briquetting)
輸出
対象範囲
スラリー
ガス化
輸送
輸出
電気
産炭国
GT/ST
電気
産炭国
メタネーション
SNG
産炭国
燃焼、発電
ガス化
豪州Cat-THR
中国改質
アンモニア合成
尿素合成
肥料
産炭国
輸出
メタノール合成
MTP/MTO
プロピレン
オレフィン
産炭国
輸出
水素精製
液化
液体水素
輸出
FT合成
精製
液体燃料
産炭国
水素チェーン
Coal Gasification Plant (Typical EPC Package Scope)
Steam
Heat
Exchanger
低品位炭
• MHIの石炭ガス化技術は実証済
• Commercial Use適用可能
勿来250MWIGCC発電プラント
•
•
低品位燃料ガス化技術
(TIGAR)
Coal
Gasifier
CO2/Sulfur
(as bi-product)
2013年実証試験完了(METI補助金事業)
2013年4月から商業運転中
(SNG)
Coal to Liquid (CTL)
(Gasoline, Diesel, Methanol etc.)
低品位炭石炭ガス化技術(SNG)
中国ガス化
ECOPRO
3838
技術課題の取り纏めと今後の動向
 最終製品のコストを競合製品に対抗できるレベルまで下げられる
か否かにある。改質・ブリケット化の場合は同等発熱量炭、スラ
リー化、ガス化、液化の場合は最終製品となる原油、ガス、肥料
等が現状の市場価格レベルで提供できなければならない。低品位
炭利用の全体プロセスはコスト低減への工夫が不可欠である。
 日本を始め、中国、豪州などで低品位炭の高付加価値化を目的と
した技術開発が行なわれ、低品位炭のバリューチェーンとして、
乾燥・改質してハンドリング性、輸送性を向上させて輸出する
ケースと、燃焼やガス化によって電気・クリーン燃料・化学品に
転換して消費、輸出するケースの実証が今後も継続される。
39
低品位炭の混焼比率について
 褐炭のように水分を多く含む石炭は含まれる水分が水蒸気となり
排ガス量が増えるため、ボイラ内の滞留時間を長くしなければな
らず、そのため、ボイラの火炉容積は大きくする必要がある。し
かしながら、混炭で使用するボイラは瀝青炭で設計されているの
で、火炉容積は大きくなく、そのため、混炭比率には限度がある。
 低品位炭の混焼比率は韓国では亜瀝青炭を30~80%の比率で混焼
を行った実績があるが、現在の日本での混焼比率は、概ね20~
30%程度が限界である 。
40
目次
(7)我が国での低品位炭又は改質した低品位炭の使用状況と今後の利用・輸
入可能性及び課題
41
低品位炭又は改質した低品位炭の使用状況
低品位炭輸入量の推移
(1,000トン)
18,000
我が国の低品位炭輸入量と用途(2013年)
16,999
16,000
14,535
13,406
14,000
12,000
11,035
合計
12,159
11,600
インドネシア
10,465 10,563
10,127
10,000
ロシア
米国
豪州
8,000
6,000
炭種
亜瀝青炭
亜炭
港湾輸入量 主要用途
HSコード 2701 19 010 2701 19 090 2702 10 000
合計
(一部想定)
輸入国
灰分8%以下 灰分8%以上
インドネシア
270,942
豪州
183,107
川崎
466,395 電力
韓国
18
中国
12,328
インドネシア
403,297
日立
548,131 電力
米国
144,834
インドネシア
191,852
米国
323,537
小名浜
952,341 電力
中国
178,162
ロシア
128,600
豪州
130,190
インドネシア
232,545
相馬
301,663 電力
豪州
69,118
竹原
インドネシア
127,000
211,380 電力
インドネシア
84,380
新居浜
インドネシア
125,716
125,716 電力
徳島小松島 インドネシア
1,267,056
1,364,699 電力
米国
40,000
米国
57,643
大阪
インドネシア
404,297
404,297 電力
衣浦
インドネシア
413,151
413,151 電力
苅田
ロシア
22,000
141,187 セメント
豪州
119,187
戸畑
インドネシア
145,262
151,509 電力
ロシア
6,247
インドネシア
397,242
米国
112,400
宇部
935,765 化学
ロシア
225,558
カナダ
66,712
豪州
133,853
徳山
インドネシア
164,543
250,042 化学
中国
85,499
長崎三重式見 インドネシア
198,176
198,176 電力
佐世保
インドネシア
1,462,079
1,539,079 電力
ロシア
77,000
函館
インドネシア
8,400
134,002 セメント
ロシア
93,785
豪州
31,817
苫小牧
ロシア
203,456
203,456 電力
留萌
ロシア
137,050
137,050 電力
秋田
インドネシア
233,792
312,715 電力
米国
78,235
中国
688
金武中城
インドネシア
1,050,381
1,138,376 電力
米国
67,995
米国
20,000
その他港湾
356,153
244,903
18,460
619,516
合計
8,218,885
2,298,267
31,494 10,548,646
総計
10,548,646
炭種
輸入港湾
中国
5,853
その他
4,000
2,000
0
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
出典:インドネシア鉱物石炭総局HP
 2008年がピークで1,700万トンの低品位炭が輸入され、2013年は1,000
万トン。
 2013年ではインドネシアが最も多く760万トン(72%)、続いてロシア
110万トン(10%)であった。これら両国で全輸入量の82%を占める。
豪州は2008年630万トン(37%)、その後、減少し2013年は70万トン。
これは高灰分のため敬遠された。
 おおよそ8割の低品位炭が発電所の混焼用、残り2割が一般産業用とし
て使用されている。
 改質した低品位炭の利用は現在のところ普及に至っていないが、実証
試験を経て、技術的な課題や改質コストの低減を克服すれば、利用が
増えると思われる。
42
出典:石炭・コークス・バイオ年鑑(2013~2014年度版)及び財務省貿易統計より推測
今後の低品位炭利用・輸入可能性
 日本の電力会社等は燃料調達コストの低減のために低品位炭への関心が高
まっており、低品位炭の消費比率を高める努力が行われている。
 産炭国において高発熱量の良質瀝青炭の生産割合が徐々に減少する傾向に向
かう中、世界の低品位炭の生産量・貿易量は増加している。
 瀝青炭との価格優位性を維持しており、今後もインドネシアからの低品位炭
輸入が大勢を占めると考えられる。
 開発が進んでいる米国PRB(Powder River Basin)炭(亜瀝青炭)については、
米国における環境規制等により太平洋市場へ出てくる可能性は高いが、現在
は、米国の太平洋側の港湾能力が低いことが輸出増のボトルネックになって
いる。
 現在日本から様々な低品位炭の利用技術が実用段階に来ており、コスト面で
の問題が解決できれば、近い将来には産炭国で改質された低品位炭が、国に
輸入される可能性がある。
 日本でも既存のボイラへの低品位炭混焼の拡大に向けた技術検討に加え、
IGCCといった低品位炭を使用した発電技術の技術開発が進められており、こ
の技術が普及していけば、低品位炭の日本への輸入は徐々に増加し、低品位
炭の使用は増えるものと思われる。
43
今後の課題
 経済評価では低品位炭の混炭比率が上がるに伴い燃料コスト
が下がるが、発電効率の低下や石炭取扱量の増加、自然発火
対策、ミルでのトラブル対策、事前乾燥などの費用が必要と
なることから、各課題に対する技術的改善が必要である。
 インドネシアでは今後経済成長に伴う電力需要に対応するた
めに山元発電所の建設が続くと思われるが、その場合、低品
位炭は山元発電所へDMOに従って優先的に使用されることが
予想され、低品位炭の日本への輸入へ影響を与える懸念があ
る。また、輸出規制、付加価値の義務化の石炭への適用が検
討されている。
44
まとめ
 低品位炭はインドネシアをはじめとしてロシア、米国、中国等に大量に賦存しており、
コスト面の他、石炭供給の安定化やソースの分散化の面からも今後益々重要なエネル
ギー源になると考えられる。
 我が国においても、燃料調達コストの低減や、将来的な高品位炭の減少を見据え、低品
位炭の活用が徐々に進んでいる。
 現状での主な輸入元はインドネシア、ロシア及び米国であるが、最大の低品位炭輸出国
であるインドネシアでは、石炭の輸出規制や高付加価値化の導入など懸念要素もある。
 低品位炭の輸入は近年中国とインドによって活発に行われ、また、韓国においても低品
位炭の輸入増加によって、発電所における平均使用カロリーは年々が低下している。
 自然発火防止対策として、通常の貯炭場での散水対策、温度モニタリングなどの他、貯
炭期間の短縮が行われている。インド、中国、インドネシアでは自然発火の経験はある
ものの大きな問題となっていない。
 低品位炭の使用量の増加に対応するためのボイラやミル等の改造や低品位炭の利用に係
る技術開発が進められており、ICGG等で低品位炭が使用可能な石炭火力発電所も建設段
階に来ていることから、今後低品位炭の使用量は徐々に増加するものと予想される。
 世界的にも低品位炭の改質や利用技術が実用段階に来ており、コスト面での問題が解決
できれば、近い将来には産炭国で改質された低品位炭やガス化或いは化学品・水素等に
変換されて我が国に輸入される日もそう遠くないと考えられる。
45