一関市の学力学習状況の現状 (平成 26 年度岩手県小・中学校学習定着度況調査の結果より) 一関市教育委員会 児童・生徒質問紙における実状 思いやりの心の育成が充実! どの学年においても、肯定的な回 答をした児童生徒の割合は、9割を 超えている。互いに協力し合い学校 生活を送っていること、また、助け たい気持ちをもっていることがわ かる。 家庭学習時間の改善が必要! 1日の家庭学習時間の割合を見 ると、2時間以上取組んでいる児 童生徒は、小5から中1へは約2 倍の増加だったが、中2でその割 合は減少し、約16%である。1 時間以上取組んでいる児童生徒の 割合で見ると、中1まで増加傾向 だったにもかかわらず、中2で急 激に減少し、小5とほぼ変わらな い状況にある。「学校生活に慣れ る」 「部活動や生徒会活動の中心に なる」等、生活や意識に変化が出 る時期であることも考えられる が、家庭学習への取組みを強化す る必要がある。 また、テレビ等の視聴時間を見 ると、どの学年においても半数以 上の児童生徒が1日に2時間以上 テレビ等を視聴している。 テレビ等の視聴時間を減らし、 家庭学習時間を増やす取組みを工 夫していかなければならない。 各小・中学校では独自に学力向上に向けた取組を行っています。そこで、今回の調査で、特にも 取組の成果が結果として現れた学校がどのような実践をしているのか・・・紹介します。 A小学校では… 〈〈県平均比〉〉小5 算数:+19 〈〈県平均比〉 〉小5 算数:+11.8 B小学校では… 【その1】学習訓練を徹底しているB小学校 【その1】繰り返し取組むことをぎっちり徹底しているA小学校 ① 大切なのはよく聴くこと! ① 確実な定着を図るための「国語・算数チャレンジテスト」を年4回実施! 授業はもちろん、朝会や集会…機を逃さずに聴くことを徹底させる。 ※合格するまで何度でもチャレンジするテスト 合格点は、1∼3年生 90点、4∼6年生 85点ではあるが、100点を取るまで取組ませる。 3回目の挑戦からは不正解だった問題だけにし、子どもたちが100点を目指す工夫も。 低学年から身に付けさせることが大切。高学年が聴く姿勢のお手本になることも重要。 ② 発表力を高める! 児童が発表する機会を意図的に作り、最後まで発表させる等話すことを意識した指導を継続する。 ※単なる漢字・計算テストからの脱却したテスト テスト実施時期までの学習で、十分な定着が図られなかった内容や各種調査・テストで落ち込みの大 できるようになったこと、頑張ったことなどを評価し、自信をもたせる。 【その2】職員の意思統一のもとバーッと行動しているB小学校 きかった問題の類題を中心として作成。できない問題をそのままにしない。 ① 校内研究会で共通理解! ② サポートタイムを活用した繰り返し学習 1ケ月に5回程度設定し、習熟する時間を確保。時程変更などで生まれた隙間の時間もミニサポートタ 学習に向かう姿勢、 「課題」「まとめ」を位置付けた板書等、全校で取組むことを確認。 ② 問題に最後まで向かう子どもたちに! イムにして活用している。 プリント、テスト、問題集、ドリル…多様な問題に取組ませる。様々な問われ方を経験することで、解 【その2】学力担当教員がリーダーシップを発揮しているA小学校 答する前にあきらめることはなくなる。 ① 見通しをもって取組めるような働きかけ 調査問題の問われ方などで困らないよう、過去問に触れさせる。そのための過去問題の印刷は担当で行 問題は残さず解くことが当たり前の子どもたちを育てる。 ③ 日々の取組を大切に! う。 毎日繰り返される取組(朝学習、家庭学習等)をコツコツと積み重ねる。 ② 調査問題等を全職員で解く時間の確保 長期休業中などを活用し取組む。また、そこでの分析をチャレンジテスト作成に生かすこともできる。 C中学校では… 〈〈県平均比〉〉中2 数学:+9.1 【その1】日々の授業改善に一人残らず取り組んでいるC中学校 ① 授業をオープンに! ※1人1回は先生方へ授業を公開 担任の評価とチェックを徹底することで、児童の実態を把握し称揚、励まし等働きかける。 〈〈県平均比〉〉中2 数学:+3.7 D中学校では… 【その1】教師も生徒も同一歩調で取り組んでいるD中学校 ① 授業開始の3分前を大切に! 生徒は、授業の準備、ドリル、読書などで授業前に用具や気持ち、態度を整える。 1年に1度は指導案(略案可)を作成し、授業研究会を実施。全体研以外は、学年研・教科研等の形態 教師も3分前には教室に行き、生徒の状況を把握したり、教材を確認したりするなどし、チャイムとと で、20分間程度でも生徒の様子と授業について話し合う時間を捻出。 もに授業を開始する。 ※あたりまえのことを確実に ② 授業の基本の定着指導を徹底! “ 「課題」と「まとめ」をきっちりと板書する。” “振り返りの場を設定する。”など、毎時間の積み重ね “挨拶”“50分間集中” “共に考え合う”等を「授業の基本」とし、教室前面に掲示。また、 を大切に。 全校朝会などで確認する等機会を逃さず、意識付けをする。 ② 授業改善シートで個々のPDCAサイクルを! 年度初めに、教師が「育てたい生徒像」 「課題」 「具体的な取組目標」等を設定し、学期ごとに振り返る。 (振り返りには、必ず成果内容を挙げられるように…) 【その2】家庭学習をとことん徹底させているC中学校 ① 毎日の確認を確実に! 毎日、課題の提出と内容の確認をする。与えた課題は厳しくチェック。未提出を許しません。 ② 何をどのように使用させるのがよいか吟味! 「ワーク」 「各種調査等の過去問題を活用」「教科書の基礎問題」等、生徒の学習状況に合わせて“何 をどのように“取組ませることが力を高めることになるのか検討し実施。 【その2】家庭での生活時間を考えさせているD中学校 ① 生徒自身が生活と学習の計画を! 家庭学習ノートに生活記録のミニプリントを毎日貼り、自分自身で生活時間をコーディネート。担任は、 1冊のノートで「生活記録」と「家庭学習内容」の両方を把握し、評価する。 ② 家庭学習ノートを中心に、各学年プラス1時間の実施! 生徒の習熟度に応じた家庭学習課題の提示とともに内容の充実・向上に向けて個に応じ た助言を行う。 系統・関連を意識した授業改善 小学校の時点で定着率が低い! 小学校では・・・ *繰り返し問題に取組ませる *考えを言葉、式や図を用いて 説明させる など 定着と理解を確かにする取組が必要 中学校では・・・(実態をとらえた上で) *小学校で学習してきている考え方を振り返らせる *当該単元を学習する前に 小学校の問題を家庭学習で取組ませる など 単元の学習について困難さのある生徒の土台を整え る手立てが必要 【課題が継続している問題例】 *H26 県学調【中学1年数学】 文章題で問われている数量を文字式で正しく表す 答え ② 正答率:一関市 ※H25 全国学調【中学3年数学A】 52% 、県 52% 数量の関係を文字式で正しく表す 答え 正答率:一関市 ※H26 県学調【小学校5年算数】 24% 、県 29% (全国正答率 32%) 2つの数量の関係をとらえ、式に表すことができる きょうこさんは、横の長さが 2cm、3cm、…になると、面積はどのように変 わるかを調べています。下の(1)、(2)の問題に答えましょう。 24 答え 5×□=○ 正答率:一関市 56% 、県 63%(昨年度正答率 59%) 記号や式を用いて関係を表すことに小学校の段階でつまずいてしまうと、中学校以降、文字等を用いなが らより抽象化した問題に取り組むことが困難になります。単に式の計算ができることにとどまらず、それぞれの 式がどのような意味をもつのかを理解させたり、きまりを一般化して記号や文字を用いた式に表したりすること ができるような指導が求められます。
© Copyright 2025 ExpyDoc