総合科目 II 総合科目 II

冊子名
I
総合科目 I
科目名
I
総合科目 I
8
ペー ジ
第
2
問
補足説明
(8ページ 図 1の直前に以下の文を補足する。)
なお、正 8面体は光が一切透過しない素材でできているとする。
問
第
ローンの返済計画や確率を伴うゲームを数理モデルにより考察しよう 。
A
住宅ローンなどで資金を借りた場合,返済総額は,利子の支払いのために元金よ
り多くなり,また返済方式によっても異な ってくる。 このことを数理モデルにより
考察しよう。なお,金額は連続量として扱う。
元金 A を借りる。利子は借入日から l年毎に,過去 1年間の借入残高に対して
年利率 rで発生する。返済も借入日からちょうど l年毎に行う。そして借入日から
N 年後に返済を完了する。従って,借入日から数えて n年後からの 1年間を通じ
ての借入残高を h ,借入日から数えて n年後の返済額をれとすれば,ao= A,お
, N)
…
, 2,
, (n= 1
,
+rαn 1-x
t 1
,= α,
,
a
巴
、
、
h
、、’,,
#
〆
,
よび
が成り立つ。ただし,元金 Aおよび年利率 rは正の実数,年数 N および nは整数
玉 n壬 N とする。
, l主
とし, N ミ 2
(A 1) 毎年一定の金額 xを返済していく方式,すなわち
Xt=ゎ
=… =xN= x
,, と
という方式を元利均等返済とよぶ。この返済方式による借入残高 ι を特に b
, xを用いて表せ。さらに, N 年後に返済を完了することに
,n
,r
,, を A
。 b
書く
, N を用いて表せ。
.r
注意して, xおよび N年間の返済総額 Xを A
(A-2) 毎年,元金 Aの一定の割合を返済し,それに加えて過去 1年間の借入残
高に対して発生した利子全額をただちに返済していく方式を,元金均等返済とよ
ぶ。この返済方式による借入残高山を特に ら と,また返済額九を特に y,, と書
。
く
, nを用いて表せ。さらに N 年間の返済総額 Yを
,N
および、 y,, を A,r
Cn
, N を用いて表せ。
A, r
-4-
。
)
73
Ml0(171-2
元利均等返済および元金均等返済における A, r
, N は同一の値をとることとし
て以下の聞に答えよ。
(A-3) 元利均等返済の毎年の返済額 xと,元金均等返済の借入日から l年後の
返済額 Y1の差の正負を判定することにより, xとY
tのどちらが大きくなるか答
えよ。
(A-4) 元利均等返済の返済総額 X と元金均等返済の返済総額 Yはどちらが大き
くなるか答えよ。
-5-
>
くMlO(171-274)
B
以下のようなゲームを考える。
(
1
) 大きな木の周囲に, N人の子供たちが円を作って木の外側を向いて立ってい
"
i
;
;2とする。
る。ただし N
(
2) ゲーム開始時点の状態(初期状態)において,それぞれの子供は紙でできたチ
ケットを O枚または l枚持っている。子供たちの持つチケットの総数は M であ
る。ただし M は奇数であるとする 。
(
3) ゲーム開始 l分後に太鼓の合図がある。子供たちは合図を聞いたらすぐさま次
の行動(*)をする。
(
a) チケットを持っている子供は,それぞれの手元にあるコインを投
げ,表が出ればチケットを右隣の子供に手渡す(「パス J
する),裏が
(
*
)
出ればチケットをそのまま持っておく( 「
キープ」する) 。ただしコイ
ンの表裏の出る確率はともに十とする。
(
b
) 上記(
司でキープした子供が,左隣の子供からチケットをパスされ
た場合には,手にした 2枚のチケットをまとめて捨てる。
(
4) 太鼓の合図はゲーム開始 l分後, 2分後,…と l分毎にあり ,そのたびに子
3
)
の行動(*)をくり返す。
供たちは上記(
自然数 hと m に対して,ゲーム開始 h分後の太鼓の合図に従った行動(*)の直
後に,子供たちの持つチケットの総数が m 枚である確率を P
k
.
1
1
1と書く。
(B-1) N =M
=3のとき,
Pu,P
l
.
2
. P uの値を求めよ。
ゲームが進んでいくにつれて,子供たちのうち一人だけがチケットを持っている
状態が現れうる。この状態を定常状態とよぶ。
-6-
)
く M10(171 2
7
5
)
(B 2
) 次のような特別な状況を考えよう。ある特定の子供 Cはパスを行うこと
はなく, C以外の子供はキープを行うことはない,ということがくり返される。
この状況においては,全体の状態はいずれ定常状態にいたる。このことを用いて
次を示せ。
N - 1)分後の太鼓の合図に従った行動(*)の直後に定常
ゲーム開始 (
状態である確率は,
1
2 M(N 1)
以上である。
(B-3) 極限 l
i
mP
k,
lを求めよ。ただし, P
k
.lはゲーム開始 h分後の太鼓の合図
に従った行動(*)の直後に定常状態となっている確率を表すことに注意せよ。
定常状態におけるチケットの動きについて考えよう。
(B 4) 定常状態において,ある子供がチケットを受け取ったのち,そのちょう
,
ど f分後(ただし fは自然数)に初めてチケットをパスする確率を Q と書 く。 こ
の子供がチケットを持ち続ける時間の期待値,すなわち無限級数~ PQ1の和を
求めよ。
-7-
OM10(171 2
7
6)
第
2
問
照明のあて方や製品管理をより効果的・効率的に行うための解析に数理モデルを
用いることができる。
A
次の 6点を頂点とする正 8面体(図 1)を考える。
P+=(l,0,0),P =( 1,0,0),
Q十二( 0'1'0)'Q-= (0'
1'0)'
R+= (0,0,1
)
, R-= (0,0
, - 1)
平行な光をその正 8面体に照射する。その光の向きを
t=一( α,b
,c
) (ただし, az十 b2+c2= 1
, aミ bミ cミ 0)
とする。また,正 8面体の 8つの面のうち,光のあたっている面の個数を hとす
る。ただし,光の向きと面が平行な場合には,その面には光はあたっていないと考
える。
y
x
図1
>
くMl0(
17
1 2
7
7
)
, (A 3)においては答えを述べるだけでよい。
)
以下の( A 1), (A-2
(A-1) hはどのような値を取り得るか答えよ。
さらに,同じ空間内に光の向きと垂直で,正 8面体と交わらない平面があるとす
る。その平面をスクリー ンと見立てよう 。そのスクリーンは正 8面体の後方にあ
り,その上に正 8面体の影が生じているとする。その影は n角形であるとする。
, n)として
k
(A-2) nはどのような値を取り得るか答えよ。また, kと nの組 (
はどのようなものがあり得るか答えよ。
( A-2)で挙げたおのおのの組であるとき,光があた っている
, n)が
k
(A-3) (
のはどの面か答えよ。ただし,例えば P+.Q+,R+を頂点とする面はム P+Q+R+
と記せ。
次の問に対しては答えだけでなく理由も述べよ。
, cがどのよう
,b
( A-2)で挙げたおのおのの組であるのは, a
, n)が
k
(A-4) (
な範囲にあるときか。
-9-
)
8
7
くMlO(171-2
>
B
倉 庫 に n個(ただし nミ 2) の 異 な っ た 製 品 が 保 管 さ れ て い る 。 そ れ ら を
製品 l,製品 2,…,製品 nとよぶ。それらの製品は倉庫の 出入り口から奥に
向かつて l列 に 置 か れ て い る 。 こ こ で 出 入 り 口 か ら 近 い 順 で j番目(ただし
j= 1
, 2,
…
, n)に置かれている製品を倉庫から搬出するのに要する時間 を
t
jと
し
, 0<t1くれ< … <t
,, と仮定する。
一方,製品 α(ただし α= 1
' 2,
…,
n)が注文される確率を p(
α)とする。ただ
し
,
0<ρ(
α)
< l,p(l)
+ ρ(2)+…+ρ(n)= 1をみたすとする。ここで,
1
つ の 製 品 に 注 文 が あ っ た と す る 。 製 品 は 出 入 り 口 か ら 近 い 順 に 製 品 α]
,
製品 a2,
…,製品 ι の順に並んでいるとすれば,搬出に要する時間の期待 値
は T(
α
1
,a2
,…,
a,
,
)= .~ t
j
p(
αj
)となる。ただし, a1
,a2
,
…
,G
η に は 1から nの
番号がちょうど l回ず、つ現れる。
製 品 の 配 列 順 序 αi
,a2
,
…
, h を 変 え た と き の T(
α
1
,a2
,
…
, a)
, の変化を調べ
るために以下のような定式化を行う。より一般に, n個 の 相 異 な る 自 然 数
a1
,
α2,
…
, a,, からなる列。=( α1
,a2,
…
, a)
, を n次列 とよぶ。ただし,
2つの n次
列 α=
( α1,a
2,…
,a
,
,
)
, b=(b1,b2,
…,
b
)
, に た い し て , α1=b1
,a
2= b
2,
…
,
α,
t二
b
,, のとき α =b
,そうでないとき α 学 bとする。特に 1から nの自然数が
ちょうど l回ずつ現れる n次列を標準 n次列 とよぶ。例えば標準 3次列は以下の
6個である。
(1, 2
,3
)
, (1, 3
,2
)
, (2, 1, 3
)
, (2, 3
,1
)
, (3, 1
, 2), (3, 2
, 1)
2つの n次列 α= (a1,a2
,
…
,a
,
,
)
, b=(b1,b2,
…
,b
)
, にたいして,以下の条件(*)
が成り立つとき, α三
ヨbと書く。
「
l亘 j<k~五 n および αj
(
*
) |
1
が成立する。
>akをみたす任意の jと hにたいしてん
>b
k
l
|
」
特に α ヨ bかつ α 宇 bのとき a <I bと書く。
- 10-
)
く MlO(
1
7
1-2
7
9
)
以下の問に答えよ。
, bを標準 n次列とする a a <J bをみたす bが存在しないような αを求
(B-1) a
めよ。逆に a<J bをみたす αが存在しないような bを求めよ。
, にたいして,
)
,b
, b=(bi,h…
)
, α,
…
,
α2
,
( αi
(B-2) n次列 α=
,壬 b,
,
, a
・
, α2豆 h ・
1
l壬 b
α
・,
,・
2
,a
1
, にたいして, a
, a)
…
,
α2
l,
(α
が成立するとき a~b と 書 く a n次列 α=
,
α)と書く 。例 え ば 3次列 α=(4' 1
h を小さい順に並べてできる n次列を (
, から
, a)
…
( 1,2,4)である。 また n 次列 α = (a1.a2,
α)=
2)にた いしては, (
n- k)次 列
, n- 1)の数を除去してできる (
…
, 2,
右 側 の h個(ただし k= 1
(
, a,-k)を α[klと書く 。例えば 5次列 α =
・
,a2,・
(a1
3,1,6,5,2)にたいして
3,1'6)である。
, α[Z]=(
は
,~ィ)を 示せ。
ア)
このとき以下の(
l)が 成
l
b[
)~ (
ll
α[
b)ならば, (
α)笠 (
ア) n次 列 α,bにたいして, αヨ bかつ (
(
り立つ。
, bにたいして, αヨ bな ら ば , す べ て の 似 た だ し
何) 特 に 標 準 n次 列 a
が成り立つ。
l)
k
丞( b[
l)
α[k
, n- 1)にたいして (
…
k=1,2,
α)にたいして
, n)が注文される確率 p(
…
, 2,
(B-3) 各製品 α(ただし α= 1
n)
p(1)<ρ(2)<… <ρ(
!bをみたすとする。このときす べて
5
が成り立っとする。標準 n次列 α,bが a:
, n)にたいして
…
, 2,
ただし m = 1
の m(
.~ρ ( αj )壬.~
)
j
b
p(
が成り立つことを示せ。
1- 1
0)
8
1 2
7
1
O(
<)Ml
問は以上であり,以下はこの問題に対する補足である 。
標準 n次列 α=(
α
1
,a
2,…
,a
,
,
)
, b=(bi,h …
,b
)
, が α ヨ bをみたすとする 。
このとき,( B 3)で示した不等式を用いて, T(
α1
,
a2
,
…
,a
)
,ミ T
(bi,b2
,…,
b
,,)を証明することができる。すなわち,搬出時間の観点からすれば, αよりも
bの方が良い配列,あるいは αとbは同程度に良い配列といえる。 この事実を搬
出時間の短縮に活用することが可能である。
- 1
2-
0Ml
0
(
1
7
1-281
)