まほろば 自然農園だより 3 2015- 月号 宮下 洋子 Hiroko Miyashita 今年は雪が少ない? ここは別世界です! 今年はなんだか暖かい 今年はなんだか暖かく、大きな寒さのゆり戻しも 毎年、2月1日頃にハウスの雪ハネをして、ビニー フの福田君から相談を受けたほどです。 なく、早く融け過ぎて「どうしましょうか」とチー ルを張るのですが、今年は、その頃がちょうど大雪 で4~5日張れない日が続きました。本店の2月の 感謝デーに人手が足りないというので、そちらの方 やはり、 例年通りが安心 のお手伝いもして、結局3つのハウスが全部張り終 でも、余り早く種を蒔きすぎて、失敗したくな わったのは〇〇日?頃でした。2月の末まで中の雪 いので、青菜類(小松菜・ほうれん草・ミズナ) が融けるのを待つのですが、今年は、種まきできる の種は、結局例年と同じ位に蒔き(2月25日位 所まで解けてくれるかなと心配でした。ところが、 から)、サニーレタスは26日、スナックえんど うと絹さやは、3月2日に蒔きました。 道東の方では大変な暴風雪なのに、小別沢は、大 したことも無く通り過ぎていきました。有難い事 です。でも、ハウスが吹き飛ばされては困るので、 ハウスの外に防風ネットを張ったり、中に斜交い (はすかい)を立てたりと、予防策だけはしっか りやってくれています。 雪かきに精を出す毎日…。 まほろばだより No.4065 15-40 3/6 1 果菜類の種まきは7日から これまでの種まきは、加温のないハウスに直蒔 きでしたが、果菜類は、寒いと発芽できないので、 ハウスの中に温室を作って加温し、その中に種蒔 きします。 まず、3月8日にハウス用トマト類、10日に 露地用ピーマン・ナス類と、温室の種まきが続き ます。 露地用トマトや、キャベツ・カリフラワー類は 15日で、早出しのハウスきゅうりの種まきは 20日、露地用ブロッコリーは、25日になりま す。これからどんどん忙しくなって行きます。 0−1テストでオリジナル培養 土 種を蒔く為の培養土は、既成のものを買わない で(有機の物も出ていますが)、前年から取って おいたまほろば農園の土や、有機質資材を使って、 すべて作物ごとに0-1テストで配合し、オリジ ナル培養土を作っているので、これが一番時間が かかります。土を砕く所から始まって、篩(ふる い)で下ろし、天然の土壌改良剤や、ミネラル肥 もうすぐ果菜類の種まきが始まります。 を保ち、種蒔きするまで暖めておきます。 「苗半作」と言われるくらい苗作りはとても大 切なので、一番神経を使う所です。 料、まほろば酵素なども加えて、ミキサーで攪拌 し、トレーやポットに詰めて、温室に入れて適湿 幼苗時にどんな微生物と共存 するかが大事 土壌微生物のことは、かなり研究が進んでいる のですが、植物の体内に共生する微生物(エンド ファイト)の研究は、これまで行われていません でした。ところが一昨年あたりから、研究発表が あるようになり、色んな事が分かって来ました。 重大な発見は、植物が発芽して2週間くらいの間 に体内に棲みつくようになった微生物叢は、ほぼ 一生変わらないという事です。そして、その時、 どんな微生物が棲みつくかによって、その植物の 一生の体質がほぼ決まってしまうのだそうです。 2 種も土の中で仮眠中。 病原菌に対する抵抗力だと か、環境適応能力だとか、 生長ホルモンの発現形態だ とか・・・生命体が生きて いく為に必要な事ばかりで す。 『エンドファイト』 植物の体内に共生する多数の 微生物の総称。性質が異なる 糸状菌 ( かび ) と細菌 ( バク テリア ) が、病害抵抗性を持 つエンドファイトとして知ら れている。エンドファイトを 使った防除技術は化学農薬削 減の手法として注目されてい 葉物も発芽が始まってきました。 る。 このエリクサー発酵液は、0-1テストで、世界中 エリクサー発酵液のお蔭かも 知れない!! から集めた厳選素材700種類以上をバランスよく ならば、苗作りは一層大切な事になってきます。 朝、その発酵液の壷をかき混ぜて面倒をみています。 今までは、種だけをエリクサー発酵液を入れたエリ 何せ、もうその壷は18年にもなるのです。さらに、 クサー水に浸けていたのですが、今年からは、培養 時々季節の旬の山菜や、新しく手に入ったこれはと 土にも発酵液を使ってみる事にしました。何しろ、 思うものを入れて新陳代謝させています。こんな調 配合して発酵させたものですから、無数と言っても 良いくらいの微生物の宝庫です。それに、主人が毎 子ですから、今では、700どころか1000種類 エリクサーの発酵液が 鍵になっているのかもし れません。 まほろばだより No.4065 15-40 3/6 3 にも達しているのではないでしょうか? にと、私たち夫婦を呼んで下さったのです。さら まほろば農園の果菜類の苗はとても丈夫で、寒 に、どんな種類の微生物なのか興味を持たれて、 くなっても、何処よりも一番最後まで収穫できる 無料で遺伝子解析までしてくれました。 のは、エリクサー発酵液のお蔭かも知れないと、 (下の表をご参照下さい) 密かに思っています。 エリクサー発酵微生物はプロ バイオティクス 植 物 も人 の 身 体 もみん な同 じ!! 最近、NHKスペシャルでと言うのが放送され ました。ご覧になった方もあるかと思います。 人体の腸内フローラは1000種、100兆個も あるそうで、そのタイプは人によって違い、生涯 少しずつは代わるけれど、大きくは変わらないと いうのです。 プロバイオティクスとは、人体や、植物の内に 取り込むことで体内の環境を整え、健全な生育を 補助する有用微生物の事を指すのですが、エリク サー発酵液は、現代的に言うと、正にプロバイオ ティクスです。 17年前の事です。当時の道立食品加工研究セ ンターの課長が、エリクサー発酵液を電子顕微鏡 で見ると、余りにも多くの有用微生物が活発に動 き回っていたので、ビックリされ、見に来るよう 4 1999 年に解析していただいたデーター。 腸内フローラが医学 に革命を起こす!! その腸内フローラが、肥満、糖 尿 病、 ガ ン、 ア レ ル ギ ー、 老 化、 性 格、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力、 うつ病等、肉体的な病気ばかりで なく、社会性や心の病にも大きく かかわっていると言うのですから 大変な発見です。 アメリカでは、最新医療として、 三つ子の魂100まで 「便微生物移植」というのが大真面目に行われてい て、健康な人の便を薄めて、病気の人に移植(注入) 赤ちゃんは、お母さんのお腹の中にいる時は無菌 すると、今まで治らなかった病気も。ほとんどの人 状態ですが、生まれて肺で自立呼吸を始めると同時 が治ってしまうと言うのです。また、その人の病気 に空気や水、母乳を通して菌に被爆して行きます。 に必要だけれど、欠損している微生物をサプリメン そして、離乳期の頃までに、生涯の腸内フローラ(腸 トとして飲むと言う方法もあります。 内細菌の生態系全体)のタイプが決まるのだそうで 現代医療が転換点に差し掛かっている事は間違い す。 ありません。 昔の人は「三つ子の魂100まで」と言いましたが、 日本でも「便微生物移植」の臨床試験がすでに行 それは、腸内微生物の面から見ても、間違いの無い われている所です。 ことでした。 まほろばだより No.4065 15-40 3/6 5 生命の恒常性を維持する為に大切な、免疫系や神経 系、ホルモン系を狂わせているか、近い内に明らか になると思います。 また、栄養の量やバランスと腸内フローラとの関 係も具体的になって来ると思います。 今までは、因果関係を説明する事が難しかったの ですが、アプローチの基点が腸内フローラになって 来たことによって、光が見えて来ました。 そして、まほろばの食養思想(インテグレートマク ロビオティック)も科学の眼で検証されるようにな るのも近いような気がします。 ちょっと、話題が農業から反れたような反れない ような、申し訳ありません。 腸内微生物のエサは人の食 べ物です ここら辺で、現代医学も食べ物の大切さにもっ と気が付いて欲しいところです。 古来から言われてきた「医食同源」は、腸内フ ローラの考え方を入れると、分かり易くなってき ます。これから腸内フローラと食との具体的な関 連性がどんどん科学的に明らかになって来ると思 います。 また、農薬や添加物、医薬品、水質や大気の汚 染が、いかに健康的な腸内微生物の生存を脅かし、 農園もいよいよ始動! 6 まほろば農園の研修生が新規 就農 以前、まほろば農園でしばらく研修していた大 林君が、研修中に知り合った女性と結婚し、八雲 の方で新規就農する事になりました。農園の名前 は『八雲山水自然農園』です。素晴らしいですね。 一昨日は、まほろば農園で使っている川合肥料さ んの有機質肥料を分けて欲しいと、車で取りに来 ました。自家採種の種も各種ことづけました。 主人が看板の字を書いてあげました。 社長に書いてもらった看板文字を手に はい、 ポーズ! 去年、研修していた佐々木さ んも、今年から江差の方で、酪 農と農業で就農する事になりま した。本当はもう1年研修する 予定だったのですが、お家の事 情で早まりました。 4 月 に は、 私 用 で 江 差 に 行 く 用 事 が あ る の で、 そ の 時 に ちょっと様子を見に寄って来よ うかと思っています。 2人とも頑張って下さい ね!! 大林君と奥様。 がんばってください!! まほろばだより No.4065 15-40 3/6 7 連絡が遅くなってしまい、 申し訳ありません。 実は昨日から風邪を引いておりまして。 豚舎に入る事ができなかったので、写真は 私と豚の別々の写真となってしまいました。 申し訳ありません。 専務、社長と 4 月に会えることが、今から とても楽しみです。 豚たちと格闘中 (?) の佐々木さん。 池田さんからは、昨夜連絡があり、お互い の今の近況の話をしました。 それでは、また会うその日まで。 (佐々木 良規) 8 まだ雪深い農園の風景
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