自然災害への備え - 岩手経済研究所

巻頭言
頻発する自然災害
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「自然災害への備え」
で平年の8月の1ヵ月分の雨量を超える雨
が降りました。また、昨年2月の大雪の際に
は、落雪による死者や住家被害も発生して
います。地震・津波では、4年前の東日本大
震災を忘れてはなりません。復興はまだ途
上ですし、余震活動も続いています。さら
に県内には、岩手山、秋田駒ヶ岳、栗駒山、
八幡平の四つの活火山があります。いずれ
も現在の火山活動は静かですが、活きてい
る火山であることを忘れてはなりません。
災害への備え
最近は、以前に比べ大雨が降る回数が増
加しています。地球温暖化の影響により、
今後もさらに極端な大雨が頻繁に発生する
可能性が非常に高いと予測されています。
また、日本は世界の中でも地震や火山の多
い国です。地震は全国どこでも発生する可
能性がありますし、火山もいつ活動が活発
になるか予測することは困難です。
このような中、経済的なことも含めて被
害を減らすためには、平常時からの備えと
災害時の対応が重要になります。何よりも
命を守ることが大切ですが、企業などでは
施設が被害を受けないこと、被害を受けて
も業務が継続できることが、経済被害も最
小限にとどめるために重要となります。
そのためには、まず、大雨が降ったら、
地震が起きたら、火山が噴火したら、自分
の会社にどんなリスクがあるのか、通信回
線が切れたり停電したらどのような影響が
あるのかなどを知る必要があります。そし
て、いざ事が起こったらどのように対処す
ればよいか、そのためには普段からどんな
準備をしておけばよいかを考えておく必要
があります。
これらは個人の備えでも同様なことで
すが、企業の場合は、さらに事業の継続性
も考慮する必要があります。事業を継続す
るための計画のことをBCP( Business
)と呼びますが、このB
Continuity Plan
CPを検討する際には、自社だけでなく、
関連会社のリスク分析も必要な場合があり
ます。例えば、部品を別の会社から仕入れ
ているなら、その部品会社のリスクやBC
Pの確認も重要です。また、BCPは作っ
ただけでは機能しません。日頃からの訓練
と個々の社員の意識が重要となります。
備えあれば憂いなし。普段からの備えと
心構えが大切です。また、気象台が発表す
る大雨、地震・津波、火山などに関する防
災気象情報もご活用ください。
岩手経済研究 2015 年2月号
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青 木 元
盛岡地方気象台長
我が国では毎年のように自然災害が発
生しています。昨年だけでも、8月には広
島県の土砂災害をはじめ、北海道から沖縄
まで全国各地で台風や前線などによる豪雨
災害が続きました。気象庁は顕著な災害を
起こした自然現象について命名しています
が、昨年8月の一連の豪雨は全国各地に被
害を及ぼしたことから、場所を特定しない
形で「平成 年8月豪雨」と命名しました。
また、9月には御嶽山の噴火で多くの方が
亡くなりました。日本には御嶽山を含め
110の活火山があり、昨年は阿蘇山、吾
妻山、蔵王山、十勝岳などでも火山活動の
高まりが見られています。そして、 月に
は長野県北部を震源とする最大震度6弱の
大きな地震がありました。幸い死者はあり
ませんでしたが、負傷者や建物被害が生じ
ています。
このように、我が国では、大雨、地震・
津波、火山噴火など、様々な自然災害が頻
発しており、岩手県も例外ではありません。
一昨年8月9日の豪雨では、盛岡市、雫石
町、矢巾町、紫波町、花巻市などで、住家
浸水、がけ崩れ、道路の損壊や冠水などの被
害がありました。このときは、たった数時間
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